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三省堂 大辞林

三省堂三省堂

くいもの くひ― 3 【食(い)物】

(1)食べるもの。食べ物
「―屋」

(2)自分利益のために、利用悪用するものや人。
他人土地を―にする」
(3)調理すること。
つとめて、―する所を見れば、まことに青き羊のくび白きあり/宇治拾遺 13

じきもつ 【食物】

(1)食べ物。しょくもつ。
「人、―を持て来たり/今昔 11

(2)食事
「―の時、大小便利の時を除ては/今昔 15

しょくぶつ 【食物】

「しょくもつ(食物)」に同じ。[日葡

しょくもつ 2 【食物】


はみもの食物】

食べるもの。しょくもつ。[日葡



物語要素事典

物語要素事典物語要素事典

食物

★1.異郷の食物を口にすると、現世に戻れなくなる。

古事記上巻  イザナミ火の神を産んだために、身体を焼かれて黄泉の国へ去った。夫イザナキ連れ戻しに行くが、その時すでにイザナミ黄泉の国の竈(かまど)で煮炊きした物を食べており、現世に戻れなくなっていた〔*日本書紀巻1・第5段一書第6に同様の記事〕。

デメテルへの讃歌  冥王ハデスさらわれたペルセポネは、すすめられるままにざくろの実を口にする。そのため彼女は、巡り行く年三つ分け一季(冬)を、冥界ハデスの館で暮らさねばならなくなった〔*ギリシア神話アポロドロス)第1巻第5章に同様の記事変身物語オヴィディウス)巻5では、プロセルピナペルセポネはざくろの実を七粒食べたため、一年のうち六ヵ月冥界で暮らすことになった、と記す〕。

イザナミペルセポネも、ともに冥界の食物を口にするのだが、イザナミ冥界の火で煮炊きした物を食べ、ペルセポネは生のざくろを食べた、という違いがある。

★2.異郷の食物を、食べずにいる。

今昔物語集9-31  県令である智感という男が、冥府権官(ごんかん。仮りの役人)に任ぜられ、裁判所書記三年勤めた。彼は毎日、昼は現世県令として仕事をし、夜は冥府へ行って裁判従事した。智感が冥府酒食を口にしようとすると、冥官が「君は権官だから、食べてはいけない」と言って止めた。

諏訪本地御伽草子)兼家系  甲賀三郎兼家は地底異郷落ち入り人里求めて歩くうちに、粟畑中にやぐらを作って鹿を追う翁と出会う。翁は、「ここは維縵国であり、もし汝が再び日本に帰ろうと思うならば、この国の物を一口も食うな」と教える。

ドイツ伝説集』グリム533「ヴィルテンベルクの城に仕え騎士ウルリヒ」  騎士ウルリヒは狩りに出て道に迷い、馬に乗った死者一行出会う。彼は一行宿泊地までついて行くが、一人婦人から、すすめられた食事には一切手をつけないよう言われる

山城国風土記逸文  宇治の橋姫が、行方知れずの夫を尋ね海辺へ行く。老女の家で問うと「その人龍神の婿になっているが、龍宮の火で煮炊きしたものを忌んで、ここで食事をする」と教えられる。隠れ見ていると、夫が龍王の輿に乗って来て食事をする。橋姫は夫と言葉を交わして泣く泣く別れるが、後には、異郷のものを食べなかったおかげで、夫は戻って来て彼女と一緒になった。

山の音川端康成)「蝉の羽」  六十二歳尾形信吾は、死んだ知人から、ざるそば御馳走になる夢を見る目覚めてから「死人に出されたものを食うと死ぬのだろうか」と思うが、どうも食べないで目が覚めたようであった。

★3.神の国の食物を口にすれば神の仲間になる。

『アダパ物語古代アッカド)  エア神の手で造られた人間アダパが、天上アヌ神の所へ行く。前もってエア神が「天上で出された物を飲み食いてはならない」と忠告しておいたので、アダパは何にも手をつけない。そのため彼は神になる機会を逃し、人間のまま地上に戻って来る。

黄金のろば』アプレイウス)第6巻  人間の娘であるプシュケと、愛の神エロス(クピード)との結婚を、ゼウス認める。ゼウスメルクリウスに命じ、プシュケ天上に連れて来させる。彼女はアムブロシアを食べ、ネクターを飲んで、永遠の命を得て神々仲間入りをする。

★4.冥府鬼神などが人間界の食物を食べる。

太平広記325所引『甄異記』  夏侯文規は、死後一年して家に現れた。彼は「北海大守」と称し、従者が数十人いた。家人食事用意すると食べ尽くして去ったが、後に見ると、器の中はもとどおり食物が満ちていた。

*→〔死神〕2。

*→〔星〕2の『捜神記』巻3-6

★5.食物を呪う

あいごの若説経)5段目  愛護の若は、穴太の里でを食べて老婆に打たれ、麻の中に隠れようとしてまた打たれる。「穴太の里になるな。麻はまくともになるな」と愛護の若呪うと、それ以来はならずもできなくなる。

マタイによる福音書21章  イエス空腹感じいちじくの木のところへ行ったが、その木には実がなかった。イエスが「今後いつまでも、お前には実がならないように」と言うといちじくの木はたちまち枯れたので、弟子たちは驚いた〔*マルコ11章では、翌朝早く、木が枯れているのを弟子たちが見る〕。

★6.食物を多くの人に与える。

黄金伝説3「聖ニコラウス」  聖ニコラウスサンタ・クロース)が司教をしていた地方に、飢饉が起こった。彼は寄港している商船から少量小麦をもらい、二年の間その土地すべての人々分け与え続けたが、小麦はなくならなかった。種まきにする分もたくさん残った

マタイによる福音書14章  イエスは、わずか五つのパンと二匹のを、五千人に分け与えた。皆は満腹し、パンくず残りを集めると、十二の籠にいっぱいになった。

*→〔無尽蔵〕1の『捜神記』巻1-18

★7.妖怪の類に化かされて、糞尿などを食べさせられる

聊斎志異巻6-234「山神」  男が山を歩き地面敷物をしいて酒を飲む数人を見る。男は宴席引き入れられ、楽しく飲食するが、酒の味が薄くて渋かった。そこへ山神が来たので、皆は逃げ去った。男がよく見ると、小便を入れた陶器と、蜥蜴を盛った瓦があるだけだった。

*→〔穴〕7の『九郎』(落語)・〔〕4の『東海道中膝栗毛』4編上・〔5aの『王子の狐』(落語)に関連記事

★8.目前ありながら食べられない食物。

ギリシア神話アポロドロス摘要第2章  地獄に落とされたタンタロス湖中にあり、果実のなった木をそばに見ながら罰せられている。彼のあごに触れているが、飲もうとすると乾いてしまい、果実を取ろうとすると、風で吹き上げられる。

変身物語オヴィディウス)巻11  ミダス王が手でパン触れると、それはたちまち固くなった。料理を噛み砕こうとすると、歯に当るのは金箔だった。葡萄酒を飲めば、口に流れ込むのは溶けた黄金だった→〔願い事〕3。

異郷の食物を食べて長寿を得る→〔長寿〕に記事

*人が一生の間に食べる量。余命指標としての食物→〔寿命〕4bの『太平広記』巻98所引『宣室志』・『聊斎志異』巻7-280「禄数」。



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食品

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/01/04 13:17 UTC 版)

(食物 から転送)

食品(しょくひん、食べ物、: food: alimentum)とは、栄養素の摂取や嗜好を目的とした飲食物を指す。




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