夜都賀波岐(やつかはぎ)
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「神咒神威神楽」の記事における「夜都賀波岐(やつかはぎ)」の解説
穢土に君臨する八柱の大天魔。300年前に東征軍を壊滅させた化外の首魁たちであり、誰もが言語を絶する規格外の実力を持つ。穢土の外界全てに対して極大の憎悪と憤怒を抱いており、穢土を守るべく竜胆たちの前に立ちふさがる。 天魔・夜刀(てんま・やと) - 声:先割れスプーン (PC), 鳥海浩輔 (PS VITA) 大天魔・夜都賀波岐の主柱にして、穢土全域を自身の太極で異界に染め上げた張本人。 化外総軍そのものであり、彼を倒さない限り他の七柱は不滅とされる。 穢土の外界に対しては最も激しい憎悪を抱いている。 その神咒は藤井蓮。正確に言えば藤井蓮とロートス・ライヒハートが水銀の影響を超えて高次元で融合した存在。 旧世界において第五天であり自身の恋人でもある黄昏の女神の属神・永遠の刹那として彼女を守護していたが、波旬の襲撃によって水銀の蛇、黄金の獣、黄昏の女神の三柱は殺され、彼だけが最も厄介だと判断されたことで座の外に弾き出された。そして黄昏の女神の死によって波旬に掌握された座の完成を防ぐために咄嗟に自らの太極を展開し、穢土を天狗道から切り離し、数千年に渡りその法則の完成を防いできた。 しかし夜刀はこのままでは自分が先に力尽きると理解しており、その前に新たな覇道を見出し、波旬を打倒しうる可能性を探し求めたが、天狗道の住人は全てが波旬の操り人形であり、その魂は自己愛の求道しか持たず、神格に至るほどの器もなかった。 数千年に渡る法則のせめぎ合いによって夜刀の力は見る影もなく消耗しきり、常世の太極と波旬への憎悪によって残り少ない力を無理やり絞り出しているような状態だったが、龍明が見出した覇道、久雅竜胆と唯一波旬を打倒しうる可能性を持った存在、坂上覇吐との邂逅によって時が来た事を理解した夜刀は常世が発動した無間衆合地獄によって全盛期の力を取り戻し、覇吐に最後の戦いを挑む。 この戦いにおいて覇吐が可能性を示せないようならば自らが座を握ることもやむなしと考えていたが、覇吐と竜胆が示してみせた可能性に勝利を確信した夜刀は自らの全てを以て彼らに訓示を残し、消滅した。 等級は太極・無間大紅蓮地獄。 壊れないことを突き詰めた絶対不変の世界であり、この太極下にある限り、夜刀も他の七柱も決して滅びることはないとされる。その随神相は穢土全域を覆い尽くすほどの桁外れの巨大さで、夜都賀波岐の中でもさらに規格外の存在。 その能力は「時間停止」。この太極において夜刀が認めないものは決して活動を許されない。多くの者、そして夜刀自身にとっても名の示す通りの地獄であるが、その根源である渇望は「大事なものを守りたい」というもの。圧倒的な戦力差がある波旬とのせめぎ合いを数千年にも渡り続けていられたのは、その渇望が防衛に特化しているため。 元ネタは夜刀神から。 天魔・悪路(てんま・あくろ) - 声:石川ゆうすけ (PC), 寺島拓篤 (PS VITA) 大天魔・夜都賀波岐の一柱。 行動を共にする母禮とは兄妹であると同時に恋人同士であり、その想いは強い。 その神咒は櫻井戒。 夜都賀波岐の中でも特に強く夜刀の憎悪の影響を受けており、仲間に対する物腰は以前と変わらず穏やかだが、外界に対しては凄まじい憎悪を抱いている。 不破之関における初戦では母禮と共に現れ、その圧倒的な力で東征軍を壊滅させた。 無間蝦夷での最終決戦では宗次郎と激突し、当初は天狗道から脱却することもできないただの木偶として相手をすることすら汚らわしいと宗次郎を見下していたが、波旬と畸形曼荼羅の影響で太極に至った宗次郎と互角の戦いを強いられる。 その戦いの最中、直前の宿儺との会話で自滅因子の影響を受けていたことで夜刀の太極の影響から抜け、かつての己の渇望を思い出し、天狗道からの脱却の兆しを見せた宗次郎を救うために波旬との連結を絶った。そして波旬の打倒を彼に託し、母禮と共に消滅した。 等級は太極・無間叫喚地獄。 その能力は「悪路の気から、呼気や視線に至るまで、ありとあらゆる触れた物を腐らせる」というもの。彼と同等の神性を有しない限り、彼への攻撃は全て腐らされて無力化し、その視界に入っただけで命を落とすことになる。 随神相は巨大な鬼のような武者。 元となった渇望は「自分一人が全ての穢れを受け止める」。愛しい者に降りかかる全ての困難を自分が引き受け、彼女達を守りたいという救済の祈り。この大切なものを守るという在り方故に夜刀との同調が強まっており、当初はその繋がりの強固さによって夜刀の憎悪の影響を強く受け、自らの渇望を忘れていた。だが、彼自身は夜刀を含めた仲間達を信頼しているが故にそのことをあまり気にせず、外敵を排除するという自身の役目に徹していた。 元ネタは坂上田村麻呂伝説に登場する悪路王から。 天魔・母禮(てんま・もれい) - 声:かわしまりの (PC), 瑞沢渓 (PS VITA) 大天魔・夜都賀波岐の一柱。 兄とは異なり、根っからの激情家。 行動を共にする悪路とは兄妹であると同時に恋人同士であり、その想いは強い。 等級は太極・無間焦熱地獄。 その実体は人知を超えた規模の炎と雷の化身であり、巨大隕石を容易く消滅させるなど、夜都賀波岐屈指の火力を誇る。随神相は四つ手の女武者。 その神咒は櫻井螢とベアトリス・ヴァルトルート・フォン・キルヒアイゼンの融合体で、表面人格は螢がベースとなっている。 元々螢は夜刀の前身である蓮に想いを寄せており、それ故に彼を苦しめる原因となっている波旬とその細胞達を強く憎悪しており、常世・奴奈比売と並んで穢土の最右翼となっている。 不破之関における初戦では悪路と共に現れ、その圧倒的な力で東征軍を壊滅させた。 無間蝦夷での最終決戦では紫織と激突し、自分を目の敵にする彼女に対し何の興味もないという風情だったが、波旬と畸形曼荼羅の影響で太極に至った紫織と互角の戦いを強いられる。そして悪路と同じく、紫織に天狗道からの脱却の兆しを見出し、波旬との連結を絶ち、波旬の打倒を託して悪路とともに消滅した。 元ネタは坂上田村麻呂伝説に登場する磐具公母礼から。 天魔・紅葉(てんま・もみじ) - 声:彩世ゆう (PC), 羽吹梨里 (PS VITA) 大天魔・夜都賀波岐の一柱。 夜都賀波岐の中では数少ない理知的な性格の持ち主で、際立った好戦性はない人物。 鬼無里と呼ばれる小国を収めており、住人からは敬われている。一方で、御門家に対しては深い因縁を持つらしい。 その神咒はリザ・ブレンナー。 旧世界においては夜刀と敵対する存在であり、その関わりもそう深いものではないが、自らの娘である常世の願いを守るため、穢土を守護している。その願いが先のないものであることも理解しているが、娘の幸福な時間を守ることは彼女にとって世界よりも重要な事柄であるため、親友であった龍明とは袂を分かつことになった。 そして東外流で龍明と激突し、彼女が西側の人間である龍水を娘と呼んでいることに激昂し、「黄金の獣への忠誠を忘れ去ってしまったのか」と落胆するが、龍明が発動させた大焼炙によって彼女が何一つ変わっていなかったことを知る。そして彼女から現状を維持しようとしていることを夜刀の愛に甘えていると一喝され、自らの心中を吐露したことで常世の動揺を招いてしまい、その隙をついて竜胆が発動させた天魔覆滅の一矢から常世を庇い致命傷を負う。自らの消滅を悟った彼女は常世を諭して夜刀の元に戻らせ、龍明と娘自慢が出来たならきっと楽しかっただろうと苦笑しながら消滅した。 等級は太極・無間等活地獄。発現は軍勢変生・覇道型。 その能力は「死者を思いのままに操る」というもの。更に死体全てに彼女の神性が宿り、彼女と同等の防御力を有するようになる。それ故に、彼女と同等の力を有するに至らない限り、死体の一体にすら歯が立たないことになる。彼女の能力圏内で命を落とせば、即座にその影響下に置かれる。この能力によって鬼無里を成立させている。 随神相は糸をもって死者を操る巨大な鬼女。 元ネタは長野県に伝わる鬼女・紅葉から。 天魔・奴奈比売(てんま・ぬまひめ) - 声:木村あやか (PC), いのくちゆか (PS VITA) 大天魔・夜都賀波岐の一柱。 存在自体の不確かさと千変万化の能力のために神出鬼没な女性。 比較的理知的な性格ではあるが、狂人であることは変わらず、予測不可能な危険性を持つ。 その神咒はアンナ・シュヴェーゲリン。 旧世界においては夜刀と敵対する存在だったが、もともと夜刀の前身は彼女の思い人の転生とでも呼ぶべき存在であり、彼女自身も以前は忘れていたその思いを思い出しているため、夜刀を深く愛し、彼のために戦っている。夜刀自身も旧世界において幸福を甘受する彼女の姿から認識を改めており、今ではかけがえのない仲間だと思っている。 夜刀に守られ、彼に守るべき刹那として愛されている現状は彼女にとって幸福の絶頂であり、その為それを破壊しようとする者を決して許さない。 そして東外流で無間蝦夷に踏み入ろうとする東征軍を襲撃し、彼らを追い詰めるが、天魔覆滅によって弱体化し、封印を解かれた丁禮と爾子の前に敗れ、最期まで夜刀の勝利を信じながら消滅した。 等級は太極・無間黒縄地獄。発現は軍勢変生・覇道型。 西側に流れ込む歪みの元凶でもあるその能力は「自身の影に触れたものの強制停止」。かつての創造と同じ能力であるが、夜刀の太極の影響下に置かれたことでその圧力は山を粉砕する程に跳ね上がっている。更にこの影に捕らえられた者の脳裏には禍々しい女の声が響き、精神をも破壊していく。 元となった渇望は「自分よりも先に行くものの足を止めたい」。一見ろくでもないものに見えるが、これは「思い人が自分を置いて先に行ってしまう」という嘆きが転化したものでもあり、受け取るものによってその印象が大きく変わる。この複雑な渇望からくる理によって西の歪みは多様性を増しており、彼女はその歪みの全てを再現することが可能となっている。 元ネタは『古事記』などに登場する奴奈川姫から。 天魔・常世(てんま・とこよ) - 声:雛見風香 (PC), 生天目仁美 (PS VITA) 大天魔・夜都賀波岐の一柱。 穢土の維持のため動けない夜刀に代わって全軍の指揮を担う実質的な化外側の統率者。 夜刀に対しては深い愛情を抱いているが、彼女流の義理立てとして常に一歩引いて接している。 その神咒は氷室玲愛とイザークの融合体。人格のベースは玲愛となっており、イザークとしての面が出ることはほとんどない。 夜刀と共にあることは彼女にとってこの上ない喜びであり、それが夜刀の望みではないと解っていながら、穢土の存続を願っている。 無間蝦夷の最終決戦では直接戦場に出ることはなく、仲間達が東征軍に波旬打倒の希望を見出し散っていく中、自らも夜刀の勝利の一助となるため自らの太極を発動させ、消滅した。 等級は太極・無間衆合地獄。 一つ目の機能は夜刀の太極を維持するための動力源であり、長きに渡る波旬とのせめぎ合いで消耗しきった夜刀の補助をしている。 そして二つ目は天魔八柱の魂を捧げ、夜刀を新生させること。元となった渇望は「夜刀を高みへと導きたい」。かつてのものとは異なる常世自身の渇望から成る太極であり、夜刀に全盛期の力を取り戻させることができる。夜都賀波岐にとっての切り札であると同時に最終手段でもあり、発動させたが最後、波旬との最終決戦が始まることになる。そしてなにより夜刀は仲間を犠牲にすることを好まないため、常世はこの太極を封じていた。 元ネタはかつて民間宗教で崇拝されていた芋虫のような神・常世神から。 天魔・宿儺(てんま・すくな) - 声:ルネッサンス山田 (PC), 前田剛 (PS VITA) 大天魔・夜都賀波岐の一柱。 他者を振り回すことに悦楽を覚える自由奔放な性格の持ち主。 大獄とは違った意味で変わった立ち位置にある存在。 その神咒は前作に登場した遊佐司狼と本城恵梨依の融合体。随神相においても男女2つの顔を持つ。 遊佐司狼は元々“座”の影響で生まれた蓮の自滅因子であり、彼の反存在とでも言うべき存在である。その為夜刀との結びつきが最も深く、他の天魔が夜刀の憎悪の影響を受けている中、彼の真意を理解している。時折裏切りのような行動を見せるが、それも全ては夜刀の真意に沿った行動であり、他の天魔達も彼が夜刀を裏切ることなど有り得ないと理解している。 無間蝦夷での最終決戦では刑士郎と激突し、ヴィルヘルムを目覚めさせるべく挑発を繰り返すが、刑士郎が“解脱”を果たしたことで太極が無効化。自分が波旬打倒の切り札を生み出したことに満足し、勝利を確信し消滅した。 等級は太極・無間身洋受苦処地獄。 その能力は「歪み殺し」。あらゆる異能を自壊させ、強い歪みを持つ者ほど急激に弱体化していく。更に自身は何の影響も受けずに神格としての力を振るうことができる。その影響は天魔の能力さえも無効化する程であり、夜刀を超える異能でなければこの太極を超えることはできない。 元となった渇望は「真面目に生きていない人間を認めない」。自らが神の玩具として生み出された存在であるが故の人間への羨望である。大欲界天狗道においては全ての者が波旬の法則の影響下にあり、宿儺が定義する人間の定義からは外れた存在となっている。彼が認める人間とは神など関係なく、自らの力だけで立つ存在のことであり、故に天狗道の住人では彼に勝つことはできない。しかしこれによってこの太極は人間を目の前にした時、急激に弱体化するという弱点を抱えてしまっている。だが宿儺にとってはそういった存在が誕生することは望むところであり、刑士郎が“解脱”したことは彼にとっても本望であった。 元ネタは『日本書紀』などに登場する両面宿儺から。 天魔・大獄(てんま・おおたけ) - 声:左高蹴 (PC), 安元洋貴 (PS VITA) 大天魔・夜都賀波岐の一柱。 虎のような鬼面の甲冑を身に纏い、素顔を始めとする多くが謎の人物。見た目に反して性格は理知的。 夜刀を除く他の夜都賀波岐とは一線を画する実力を持つ実質的なナンバー2であり、宿儺とはまた違った立ち位置にある存在。 その神咒はゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン(ミハエル・ヴィットマン)。 旧世界においては夜刀と敵対する存在であると同時に彼の魂の片割れでもあった。そのため現在でも夜刀と強く結びついており、宿儺と同様に彼の真意を理解している。 無間蝦夷の最終決戦では夜行と激突し、問答無用で夜行に一撃を食らわせ、それによって自らの太極を得た夜行と互角の戦いを繰り広げるが、自らの真の能力を解放して夜行を死滅させる。これによって波旬から直接力を分け与えられた夜行はその正体に気付き、大獄は夜行に波旬打倒を命じて消滅した。 等級は太極・無間黒肚処地獄。 かつての創造と同じく、触れたものを問答無用で終わらせる終焉の鉄拳。それに加えて、兜の下にある素顔を見たものを強制的に死滅させる。旧世界において大獄は夜刀の前に敗れ、その首を断たれることで死を迎えた。故にこれは彼にとって自らの渇望の象徴であり、自らが望む究極の死そのもの。それを見たものは問答無用の死を迎える。下手をすれば穢土を消し飛ばしてしまいかねないほどの威力があり、彼が身に纏う甲冑はその能力を封じるための拘束具の役目を持っている。 元となった渇望は「唯一無二の終焉を迎えたい」。彼の渇望は旧世界において既に果たされており、夜都賀波岐の一柱として存在していることは自らの渇望と矛盾している。彼が己を曲げて夜刀に協力するのは、彼にとって至上の終わりであった聖戦を汚す結末をもたらす波旬への憎悪のため。そして未だ夜刀が戦い続けているのなら、自分だけが安穏としてるわけにはいかないという友情のためである。 元ネタは坂上田村麻呂伝説に登場する鬼・大獄丸から。 海坊主 穢土に向かう途中の淡海にて多くの化外達と共に東征軍の行く手を阻んだ天魔。 引き連れた化外達もさることながらその身の巨大さは常軌を逸しており、海上という事もあって東征軍を大いに苦しめた。 最終的に化外達は竜胆の策により壊滅し、海坊主自身も夜行が堕とした巨大隕石によって消滅した。 作中にてその正体は言及されていないがその独白や龍明の発言、ライターの発言などから前作に登場したヴァレリア・トリファだと思われる。
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