寺田寅彦 寺田寅彦の概要

寺田寅彦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/15 00:32 UTC 版)

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寺田 寅彦
生誕 1878年11月28日
日本東京市麹町区
高知県高知市育ち)
死没 (1935-12-31) 1935年12月31日(57歳没)
日本・東京市本郷区
墓地 王子谷墓地(高知市)
国籍 日本
研究分野 物理学
研究機関 東京帝国大学理科大学・理化学研究所東京帝国大学地震研究所
博士課程
指導教員
田中館愛橘長岡半太郎
主な指導学生 中谷宇吉郎坪井忠二
主な受賞歴 帝国学士院恩賜賞
プロジェクト:人物伝
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略歴

寺田寅彦

業績

研究上の業績としては、地球物理学関連のもの(潮汐の副振動の観測など)があるいっぽうで、1913年には「X線の結晶透過」(ラウエ斑点の実験)についての発表(結晶解析分野としては非常に初期の研究のひとつ、Braggとは独立にBraggの回折条件を得ている)を行い、その業績により1917年に帝国学士院恩賜賞を受賞している。また寺田の示唆によって西川正治は先駆的なスピネル構造の研究をしたが、これは Laue、Ewaldらの歴史的な仕事からほんの 1,2年の後のことであった。(https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/story/newsletter/past/19800300_11_6.pdf)

また、“金平糖の角の研究”や“ひび割れの研究”など、統計力学的な「形の物理学」分野での先駆的な研究も行っていて、これら身辺の物理現象の研究は「寺田物理学」の名を得ている。

寅彦は自然科学者でありながら文学など自然科学以外の事柄にも造詣が深く、科学と文学を調和させた随筆を多く残している。その中には大陸移動説を先取りするような作品もある。「天災は忘れた頃にやってくる」は寅彦の言葉といわれるが、著書中にはその文言はなく、発言録に残っている[3]

今日では、寅彦は自らの随筆を通じて学問領域の融合を試みているという観点からの再評価も高まっている。

漱石の元に集う弟子たちの中でも最古参に位置し、科学や西洋音楽など寅彦が得意とする分野では漱石が教えを請うこともあって、弟子ではなく対等の友人として扱われていたと思われるフシもあり、それは門弟との面会日だった木曜日以外にも夏目邸を訪問していたことなどから推察できる。そうしたこともあって、内田百閒らの随筆で敬意を持って扱われている。五高時代には、漱石を主宰に厨川千江、蒲生紫川らと俳句結社紫溟吟社(しめいぎんしゃ)をおこした[4]

また『吾輩は猫である』の水島寒月や『三四郎』の野々宮宗八のモデルともいわれる。このことは漱石が寒月の扱いについて伺いをたてる手紙を書いていることや、帝大理学部の描写やそこで行われている実験が寅彦の案内で見学した体験に基づいていることからも裏付けられる。


  1. ^ T. Terada (1913). “X-Rays and Crystals”. Nature 91 (2270): 213. doi:10.1038/091213b0. https://doi.org/10.1038/091213b0. 
  2. ^ 岩井寛『作家の臨終・墓碑事典』(東京堂出版、1997年)214頁
  3. ^ 小品『天災と国防』(初出は1934年11月、『経済往来』)にあるのは、次の言葉である。
    文明が進むほど天災による損害の程度も累進する傾向があるという事実を充分に自覚して、そして平生からそれに対する防御策を講じなければならないはずであるのに、それがいっこうにできていないのはどういうわけであるか。そのおもなる原因は、畢竟そういう天災がきわめてまれにしか起こらないで、ちょうど人間が前車の顚覆を忘れたころにそろそろ後車を引き出すようになるからであろう。
    経緯は中谷宇吉郎の随筆「天災は忘れた頃来る」に詳しい。
  4. ^ 熊本日日新聞社編纂『熊本県大百科事典』熊本日日新聞社、1982年、418頁
  5. ^ 新版で、中谷宇吉郎『寺田寅彦 わが師の追想』講談社学術文庫、2014年
  6. ^ a b 山田一郎『寺田寅彦覚書』岩波書店、33頁。
  7. ^ a b c d e f 『日本の有名一族』、108-112頁。
  8. ^ 「寺田寅彦記念賞のあゆみ」『寺田寅彦記念賞 - 高知県文教協会』高知県文教協会。
  9. ^ 「寺田寅彦記念賞」『寺田寅彦記念賞 - 高知県文教協会』高知県文教協会。
  10. ^ 評伝に、池内了『寺田寅彦と現代 等身大の科学をもとめて』みすず書房、2005年。
    責任編集『寺田寅彦 いまを照らす科学者のことば KAWADE道の手帖』河出書房新社,2011年


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