食事 回数

食事

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/28 18:16 UTC 版)

回数

西洋では、1800年ごろまで1日2食であったという[7]

食事の回数自体には固執せず、「空腹を感じたら食べる」ようにする場合もある。

日本

20世紀前半、国立栄養研究所での実験と、栄養学に基づく研究から、「1日3食」が推奨された[8]。それまでは「1日2食」であり、それぞれ「朝餉」と「夕餉」と呼んだ[8]

フランシスコ・ザビエル1549年頃に書いた報告書には「日本人は1日に食事を3回する」とある[9]戦国期当時、戦場では1日3食であった。30日間までは、食料は自己負担だが、30日を過ぎて長期戦となると、軍=大名からの支給制へと移り、1日の消費量は、1人につき6合分(約900グラム)支給されていた[10]。一回の食事につき、米2合分(約300グラム)ということになる(米だけで1日の摂取エネルギーが3204kcalにもなり、も支給されていた)。夜戦の際には増配された[10]

江戸時代に庶民が1日3食を取るようになったのは元禄年間(17世紀末)からとされる[11]。牢中の囚人に対する食事の回数は身分によって違い、江戸市中小伝馬町牢屋敷では、庶民は朝夕の2回に対し、武士は朝昼夕の3回で、罪人であっても地位によって待遇に差があった[12]。17世紀の日本において1日3食が広まった理由として、「照明が明るくなった町の商舗経営の長時間化が刺激になった」とも考えられており[13]、身分・職種(力士)によっては2食が残った[14]。庶民3食化のきっかけについては、「明暦の大火(17世紀中頃)後の復旧工事に駆り出された職人に昼食を出したところ、広まった」ともいわれている[15]。他にも1日3食を記録した例として、幕末忍藩下級藩士が記した絵日記である『石城日記』があり、朝昼夕とその日に食した内容が細かく記述されている(日付によっては、3食とも茶漬けとある)。なお『石城日記』では昼食を「午飯」と記している。

農家においては農繁期になると、1日の食事が4 - 5回に増える(後述書 p.37.)。一例として、昭和期の埼玉県秩父地方では、朝飯前の「茶がし」、次いで「朝飯」、午前10時に「四つ飯」、「昼飯」、午後3時のお茶を「こじゅうはん」(オチャゾッペエ・ニハチとも)、「ようめし」、夜なべの後の「夜食」といった具合に、3食以上となっており、3度の食事は「ご飯、または、おまんま」と呼んで区別している(倉林正次 『11日本の民俗 埼玉』 第一法規 1972年 p.37.)。

現代では、朝食昼食夕食、計3回食事を摂る習慣が一般的となっている。昼間に活動し、夜間は眠るという通常の生活サイクルに合わせたものであるが、夜食を摂る場合や、朝食や昼食の間、昼食から夕食の間に間食を摂る場合もある。


注釈

  1. ^ 視床下部にある。

出典

  1. ^ a b 大辞林
  2. ^ 『専門医がやさしく教える自律神経失調症』PHP研究所、2004、ISBN 4569661912, p.201、「よくかむことも心身を健康に保つ秘訣」という節
  3. ^ 吉田宗男「親鸞における肉食の意味」『印度學佛教學研究』第47巻第1号、日本印度学仏教学会、1998年、213-215頁、doi:10.4259/ibk.47.213ISSN 0019-4344NAID 1300040267202021年4月1日閲覧 
  4. ^ 安井広済「入楞伽経における肉食の禁止--はしがき・梵文「食肉品」和訳・梵文訂正」『大谷学報』第43巻第2号、大谷学会、1963年12月、1-13頁、ISSN 02876027NAID 120005837524 
  5. ^ a b 頼住光子「仏教における「消費」 : 「食」の観点から」『お茶の水女子大学比較日本学教育研究センター研究年報』第8号、お茶の水女子大学比較日本学教育研究センター、2012年3月、181-185頁、NAID 400193129462021年4月1日閲覧 
  6. ^ 藤井正雄 『仏教早わかり事典』 日本文芸社 1997年 p.28.
  7. ^ 小田裕昭、加藤久典、関泰一郎『健康栄養学』 共立出版、2005年4月。ISBN 978-4320061538
  8. ^ a b 佐伯芳子 『栄養学者佐伯炬伝』 玄同社 1986年 ISBN 978-4-905935-19-3 p.158.
  9. ^ Canadian Libraries The life and letters of St. Francis Xavier (1872) vol.2、p.218
  10. ^ a b 山口博 『日本人の給与明細 古典で読み解く物価事情』 角川ソフィア文庫 2015年 ISBN 978-4-04-409224-5 p.189.
  11. ^ 「歴史ミステリー」倶楽部 『図解! 江戸時代』 三笠書房 2015年 ISBN 978-4-8379-8374-3 p.206.また、石毛直道『日本の食文化史 旧石器時代から現代まで』(岩波書店)においても、「全国的に1日3食化したのは17世紀末」としている。
  12. ^ 同『図解! 江戸時代』 三笠書房 2015年 p.122.
  13. ^ 深谷克己 『江戸時代』 岩波ジュニア新書 第3刷2001年(1刷2000年) ISBN 4-00-500336-2 p.84.
  14. ^ 同『江戸時代』 岩波ジュニア新書 2001年 p.85.
  15. ^ 水戸計『教科書には載っていない 江戸の大誤解』 彩図社 2016年 ISBN 978-4-8013-0194-8 p.179.
  16. ^ 柴田明夫 経歴など
  17. ^ 柴田明夫著『食料争奪』 2007年7月 ISBN 978-4532352677
  18. ^ 『食料争奪』柴田明夫 日本経済新聞社 2007年7月






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