『白娘子永鎮雷峰塔』とは? わかりやすく解説

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『白娘子永鎮雷峰塔』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 10:14 UTC 版)

白蛇伝」の記事における「『白娘子永鎮雷峰塔』」の解説

『西湖三塔記』を基に明代末期書かれ小説形式のもので後の『白蛇伝説話発展基点となったのは『警世通言中国語版)』 第二十八巻 『白娘子永鎮雷峰塔』(明天4年1624年)刊、馮夢竜編)である。日本語訳松枝茂夫 訳 『三言二拍抄・白夫人とこしえに峯塔に鎮められたこと』がある。しかし『西湖三塔記』では明確であった白蛇妖怪のその淫欲満たし若者心肝喰う、という二つの目的のうち、後者偸盗に置き換わっている。さらに物語西湖中心とした構成から、西湖のある杭州臨安府から蘇州府鎮江府舞台移り最後に再び西湖に戻るという凝った展開を見せるようになっている。 この小説粉本として書かれとされる日本の文学作品に、江戸時代後期の上秋成とされる雨月物語』中の『蛇性の淫』がある。 『白娘子永鎮雷峰塔』あらすじ冒頭『西湖三塔記』同様に西湖賞賛のくだりがあるが、長くはなく物語最初最後の舞台である西湖地理説明するためのものである南宋紹興年間(1131-1162年)、杭州臨安府李仁という南廊閣子庫の募事官がおり、家には妻の他に許宣という妻の弟が同居していた。許宣の親は生薬屋だったが、幼いころ二人とも亡くなり許宣22歳母方叔父李將仕生薬屋番頭をしていた。ある日清明節なので許宣は姉と李將仕に暇を請い、保叔塔(中国語版)寺へ先祖供養焼香をしに行った許宣お参りが終わると帰途についた。ところが降り出し次第にひどくなり止みそうもないので通りかかった船を頼んで乗ったほどなく服喪の髻(もとどり)と質素な髪飾りをつけ、白絹の上衣に細麻布の裾(もすそ)をはいた美し婦人が、その身体を肩で支え青衣小間使い連れ、船に乗せてほしいと声をかけてきた。船頭が頷くので、許宣が許すと二人乗り込み自己紹介しあった。女は名を問われて、宮中の殿直を勤める白侍従の妹で役人の張氏に嫁いだ不幸にも夫は亡くなってしまったと答え今日は夫の墓参り帰りとのこと。船が岸に着くと、許宣李將仕の弟の店で借りた傘を白娘子貸して二人別れたその夜白娘子のことを考えて眠れなかった。翌日許宣白娘子聞いたの双茶坊巷を探したが、誰も女の家知らなかった思案しているとあの青衣小間使いがやってきたので、彼女に家まで案内してもらった。そこは小洒落た家で、白娘子許宣前日の礼をすると、ご馳走並べて歓待した。酒を四、五杯飲むと許宣は暇を乞い翌日来訪約して帰宅した翌日白娘子は彼を見るとまた酒肴並べた飲みすすむうちに白娘子は、あなたと前世の姻縁か、はじめてお会いした時から云々あなたと夫婦になれたらどんなに、などと言いだす。許宣いかにもよい縁で結婚したいのは山々だと思ったが、先立つものがないと寡黙になった。すると白娘子青青持ってこさせた包み許宣に、これをお使いください渡した許宣受け取りあけてみると中には真っ白い銀子五十両あった。許宣はまっすぐ帰宅して銀子をしまった。翌日にはくだんの銀子使い購入した食料品もてなし準備をし、募事夫婦招き結婚したい打ち明けた。そして姉に銀子預け、これで義兄さんに世話頼んでほしいといった。ところが、幕事はその銀子刻印一目みて大変だ俺もお前も死刑になるぞ、と叫んだ四、五日前に邵(しょう)大尉金蔵からで盗まれ銀子刻印一致していたのだ。降りかかる火の粉避けるため幕事が臨安府訴え出た府尹(ふいん)は話を聞いて一晩考えあぐねた結局許宣は捕えられた。韓大尹が許宣白洲引き出し拷問命じる。許宣慌てて詳細話し、双茶坊巷の角に住む白三班の白殿直の妹の白娘子からもらったものだと釈明をした。捕吏臣の何立(かりつ)たちはさっそく許宣引っ立てて双茶坊巷の女の家行ったが、古いあばら家があるばかり。しかし、二階踏み込むと、そこには花のような美貌の白い服を着た夫人座っていた。何立たちは捕まえようとしたが、青天の霹靂のようなとともに女の姿は消え失せ代わりに四十九錠の銀子残っていた。許宣は「すべきでないことをした」とのこと杖刑の上蘇州牢城営での労役服務となった蘇州許宣は、心苦しく思った募事は邵大尉からの褒章五十両を許宣路銀として与え李將仕二通添書きそれぞれ押司の范院長吉利橋のたもと旅籠開いている王主人持たせた。范院長と王主人賄賂使い許宣下げ渡してもらい、王の旅籠二階に住むことになった住んで半年超えると、王主人が、尋ね人だというので急いで下り来たると、なんと青青お供で轎には白娘子がいた。許宣見るよりお前の銀子泥棒お陰で酷い目にあった怒鳴りつける白娘子は「あの金は亡夫残したもので、親切づくで差し上げたもので、どうやって手に入れたのかは知らなかったなどと釈明をし、王主人女房にも取り入り許宣白娘子への疑念捨ててしまった。王夫婦計らいもあって、十一月十一日に二人天地拝して結婚式をすませ、酒席果てた後、ともに紗をかけた夫婦寝室入った。この日以来二人片時も離れず楽しみにふけった翌年二月十五日、許宣友達誰か連れ立って承天寺の臥仏を参拝にいった。その帰り寺から出ると、門前などを売っていた終南山道士許宣をみて、頭上に黒気が漂っており汝に妖怪が纏わり憑いているに違いない、と警告した許宣急に恐ろしくなり道士から道符を二枚もらい、一枚を髪中に入れ、もう一枚を家に帰って夜中に焼くことにした。許宣白娘子寝入ったのを見すまし護符焼こうとすると、白娘子はあっとため息をつき、他人の言うことを真に受けるのかと責めて護符焼いてしまったが何も起きなかった。翌日許宣その道士を見てみたいと言う白娘子道士のもとに赴いた白娘子道士に対して啖呵を切り呪文をかけると、道士空中に浮かばされ降ろされたため、飛ぶよう逃げてしまった。四月八日釈迦生誕日に許宣白娘子流行の服を揃えてもらい承天寺仏会を観ていると、周將仕の質屋の庫(典當庫)から金銀装身具盗まれたという噂をきいた。すると、寺門周りにいた男たちが、許宣の服や持ち物盗品だと、許宣はすぐに召し拿られてしまった。次の日、長官の前で許宣が、これらは妻の白娘子もらったものだと主張したので、ただちに袁子明という捕使臣命じ許宣引き立てて主人の家に行き白娘子探したが見つからない。しばらくすると周將仕のところへ家人が、盗まれたはずの金珠等が周の庫の中で見つかった知らせにきた。周將仕のはからい許宣許されたが、妖怪等のことを申し出なかったという罪で一百回と配流三百六十里、鎮江府牢城営での労役服務となった仕事蘇州来ていた募事の口利きで、許宣針子の下で生薬店をしている李克用という人の世話になり賄賂釈放してもらった。そして李克用の店を手伝い、夜は五條巷で豆腐屋をしている王氏の上階に泊まることになった番頭として働きだしたが、店の仲間たち飲んだ帰り歩いていると、上からヒノシの灰が落ちてきた。許宣が思わず上に向かって罵しると、慌てて婦人下りてくる。見ると白娘子であった許宣はこの妖怪め、お前のせいで二回も裁判かけられ云々、と罵る白娘子は、あの着物は夫が残したもので、盗品ではないと釈明し一夜夫妻百日の恩というではありませんかなどと言葉巧み丸め込まれ許宣色欲迷わされ白娘子二階泊まってしまった。翌日王氏蘇州から妻が女中連れて来たと話し二階同居させてもらうことにした。ひと月がたち許宣白娘子相談しお世話になっている旦那様原文員外)と家族挨拶しに行くことにした。ところが李旦那はいい歳ではあるが好色で、一目見ると白娘子をものにしたいものと邪心をもってしまった。そこで李旦那は六月になると母親に、十三日自分誕生日だから宴会開いて親眷朋友たちにゆったりしてもらおう話し招待状送った十三日には皆集まり飲み食いし一日過ごした翌日になると婦人たちが二十人祝い訪れ着飾った白娘子青青伴いやって来た。酒宴が進むと、白娘子は身を起し上衣脱ぎ手洗いに立ちあがった好機待っていた李旦那は先回りして淨房の裏部屋隠れている。旦那心中淫乱となって浄房内を覗き込んだ。すると中には白娘子がおらず、大きな白蛇がとぐろを巻いており眼は金の光を放っていた。李旦那はたまげて逃げ出した途中で躓き倒れてしまった。しかし白娘子の手洗い姿を覗いたことが知られる具合が悪いので疲れ溜まったふりを決め込んで部屋こもってしまった。白娘子事態察して李旦那が浄房の裏潜んで自分の服を引いた捲ったりして云々、などと許宣口説いた甲斐あって二人李克用家を出ることになった許宣番頭辞めて白娘子からもらった銀子一軒の家を借り生薬仕入れ薬店開いた商売日に日に繁盛し大きな利益得たある日金山寺中国語版)の和尚勧進帳持って現れ七月七日が英烈龍王誕生日なので参拝して焼香するよう勧めた当日になって許宣幇間の蔣和と一緒に金山寺参拝することにした。白娘子止めさせようとしたが結局方丈行かないこと、和尚話さないこと、行ったらさっさと帰ることという三件の条件をつけて了承した許宣は江(長江古名)のほとりまで歩いて船で金山寺到着した許宣龍王堂で焼香して歩き回っていると方丈前に出た入ろうとしたが白娘子との約束思い出したが蔣和のすすめで方丈入って一回りする出てきた。上席説法していた徳の高い和尚が、方丈入ってそのまま出て行く許宣を見ると、急いで連れてくるよう侍者指示した侍者戻ってきて見失ってしまったというので和尚払子禅杖押っ取り原文は、持了撢)自ら追いかけ方丈出てあちこち寺の外まで尋ねたが見つからない許宣帰ろうとしたが船着き場では風と波がひどくなり江を渡れない。折しも飛ぶよう早さの船が近づいて岸辺に着くと、白娘子青青乗っており、許宣早く船に上がるよう促した後ろで怒鳴る声がして誰かが法海禅師来られと言った禅師の姿を見ると、白娘子青青は船を揺らして転覆させ飛び込んで水底潜ってしまった。許宣禅師拝礼して自分救ってほしいとたのみ、禅師求めに応じて今まで事情話した禅師あの女まさしく妖怪なので、さっさと杭州帰り、汝に再び纏わりついてきたら西湖の南にある浄慈寺まで自分訪ねよと言った許宣李旦那に謝り再び二階部屋もどった。二か月が過ぎ、宋高宗孝宗太子立てたため恩赦が行われ、許宣故郷杭州帰れるようになった。 家に着くと姉夫婦に四拝するように拝礼する義兄募事は、あんなに面倒を見てやったのに如何なる料簡で妻を娶ったというのに連絡も寄越さぬ云々苛々捲し立てた。許宣は、妻など娶っていないというと義兄二日前に女中連れた女性がお前の妻だと言ってきている。許宣目を見張り口は呆けたが、募事は許宣白娘子とりあえず同じ部屋押し込んだ許宣怯えて命乞いをしたが、白娘子自分言葉聞いてくれるな万事休まるが、そう思わないならこの城市に血満たし一人残らず大波呑まれ濁水沈んで非業の最期遂げさせると言うそのとき庭で涼んでいた姉は、二人喧嘩していると思い許宣引きずり出した白娘子部屋の戸を閉めて寝てしまった。事情聞いた募事が二人部屋を覗くと、大きな蟒蛇うわばみ)が寝ていたので驚いたがその晩は何も言わなかった。翌日募事は許宣呼んで彼の妻について問いただしたが、許宣いきさつ打ち明け助け乞うと、義兄取りの戴先生紹介してもらい銀子渡して大蛇退治依頼した。しかし戴先生勇んで募事の家に乗り込んだが、白娘子問答の末、正体見せられ脅され先生恐れをなし銀子返し逃げてしまった。白娘子許宣つかまえ不敵だとなじり再び城市全員苦しめ非業の最期遂げさせると言った許宣はすっかりおののき家を飛び出し困り切って歩いていくと浄慈寺前に出た許宣金山寺法海和尚言葉思い出し尋ねると監寺はが和尚不在だというので許宣はすっかり落ち込み湖に身投げしようとしていると、法海禅師現れた。許宣救助乞うた。すると禅師は鉢盂(はつう)を与え白娘子の頭にこれをかぶせ動けぬよう押さえつけろ、と教えた許宣は家に帰って恐る恐る禅師言われ通りこっそりと白娘子の頭にかぶせ押さえ込んだ。すると女の姿はだんだん見えなくなり最後に鉢盂だけになった。そこに禅師現れ何やら念じ鉢盂を開けると白娘子縮んで七八寸長になっていた。法海は、人に纏わるとは如何なる妖怪かと問い詰めると、白娘子自分は大蟒蛇で、大風のときにこれを避けて西湖来て青青暮らしていたが、許宣に遇って春心が昂ぶってしまった。確かに天條犯した殺生はしていないからと禅師慈悲乞うた。法海青青何の妖怪かと問うと、西湖第三橋下の淵にいた齢千年経た青魚でたまたま遇著したので伴にしたが、一日快楽浸っていない、憐れなので助けてやってほしいと答えた禅師は本相を現すよう命じるが白娘子は嫌がるので、経文唱えて掲諦を召し出し命令すると、白蛇青魚の姿が現れた。禅師はこれらを鉢盂に入れ、衣を裂いて鉢盂の口を封じ雷峰寺の前に置き上に煉瓦で塔を建てるよう指示した。後に許宣勧進して七層宝塔を建て、これで白蛇青魚妖怪世に出られなくなった許宣法海禅師弟子となり雷峰塔剃髪し僧侶となった数年修行した後、坐ったまま逝った。 なお半世紀後の清代に、この小説改編され『峯怪蹟』として『西湖佳話』(清康年間、墨浪子 編 巻15)に収録された。構成はほぼ同じだが、文章表現はかなり異なる。また、こちらの方が『蛇性の婬』の粉本だという説もある。

※この「『白娘子永鎮雷峰塔』」の解説は、「白蛇伝」の解説の一部です。
「『白娘子永鎮雷峰塔』」を含む「白蛇伝」の記事については、「白蛇伝」の概要を参照ください。

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