色素胞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/28 07:48 UTC 版)

色素胞(しきそほう、英語: chromatophore)は、変温動物における色素細胞であり、細胞外へ色素を分泌する恒温動物の色素細胞とは異なり細胞内に色素顆粒(chromatosome)や反射小板(reflecting platelet)と呼ばれる細胞小器官を保持する。作り出す色彩によって、黒色素胞、赤色素胞、黄色素胞、白色素胞、虹色素胞、青色素胞の6種に分類され、いずれも神経冠に由来する。
色素胞の種類
黒色素胞、赤色素胞、黄色素胞、白色素胞、虹色素胞[1]、青色素胞[2][3]がある。
虹色素胞(iridophore)は、細胞体の中にグアニン結晶由来の反射小板を含み、その構造色により色彩を呈する。アオリイカによく見られる。
体色変化

動物が、環境などに合わせて色素胞を変化させることを体色変化(英語:metachrosis)と呼ぶ[4]。
細胞内における色素顆粒や反射小板の位置・分布を変える細胞運動をする色素胞も多く存在する。色素胞の細胞運動は短時間における体色変化に関与している。環境の変化などにより起こる生体組織中の色素胞の細胞数・分布や色素胞が含有する色素顆粒・反射小板の数量の変化は長時間における体色変化に関与している。短時間による体色変化を生理学的体色変化、長時間による体色変化を形態的体色変化と呼ぶ。体色変化に関与するホルモンにはMCH、MSH、メラトニン、アドレナリンが挙げられる。
カメレオンは、体温が低いときに日光の熱を吸収するため黒くなったり・逆に体温が高いときに青白くなり反射して体温調整に用いたり、相手に警戒を伝えたり求愛したり獲物を捕まえるために体色を変化させる[5][6]。
画像集
出典
- ^ “魚の体色変化の不思議を探る-バーチャルラボラトリ”. 東邦大学www.mnc.toho-u.ac.jp. 2023年11月22日閲覧。
- ^ Fujii*, Ryozo (2000-10). “The Regulation of Motile Activity in Fish Chromatophores” (英語). Pigment Cell Research 13 (5): 300–319. doi:10.1034/j.1600-0749.2000.130502.x. ISSN 0893-5785 .
- ^ “青い魚はなぜ青い-魚の体色変化の不思議を探る-|バーチャルラボラトリ|”. 東邦大学www.mnc.toho-u.ac.jp. 2023年11月22日閲覧。
- ^ 体色変化. コトバンクより。
- ^ “カメレオンの変身は擬態ではない? 動物たちが色を変えるさまざまな理由”. ログミーBiz (2016年4月13日). 2023年12月6日閲覧。
- ^ Teyssier, Jérémie; Saenko, Suzanne V.; van der Marel, Dirk; Milinkovitch, Michel C. (2015-03-10). “Photonic crystals cause active colour change in chameleons” (英語). Nature Communications 6 (1). doi:10.1038/ncomms7368. ISSN 2041-1723. PMC 4366488. PMID 25757068 .
参考文献
- 畑井喜司雄ほか『魚病学』学窓社 1998年 ISBN 4873620775
関連項目
色素胞
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色素胞は、中枢の運動ニューロンにより直接刺激される色素を変化させる細胞である。主にカモフラージュのための迅速な環境適応に使用される。それらの皮膚の色素を変化させる過程は、高度に発達した単一の色素胞と多くの筋肉、神経、グリア、有鞘細胞に依存する。色素胞は収縮し、3つの異なる液体色素を貯蔵する小胞を含んでいる。色はそれぞれ3種類の色素細胞である赤色素胞、黒色素胞、黄色素胞により示される。赤色素胞はカロテノイドやプテリジンなど赤みを帯びた色素を含む。黒色素胞はメラニンなどの黒や茶色の色素を含む。黄色素胞はカロテノイドの形態のの黄色の色素を含む。様々な色は色素胞の異なる層の組み合わせにより作られる。これらの細胞は通常、皮膚やうろこの下にある。細胞により生成される色には2つのカテゴリ、生物色素とschematochromeがある。生物色素は、化学的に形成された微視的で天然の色素である。化学組成は光のいくつかの色を取り込み、残りの色を反射するように作られる。これとは対照的にschematochrome(構造色)は、無色の表面からの光の反射と組織による屈折により作られた色である。Schematochromeはプリズムのように振る舞い、可視光を屈折させて周囲に分散させ、最終的に特定の色の組み合わせを反射する。これらのカテゴリは色素胞内の色素の運動により決定される。生理的な色の変化は魚類に見られる短期的で速いものであり、環境の変化に対して動物が反応した結果生じるものである。これに対して形態学的な色の変化は長期的な変化であり、動物のさまざまな段階で生じ、色素胞の数の変化によるものである。色素、透明度、不透明度を変化させるために細胞は形や大きさを変えたり、外側の覆いを伸縮させたりする。
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