C言語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/16 14:02 UTC 版)
主なC言語処理系
大抵の処理系はC言語とC++両方をサポートしている。C言語とC++の共通部分を明確にし、二つの言語の違いに矛盾が生じないようにすることが課題になっている。
Linux、Windows、UNIX用
- C++ Builder
- Windows/macOS/iOS/Android対応のC/C++コンパイラBCCを含む、RADツール。以前はWindowsおよびx86のみがメインターゲットだったが、Clang/LLVMをベースに再設計され、多数のプラットフォームやアーキテクチャをサポートするようになった[20]。前身はDOS/Windows用のBorland C/C++。さらに前身としてTurbo C/C++がある。
- Clang
- LLVMをバックエンドとして用いるオープンソースのC/C++・Objective-Cコンパイラ。多数のCPUに対応。
- GNUコンパイラコレクション (GCC)
- C/C++以外の言語もサポートし、多数のCPUやオペレーティングシステムに対応、組み込み向けも含む多様な開発に広く使われるオープンソースのコンパイラ。独自拡張機能も多い。
- GCC 4.5で実質的にC99を完全サポートした[21]。
- GCC 4.9で実質的にC11を完全サポートした[22]。
- Microsoft Visual C++ (MSVC)
- Windows系プラットフォーム用のC/C++コンパイラ。ANSI C準拠(バージョン2013にてC99ライブラリをほぼ実装したが、言語機能など規格自体はサポートされていない)。x86・x64が主だが、Xbox 360、Windows CE等向けにPowerPC、ARM、MIPS、Itanium等に対応した版もある。前身としてMS-DOS・Windows用のMicrosoft C Compilerがある。またその廉価版としてQuick Cがあった[23]。
- Intel C++ Compiler (ICL/ICC)
- インテル製のIA-32 (x86) およびIntel 64 (x64) 用のC/C++コンパイラ。Windows/Linux/macOS/Android向けがある。gcc互換。
- バージョン11.1まではIA-64 (Itanium) をサポートするが、バージョン12.0以降ではサポートされない[24]。
- C99[25]とC11[26]の対応リストが公開されている。バージョン18.0でC11にほぼ対応している。
- Open Watcom C/C++
- Windows・Linux・OS/2・MS-DOS・DOSエクステンダを対象とするx86用C言語・C++コンパイラ。商用だったWatcom C/C++がオープンソース化したもの。
- Portable C Compiler
- gccが普及する以前のUNIXにおける標準的C言語コンパイラ。現在はオープンソース。
- Digital Mars C/C++
- Windows・MS-DOS・DOSエクステンダを対象とするx86用のC言語・C++コンパイラ。無料版もある。ウォルター・ブライト作でDatalight C、Zorland C、Zortech C/C++、Symantec C/C++と変遷している。
組み込み用、8ビット・16ビット・32ビット・64ビットCPU用(クロスコンパイラ)
- Green Hills Software C/C++
- 組み込み向けのC言語・C++コンパイラ。 Windows用・Solaris用・Linux用があり、HP/UX用がver4ではあった。
- CodeWarrior C/C++
- 組み込み向けやゲーム機開発向けのC言語・C++コンパイラ。Classic Mac OS用として発祥、かってはWindows用・BeOS用・Palm用もあった。
- ARM C/C++
- ARM CPU用C言語・C++コンパイラ。
- IAR C/C++
- 新旧の組み込み向けCPU各種を広くカバーする。現在は統合開発環境EW・SWに移行。ARM CPU用C言語・C++コンパイラが著名。ARMをコアにした各社のCPUに対応している。
- High C
- 元はx86向けでPC/AT互換機用だが80386のネイティブモードに対応したためFM TOWNSでも標準開発環境、「High C 386」として使用された。現在は各社RISC向け。
- BDS-C
- CP/M(8080・Z80)用のサブセット(整数のみ)のK&R系のC言語コンパイラ。現在はパブリックドメインソフトウェア。
- Hitech-C
- Z80、PICなど。
- Lattice C
- 1980年代に、日本で高い普及率を見せたコンパイラ。解説書も多く出版されていた。日本での発売はライフボート。初期版はマイクロソフトCコンパイラ1.0として発売された。商用利用のできない個人向けの「personal」版も販売されており、これの価格は19,800円であった[27][28]
- LSI C
- 8080・Z80用のLSI C-80(セルフ版・クロス版。現在はクロス版のみ)と、8086用のLSI C-86がある。8086では機能限定(スモールモデルのプログラムしか開発できず、デバッガがない)の「試食版」がフリーソフトで公開され、広く使われた。
- micro-C
- 8ビット・マイクロプロセッサMC6809用C言語サブセット・コンパイラ[29]。
注釈
- ^ 英語ではC-family, C-style, C-likeなどと呼ばれる。「C系」の定義は明確ではないが、構文がCに類似しているものを指すことが多い。
- ^ 例えばポインタのエイリアシングは最適化やベクトル化を妨げる[1]。
- ^ 他の言語、例えば、BASICやPascalではプログラム開始直後に実行するプログラム要素はサブルーチンや手続きや関数ではない。
- ^ C89においては関数プロトタイプは必須ではない。
- ^ C89規格に準拠しないソースコードをGNU Cコンパイラでコンパイル失敗させるには、
gcc -ansi -pedantic -fstrict-aliasing -Wall -Wextra -Wmissing-declarations -Werror test.c
とすれば良い(→エイリアシング)。 - ^
setjmp.h
を参照。
出典
- ^ ポインター・エイリアシングとベクトル化 | iSUS
- ^ もう一度基礎からC言語 第19回 いろいろな演算子~ビット演算子 Cは高級アセンブラ?
- ^ 第1回 Chapter 1 C言語の概要(1):Cプログラミング入門|gihyo.jp … 技術評論社
- ^ ISO/IEC 14882:2003 §3.6.1 「The function main shall not be used within a program.」
- ^ JIS X 3014:2003「プログラム言語C++」(日本産業標準調査会、経済産業省) §3.6.1 「関数mainは、プログラムの中で挙用してはならない。」
- ^ EXP33-C. 未初期化のメモリを参照しない JPCERT/CC、2014年3月25日(2014年8月22日閲覧)。
- ^ “Memory Allocation Guide”. The Linux Kernel documentation. 2023年11月8日閲覧。
- ^ main 関数 - cppreference.com
- ^ [Python入門]Pythonってどんな言語なの?:Python入門(1/2 ページ) - @IT
- ^ Hello, Worldプログラム | Programming Place Plus C言語編 第2章
- ^ Portability of C Programs and the UNIX Systems
- ^ a b The Evolution of the Unix Time-sharing System
- ^ ソースレベル互換 - ZDNet Japan
- ^ http://www.tohoho-web.com/ex/draft/kanji.htm
- ^ Rust言語でAndroidはより強固・安全に ~GoogleがOS開発への導入を進める - 窓の杜
- ^ Microsoft、Windows 10の一部をRustへ書き換えてセキュリティ強化狙う | TECH+
- ^ C FAQ 11
- ^ 6.19 Arrays of Variable Length
- ^ C の歴史 - cppreference.com
- ^ Clang 拡張 C++ コンパイラ - RAD Studio
- ^ Status of C99 features in GCC - GNU Project - Free Software Foundation (FSF)
- ^ C11Status - GCC Wiki
- ^ “Microsoft Releases C Program Wares, Provides Rebates”. InfoWorld: p. 29. (1987年11月9日)
- ^ インテル® C++ Composer XE 2011 Windows* 版インストール・ガイドおよびリリースノート - w_ccompxe_2011.7.258_Release_Notes_ja_JP.pdf
- ^ C99 Support in Intel® C++ Compiler | Intel® Software
- ^ C11 Support in Intel C++ Compiler | Intel® Software
- ^ 脇英世(監修)、1987、『パソコンの常識事典』、日本実業出版社 pp. 339、342 - 普及率、解説書の多さについて。
- ^ 長沢英夫(編)、1988、『パソコンベストソフトカタログ』、JICC出版局 pp. 201 - Personal版、解説書の多さについて。
- ^ ucom10 1983, p. 80.
C++
(C言語 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/15 03:09 UTC 版)
C++(シープラスプラス)は、汎用プログラミング言語のひとつである。派生元であるC言語の機能や特徴を継承しつつ、表現力と効率性の向上のために、手続き型プログラミング・データ抽象・オブジェクト指向プログラミング・ジェネリックプログラミングといった複数のプログラミングパラダイムが組み合わされている[1]。C言語のようにハードウェアを直接扱うような下位層向けの低水準言語としても、複雑なアプリケーションソフトウェアを開発するための上位層向け高水準言語としても使用可能である。アセンブリ言語以外の低水準言語を必要としないこと、使わない機能に時間的・空間的コストを必要としないことが、言語設計の重要な原則となっている[2][3]。
- ^ Open issues for The C++ Programming Language (3rd Edition) - このコードはストロヴストルップ自身による訂正文からの引用(633ページ)。
std::endl
を'\n'
に改めている。またmain
関数がデフォルトで0を返す件についてはwww.research.att.com及びwww.delorie.com/djgpp/ を参照されたし。このデフォルト仕様はmain
関数のみであり他の関数にはない。
- ^ a b 『プログラミング言語C++』第4版、pp.12-13。
- ^ 『C++の設計と進化』、pp.152-153。
- ^ 『プログラミング言語C++』第4版、p.11。
- ^ “Bjarne Stroustrup's FAQ - When was C++ invented?” (English). 2006年5月30日閲覧。
- ^ Bjarne Stroustrup; Margaret A. Ellis (1990). The Annotated C++ Reference Manual. Addison-Wesley Professional. ISBN 978-0201514599
- ^ Bjarne Stroustrup; Margaret A. Ellis『The Annotated C++ Reference Manual』足立高徳、小山裕司、シイエム・シイ、2001年。ISBN 978-4901280396。
- ^ ISO/IEC 14882:1998
- ^ ISO/IEC 14882:2003
- ^ ISO/IEC TR 19768:2007
- ^ ISO/IEC 14882:2011
- ^ ISO/IEC 14882:2014
- ^ https://www.iso.org/standard/68564.html
- ^ https://www.iso.org/standard/79358.html
- ^ We have C++14! : Standard C++
- ^ “Current Status”. isocpp.org. 2020年9月7日閲覧。
- ^ “C++20 Approved -- Herb Sutter”. isocpp.org. 2020年9月8日閲覧。
- ^ “ISO/IEC 14882:2020”. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “Working Draft, Standard for Programming Language C ++” (2020年12月15日). 2021年3月16日閲覧。
- ^ Sutter, Herb (2020年7月29日). “Business Plan and Convener's Report: ISO/IEC JTC1/SC22/WG21 (C++)”. 2021年3月16日閲覧。
- ^ “Upcoming Meetings, Past Meetings”. 2021年3月16日閲覧。
- ^ Ranns, Nina (2020年11月19日). “WG21 2020-11 Virtual Meeting: Minutes of Meeting”. 2021年3月16日閲覧。
- ^ Koenig, Andrew; Bjarne Stroustrup (1989年5月11日). “C++: as close as possible to C – but no closer” (PDF) (英語). 2016年11月19日閲覧。
- ^ Stroustrup, Bjarne. “Stroustrup: FAQ Is C a subset of C++?” (英語). 2016年11月19日閲覧。
- ^ 『C++の設計と進化』、pp.124-125。
- ^ Bjarne Stroustrup (2000年). The C++ Programming Language (Special Edition ed.). Addison-Wesley. pp. 46. ISBN 0-201-70073-5
- ^ 式 - cppreference.com
- ^ Sutter, Herb; Alexandrescu, Andrei (2004). C++ Coding Standards: 101 Rules, Guidelines, and Best Practices. Addison-Wesley
- ^ Henricson, Mats; Nyquist, Erik (1997). Industrial Strength C++. Prentice Hall. ISBN 0-13-120965-5
- ^ Stroustrup, Bjarne (2000). The C++ Programming Language (Special Edition ed.). Addison-Wesley. p. 310. ISBN 0-201-70073-5. "A virtual member function is sometimes called a method."
- ^ Andrew Birkett. “Parsing C++ at nobugs.org”. Nobugs.org. 2009年7月3日閲覧。
- ^ Why We Can’t Afford Export (PDF, 266 KB)
- ^ “Minutes of J16 Meeting No. 36/WG21 Meeting No. 31, April 7-11, 2003” (2003年4月25日). 2006年9月4日閲覧。
- ^ “C++ ABI”. 2006年5月30日閲覧。
- ^ 後藤大地 (2013年4月22日). “LLVM Clang、C++11にフル対応”. マイナビニュース. 2013年9月7日閲覧。
- ^ “GCC 4.8 Release Series — Changes, New Features, and Fixes - GNU Project”. gcc.gnu.org. 2022年11月7日閲覧。
- ^ “Bjarne Stroustrup's FAQ - Is C a subset of C++?”. 2008年1月18日閲覧。
- ^ “C9X -- The New C Standard”. 2008年12月27日閲覧。
- ^ 可変長配列: §6.7.6.2
- ^ C言語の最新事情を知る: C99の仕様 - Build Insider
固有名詞の分類
- C言語のページへのリンク