皮膚 皮膚の器官

皮膚

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/28 04:27 UTC 版)

皮膚の器官

皮膚移植と人工皮膚

上述のように、皮膚は非常に繊細かつ複雑な組織で、かつ自己以外の異物を排除する免疫の働きによって、基本的に自己自身由来の皮膚しか生着しない。熱傷放射線被曝で皮膚の産生機能が失われると命を落とすこともある[27]

大規模な皮膚移植は、移植用に人間の皮膚を大量に確保しなければならないという難題を伴う。人間に近い機能を持った動物皮膚の植皮も研究されているが、まだ本格的な実用化に至っていない。

「人工皮膚」も研究・製造されている。移植医療用としては、患部から一時的に体表を覆う代替として使用し、失われた皮下組織や皮膚の再建を待たなければならない。このほか、真皮まで含めた人間の皮膚に近い構造を持ち、医薬品や化粧品などによる人間の皮膚に対する作用を調べるための人工皮膚も開発されている[28]

動物の皮膚

魚類と両生類

汗腺と皮脂腺は哺乳類特有のものだが、他の脊椎動物からも皮膚腺は見つかっている。魚類の多くは皮膚に粘液を分泌する細胞があり、保温や保護の役目を果たしている。中にはを分泌する腺や発光器や、より水っぽい漿液を分泌する細胞を持つ種類もいる。両生類には粘液を分泌する細胞が集まって嚢のような腺を形成している。また、ほとんどの両生類には皮膚に粒状の腺を持ち、刺激性または毒性の化合物を分泌する[29]

魚類や両生類・爬虫類の皮膚からもメラニンは発見されているが、表皮は比較的無色のものが多い。実際に見えている体の色は真皮の色素胞のものである場合が多く、メラニン以外にもグアニンカロテノイド色素が含まれている事もある。カメレオンヒラメなど多くの種が、この色素胞の大きさを変えてカモフラージュをする[29]

鳥類や爬虫類

鳥類爬虫類の表皮は哺乳類に近く、角質化しケラチンで満たされた細胞が水分の蒸散を防いでいる。これはヒキガエルのような両生類の一部にも見られる。しかし、これらの動物は表皮から真皮に至る細胞分化がヒトのような明瞭さがなく、あいまいである。哺乳類の表皮には少なくとも一層の基底層と角質層があるが、ヒトが持つような中間層の明らかな区別はつけられない。は哺乳類の表皮に特有のものであり、羽毛は少なくとも現在まで絶滅していない種に限れば鳥類特有のものである[29]

鳥類と爬虫類は比較的わずかな皮膚腺しか持たず、爬虫類のフェロモン分泌細胞やほとんどの鳥類が持つ尾脂腺のように、決まった機能に特化していると考えられる[29]

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 生化学辞典第2版、p.1068 【皮膚】
  2. ^ a b c 解剖学第2版、p.26-31、外皮構造(皮膚)
  3. ^ a b c d e f 傳田(2005)、p.6-8、1.皮膚は最も大きな臓器「外臓」である 皮膚の階層構造
  4. ^ a b 傳田(2005)、p.5-6、1.皮膚は最も大きな臓器「外臓」である
  5. ^ a b 傳田(2005)、p.41-42、4.皮膚はセンサーである
  6. ^ a b c d 佐藤・佐伯(2009)、p172-173、第9章 皮膚と膜 1.皮膚の構造 (1)表皮
  7. ^ a b c 生化学辞典第2版、p.1075 【上皮】
  8. ^ a b c d 傳田(2005)、p.8-11、1.皮膚は最も大きな臓器「外臓」である 皮膚のバリアはプラスチック並み
  9. ^ 標準皮膚科学、8版、p5
  10. ^ a b c d e 編集長 水谷仁「【指紋】何の役に立つ?どのようにしてできる?」『ニュートン2012年6月号、雑誌07047-06』、ニュートンプレス、2012年、 116-117頁。
  11. ^ 生化学辞典第2版、p.677 【真皮】
  12. ^ a b c d 編集長 水谷仁「【しわ】なぜできる?予防法や改善法は?」『ニュートン2013年2月号、雑誌07047-02』、ニュートンプレス、2013年、 112-113頁。
  13. ^ a b c d e f 編集長 水谷仁「意外と知らない「汗」のこと」『ニュートン2012年8月号、雑誌07047-08』、ニュートンプレス、2012年、 102-107頁。
  14. ^ 佐藤・佐伯(2009)、p173、第9章 皮膚と膜 1.皮膚の構造 (3)皮下組織
  15. ^ a b c 傳田(2005)、p.42-44、4.皮膚はセンサーである 外部刺激のセンサーとしての皮膚
  16. ^ 傳田(2005)、p.48-52、4.皮膚はセンサーである もう一つの痛みセンサー
  17. ^ 傳田(2005)、p.33-34、3.情報伝達物質を生み出す皮膚
  18. ^ 傳田(2005)、p.34-37、3.情報伝達物質を生み出す皮膚 皮膚は免疫をつかさどる臓器である
  19. ^ a b c 傳田(2005)、p.38-40、3.情報伝達物質を生み出す皮膚 皮膚が内分泌系に及ぼす影響
  20. ^ a b c d e 傳田(2005)、p.11-14、1.皮膚は最も大きな臓器「外臓」である 常におのれを知っている皮膚
  21. ^ a b 傳田(2005)、p.15-19、2.電気仕掛けの皮膚機能 皮膚は電池になっている
  22. ^ a b 傳田(2005)、p.24-25、2.電気仕掛けの皮膚機能 外から皮膚に電気をかけるとどうなるか
  23. ^ a b 傳田(2005)、p.45-48、4.皮膚はセンサーである 神経より先に表皮が感じる
  24. ^ 傳田(2005)、p.52-53、4.皮膚はセンサーである 光を感じる皮膚
  25. ^ 乳幼児のくる病が増えた理由 摂取栄養の偏りや日光浴不足でビタミンDが欠乏 日経メディカルオンライン 記事:2012年1月12日
  26. ^ NHK「東海村臨界事故」取材班『朽ちていった命 - 被曝治療83日間の記録』新潮社新潮文庫 え-16-1〉、2006年10月。ISBN 978-4-10-129551-0
  27. ^ 東海村での放射線被曝事故では被害者は即死には至らなかったが、多臓器不全に加えほぼ全身の皮膚の産生機能喪失が長期にわたり患者を苦しめた[26]
  28. ^ 理研ベンチャーが中小企業優秀新技術・新製品賞を受賞理化学研究所(2018年4月25日)2018年4月27日閲覧。
  29. ^ a b c d Romer, Alfred Sherwood; Parsons, Thomas S. (1977). The Vertebrate Body. Philadelphia, PA: Holt-Saunders International. pp. 129–145. ISBN 0-03-910284-X. 


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