ル・マン24時間レース ル・マン24時間レースの概要

ル・マン24時間レース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/18 09:49 UTC 版)

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ル・マン24時間レース
24 Heures du Mans
FIA 世界耐久選手権
開催地 サルト・サーキット
初開催 1923
耐久時間 24時間
最多勝利
(ドライバー)
トム・クリステンセン (9)
最多勝利
(チーム)
ヨースト・レーシング (13)
最多勝利
(マニファクチャー)
ポルシェ (19)

概要

2017年大会

1923年に「ラッジウィットワース杯24時間耐久グランプリ (Grand Prix d'Endurance de 24 Heures "Coupes Rudge-Whitworth")」として初開催された歴史あるレースのひとつで、フォーミュラ1モナコグランプリアメリカインディ500と並び「世界三大レース」と呼ばれる。またデイトナ24時間レーススパ・フランコルシャン24時間レースとともに「世界三大耐久レース」とも呼ばれる。そのため、世界中の耐久レースに大きな影響を与えており、ル・マン・シリーズ (LMS) や世界耐久選手権 (WEC) の車両規定はル・マンのものに準じている。

「ル・マン24時間 (24 Heures du Mans)」に改称されたのは1937年からである。

これまでにレースが中止されたのは、フランス自動車工業界のストライキの影響による1936年と、第二次世界大戦と戦後のフランスの疲弊と混乱による1940年から1948年にかけての間だけである。

スポーツカーレースに参戦するマニュファクチャラー(自動車メーカー)と、レーシングチームにとって、ル・マンの勝利は非常に名誉なものであり、各チームが最重要レースとして入念な準備をして臨む。しかし、昼夜を通して24時間走り続ける過酷なレース現場では予期せぬトラブルが発生し、「ル・マンには魔物が棲んでいる[1]」との格言が生まれた。2016年には、初優勝を目指してトップを快走していたトヨタのマシンが車両故障のため、残り3分ポルシェに逆転された。

開催方式

サーキット

ル・マン24時間が開催されるサルト・サーキットのピット

競技はフランス中部にあるル・マン市サルト・サーキット[注釈 1]と呼ばれる全長13kmを超える周回コースで行われる。その2/3は普段は一般道で、レースウィーク中のみ閉鎖される。スタートおよびゴール地点とその周辺は競技専用のブガッティ・サーキットの一部を使用する。なお、オートバイの24時間レースはブガッティ・サーキットのフルコースで行われる。

各コーナーには「テルトル・ルージュ」、「ミュルサンヌ」、「ポルシェカーブ」、「フォードシケイン」などの、レース業界で著名な名称がついている。サルト・サーキットの名物といえば全長6kmに及ぶロングストレート「ユノディエール」であったが、マシンの進歩により1988年には最高速が405km/hに達するなどしたため、危険性を低減させるべく1990年に2箇所のシケインが設けられた。

出場資格

参加するだけでも名誉なことであり世界各国の自動車メーカーやレーシングチームからのエントリーが殺到することから、現在は、各年の出場チームは主催者であるフランス西部自動車クラブ (ACO) が選考し、エントリーの招待状を送付する。

審査は前年大会の優勝者、FIA 世界耐久選手権 (WEC) への参戦履歴、ACOの車両規定を採用するスポーツカー選手権(ヨーロピアン・ル・マン・シリーズアジアン・ル・マン・シリーズウェザーテック・スポーツカー選手権)における成績などから判断する。

また、最大参加台数の55台[注釈 2]に加えて、2012年より近未来の自動車技術に挑戦する車両に対してガレージ56という賞典外の特別枠が用意されている。2016年は病で四肢を失ったドライバーが選ばれた[2]

かつては多すぎるエントリー希望者を振るい落とすため、テストデーで予備予選が行われた時期もある。また、ル・マンに的を絞って特別に開発したマシンで、ルマンに合わせエントリーしようとするマニュファクチャラーがいたため、国際自動車連盟 (FIA) がル・マンを含めた世界スポーツプロトタイプカー選手権 (WSPC) 全戦への参加を義務付けたこともあった。

スケジュール

ル・マン24時間のスタート(2018年)

毎年6月に、1年の内で最も昼の長い夏至の頃に開催される。6月上旬にはサーキットの一般公道部分を閉鎖してテストデーが行われる。

レースウィークは日・月曜日にル・マン旧市街地のリパブリック広場で一般公開の公式車検を行い、水曜日にフリー走行と公式予選1回目、木曜日に公式予選2・3回目を行う。レース中に夜間走行があるため予選も深夜近い時間帯に行われるが、初夏のル・マンは日の入りが22時頃と遅い。日没後には気温が下がり、タイムアタックに適した時間帯となる。金曜日はル・マン市内でドライバーズパレードを行う。

土曜日の午前中にウォームアップ走行を行い、午後3時にスタートフラッグが振られレース開始となる。例年、主催者のフランス西部自動車クラブ (ACO) がスタートフラッグを振る人物を選ぶ。日没後に日曜日を迎え、午前6時に日の出、午後3時に栄光のチェッカーフラッグを受ける。

ル・マン式スタート

ル・マン式スタート(1965年

1925年大会より用いられたスタート方式は、コース幅の片側に競技車を配置し、ドライバーが車両の反対側からコースを渡るよう駆け寄って乗車する。

「ル・マン式スタート」と呼ばれて他のレースでも採用されたが、シートベルトをきちんと締めないままスタートするドライバーが続出するなど危険であり事故も多く、「初代ミスター・ルマン」ことジャッキー・イクスは身をもって抗議の意を表明した。

1971年は通常のグリッド式スタンディングスタートを採用し、1972年以降は耐久レースでは一般的なローリングスタートを採用している。

オフィシャルカー

ペースカーはその年度にEU圏内で新発売された車輌が採用される。第1回レースが開催されてから65年目となる1999年には、自国フランスの自動車ではなく、その年デビューしたばかりのベントレー・アルナージが起用された。1923年、第1回目のレースが国際レース化を謳いながら殆ど自国の車で占められていたものの、イギリスからエントリーした2台のベントレーとベルギーの"エクセルシオール"によって辛うじて国際レースとして開催できたことに対する感謝を忘れることなく形にしたものとして注目された。

日本車では、日産がエントリーしていた1990年日産・フェアレディZ 300ZX、同じく日産がエントリーしていた1997年に日産・スカイラインGT-R(BCNR33)が採用された。




注釈

  1. ^ 日本では「サルテ・サーキット」と表記されることが多いが、「サルト・サーキット」がよりフランス語発音に近いカタカナ表記とされている。
  2. ^ ピットのガレージを拡張したため、2016年より最大59台。
  3. ^ ラリーヒルクライム競技等から徐々に緩和された。完全に解禁する法案が2007年6月に下院を通過したが、上院で否決され2009年に撤回された。
  4. ^ 2013年以降。J SPORTSが放送開始した2012年はゴールまでの4時間だったため合計12時間、また2015年は直前に野球中継オリックス阪神」戦が放送された関係でゴールは5時間だった。
  5. ^ 主にスタートを担当したアナウンサーは日曜午後の放送とゴールの放送を担当し、中断から朝4 - 5時までのパート2 - 3は別のアナウンサーが担当する傾向にあった。

出典

  1. ^ 川喜田研 (2016年6月20日). “トヨタの悲願達成ならず。中嶋一貴が語ったル・マン24時間のラスト3分”. web Sportiva. 2017年4月15日閲覧。
  2. ^ 両手両足を失って、彼は「ル・マン」に挑み、見事に完走した”. WIRED (2016年6月20日). 2017年4月17日閲覧。
  3. ^ 『ルマン 伝統と日本チームの戦い』p.40、グランプリ出版。
  4. ^ 1952年のル・マン24時間(英語版)
  5. ^ 二玄社刊・世界の自動車「メルセデス・ベンツ」戦後編
  6. ^ 『死のレース 1955年 ルマン』p.214。
  7. ^ 『世界の自動車-11 シムカ マートラ アルピーヌ その他』p.42。
  8. ^ 『ワールドカーガイド8ロータス』p.131。
  9. ^ "フェラーリが2015年ル・マンへ? WECプロトタイプ参戦計画". Topnews.(2013年8月2日)2013年11月14日閲覧。
  10. ^ マツダ公式サイト内の、同年C2クラスで優勝したBFグッドリッチマツダローラT616
  11. ^ トヨタ、ル・マン24時間レース3位入賞も「結果は厳粛に受け止めなければ」
  12. ^ 【ル・マン24時間2014】中嶋一貴選手がル・マン初の日本人ポールポジションを獲得!
  13. ^ トヨタ初勝利の夢、残り3分で破れる。ル・マン24時間はポルシェ2号車が大逆転勝利
  14. ^ 当の5号車はのちにチェッカーを受け、周回数では2位ではあるが最終周回にかかった時間が規定を超えたため完走扱いになっていない。
  15. ^ [2019.6.17中日新聞朝刊]
  16. ^ 最後の最後まで何が起こるのか分からない…24時間筋書きのないドラマ「ル・マン24時間レース」J SPORTSで初の完全中継が決定!”. J SPORTS (2017年6月2日). 2017年6月13日閲覧。





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