飢餓浮腫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 01:40 UTC 版)
血液中のアルブミンなどの多くのタンパク質は水をひきつける浸透圧作用を持っている。この場合の浸透圧は膠質浸透圧と呼ばれている。ヒトでは血漿のタンパク濃度が7.3 (g/dl)前後であるのに対して、間質液中のそれは2 (g/dl)から3 (g/dl)程度である。この時血漿の膠質浸透圧は約28 mmHgであり、間質液のそれは約8 mmHgである。この濃度差から生じる膠質浸透圧較差によって循環血液量と間質液の量が保たれている。しかし、タンパク質の不足による低アルブミン血症ではこの膠質浸透圧が低下するため、循環血漿量が維持できずに間質に水分が流出(濾出)してしまう。これがむくみである浮腫(腹部の場合は腹水貯留)の原因となっている。貧困地域の栄養失調児が極度に細い手足に反して膨らんでいる腹部の姿を示すのは、このタンパク質不足に起因する浮腫によるものである。医学的に「飢餓浮腫」と呼ばれている。
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