学習指導要領 学習指導要領の概要

学習指導要領

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/08 05:11 UTC 版)

学習指導要領は、学校教育法第1条に規定する学校(いわゆる一条校)のうち、小学校中学校義務教育学校(前期課程・後期課程)・高等学校中等教育学校(前期課程・後期課程)・特別支援学校(小学部・中学部・高等部)の各学校が各教科で教える内容を、学校教育法施行規則の規定を根拠に定めたもの。国立学校公立学校私立学校を問わずに適用されるが、実際の状況では公立学校に対する影響力が強く、私立学校に対する影響力はそれほど強くない[注釈 1]

一方で文部科学省は、学習指導要領のより詳細な事項を記載した『学習指導要領解説』を発行しており、学習指導要領とは異なり法的拘束力はないとされ、教科用図書検定規則などには学習指導要領解説に沿わなければならないという規定はない。ただし、一部科目で学習指導要領解説で提示された公式のみが教科書に実際に記述されている[注釈 2]など、教科用図書検定の際には強い影響力を持っており、事実上拘束力がある。

なお、就学前教育を行う幼稚園や特別支援学校の幼稚部、または幼保連携型認定こども園では、学習指導要領に相当するものとして教育要領(きょういくようりょう)がある。

学習指導要領の実施する数年前から、旧課程の内容の一部(上学年へ移行される内容など)を削除したり、新課程の内容の一部(上学年から移行される内容など)を追加したりすることを移行措置という。文部科学省は、移行するための必要な措置という位置づけで実施している[1][2]

高等学校における学習指導要領の実施方法は学年進行と呼ばれ、第1学年で新しい学習指導要領が実施されても第2・3学年は前の学習指導要領のままとなる。


注釈

  1. ^ 教育基本法第8条では、「国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、(以下略)私立学校教育の振興に努めなければならない」とされている。また私立学校法第1条により、私立学校に対しては「特性にかんがみ、その自主性を重んじ、公共性を高める」ことが求められている。
  2. ^ 提示された公式以外の公式の記述はなし、学習指導要領解説にはない公式を掲載しても検定を通る可能性が低い。このため、システム数学体系数学などの検定外教科書が登場した。
  3. ^ これには理由があり、中学受験組は既に入試で出題されているため、彼らにとって二度手間だという批判があった。
  4. ^ 理科と社会科は第3学年から学習する形式に変更された。
  5. ^ そのため、1984年4月2日から1985年4月1日生まれの児童は第1学年は理科と社会の授業を、第2学年は生活の授業を受けている。
  6. ^ これは、社会福祉士および介護制度の法規改正に伴うもの。

出典

  1. ^ 小学校及び中学校の学習指導要領等に関する移行措置並びに移行期間中における学習指導について”. www.mext.go.jp. 2019年5月11日閲覧。
  2. ^ 学習指導要領の改訂に伴う移行措置の概要”. www.mext.go.jp. 2019年5月11日閲覧。
  3. ^ 専業主婦はいつ定着したのか~そして未来は?意外な歴史を探る(石渡嶺司)”. Yahoo!ニュース (2019年8月23日). 2020年12月29日閲覧。
  4. ^ 昭和五十二年の小・中学校の教育課程の改訂”. www.mext.go.jp. 2019年5月11日閲覧。
  5. ^ 旧学習指導要領(平成元年度改訂)”. www.mext.go.jp. 2019年5月11日閲覧。
  6. ^ 教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ”. www.mext.go.jp. 2019年5月11日閲覧。
  7. ^ 新しい幼稚園教育要領、小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領の公示について〔文部科学大臣談話〕』(プレスリリース)文部科学省、2008年3月28日http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/03/08032702.htm2009年12月24日閲覧 
  8. ^ 高校の数学に「行列」復活も、国が本腰入れるAI人材教育の詳細が判明”. tech.nikkeibp.co.jp. 2019年5月22日閲覧。
  9. ^ 小・中学校の授業時数に関する基礎資料”. www.mext.go.jp. 2019年5月11日閲覧。
  10. ^ 新学習指導要領・生きる力 保護者用パンフレット”. www.mext.go.jp. 2019年5月11日閲覧。
  11. ^ 佐々木隆宏「成人期における数式への関与についての一考察─数式の意味的解釈の可能性を探る─」『学苑』第929号、昭和女子大学近代文化研究所、2018年3月、(27)-(35)頁、CRID 1050001202935122560ISSN 1348-0103NAID 1200064894942023年10月30日閲覧 
  12. ^ 教育格差と階層化”. www.hihyosya.co.jp. 2019年5月22日閲覧。
  13. ^ 新学習指導要領平成30年告示版”. www.mext.go.jp. 2019年5月14日閲覧。


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