地質時代 概要

地質時代

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/15 21:46 UTC 版)

概要

地質学時標図[注釈 2]

138億年前の宇宙誕生(ビッグバン)から3分の2経過した今から46億年前に太陽系に地球が誕生した。この数十億年に渡る地球の過去を考察する場合、地球誕生から、の形成、海洋誕生、大陸の形成分裂、造山運動火山活動、巨大隕石の衝突、気候変動などの天文学的・地学的な絶対年代区分とは異なった、時代を発掘された化石や地層等から相対的に区分する手法が用いられており、これを地質時代と呼ぶ。この地質時代区分は地球史絶対年代とは異なるが、絶対年代上の重要事象の結果として多くの生物相の変化が起きたわけであり、地質時代と絶対年代に定義の差はあるが、相関性はある[10]

地球の過去は岩石や地層の中に封じ込められており、幾重にも亘る地層には、本の頁のように、地球の過去の事件やその時代の生物などが記録されている。これらの地層は、含まれる岩石や化石の放射年代測定により年齢を推定することが出来る。こうして地層の頁を紐解き、岩石という原子時計を測り、含まれる化石を見出すことにより地球の過去を知ることが可能となる。

顕生代の生物多様化と大量絶滅

地質時代の区分は発見される化石によるため、各時代はそれら生物の時代とも言え、その絶滅が時代を区分している。言い換えれば地質時代は生物の繁栄と絶滅の記録である[11]。 一部の例外を除き各紀の境界では大量絶滅が発生している。右図参照。

地質時代研究の歴史

詳細は地質学の歴史英語版および古生物学の歴史英語版を参照。

古代から中世にかけて現生生物とはかけ離れた化石の発見から古生物の存在や、貝の化石が海から離れた場所で見つかることから現在の陸地が昔は海であった可能性などの推察があった。一方で、化石は生物起源ではない変わった形の岩石であり、『創造論』に基づいた時代認識が近世まで続いていた。近世に入りルネサンスを経て自然科学の発展が始まり近代につながる地球科学の各分野が誕生した。

16世紀
  • 1548年、「鉱物学の父」と呼ばれるドイツのゲオルク・アグリコラが『化石の本性について』を出版し、化石は生物に類似した形になった鉱物ではなく、生物起源であると発表した。
  • 1555年、スイスの博物学コンラート・ゲスナーが化石を図入りで記載した『化石の全種類について』を出版した。
17世紀
17世紀から18世紀にかけて化石が大洪水天変地異説)による過去の生物の遺骸であるとの認識が広まる[12]
18世紀
  • 1709年、スイスのヨハン・ヤーコブ・ショイヒツァーが植物化石をまとめた『洪水植物誌』を出版した。
  • 1735年、「分類学の父」と呼ばれるスウェーデンのリンネが『自然の体系』を出版、分類学の基礎を作る。
  • 1759年、イタリア地質学者ジョヴァンニ・アルドゥイノ英語版が、イタリアの南アルプスの地層の分析から地質時代を第一紀(化石の出ない時代)、第二紀(化石が出るが現生生物とは遙かに異なる)、第三紀(現生生物に近い生物の化石が出る時代)に分類した。後に第四紀が追加されるが、その後の研究の進展から第一・第二紀は使われなくなり、第三紀は古第三紀と新第三紀に分割され、第三紀は使われなくなった。
18世紀後半になると産業革命に伴う鉱山開発から岩石や化石に関する関心も高まり、地質学や古生物学の基礎が形作られる[12]
19世紀
20世紀
1940年代に質量分析器が開発され、50年代に放射性炭素年代測定が始まる。
21世紀

定義

区分の仕方は大きくは古い方から冥王代太古代原生代顕生代の4つの累代、さらに細かく、期と分類されている。これらの区分は化石帯区分と呼ばれ、地層や化石の研究から導きだされたものである。これらの時代区分は動物化石を基に分類されているので、植物相の変異とはズレがある。また第四紀に関してはヒト属の時代という区分である。

地球年代学と層序学
地質年代区分 年代層序区分
累代 eon 累界 eonothem
era erathem
period system
epoch series
age stage
時代と層の対比
後期 late 上部 upper
中期 middle 中部 middle
前期 early 下部 lower

地球年代学(: Geochronology、地質年代学とも)で定義する累代、代、紀、世、期に相応する地層を層序学: stratigraphy)および地質年代層序学(: chronostratigraphy)では累界、界、系、統、階と呼ぶ。また地球年代学で言う前期、中期、後期に対しては下部、中部、上部となる。右の表を参照。

時代区分の定義、名称や基底年代等に関しては絶えず見直されており、また合意に至っていないものも多々ある。これらは国際地質科学連合(IUGS)、国際第四紀学連合英語版(INQUA)、国際層序委員会英語版(ICS)等で検討され、4年ごとに開催される万国地質学会議(: International Geological Congress)で批准されてきている。

時代区分は化石すなわち過去の生物相に拠るものであり地域毎に特性がある。よって細かい時代区分では各大陸での様相は均一ではなく、異なった区分が提唱されることもあり、それらをすり合わせる事が国際層序委員会の主な活動の一つである。

当記事では公式・暫定を含め国際地質科学連合(IUGS)および国際層序委員会(ICS)の資料に基づき記述する。

年代の定義

時代区分の開始年代(基底年代)は、主にその区分に属する岩石や化石の放射年代測定によって統計誤差を伴った年代数値が割り出されているが、新生代の新第三紀以降の年代数値は、放射年代測定の結果と良く適合し、気候変動を説明出来る日射量の変動サイクル(ミランコビッチサイクル)による絶対年代である天文年代で定義されている。また地層・岩石や化石試料の乏しい原生代以前に関しては、端数の無い大まかな天文年代で定義されている[14]




  1. ^ 地質学のスケールで
  2. ^ アメリカ地質調査所(USGS)作成のこの図は一般向け広報資料で、地質時代区分と基底年代は最新の情報ではない。更新依頼がUSGSに出されてはいる。英版のノートより。
  3. ^ 発表当時は残留磁場の異常は落雷によるものと見なされており、松山の発表は全く注目されなかった。松山の没後、海洋底の磁場測定結果から地磁気逆転が頻発していたことが判明し、海洋底拡大 - 大陸移動説 - プレートテクトニクスへと繋がる。松山が発見した磁気逆転期は松山‐ブリュンヌ逆転と名付けられた。
  4. ^ 地質年代の日本語名称については、JIS A 0204:2012「地質図-記号,色,模様,用語及び凡例表示」により、表記法が定められている[32][33]。それによると、地質時代の名称は、同規格の表7に示された名称を用いるが、表7に示されていない世及び期については、対応する英文名の読みをそのままカタカナで書き下ろし、その後ろに時代の単位を添えて表示する、としている。
  5. ^ 英語の記事では公式の色では読みづらいからと少数の議論参加者の多数決の結果独自の色の使用が始まっている。日本語版では整合性を保つため、公式の色を採用する。よって英語版の地質時代関連の記事の邦訳掲載に際しては、色使用がある場合は日本語版で使用のものと同一か確認が必要である。なお英語版による色記述がRGBコードやウェッブカラーの直書きでは無くTemplate:Period_colorによるものであれば、色コードを日本語版のマスターデータから引いてくるので統一性は保たれる。
  6. ^ 白亜紀以前は省略
  7. ^ 例えば「第三紀」の再定義による呼称の廃止は20世紀末期から議論され、2008年頃に正式に公式用語から除外されたが、10年後の2018年でも「第三紀(Tertiary)」の表記は主に図表を中心に残っている。また2018年7月にはArcheanの和名をArcheozoic由来の「始世代」から「太古代」に改訂されたが、教科書・専門書などを含めた書籍情報の更新には時間を要する。図表などへテキストが画像として書き込まれている場合は「検索・置換」では処理出来ないため、それらの図表の作り直しが必要となる。
  8. ^ 後述の13年以降の改訂履歴に記録のあるバージョンの中には記載されていないバージョンもある。
  1. ^ 「始生代」の新名称、日本地質学会が2018年7月に改訂
  2. ^ 基底年代の数値では、この表と本文中の記述では、異なる出典によるため違う場合もある。
  3. ^ 基底年代の更新履歴
  4. ^ 百万年前
  5. ^ kotobank https://kotobank.jp/word/%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E6%99%82%E4%BB%A3-661448#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89 「歴史時代」]
  6. ^ kotobank 「地質時代」
  7. ^ kotobank 「歴史」
  8. ^ kotobank 「先史時代」
  9. ^ kotobank 「地質年代」
  10. ^ 地質時代区分と絶対年代”. 滋賀県立琵琶湖博物館. 2013年1月20日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。
  11. ^ 鹿児島県地学会 「地質時代」 閲覧2012-4-7
  12. ^ a b Dino Club 「自然の認識と産業革命」
  13. ^ 掛川武「太古代海洋における硫酸還元菌の活動と生息環境 (PDF) 」 、『地学雑誌』第112巻第2号、2003年、 218-225頁、2012年10月18日閲覧。
  14. ^ 兼岡一郎 (2011) 「地質年代表における年代数値」日本地質学会、閲覧2012-5-31
  15. ^ 知泉Wiki 「だんだんと遅くなる地球」 閲覧2012-10-26、仮リンク-参考情報
  16. ^ 国立天文台 「Q&A 昔の月は近かった」 閲覧2012-10-26、仮リンク-参考情報
  17. ^ 国立天文台 「Q&A 月がなぜ離れていく」
  18. ^ 葛生化石館 「最古の化石 ストロマトライト」 閲覧2012-10-26
  19. ^ 大阪市立自然史博物館 「地球と生命の誕生」
  20. ^ Stanley, Steven M. (1999). Earth System History. New York: W.H. Freeman and Company. pp. 297–301. ISBN 0-7167-2882-6
  21. ^ ネイチャー Nature Japan 「気候: 冷たい太陽」閲覧2012-6-21
  22. ^ Nature Japan 「始生代初期の微生物によるメタン生成に対する流体包有物からの証拠」閲覧2012-6-21
  23. ^ Nature Asia 「ケイ酸塩単結晶に記録された32億年前の地球磁場強度」閲覧2012-6-21
  24. ^ 惑星科学研究センター「大気の進化と酸素」 (PDF) 閲覧2012-6-21
  25. ^ 東京大学大学院・新領域創成科学研究科・杉田研究室「全球凍結(スノーボールアース)と酸素大気の形成」閲覧2012-6-21
  26. ^ a b Heinrich D Holland王立協会 The oxygenation of the atmosphere and oceans (PDF) 閲覧2012-6-21
  27. ^ 東京大学大学院新領域創成科学研究科「酸素は地球にいつどのように登場したのか -酸素大気形成のタイミングとメカニズムを解明-」閲覧2012-6-21
  28. ^ 岩手県立総合教育センター 「地質時代」 閲覧2012-4-7
  29. ^ 国際層序委員会 (ICS) International Stratigraphic Chart (PDF) 閲覧2015-05-25
  30. ^ 日本地質学会 「International Chronostratigraphic Chart (国際年代層序表) v2018/07」
  31. ^ 日本地質学会 「地質系統・年代の日本語記述ガイドライン 2015年4月改訂版」 閲覧2015-10-29
  32. ^ 日本工業規格 JIS A 0204:2012 地質図-記号,色,模様,用語及び凡例表示
  33. ^ 日本地質学会 「JISに定められた地質年代の日本語表記」閲覧2014-12-30
  34. ^ 世界地質図委員会 (CGMW) Geologic Time Scale 2008 閲覧2012-5-27
  35. ^ パデュー大学 Engineering Standard Color Codes for the Geological Time Scale
  36. ^ 鹿野和彦、星住英夫、巖谷敏光、酒井彰、山元孝広、牧本博、久保和也、柳沢幸夫 et al.「地質図に用いる用語,記号,模様,色及び凡例の表示に関する基準とその解説 (PDF) 」 、『地質調査所月報』第51巻第12号、地質調査総合センター2000年、 657-678頁、2012年6月3日閲覧。
  37. ^ 琵琶湖博物館「日本列島の成立」 閲覧2012-4-21
  38. ^ 化石のこばなし 生物の大量絶滅—P/T境界とK/Pg境界”. 第42回特別展大化石展. 大阪市立自然史博物館 (2011年). 2017年5月24日閲覧。
  39. ^ kotobank - 小学館・日本大百科全書(ニッポニカ) 「第三紀」
  40. ^ 日本地質学会 「第四紀下限変更に伴う諸問題検討に関する報告」
  41. ^ a b c 日本地質学会 「地質系統・年代の日本語記述ガイドライン_改訂履歴」
  42. ^ 日本地質学会 JISに定められた地質年代の日本語表記
  43. ^ 日本地質学会 「JISに定められた地質年代の日本語表記」
  44. ^ 現地語と英語で綴りや発音が異なっていても英語の発音をとる。
  45. ^ International Commission on Stratigraphy 国際層序委員会 Chart
  46. ^ International Commission on Stratigraphy Change Log




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