山下敬吾 棋風

山下敬吾

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/24 23:30 UTC 版)

棋風

深い読みに裏打ちされた好戦的なスタイル。接近戦を得意とし、序盤は位の高い碁を志向する。近年では、よりオーソドックスな布石で地に辛くなりつつある。

かつては初手天元5の五など意欲的な手を打つことも多く、特に2000年の碁聖戦では、挑戦者決定トーナメントから挑戦手合五番勝負まで5の五を多用して注目を集めた。その後はトーナメント上位での対局が増え、そのような大胆な布石はあまり見られなくなった。

しかし2020年のNHK杯二回戦では、白番にもかかわらず5の五を打ち、見事に伊田八段に勝利した。その日の「今日の私の一手」で「二手目(5の五)です」と言って話題をさらった。この他にも、NHK杯では白番でタスキ星から天元を打つ「斜め三連星」や白番で初手天元など、ユニークな布石を披露している。

雅号

2010年8月20日、本因坊位初獲得の就位式において、雅号を「道吾」とすることを発表した。雅号の由来は、歴代本因坊の1人本因坊道策と、自身の出身地である北海道から「道」を取り[20]、本名の敬吾から「吾」の1文字を取って合わせたものである。

2手目天元

2000年の新鋭トーナメント戦決勝。高尾紳路と対戦。第一着に自分が得意とする5の五を打たれると、山下はほとんど例のない白2手目での天元打ちで対抗。さらに高尾が3手目に5の五を打つという冒頭から激しい空中戦を繰り広げた一局として話題になった(山下勝ち)。この碁はその後マンガ「ヒカルの碁」でも進藤ヒカル-社清春戦の棋譜として用いられた。

年表

  • タイトル戦の欄の氏名は対戦相手。うち、色付きのマス目は獲得(奪取または防衛)。青色は挑戦者または失冠。黄色はリーグ入り。
  • 棋道賞は、 : 最優秀棋士賞、 優 : 優秀棋士賞、 特別 : 特別賞、
    率 : 勝率一位賞、 勝 : 最多勝利賞、 対 : 最多対局賞、 連 : 連勝賞、
    国際 : 国際賞、 新人 : 新人賞、 哉 : 秀哉賞
  • 賞金&対局料は、年度区切りではなく1月 - 12月の集計。単位は万円。色付きの年は全棋士中1位。
棋聖 十段 本因坊 碁聖 名人 王座 天元 棋道賞 賞金対局料 備考
棋聖戦
1-3月
十段戦
3-4月
本因坊戦
5-7月
碁聖戦
6-8月
名人戦
9-11月
王座戦
10-12月
天元戦
10-12月
1997 率 多
新人
1998 勝 多
1999 本戦決勝進出 2177 (10位)
2000 本戦決勝進出 小林光一
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優 勝 多 2178(8位)
2001 3位 小林光一
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1866(12位)
2002 2位 3位 本戦決勝進出 2549(11位)
2003 王立誠
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本戦決勝進出 3位 依田紀基
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羽根直樹
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7787(2位)
2004 羽根直樹
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陥落 4位 張栩
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羽根直樹
ooo
優 多 5710(3位)
2005 1位 プレーオフ 張栩
xxx
河野臨
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2824(6位)
2006 羽根直樹
oooo
趙治勲
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本戦決勝進出 2位 張栩
xooo
河野臨
xoxx
 多 8224(2位)
2007 小林覚
oooo
趙治勲
xxoox
陥落 今村俊也
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河野臨
oxxx
7832(2位)
2008 趙治勲
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3位 張栩
oxxx
張栩
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6064 (2位)
2009 依田紀基
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3位 張栩
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7049(3位)
2010 張栩
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張栩
xxx
羽根直樹
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本戦決勝進出 結城聡
xxx
優 勝
連 多
8617(2位)
2011 1位 本戦決勝進出 羽根直樹
oooxxxo
井山裕太
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8970(2位)
2012 2位 井山裕太
xxooxox
本戦決勝進出 羽根直樹
oxxooxo
5799(3位)
2013 2位 2位 井山裕太
oxxxx
本戦決勝進出 3063(4位)
2014 井山裕太
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プレーオフ プレーオフ 3077(4位)
2015 井山裕太
xxxooox
井山裕太
xxxox
井山裕太
xoxx
プレーオフ 4212(2位)
2016 井山裕太
xxxx
3位 本戦
決勝進出
3位 本戦
決勝進出
2969(6位)
2017 Sリーグ
2位
ベスト4 3位 井山裕太
xxx
2位 本戦
決勝進出
2181(5位)
2018 Sリーグ
2位
井山裕太
oxxxx
3位 井山裕太
xoxox
(4位)
2019 井山裕太
xoxxoox
ベスト4 陥落 5位 (6位)
2020 Sリーグ
5位降格
6位 (6位)
2021 Aリーグ
2位昇格
ベスト8 4位
2022 Sリーグ
6位降格
3位 (8位)
2023 Aリーグ
1位挑決進出
4位
2024 Sリーグ
5位降格
ベスト4 リーグ
棋聖 十段 本因坊 碁聖 名人 王座 天元 棋道賞 賞金 備考

  1. ^ これまでの最多記録は趙治勲名誉名人と小林光一名誉棋聖、小林と加藤正夫名誉王座の10回
  1. ^ 21歳の山下、最年少の碁聖に 初の公式タイトル
  2. ^ 日本棋院 第1回ワールドマインドスポーツゲームズ(WMSG)
  3. ^ 山下が3年連続棋聖戦挑戦者に【第40期棋聖戦挑戦者決定トーナメント】・ 山下敬吾九段 最年少900勝
  4. ^ 第42期 棋聖戦
  5. ^ 山下敬吾九段が挑戦者に!【第73期本因坊戦挑戦者決定リーグ最終一斉対局】”. 2018年5月3日閲覧。
  6. ^ 第73期 本因坊戦
  7. ^ 第44期 天元戦
  8. ^ 山下敬吾九段が囲碁棋聖戦の挑戦権獲得、通算1000勝達成
  9. ^ 山下棋聖戦挑戦者に! 同時に通算1000勝を達成【第43期棋聖戦挑戦者決定変則三番勝負】
  10. ^ 井山天元挑戦者に山下九段 7大タイトル戦歴代最多
  11. ^ 第44期 棋聖戦”. 2022年9月28日閲覧。
  12. ^ 第45期 棋聖戦”. 2022年9月28日閲覧。
  13. ^ 第46期 棋聖戦”. 2022年9月28日閲覧。
  14. ^ 第47期 棋聖戦”. 2022年9月28日閲覧。
  15. ^ a b 今週の本棚:好きなもの=山下敬吾 - 毎日jp・2012年4月8日
  16. ^ 囲碁名人戦七番勝負 第5局1日目ダイジェスト - 朝日新聞デジタル・2013年10月16日
  17. ^ 囲碁名人戦7番勝負 第1局2日目 - 朝日新聞デジタル・2011年9月2日
  18. ^ 本因坊戦:先番・山下で第70期開幕 - 毎日jp・2015年5月13日
  19. ^ https://twitter.com/migodojo/status/603026706551558144
  20. ^ 就位式で山下本因坊 「道吾」の号を披露”. asahi.com(朝日新聞社) (2010年8月26日). 2012年1月21日閲覧。
  21. ^ 旭川市「栄誉をたたえて表彰者一覧」
  22. ^ 旭川市「旭川市新人奨励賞受賞者一覧」
  23. ^ 北海道「栄誉をたたえて受賞者」
  24. ^ 旭川市「こうほう旭川市民」平成15年5月号
  25. ^ 北海道「栄誉賞受賞者」


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