十段_(囲碁)とは? わかりやすく解説

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十段 (囲碁)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/03 09:46 UTC 版)

十段戦
公式戦(七大タイトル)
正式名称 大和ハウス杯 十段戦
前身 早碁名人戦
概要
主催 産経新聞社日本棋院関西棋院
特別協賛 大和ハウス工業株式会社
協賛 テイケイ(64期より)
優勝賞金 700万円(63期まで)
600万円(64期より)
挑戦手合 五番勝負
棋戦形式 20名による本戦トーナメントで挑戦者決定
持ち時間 3時間
秒読み 5分前より
創設年 1961年
開催時期 挑戦手合: 3-4月
本戦: 前年10月-1月
公式サイト 日本棋院 十段戦
記録
現十段 芝野虎丸(第63期)
名誉称号 不在
最多優勝 加藤正夫(7期)
最長連覇 加藤正夫、王立誠(4連覇)
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十段(じゅうだん)は、囲碁棋戦の一つである十段戦で優勝した棋士に贈られるタイトル。日本棋院および関西棋院の昇段制度(初段~九段)とは別個に運営される、独立した称号である。棋戦としての正式名称は、大和ハウス杯十段戦

十段戦

1961年創設。前身は早碁名人戦産業経済新聞社及び日本棋院関西棋院主催。

優勝賞金は1500万円であったが、2011年より1200万円に改められ、それに伴いタイトルとしての序列は4位から6位に下がった。さらに50期(2012年)からは750万円に改められ、序列も7位に後退した。翌51期(2013年)には700万、さらに64期には600万となっている。

挑戦手合であり、持ち時間は2002年まで5時間、2010年まで4時間、2011年より3時間。

第49期まで七大タイトル戦では唯一、敗者復活戦方式がとられた。16名からなるトーナメント戦で、一度敗退した者は敗者組トーナメントに回り、その優勝者と本戦トーナメント優勝者とで挑戦者決定戦をおこなった。挑戦者はタイトル保持者と五番勝負をおこない、優勝者を決めた。本戦トーナメントで2勝以上した8名は次期にシードされ、予選勝ち抜きの8名とともに挑戦者決定トーナメントを戦った。

第50期からは20人による単純トーナメント方式で、挑戦者を決定している。

2011年より森ビルが協賛し、森ビル杯十段戦という正式名称になった。また2021年からは大和ハウス工業が協賛企業となり、大和ハウス杯十段戦に変更された[1]

しくみ(第49期まで) 

予選A

  • 東京予選
    • 予選B・C勝ち上がり26名、シード棋士によるトーナメント。
  • 関西・中部予選
    • 予選B・C勝ち上がり10名、シード棋士によるトーナメント。

最終予選

  • 東京と中部・関西の予選Aの勝ち上がり18名(東京13名、関西・中部5名)、シード棋士14名によるトーナメントによって本選出場者8名を決める。

本選トーナメント

  • 最終予選勝ちあがり8名、前期ベスト4、敗者復活2回戦勝者4名の計16名による2敗失格制トーナメント。優勝者が十段位との5番勝負を行う。

昇段規定

  • 六段以下の棋士が、十段挑戦権を獲得した場合、七段に昇段する。
  • 七段の棋士が十段位を獲得した場合、八段に昇段する。
  • 八段で、他のタイトルを1期獲得している棋士が十段を獲得した場合、九段に昇段する。

歴代十段位

棋士 生年 初奪年 通算
1 橋本宇太郎 (1907-02-27) 1907年2月27日 1962 2期
2 半田道玄 (1915-10-25) 1915年10月25日 1963 1期
3 藤沢朋斎 (1919-03-09) 1919年3月9日 1964 1期
4 高川格 (1915-09-21) 1915年9月21日 1965 1期
5 坂田栄男 (1920-02-15) 1920年2月15日 1966 5期
6 大竹英雄 (1942-05-12) 1942年5月12日(82歳) 1969 5期
7 橋本昌二 (1935-04-18) 1935年4月18日 1974 1期
8 林海峰 (1942-05-06) 1942年5月6日(82歳) 1975 1期
9 加藤正夫 (1947-03-15) 1947年3月15日 1976 7期
10 趙治勲 (1956-06-20) 1956年6月20日(68歳) 1982 6期
11 小林光一 (1952-09-10) 1952年9月10日(72歳) 1984 5期
12 武宮正樹 (1951-01-01) 1951年1月1日(74歳) 1990 3期
13 依田紀基 (1966-02-11) 1966年2月11日(59歳) 1995 2期
14 彦坂直人 (1962-03-17) 1962年3月17日(63歳) 1998 1期
15 王立誠 (1958-11-07) 1958年11月7日(66歳) 2001 4期
16 高尾紳路 (1976-10-26) 1976年10月26日(48歳) 2008 2期
17 張栩 (1980-01-20) 1980年1月20日(45歳) 2009 2期
18 井山裕太 (1989-05-24) 1989年5月24日(35歳) 2011 6期
19 結城聡 (1972-02-11) 1972年2月11日(53歳) 2013 1期
20 伊田篤史 (1994-03-15) 1994年3月15日(31歳) 2015 1期
21 村川大介 (1990-12-14) 1990年12月14日(34歳) 2019 1期
22 芝野虎丸 (1999-11-09) 1999年11月9日(25歳) 2020 3期
23 許家元 (1997-12-24) 1997年12月24日(27歳) 2021 2期
連覇数
連覇数 棋士 期間
4 加藤正夫 1976-79
王立誠 2001-04
3 坂田栄男 1966-68
小林光一 1984-86
武宮正樹 1990-92
趙治勲 2005-07
井山裕太 2016-18
2 坂田栄男 1972-73
大竹英雄 1980-81
1993-94
趙治勲 1988-89
依田紀基 1995-96
小林光一 1999-00
張栩 2009-10
井山裕太 2011-12
許家元 2021-22

歴代挑戦手合

◯●は勝者から見た勝敗、網掛けはタイトル保持者。第1期は決勝五番勝負。

開催年 優勝 勝敗 準優勝
1 1962 橋本宇太郎 3-1 半田道玄
2 1963 半田道玄 3-1 橋本宇太郎
3 1964 藤沢朋斎 3-2 半田道玄
4 1965 高川格 3-1 藤沢朋斎
5 1966 坂田栄男 3-1 高川格
6 1967 坂田栄男 3-2 藤沢朋斎
7 1968 坂田栄男 3-1 藤沢秀行
8 1969 大竹英雄 3-0 坂田栄男
9 1971 橋本宇太郎 3-2 大竹英雄
10 1972 坂田栄男 3-2 橋本宇太郎
11 1973 坂田栄男 3-0 高木祥一
12 1974 橋本昌二 3-1 坂田栄男
13 1975 林海峰 3-0 橋本昌二
14 1976 加藤正夫 3-2 林海峰
15 1977 加藤正夫 3-0 坂田栄男
16 1978 加藤正夫 3-1 林海峰
17 1979 加藤正夫 3-1 橋本昌二
18 1980 大竹英雄 3-0 加藤正夫
19 1981 大竹英雄 3-2 橋本昌二
20 1982 趙治勲 3-1 大竹英雄
21 1983 加藤正夫 3-2 趙治勲
22 1984 小林光一 3-2 加藤正夫
23 1985 小林光一 3-0 大竹英雄
24 1986 小林光一 3-0 武宮正樹
25 1987 加藤正夫 3-1 小林光一
26 1988 趙治勲 3-2 加藤正夫
27 1989 趙治勲 3-0 林海峰
28 1990 武宮正樹 3-2 趙治勲
29 1991 武宮正樹 3-2 趙治勲
30 1992 武宮正樹 3-1 小林光一
31 1993 大竹英雄 3-1 武宮正樹
32 1994 大竹英雄 3-2 小林光一
33 1995 依田紀基 3○○○0 大竹英雄
34 1996 依田紀基 3-1 王立誠
35 1997 加藤正夫 3○●●○○2 依田紀基
開催年 優勝 勝敗 準優勝
36 1998 彦坂直人 3●○○●○2 加藤正夫
37 1999 小林光一 3○○○0 彦坂直人
38 2000 小林光一 3○○○0 中野寛也
39 2001 王立誠 3●○●○○2 小林光一
40 2002 王立誠 3○●○●○2 武宮正樹
41 2003 王立誠 3○●○●○2 高尾紳路
42 2004 王立誠 3○●○○1 張栩
43 2005 趙治勲 3○●●○○2 王立誠
44 2006 趙治勲 3○○●○1 山下敬吾
45 2007 趙治勲 3○○●●○2 山下敬吾
46 2008 高尾紳路 3○○○0 趙治勲
47 2009 張栩 3●○○○1 高尾紳路
48 2010 張栩 3○○○0 山下敬吾
49 2011 井山裕太 3●○●○○2 張栩
50 2012 井山裕太 3○○●○1 張栩
51 2013 結城聡 3●○○●○2 井山裕太
52 2014 高尾紳路 3○●●○○2 結城聡
53 2015 伊田篤史 3●○○●○2 高尾紳路
54 2016 井山裕太 3○○●○1 伊田篤史
55 2017 井山裕太 3○○●○1 余正麒
56 2018 井山裕太 3○○○0 村川大介
57 2019 村川大介 3●○○○1 井山裕太
58 2020 芝野虎丸 3○●○○1 村川大介
59 2021 許家元 3○●○●○2 芝野虎丸
60 2022 許家元 3○○○0 余正麒
61 2023 芝野虎丸 3○●○○1 許家元
62 2024 井山裕太 3●○●○○2 芝野虎丸
63 2025 芝野虎丸 3○○○0 井山裕太

名誉十段

十段を5連覇、または通算10期以上獲得した棋士は、引退後もしくは60歳以後に名誉十段を名乗る権利を得る。

ただし、現在のところ4連覇(加藤正夫王立誠)、通算7期(加藤正夫)が最高で、有資格者は出ていない。七大タイトルのうち、名誉称号保持者がいないのは十段戦のみである。

脚注

関連項目

外部リンク


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