モンゴール大公国の人物
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「グイン・サーガの登場人物一覧」の記事における「モンゴール大公国の人物」の解説
ヴラド・モンゴール モンゴール初代大公。妻はアンナ。長女は第二代モンゴール大公アムネリス。長男は公子ミアイル。きわめて野心的な人物で、15歳でサウル皇帝の騎士となって以来、順調に功績を挙げ、ケス河南西の森林地帯の開拓権を望み呆れられながらもこれを得る。やがてモンゴール伯爵となって、自ら開拓した地を所領とし、のちに強引にサウル皇帝の認可を得て、首都をトーラスとして第3の大公国モンゴールの独立を宣言するにいたる。その後も黒竜戦役でパロを奇襲して一時占領したり、ノスフェラスの秘密を求めて軍を送ったりと、その野心はとどまるところを知らなかった。酒豪であり、これが災いし第二次黒竜戦役が起こってまもなく脳卒中で病死した。 ミアイル モンゴールの公子。父はモンゴール元大公ヴラド・モンゴール。母はヴラド妃アンナ。姉にモンゴール前大公アムネリス。守役は叔父のユナス伯爵。金髪、緑の瞳。母親似の極めて内気でおとなしい性格で、果断な姉アムネリスに憧憬とコンプレックスを抱いていた。14歳の時には、ケイロニアのシルヴィア皇女との政略結婚の話が進められていたが、そのさなかにアルド・ナリスの送り込んだ魔道士ロルカによって暗殺された。それまでは、偶然に側付となったマリウスによく懐いており、その死はマリウスにナリスへの決別を決意させる大きなきっかけともなった。 アストリアス モンゴールの子爵。父はモンゴール伯爵マルクス・アストリアス。黒髪、黒い瞳、長身。独身。アムネリスに心酔していた勇猛な若き騎士で《ゴーラの赤い獅子》などの異名を取った。ノスフェラスでのグインたちとアムネリス軍の戦いでは、グインと一騎討ちを行うがあっけなく敗れ、その屈辱は長くアストリアスの心に残る。その純朴で直情径行な性格を利用され、アルド・ナリスとアムネリスとの婚姻の際には、ヴァレリウスの魔道によって刺客に仕立て上げられ、ナリス(実際には身代わり)にティオベの毒(実際にはダルブラの毒)を塗った剣で切りつけ、これを殺害した。その後、ナリスによって長らく幽閉されていたが、パロ内乱のマルガ攻防戦の混乱に乗じて自由の身となった。しかし、その際に顔に醜い火傷を負ったため、銀の仮面をかぶって顔を隠すようになった。モンゴールへ戻って《風の騎士》を名乗り、イシュトヴァーンに占領されたモンゴールを解放すべく、兵を募って活動を行っている。 ポラック モンゴールの赤騎士でアストリアスの副官兼友人。マルクス・アストリアス伯爵の部下でノスフェラス侵攻にも同行した。イシュトヴァーンによってモンゴールが再度滅亡した後に、モンゴールに帰還したアストリアスと再会し、彼を匿った。 マルス・オーリウス モンゴールの伯爵。元青騎士団隊長。元ツーリード城主。第七青騎士大隊長。息子にモンゴール伯爵マリウス・オーリウス。前モンゴール大公アムネリスの幼少時からの守役で、彼女の厚い信頼を受け、ノスフェラス戦役にも彼女とともに出征した。だが、アルゴンのエルを名乗って間諜として潜入したイシュトヴァーンの姦計にはまり、セムのカロイ族の谷で焼死した。その際の裏切り行為と罪悪感とが、後々までイシュトヴァーンを苦しめることになる。彼の悪夢の中では、海のように青い瞳が強調される。 マリウス・オーリウス モンゴールの伯爵。前青騎士団司令官。父はモンゴール伯爵マルス・オーリウス。物語開幕当初は子爵であり、兵役期間を務めあげて中隊長の旗をもらったばかりであった。アムネリスによるモンゴール奪還戦に加わった際に父の跡を継ぎ、マルス伯を名乗るようになる。イシュトヴァーンの裁判で父がイシュトヴァーンの姦計によって焼き殺されたことを知り激怒するが、その後に起こったトーラス動乱で抵抗むなしくゴーラ軍の捕虜となった。その後はアルセイスにて幽閉されていたが、モンゴール人民の不満を抑えるための釈放が検討され、条件付きで釈放された。 ハラス モンゴールの大尉。現マルス伯爵のいとこ。アムネリスの死後に勃発したモンゴールでの反乱で、反乱軍の指揮官を務めていた。ゴーラ軍の猛攻によって反乱軍が壊滅に追いやられそうになったところを、突如現れたグインに救われる。その直後、グインと共にゴーラ軍に捕らえられるが、グインによって数名の部下と共に脱出する。しかし、すぐにゴーラ軍に発見されて部下を皆殺しにされたうえに捕らえられて拷問を受ける。その後、イシュトヴァーンがグインによって重傷を負ったことによってイシュタールに帰還した際、共に連行された。 ヴロン モンゴールの伯爵で、アムネリス親衛隊の小隊長を務めていた巨漢。ヴラド大公の遠い一族。顔は醜い。ノスフェラス侵攻の終盤で、アムネリスをかばい、ラゴン族に棍棒で撲殺された。 リーガン モンゴールの小伯爵で、赤騎士隊隊長。アルヴォン城元城主リカード伯爵の息子で、アストリアス子爵とは親友同士だった。ノスフェラス侵攻の最中に、イドの大群に飲み込まれて死亡した。 ガランス モンゴールの少佐で、青騎士隊中隊長。マルス・オーリウスの若いころから仕えており、信頼する副官であり友人でもあった。ノスフェラス侵攻の最中に、アルゴンのエルと名乗っていたイシュトヴァーンの罠にはまってしまい、カロイ族の落とした巨石が頭部を直撃して死亡した。 タンガード モンゴールの黒騎士隊隊長。ヴラド大公曰く立派な騎士で良い戦士。ノスフェラス侵攻においてタロス城の黒騎士をイルムと共に指揮するが、その終結間際にセムの罠にはまり腸がはみ出すほどの重傷を負ってタロス砦で療養生活を送ることになるが、アムネリスがトーラスに帰還した際もまだ伏せったままであり、本復は難しいとヴラド大公に報告された。 ボーラン モンゴールの伯爵。元黒騎士団長官にしてタイランの前のパロ占領軍司令官。ヴラド大公からアムネリスとアルド・ナリスの婚礼の後に、ナリスを暗殺するよう命令された。トーラス戦役で死亡した。 タイラン モンゴールの伯爵で、白騎士隊大隊長。黒竜戦役ではパロ占領軍司令官を務めていた。ナリス曰く大した武将ではないが頭は悪くない(第十巻においては、ナリス暗殺未遂事件の現場の混乱を取り静めるには身分が足りないが、手腕はなくはないという書き方をされた)。トーラス生まれであることを鼻にかけ、気取ってはいるが、自分の根本的な気質はモンゴール人のものであることはよく理解している。部下であるカースロンとは彼我の気質、特にカースロンが反発心を燻ぶらせつつ激発しないことから相性が悪く(むしろはっきりと怒ってくれたほうがいいという趣旨の発言を行っている)、いろいろと嫌がらせを行っていた(死後にはその愚かさを悲しむような発言もした)。一方で同じ白騎士に対してはブルクを優遇したりカースロンを討ったヨーハンの手柄を大いに褒めるなど、親身である。第二次黒竜戦役の最中にいち早くカースロンの叛意に気付き、カースロンを罠に嵌めて誘き出し殺害するが、その数日後にクリスタル郊外で就寝中にパロ魔道士部隊に暗殺された。 ネロン モンゴールの白騎士で、タイランの副官。 カノース モンゴールの黒騎士隊小隊長で、カースロンの側近。 レンツ モンゴールの伯爵で、白騎士団の隊長。アルド・ナリスが自分を騙していたと知って復讐の念を燃やすアムネリスが率いるモンゴール軍に同行したが、敗北し重傷を負い、アムネリスを救うために白旗を上げた。 メンティウス モンゴールの青騎士団長官。メンティウス司令。モンゴールが敗れた後、重傷を負って降伏。後トーラスのモンゴール兵を束ねる指揮官としてクムに寝返るが、ヤヌスの戦いの終盤でクムのトーラス占領軍司令官とその副将を殺害してモンゴール兵に決起を呼びかける。しかしその直後に、殺された二人が事前に雇っていたキタイの暗殺者に吹き矢で暗殺された。 サイデン 腹に一物を持った男で、モンゴールの文人を気取っている。黒竜戦役ではモンゴールの赤騎士団長官を務めていたが、第二次黒竜戦役後はタリア伯爵領に亡命していた。モンゴール復興戦争ではモンゴールへ援軍を送るようにギイ・ドルフュスに要請するが無視される。しかし、アレンが兄のギイを説得したことで、アレンが指揮官となったタリア海軍と同時に、タリア陸軍を預けられてモンゴールへ出発した。 後にカメロンが祖国を捨ててモンゴールに仕官し、左府将軍の地位を与えられた時にはカメロンに不満を抱くが、アムネリスにより、それまでモンゴールに存在していなかった宰相位に任命されたことで、その不満も和らいだ。後にフェルドリック卿を煽動してイシュトヴァーンの裁判を引き起こさせるが、法廷でカメロンによって煽動の事実を暴露され窮地に陥る。その後、アリストートスの亡霊に憑依されてイシュトヴァーンを狂乱させるが、それに激怒したカメロンによって斬り倒され、最期に正気を取り戻して死亡した。 ランス ゴーラ王国の将軍、ヤヌス騎士団司令官。元モンゴールのファーレン子爵、黒騎士団准将。父は第二次黒竜戦役で処刑されたモンゴール左府将軍ローザン。15歳でモンゴール奪還戦において初陣を迎え、18歳で正式にモンゴール宮廷にお披露目される。ゴーラの動乱の際には、イシュトヴァーン率いるモンゴール軍の副将として活躍し、実力を認められ、自身もイシュトヴァーンを軍神として崇拝、剣を捧げる。その後、イシュトヴァーンがゴーラ王に即位すると、モンゴールの爵位を捨ててゴーラ軍に身を投じ、その部将となった。 ルシア フロリーと共にアムネリスに仕えていた元侍女。第二次黒竜戦役終結間際にアムネリスがクム軍に捕縛された際にアムネリスと引き離された。その後、モンゴールが復興すると再びアムネリスに仕えたが、イシュトヴァーンによってモンゴールが再度滅亡すると、侍女を辞めてモンゴールに残った。そしてモンゴールに帰還したアストリアスに、フロリーがイシュトヴァーンに抱かれたという情報を伝えた。 フロリー・ラゲイン モンゴール前大公アムネリスの元侍女。ミロク教徒。息子にスーティ(小イシュトヴァーン)。13歳で正式にアムネリス付きの女官となってからは、ほぼ常に彼女のそばにあってともに行動し、第二次黒竜戦役後にアムネリスがクムの虜囚となった際にも、ただ一人彼女のそばで仕えていた。アムネリスへの忠誠心は極めて高く、一時は同性愛めいた関係になったこともある。モンゴール復活後は、アムネリスの恋人となったイシュトヴァーンへの恋心に苦しんでいたが、ひょんなことからイシュトヴァーンと一夜をともにし、当時宮廷に嫌気が差していたイシュトヴァーンと駆け落ちする決意を固める。ところが、約束の夜にイシュトヴァーンが約束の場所に現れなかったことに絶望し、またアムネリスを裏切った事への呵責から失踪してしまう。 その後、湖で入水自殺しようとしたが助けられ、その際にイシュトヴァーンの子を身ごもっていることに気づき、密かにその子スーティを出産して、ローラという偽名でモンゴールの山中にある小さなミロク教徒の集落でひっそりと暮らしていた。その後、マリウスとグインに出会い、息子スーティとともにパロへ向かう。 パロへの旅路の途中で立ち寄ったタイスの宮殿で、タリクに一目惚れされたことでタイ・ソン親子の不興をかってしまい、宮殿の一室に監禁される。その後、タイ・ソンとマリウスによって地下水路に突き落とされるが、これはマリウスが事前にグインたちと打ち合わせていたことで、すぐにマーロールによって救助されドーカスの自宅に匿われる。〈水神祭り〉の終了間際にグインたちと合流し、タイスを脱出する。 パロに到着した後は女王リンダに暖かく迎えられ、同じ男を好きになった者同士として仲良くなろうとリンダに言われる。このときフロリーは恐れ多いこととして丁重に辞退したが、ヤガへの出発当日にリンダの銀のペンダントと自身のミロクの首飾りを交換し合った。その後、パロの古代機械によって記憶を修正されたグインと別れ、スーティを連れてミロク教の聖地ヤガへ旅立った。 そして、ヨナたちがヤガに到着する半月ほど前にヤガに到着すると、菓子の屋台を経営して暮らしていたが、ヤガの新興勢力《新しきミロク》とは距離を置いていた。そしてヨナと再会した数日後に、屋台を訪れた下級魔道師サリウからクリスタルとイシュトヴァーンの現状を聞き、事態の急変も相まって迎えに来たスカールたちと共にヤガを脱出しようとするが、途中で《新しきミロク》の泥の怪物に遭遇してしまい、スーティをスカールとブランに託した後、《新しきミロク》に捕らえられた。 スーティ・ラゲイン(小イシュトヴァーン) 2歳半になる男児。父はゴーラ王イシュトヴァーン。母はアムネリスの元侍女フロリー。異母弟にゴーラ王太子ドリアン。イシュトヴァーンと一夜をともにした後にトーラスを出奔したフロリーが、モンゴールの山中にあるミロク教徒の集落で産み落とした。本名は、父の名をもらってイシュトヴァーン。愛称スーティはイシュトヴァーンの幼いころの愛称イシュティが転じた呼び名である。父譲りの黒髪、黒い瞳の持ち主で、なかなかに気が強く、幼児としては抜群の落ち着きと判断力を備えてもおり、将来の大物を予感させる存在である。その性格と運命から、グインに我が子のように愛され、スーティもまたグインを《豹のおいちゃん》として慕っている。母フロリーとともに、偶然出会ったマリウスやグインらとともに、パロへ向かう。その後、フロリーと共にミロク教の聖地ヤガへ旅立った。 そしてヤガに到着すると、母の提案で「ティティ」という愛称で暮らしていたが、事態の急変に伴い母やスカールたちに連れられてヤガを脱出しようとするが、途中で母フロリーが泥の怪物に捕まってしまい、母と引き離されてしまう。そしてスカールと再会したブランと共にヤガ郊外に脱出し、現在は彼らに保護されている。なお、ヤガ脱出後に突如現れたグラチウスによれば、スーティを「恐るべきエネルギーを秘めた運命の子」と評している。 オロ モンゴールの首都トーラスの居酒屋〈煙とパイプ亭〉を経営するゴダロ、オリー夫婦の長男。弟にダン。徴兵されて軍人となり、辺境のスタフォロス城に配属された。青い目を持つ長身の勇敢な青年で、正義感にあふれ、民間の出である割には、剣の腕前はなかなかのものである。グインがスタフォロス城に囚われた際、城主ヴァーノンの命により素手で大白猿と戦わされた際には、城主の罰をも恐れずに、グインに剣を投げ与えて助けた。その後、スタフォロス城がセムのカロイ族の襲撃を受けた際にも、グインを助けて戦ったものの、カロイ族の斧を背に受けて絶命した。その際、グインに託されたトーラスの父母へあてた遺言を、数年後にグインが〈煙とパイプ亭〉を訪れて伝える。 ゴダロ一家 トーラスの下町・アレナ通り十番地の居酒屋〈煙とパイプ亭〉を経営する一家。ゴダロ、オリーの老夫婦と、その次男ダン、ダンの妻アリス、それにダンとアリスの間に誕生した男女の双子からなる。物語当初はゴダロとオリーの夫婦が店を切り盛りしていた。第二次黒竜戦役後、クム兵に暴行を受けてゴダロが失明してからは、やはり第二次黒竜戦役で片足を失ったダンが中心になって店を切り盛りするようになった。店の名は、元気だったころのゴダロが好んでふかしていた大きな水パイプに由来する。名物はオリー特製の肉まんじゅうとパイ包みの壷シチュー。物語における庶民の代表的な存在だが、マリウスとオクタヴィアが義理の息子・娘としてこの店に滞在していたり、カメロンとグインがこの店で初めて対面を果たすなど、中原の施政の中心たる重要人物との関わりも極めて深い一家である。 ルグルス モンゴールの伝令で、アグラーヤに潜入した間諜。アンダヌスたちの密約が記された重大な密書を持っていたが、アグラーヤ兵に見つかってしまう。逃亡途中にアグラーヤ兵に発見され致命傷を負うが、イシュトヴァーンに助けられ彼が傭兵だと告げられると、ヴラド大公に届けるように頼み込んで密書を託して死亡した。
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