ONI零〜復活〜
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 03:40 UTC 版)
PlayStationで『パンドラMAXシリーズ』第6作として発売された。その為、定価は1980円。特徴として、『パンドラMAXシリーズ』の過去5作のセーブデータがあると、対応する隠し要素が出現する。パンドラMAXシリーズ自体の不振により、同シリーズの最終作となってしまったが、本作の売れ行きは10万本以上と好調だった。2009年11月11日にPlayStation Storeのゲームアーカイブスでダウンロード配信をスタートしている。 転身後のデザインは従来とは異なり、極めて生物的な印象である。また、シリーズ中初めて飯島健男(後の飯島多紀哉)がシナリオを担当した作品でもある。そのため、やや重苦しい展開が特徴で、グロテスクな描写も多数存在する。当初は『死者の呼ぶ館』『Catch! 〜気持ちセンセーション〜』に続いて大池叙子が担当する予定であったが過労で倒れた為、キャラクター関連に携わっていた飯島が引き継ぎ、一から書き直した。 『零』のタイトル通り、他シリーズとの繋がりを思わせる設定、演出があるが、ストーリーは未完であり、その全貌は未だ不明である。続編として発売予定だった「ONI零〜流転〜」はパンドラボックスの活動停止によって企画倒れとなった。本作の後を描く小説版も発売されたが、こちらも同様に未完である。後にニンテンドーDSで新作が発売されたが続編とは言い難いアドベンチャーゲームだった。詳細は後述。飯島は「いつかRPGで決着を付けたい」と語っている。 ストーリー 主人公はとある隠れ里に住む少年「司狼丸(しろうまる)」。平安時代、人々が忌み嫌う妖魔の中でも、人との共存を願う心優しき妖魔は自らを「隠忍(おに)」と称し、理解ある人間たちとともに隠れ里を作って平和に暮らしていた。しかしときは役小角率いる五行軍が妖魔を狩る時代。平和な里は妖魔の退治屋である五行軍の襲撃を受け、全滅してしまう。襲撃の最中、隠忍として覚醒した司狼丸は、父親の天地丸と、里の生き残りで幼馴染の隠忍、外道丸と沙紀とともに、安住の地を求め当てのない放浪の旅に出る。 システム 鬼心 転身には鬼心が必要で、戦闘中に転身し続けると減っていき、鬼心がなくなると暴走する。 祠 ダンジョンの中に点在し、鬼心の回復が出来る。またダンジョンのマップが確認でき、アイテムの半紙を持っていると、マップ図を書き写すことができ、写すといつでもスタートボタンで確認できる。 神交渉 各地に散らばる神々を発見すると、町や村の神社、あるいは地蔵で神々と交渉でき、貯まっている徳と交換することで能力を上げてもらえる。またそれぞれ各地の神々をすべて集めると、その特典として一度だけ全員の能力を挙げてくれる。神は町の家屋や、山道、ダンジョンなどさまざまなところに隠れており、知らずして神のいるところを通ると特徴的な音が鳴り、コントローラーも振動する。そのほか、アイテムの中にも隠れており、店で品物を買うことでも発見できる。 退魔仲介所 様々な依頼(主に妖魔退治)が寄せられ、それらを請け負い、達成する事で報酬を受け取る事が出来る。依頼終了後にはその結果によって「甲→丙→丁→己→辛」の五段階で評価され、報酬が上下する。中には特定の条件を満たしたり、過去のパンドラMAXシリーズのデータをコンバートした場合のみ出現する依頼も存在する。後者の場合は大体それぞれの作品からのゲストキャラが登場する。 登場人物 司狼丸(しろうまる) 主人公。本編では14歳。退魔師・天地丸の子で、姉に伊月がいる。しじまの里で人間の子供として育てられたが、実は伝説の鬼の血を引いており、ある事件をきっかけに隠忍として覚醒する。イラストで持っている大太刀は「大通連」。しかし本編中に使用するのはエンディングのみである。転身した姿は「緋焔童子(ひえんどうじ)」。転身できるようになった時の事件のためか暴走の頻度が高く、その時には無関係の人間を殺めることも。時を超える力を持つとされ、後に最強の隠忍「時空童子(じくうどうじ)」と呼ばれるようになる。 小説版は司狼丸が死の恐怖を逆手に取って時間転移能力を発動させ、未来へ転移した所で完結している。 外道丸(げどうまる) 大蛇丸と立羽の子。本編では17歳。がさつで乱暴、大雑把。沙紀とともに幼いころから転身ができ、司狼丸を連れまわし野山で遊んでいた。しかしその際に祠にあった鏡を誤って割ってしまい、里が襲撃される原因となってしまう。里の壊滅後には司狼丸・沙紀と義兄弟になる。五行軍に与していた弓弦の事を嫌っており、そのために司狼丸と訣別し、物語後半でパーティから離脱してしまう。転身した姿は「甲顎天童(こうがくてんどう)」。 彼のその後は小説版で描かれる。別れはしたが、やはり司狼丸達の事が気になって後を付けていた。彼らを追ってやってきた六角堂跡地にて伊月と再会。共に司狼丸達を探す旅をするうちに恋に落ち、やがて息子を授かる。その息子こそが成長した姿こそ『鬼忍降魔録ONI』の主人公である天地丸である(但し、『鬼忍降魔録ONI』とは性格や設定に食い違いが生じている)。その後、伊月が人間に殺された事で凄まじい力を持つ鬼へと変貌(覚醒)する。その鬼こそ酒呑童子である。 沙紀(さき) 幼いころに外道丸の父・大蛇丸に引き取られて育った少女。本編では16歳。司狼丸や外道丸とは違ってしっかり者。転身した姿は「香珠月姫(こうじゅげっき)」。里の壊滅後には司狼丸・外道丸と義兄弟になる。五行軍との戦いでは最後まで司狼丸と共に戦うも、やがて弓弦に想いを寄せるようになり、エンディングでは彼に付いて行った。ゲームでは純粋に弓弦への想いを語り、司狼丸と別れの言葉を交わして去って行ったが、小説版では司狼丸と鈴鹿の親子の間に自分の居場所は無いと悟り、同時に司狼丸への淡い恋心を振り切るべく彼の返答を待たず走り去った様子が描かれている。『ONI II』に登場する秘女乃は沙紀と同じく猫又に転身し、弓弦と同じく弓矢で戦うという両者を彷彿させる設定を持つが、関連性は不明。 天地丸(てんちまる) 最強の退魔師で、司狼丸と伊月の父。伊月とともにしじまの里に結界を張り、隠忍たちとともに静かに暮らしていたが、里が滅んだ後は司狼丸だけでなく外道丸や沙紀の親として、ともに旅をしながら彼等を退魔師へと育てる。しかし8年後に五鬼羅衆との戦いで彼等の貪り食われ、命を落とす。それが司狼丸が転身する引き金となった。小角との最終決戦の際、地獄門が開いた事で鈴鹿の呼び掛けに応え、魂となって現れる。大通連の封印を解き、司狼丸達の危機を救った後に再び地獄門の奥へと消えていった。 弓弦(ゆづる) 魔具・魔喰いの弓を持つ退魔師。幼い頃に目の前で両親を鬼に喰われた事から妖魔に強い恨みを持ち自ら志願して五行軍に属していた。五行軍のしじまの里の攻撃にも参加していたが、人間のような心を持つ隠忍たちを目の当たりにして動揺、その非道なやり方に疑問を持ち、五行軍を抜けて以降は平安京の陰陽師・賀茂保憲のもとで修業をしていた。しかしある場所で偶然司狼丸たちを救出し、その後司狼丸の頼みを受け、行動をともにするようになる。退魔師であり魔具職人でもあった父を殺した鬼を探している。六角堂での決戦にて鈴鹿こそが両親の仇であると知り、戦いの後は弓矢を向けるが結局殺せず、「お前達の方がよほど人間らしかった」と言い残して去って行く。 鈴鹿(すずか) すご腕の女退魔師。封印された謎の大太刀・大通連を振り回して戦うが、今まで一度も抜いたことがないという。ある依頼で司狼丸達と遭遇し、その圧倒的な力で彼等を退ける。それにより、一緒に五行軍と戦って欲しいという司狼丸達の頼みを受け、彼等に同行する。 実は天地丸の元妻であり、司狼丸と伊月の母親。人間ではなく隠忍であるが、その正体はかつて最強の鬼と恐れられた「愛染紅妃(あいぜんこうひ)」。しかし人間である天地丸に惚れた事で、鬼の力を捨てて人間として生きる事を決意し、大通連と共に転身能力を封印していた。かつては相当の暴虐を働いており、弓弦の両親も犠牲になった。エンディングにて事実を知った弓弦に矢を向けられ、当初は覚悟を決めていたものの、司狼丸が庇った事で泣いて命乞いをし、見逃される。しかし小説版ではこれは場を丸く収める為の嘘泣きであった事や、子供の頃の弓弦を殺さなかったのは単に不味そうだったからと語り、司狼丸の怒りを買いつつ彼に世の無情さを説いた。しかし同時にその態度は母として司狼丸の将来を案じるが故である事も語り、弓弦の件もどこまでが真意かは定かではない。 小説版では外道丸の息子の天地丸と戦うも、命の奪い合いに辟易した司狼丸の叫びに剣を下ろしてしまい、その隙に天地丸に刺し貫かれる。 「終わりなき夜に生まれし仔ら」で、若い時は金髪だった事が判明する。 伊月(いつき) 司狼丸の姉。巫女。しじまの里が滅んだとき、五行軍に連れ去られる。里では人間として振舞っていたが、自身も隠忍である事を隠している。転身した姿は「楓玲鶴姫(ふうれいかつき)」だが、小説版のみの登場であり、本編でその姿を確認する事は出来ない(小説版でも挿絵が無いので容姿は不明)。 小説版では本編終了後に外道丸と結ばれていた事が明かされた。息子に父と同じく天地丸と名付け、家族で旅を続けていたが、逆餅村を訪れた際に事件に巻き込まれてしまう。妖魔から人間達を救うべく転身して戦うも、その救った人間達の手で殺害されてしまう。その事がきっかけで外道丸は真の鬼へ変貌する。 神無(かんな) 逆餅村の幼い巫女。鬼見の才能を持つが、血の繋がりの無い両親に金儲けの見世物にされている。しかし評判が広まったために巫女を集めている五行軍に目をつけられるが、司狼丸たちによって助けられる。後に妖魔の力を封じる七色水晶の谷に両親共々匿われるも、両親は既に五行軍に寝返っており、失敗に終わる(両親は用済みとして消滅させられた)。その後、司狼丸達が五行軍を直接倒しに向かった為、村で彼等の帰りを待つ。司狼丸とは戦いが終わったら一緒に旅に出ようと約束していたが、戦いの後に司狼丸が逆餅村を訪れると村は既に廃墟となっており、神無の姿も無かった。 小説版では大人に成長した姿で登場。五行軍が滅びた後も十数年に渡って司狼丸を待ち続けていたが、坊主に化けた妖魔に唆された村人に生贄として殺されそうになった所を外道丸に助けられる。その後、外道丸一家と共に司狼丸達を探す旅に同行する事になったものの直後に伊月が禁を破ってまで守ろうとした人間たちに惨殺されるという悲劇に見舞われる。事件後は失明してしまったような描写があるが、司狼丸を探す為に一人旅立った。後に司狼丸との間に息子・高野丸を授かるが、その経緯は未だ語られていない。 晴明(せいめい) 堺の名家・安倍家の子。後に最強の陰陽師となる。母の葛の葉が狐の妖怪であるため、晴明もその血を受け継いでおり、鬼見の才能を持ち、動物と会話ができる。依頼で屋敷を訪れた司狼丸と親しくなり、兄のように慕っている。しかし百鬼夜行の襲撃の際に転身した司狼丸が暴走し、両親は惨殺されてしまう。幸い、気絶していた為に両親の仇が司狼丸である事は知らないが、それが司狼丸にとって後ろめたさとしてのし掛かる事になる。両親の死後は司狼丸達と行動を共にする。司狼丸同様、人間と妖魔のハーフである為いつかは転身するらしい。 役小角(えんのおづぬ) 五行軍の創始者で、本編のラストボス。250年もの長い年月を生きている、超人的な能力を持つ人物。一大帝国を築くという野望のために、五行軍を使って巫女を集めているが、真の目的は地獄門を開く事であった。最終決戦では地獄の力によって巨大な異形と化し、司狼丸達と対決。敗北後は司狼丸に大通連を向けられながらもとどめは刺されなかったが、直後に地獄門の彼方へと消えて行った。小説版では展開が異なり、地獄門を開いた時点で既に死亡していた。しかし地獄の力によって屍の姿で復活し、ゲーム同様に最後の戦いを演じる。最期は司狼丸の拳に心臓を貫かれて再び死亡、崩壊した。 道鏡(どうきょう) 五行軍の参謀的存在。しかし役小角をも背後から操る黒幕であり、その正体は謎に包まれている。地獄より「大凶星八将神(だいきょうせいはっしょうじん)」を呼び出す為に、地獄門を開くべく小角を唆した。五行軍時代の弓弦の師匠でもあった。 赤目・黄口(あかめ・きぐち) 五行軍の幹部である妖魔の夫妻。赤目が男性、黄口が女性。五鬼羅衆と呼ばれる息子達がいる。最終決戦の時には善導鬼・妙導鬼(ぜんどうき・みょうどうき)という鬼の姿に転身する。 義覚・義玄(ぎかく・ぎげん) 五行軍の幹部である妖魔の肉を食べ力を得た人間。義覚はオカマ口調の男性、義玄は片言で話す大男。五行軍の実働部隊の指揮官として、幾度か司狼丸の前に立ちはだかる。 天地丸(てんちまる) 小説版に登場。司狼丸の父とは別人で、外道丸と伊月の息子。両親を知らず、地張の里で忍として暮らしていたが、兄貴分の彩蔵(飛龍の彩蔵)により里は全滅させられ、その彩蔵を転身して殺害。その後は道鏡の言葉に従い、司狼丸を探して修羅の道に入る。第1作『ONI』の主人公だが、原作とは設定と性格が大きく異なっている。 高野丸(たかやまる) 小説版に登場。司狼丸と神無の息子。退魔師ではあるが、戦闘力は皆無。転身も出来ない。しかし不死身の体を持ち、例え首を斬り落とされても死ぬ事はない。父である司狼丸を探して現れ、天地丸にも事情を説明しようとしたが有無を言わさず斬首される。しかし前述の通り不死身である為、天地丸達が去った後にあっさり首を元に戻し、刺された鈴鹿や時空の彼方に消えた司狼丸を助けるべく、晴明と共に行動を始める。第2作『ONI II』の主人公だが、やはり原作とは設定や性格が異なっている。
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