公安対魔特異課
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 08:58 UTC 版)
公安警察における、対悪魔を目的とした部署の一つ。福利厚生が厚く、給与目当てで就職する者も多いが、その性質上民間で対処出来なかった強力な悪魔と対峙するため殉職者が後を立たない。所属する者は1年後に大抵死ぬか、民間のデビルハンターに転職するとのこと。とりわけ対魔特異4課は実験的部隊とされ、魔人や悪魔が隊員として所属している。作中で銃による襲撃で大半の人員が殉職したため、1〜3課と合併された。 マキマ 詳しくは主要人物の項を参照。 早川 アキ(はやかわ アキ) デンジの3年先輩の男性。髪を後頭部の高い位置で結っている。礼儀知らずで自分勝手なデンジやパワーには辟易しているが、後に彼らの保護者兼監視役として自宅で共同生活を送るようになる。マキマは「命の恩人」とのことで、彼女に好意を抱いている。両親と、弟のタイヨウと暮らしていたが銃の悪魔によって自分以外皆殺しにされ、復讐のためデビルハンターになった。特にタイヨウに関しては、結果的にアキの言葉が原因で命を落としたことから、強い自責の念を抱いている。仕事熱心で、普段は冷徹に振舞っているが、根は心優しく情に厚い性格。バディの姫野に厚い信頼を置いており、姫野の影響で喫煙者になった他、彼女にピアスも開けられている。姫野が殉職してからは天使の悪魔とバディになった。 物語開始時点では「狐の悪魔」「呪いの悪魔(カース)」と契約していたが、後に狐の悪魔に見限られた上に、自身の寿命が残り2年しかなくなった際に新たな力として「未来の悪魔」と契約を結ぶ。その際に「未来で最悪な死に方をする」と予言された。 生身の人間としては戦闘能力が高く、剣術を得意としている。狐とカースを使わなくなってからは武器を天使が作った刀に持ち替え、未来の悪魔の未来視を駆使して戦う。 銃の悪魔との決戦が決まった際には、ともに暮らす内にかけがえのない存在になっていたデンジとパワーを失うことを恐れ、作戦の不参加を要請するもマキマの能力によって支配を受けてしまう。さらには突如侵攻してきた銃の悪魔に肉体を奪われ「銃の魔人」となり、混濁した意識の中で人々の殺戮を開始する。最終的にはデンジによって倒され、本人は弟とキャッチボールをする幻を見続けたまま安らかに死んだが、既に兄弟のような関係を築いていたデンジにとっては「最悪の死に方」となった。死後、彼の遺した貯金は遺言に基づいて姫野の家族とデンジに半分ずつ送られた。 パワー デンジのバディ。「血の魔人」。魔人としては比較的知能と理性があったためマキマに保護され、デビルハンターとしての訓練を受けていた。容姿はおよそ10代後半程度の女性で、亜麻色のロングヘアー、頭頂部の2本のツノ、十字の文様が入った虹彩が特徴。一人称は「ワシ」で、老人語混じりの話し方をするが実際は子供っぽく、非常に自己中心的かつわがままな性格。言ったことをすぐ覆す虚言癖があり無責任、その言行にはまったく一貫性がない。元が悪魔だった故にプライドが高く、人間に対しても差別的、高圧的な態度をとるが、自分より強い相手には弱く、逆に自分より弱い相手には強く出る利己的な一面もある。唯一、自分が拾った猫の「ニャーコ」だけには心を許し、とても大切にしている。 血を操る能力を持ち、血を固めて武器を生成したり、自分や他者の血液を操作することで止血を行うこともできる(ただし本人は他人の血の操作は苦手と述べている)。また吸血することで自らの力を強化することができる一方で、逆に血を使いすぎると貧血になり動けなくなるデメリットもある。 デンジとバディを組んで以降は、デンジと共にアキの自宅で暮らすことになる。闇の悪魔との対峙後、五体満足での生還を果たすが、しばらく恐慌状態に陥り、一時精神が退行した。しかし、デンジやアキの介護により普段通りの性格に戻り、彼等との仲を深めた。 アキの亡き後はデンジと共にアパートで暮らしていたが、彼に『パワーの殺害に加担した』負い目を背負わせるためにマキマに殺害される。しかし以前にデンジに自らの血を吸わせていた事から、デンジの中で辛うじて生きながらえ、デンジの窮地を救うべくポチタの頼みを受け、その肉を喰らった事で血の悪魔本来の姿で復活、マキマと対峙する。一度はマキマに勝てないと判断してデンジを裏切り自分だけ助かろうとするも、彼への想いから彼を助け出し、致命傷を負いながらも「初めてできた友達」であるデンジを護りきり、最期は「血を与える代わりに、いつか血の悪魔を見つけて再び友達になる」契約をし、デンジを復活させて消滅した。 83話にて、チェンソーマンの眷属であったことが明らかとなった。血の悪魔 パワーの悪魔本来の姿。女性的な肢体の肉食獣のような姿をしており、四本の腕と露出した臓物が特徴的。十文字の目や髪、ツノなど、魔人のときと近しい特徴もある。血を操る能力が魔人のときより格段に強力で、他人の血で武器を生成して体の内側から切り裂いたり、空中に大量の武器を生成して殺到させたりといった芸当ができる。性格は全く変わっていない。 姫野(ひめの) デンジの先輩で、アキのバディ。隻眼で眼帯がトレードマークの美女。明るくノリのいい性格。酒好きだが酒乱であり、酔うと奇行が増える。酔った勢いで一度はデンジを自宅に連れ込み性行為に及びかけるも、互いに別の想い人が居ることを知ったことで「友達」となった。父と妹がおり、実家に仕送りをしている描写がある。 自身の右目を代償に幽霊の悪魔と契約しており、不可視、不可触の腕を自由自在に操ることができる。デビルハンターとしての経歴は長く、過去5人いた彼女のバディはいずれも殉職している。その影響かアキとバディを組む以前は暗くシビアな性格だった。アキに好意を持っており公私ともに依存しつつも、内心ではアキが公安を辞めて穏やかに生きることを望んでいる節がある。愛煙家であり、元々は嫌煙だったアキをなし崩し的に喫煙者にした。 サムライソードとの戦いの際に、アキを護るため幽霊の悪魔に自身の全てを捧げて戦うも、ヘビの悪魔に幽霊の悪魔を喰われ肉体が全て消滅した。 荒井 ヒロカズ(あらい ヒロカズ) デンジの同僚で新人の男性。22歳。趣味は俳句。姫野曰く「実力不足だけどやる気は十分」。狐の悪魔と契約している。堅物だが面倒見のいい性格で、当初はデンジのことは快く思っていなかったが、永遠の悪魔との戦いでデンジに助けられたことで認識を改める。幼少期は母親がよく酔って帰ってきたらしい。特異課襲撃の際にコベニを庇って射殺された。 東山 コベニ(ひがしやま コベニ) デンジの同僚で新人の小柄な女性。20歳。特異課の統合以降は暴力の魔人(ガルガリ)とバディを組んでいる。姫野曰く「引っ込み思案だけどかなり動ける」。契約している悪魔は不明。本人は大学進学を望んでいたが、優秀な兄を大学に行かせるため、嫌々ながらデビルハンターになった。9人姉妹で、両親からの愛に恵まれなかった荒んだ家庭環境を持つ。小心者で精神的に脆い部分があるが人並み外れた身体能力を持ち、対人での戦闘力は非常に高い。 給料を貯めて自動車(フィアット・500)を購入したが、パワーにアメリカの刺客の長男を撥ねるのに利用され、その後の戦いの中で大破した。デンジらと共に地獄に送られてしまうがガルガリに守られて生き延び、公安を辞める。 辞職後はハンバーガーチェーン店『ファミリーバーガー』に勤めていたが、店長や店員からパワハラを受け「助けて」と零した事でチェンソーマンを呼び寄せる。「女とデートをしたい」というデンジの夢に付き合わされる形でチェンソーマンに連れ回された挙句、マキマとチェンソーマンの戦いに巻き込まれる。その後は元に戻ったデンジと共に岸辺に匿われ、命を落としかねない状況を恐れながらも両親から離れられることに安堵していた。この時にデンジとした話が、彼に「チェンソーマンになりたい」という欲望を目覚めさせる切っ掛けとなった。 円(まどか) 特異4課所属デビルハンターだった男性。顔の切り傷と眼鏡が特徴。特異課襲撃の際に生き残ったものの公安を辞職し、民間のデビルハンターになった。 岸辺(きしべ) 姫野、早川の師匠である初老の男性。年齢は50代。初登場時は公安対魔特異1課所属で、後に合併された特異4課の隊長を務めることになった。口の左にある縫い跡が特徴的なほか常に無表情で、何を考えているのかわからない印象を与える。特異課襲撃の後、サムライソード打倒に備えてデンジとパワーの稽古をつける。 「悪魔が恐れるデビルハンターは頭のネジがぶっとんでるヤツ」という持論を持っており、好きなことは酒と女と悪魔を殺すことと語るなどエキセントリックな面が目立つ。仕事の際には冷静沈着かつ冷酷に振舞っているが、根は人情家で、仲間想いの性格。 自称「最強のデビルハンター」で、老いとアルコールにより実力に衰えはあるものの、それでもマキマを除けば公安所属のデビルハンターの中では最強という超人的な戦闘力を持つ。ピンツィによれば「爪の悪魔」「ナイフの悪魔」「針の悪魔」と契約しているが、契約の対価として払えるものは体に残っていないとされる。 当初からマキマを警戒しており、マキマがチェンソーマンを復活させた際には、彼女のマンションを機動隊やデビルハンター達を率いて襲撃するが失敗。自意識を取り戻したデンジとコベニを匿い、デンジの最後の戦いに協力する。全ての決着がついた後、中国から拉致してきた、生まれ変わった支配の悪魔であるナユタをデンジに預け、自身は姿を晦ました。 かつては9年以上クァンシとバディを組み、また彼女に惚れてアプローチをかけていたが、彼女が女の方が好きである事から諦めている。 ビーム 「サメの魔人」。頭の上半分がサメの頭部と背鰭を模したような形になっており、耳も人間のものより尖っている。戦闘時には頭部全体がサメになり、目標に喰らいついて攻撃する。短時間であれば悪魔本来の姿にもなれる。地中や壁などあらゆる場所を泳ぐことが可能で、普段のパトロールの際には頭頂部の鰭だけ地上に出して地面に潜んでいる。非常に凶暴で普段は会話もできないほどだが、マキマには頭が上がらないようで彼女には忠実。また、チェンソーの悪魔の過去を知る人物の一人で、デンジのことを「チェンソー様」と呼び慕っている。 レゼと台風との戦いでは大いに活躍するが、闇の悪魔との戦いでは、デンジを復活させるために彼に血液を分け与えた後、殺されてしまう。83話にて、チェンソーマンの眷属であったことが明らかになった。サメの悪魔 ビームの本来の姿。丸く大きな3対の目、たてがみのような複数の背鰭、昆虫の足のように変化した2対の胸鰭など、通常のサメの特徴を誇張したような見た目をしている。機動力に長け、作中では、デンジを背に乗せて台風の悪魔の体表を駆け回り、その撃破に大きく貢献した。 天使の悪魔(エンジェル) 頭上の光輪と一対の羽を備えた、中性的な天使の姿をした悪魔。羽は防御等に活用することもできる。性別は男性。姫野の後任でアキのバディとなる。覇気に欠け、常に気だるそうにしているほか、「働くくらいなら死んだほうがマシ」など、自らの死を望むような発言も多いが、マキマによれば、怠け癖がなければ岸辺の次に強い。他の悪魔の例にもれず、人の苦しみを望んでいる旨の発言をしている一方、天使らしい慈悲や気遣いを覗かせることもある。 特殊な悪魔らしく、悪魔ながら人間に敵意を抱いていないものの、意思とは無関係に、触れた人間の寿命を吸い取る能力を持っている。彼自身はこの能力を「死を呼んでしまう」として嫌っている。吸い取った寿命を変換して武器を造ることもでき、アキの新しい刀も彼の能力で造ったもの。武器は使用する寿命に応じて強力になり、召喚する際は光輪から引き出す。かつては漁村らしき場所を故郷として人と交わって暮らし、思い人すらいたが、マキマに操られて村の人間の寿命を全て吸い取っており、その記憶を消されている。 闇の悪魔との戦いで両腕を失う。アキと共にマキマに相談に行き、アキがマキマに操られる様子を見て記憶を取り戻し、反旗を翻すが、再支配されてしまう。83話にて、チェンソーマンの眷属であったことが明らかになった。 暴力の魔人(ガルガリ) ペストマスクとガスマスクを合わせたような仮面を装着し、パーカーのフードを被った男性。特異課の統合以降は、コベニとバディを組んで活動している。魔人の身でありながら強すぎるため常に毒の出る仮面で力を制御されているが、それでも蹴り技を筆頭とする格闘能力では無類の強さを発揮する。仮面の下は人間に近い顔をしているが目が2対ある。 暴力を冠する物騒な名前とは裏腹に、本人は争いを嫌う気さくで明るい性格をしており、フレンドリーな言行も多い。人間の脳が多く残っているらしく、乗っ取った人物が生前に通っていた学校や定食屋の記憶が残っており、マキマに助けられたことも覚えているが、なぜその人物が亡くなったかは覚えていない。 闇の悪魔との戦いでは仮面を外して全力で応戦し、満身創痍になりながら奮戦するも敗れて死亡した。 83話にて、チェンソーマンの眷属であったことが明らかになった。 蜘蛛の悪魔(プリンシ) 人間の女性に似た上半身と蜘蛛のような多脚を備えた悪魔。顔には正中線に沿ってファスナーのような溝が走っている。人間に友好的だが、癇癪で安易に人を殺すとして警戒されている。常に無表情だが、マキマには忠実で彼女に付き従っている。 多脚を利用して天井を移動したり、脚で敵を貫いたり切り裂いたりする。また、体のファスナーを開くことで任意の物を召喚する能力を持っている。 83話にて、チェンソーマンの眷属であったことが明らかになった。
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