学習指導要領・学習指導要領解説の記述
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 09:17 UTC 版)
「かけ算の順序問題」の記事における「学習指導要領・学習指導要領解説の記述」の解説
学習指導要領では、乗法の記号「×」は乗法の意味などとともに第2学年で学習することとなっている。 小学校学習指導要領解説算数編では、× の左側に一つ分の数(かけられる数、被乗数)、右側にいくつ分にあたる数(かける数、乗数)を書いている式が多く見られる[要出典]。いくつか例を示す。 第2学年では、「乗数が1増えれば積は被乗数分だけ増えること」を活用して、4 × 9 = 36から、4 × 10 = 40(36より4だけ増える)などを求める。数学的には「被乗数が1増えれば積は乗数分だけ増えること」も言えるが、4 × 9 = 36から5 × 9 = 45を求めるといった事例は書かれていない。第2学年ではこのほか、乗法の式から場面や問題をつくる活動において、3 × 4の式に対し、「プリンが3個ずつ入ったパックが4パックあります。プリンは全部で幾つありますか。」という問題を例示している。「プリンが4個ずつ入ったパックが3パックあります。プリンは全部で幾つありますか。」というような問題をつくる子どもへの指導については、規定されていない。 第3学年では、筆算において被乗数と乗数が区別される。23 × 45だと45が乗数であり、これを45 = 40 + 5とみて、23 × 40と23 × 5に分けて計算する。また同じく第3学年で除法が導入されるが、その際に除法の「意味」には「等分除と包含除」(#等分除と包含除を参照)があるとして、それと乗法を、包含除は3 × □ = 12、等分除は□ × 3 = 12である、などと関連付けさせている。 高学年では小数の乗法を学習するが、第4学年では乗数が整数である場合に限られる。0.1 × 3ならば、0.1 + 0.1 + 0.1の意味である。第5学年では乗数が小数となる乗法を学習し、「1 mの長さが80円の布を2.5 m買ったときの代金」は、80 × 2.5で表される。 言葉の式についても、「1 mの重さ × 棒の長さ = 棒の重さ」「(単価)×(個数)=(代金)」と一貫している。なお中学校学習指導要領解説数学編では、いくつかの言葉の式と並んで「(値段)=(単価)×(個数)」が記されている。 しかし、場面に対応するかけ算の式は、常に一つというわけではない。第2学年では、「12個のおはじきを工夫して並べる」という活動において、次のようにおはじきを並べ、複数の式を記載している。これは「一つの数をほかの数の積としてみる」ことを意図したものである。 ●●●●●●●●●●●●2×6 または6×2●●●●●●●●●●●●3×4 または4×3 第4学年の長方形の面積の公式では、「(長方形の面積)=(縦)×(横)(もしくは(横)×(縦))」とある。 学習指導要領は「教育課程の標準」「各教科で教える内容」を定めたものであり、例示として片方の順序を示しているところはあっても、その片方の順序でのみ式を書くことを要請する文は存在せず、他方の順序を不正解とすることもない。学習指導要領・学習指導要領解説に基づき教材や授業、テストとして具体化されていく中で、特定の順序が選択される。そのとき、逆の順序に書かれた式を正解とするか不正解とするかは様々である。 文部科学省初等中等教育局教育課程課は中日新聞の取材に答えて「かけ算の意味を理解させるよう定めているが、順序については国が定めるものではない」と述べるとともに、指導要領解説の「10 × 4は、10が四つあることから、40になる」を根拠に「順序に意味がある」とする解釈については「深く考えすぎだと思う」と否定している。
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