ザク・マリンタイプ ザク・マリンタイプの概要

ザク・マリンタイプ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/27 09:12 UTC 版)

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作中の軍事勢力の一つである「ジオン公国軍」量産機「ザクII」の水中戦仕様。のちに「水陸両用MS」と呼ばれる系統の発端となった機体でもある。「水中用ザク」「水中型ザク」と呼称・表記されることもある。1985年に放送されたテレビアニメ機動戦士Ζガンダム』では、「マリン・ハイザック」という呼称で登場する。

当記事では、各派生機の解説も記述する。

機体解説

諸元
ザク・マリンタイプ(マリン・ハイザック)
ZAKU Marine Type (Marine HI-ZACK)
型式番号 MS-06M/MSM-01/MS-06MH[1]
所属 ジオン公国軍
地球連邦軍ティターンズ
製造 ジオニック
生産形態 試作機→少数量産機
全高 18.2m
頭頂高 17.5m
本体重量 43.3t
全備重量 60.8t
出力 951kW
推力 66,000kg(ハイドロジェット)
センサー
有効半径
3,200m
最高速度 45kt(水中)
武装 60mm機関砲×2
M6-G型4連装240mmサブロックガン
ブラウニーM8型4連装180mmロケットポッド×2

一年戦争時に地球に侵攻したジオン公国軍は、地球上のさまざまな地形、気候などの環境に対応したMSを開発する必要に迫られた。本機はその中でも、地表の7割を占める海洋に適応するべく開発された機体である。

当初はザクII F型をベースに開発が行われ[2][3]C型の改造機とした資料もあり[4])、浮沈のためのバラストタンク、推進用のハイドロジェットエンジンを設け、関節部分のシーリングなどの改造を受けたが、水深400メートルの水圧に耐えられる設計が要求された結果、大半のパーツが新設計に置き換えられた。武装は固定装備として頭部に60ミリ機関砲を2門、オプションとしてブラウニーM8型4連装180mmロケットポッドを胸部に設置可能。腕部携帯武器としてM6-G型4連装240mmサブロックガン(水中戦用ロケット砲)が用意されている。5機の試作機が西大西洋の潜水艦隊「シーサーペント」に配備されたが、要求性能を満たすことはできず、ザクベースの水陸機開発はここで断念されることとなる。当初の型式番号はMS-06のM型として承認されていたが、水陸用MS開発が本格化した段階で型式番号をMSM-01に変更され、2機が追加製造されている[5]。本機のデータを基にツィマッド社製の水中実験機が完成し、さらなる改良によりゴッグとして量産化が決定している。製造されたマリンタイプ7機は倉庫行きとなったが、戦争末期の地中海上陸侵攻作戦に際して全機実戦配備され、「レッドドルフィン」「シーサーペント」各部隊に2機、「グリーンサイレン」「ナーガIII」「マンタレイ」各部隊に1機ずつ送られている[5]。レッドドルフィン所属機では頭部機関砲にカバーをつけて塞いだ機体も存在する。

本機はM-1型とM-2型の2種の試作機が製造されたとする資料が存在する[6]。それによると、M-1型は耐圧性能は低いが、水中航行速度はM-2型より優れ[6]、M-2型はM-1型のテスト運用時のデータを反映し、関節部の防水シーリング、モノアイ保護用のシーリング追加など、信頼性が向上している[6]。その後、一年戦争が地球連邦軍側の勝利によって終結し、ジオン公国が所有していた多くの兵器が地球連邦軍に接収される。マリンタイプも当時残存していた全機が連邦軍の手に渡り、M-1型はダカール基地に、M-2型もニューギニア基地にそれぞれ配備された[6]とされている。なおザク・マリナーがM-1型(後述)、マリン・ハイザックがM-2型の改修機[7]とされる。

マリン・ハイザック

ザク・マリンタイプはテレビアニメ『機動戦士Ζガンダム』にマリン・ハイザック(またはマリンハイザック)の名で登場する。番組中に登場するMSV出典機で唯一名前が変更されているが、多くの資料では名前以外の差異は説明していない。
放送当時発売されたプラモデル「1/144 マリンハイザック」取扱説明書ではザク・マリンタイプとは別個の設定が与えられている。本説明書では「水中用ハイザック」の名でも掲載されており、大戦後にハイザックのプロトタイプである「RX-106」の水陸両用型として少数生産されたものとされる。旧型のMS-06Mと違い、全天周囲モニター・リニアシート化や熱核エンジンの換装・フレームの改良によって性能が向上している。
公式外伝『A.O.Z Re-Boot』にて、当初はRX-106ハイザック試作型をベースに新規開発された機体が「マリン・ハイザック」であったが、ハイザックベースの新規生産機は不採用となり、「マリン・ハイザック」の名称はそのまま、ハイザックと同型のコンポーネントを搭載したザク・マリンタイプの改良型に変更されたと設定された[8]
その他の資料での記述としては、戦後接収した機体をハイザックのコクピットに換装し、「マリン・ハイザック」の名称で呼んだとするもの[9]や、河川や港湾等の復旧・整備のニーズから、ザクII F型や陸戦型ザクIIのパーツを流用して新規に生産したというもの[10]がある。
劇中での活躍
アニメ『機動戦士Ζガンダム』では、カミーユ・ビダンらが地球上でアウドムラを拠点に行動している第18話にて登場する。カミーユの乗るガンダムMk-IIに4機がかりで挑んだが、海上に誘導して攻撃という戦法で全機撃破されている。
アニメ雑誌「ニュータイプ」の付録にシロナガスクジラの生態調査をする2機のマリン・ハイザックが描かれたイラストのポスターがあった(のちにスニーカー文庫『機動戦士ガンダム』3巻に掲載)。イラストは末弥純の手による。
漫画『機動戦士ガンダム MS IGLOO 603』では、試作水中ビーム砲「エーギル」の射撃運用実験にザク・マリンタイプが使用された。パイロットはギュンター・ローズマン曹長。
漫画『アウターガンダム』には、ザクII改に類似した形状を持つ水陸両用のザクが登場しているが、これがザク・マリンタイプのデザインをリメイクしたものなのか、ザク・マリンタイプとは別個の機種なのかは不明。マッド・アングラー級潜水母艦「ヴォークト」に艦載されており、僚機のズゴックEとともに東京都臨海部副都心で暴走するファントムシステムを搭載したジム・コマンドの鎮圧に当たっている。
小説『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』では地球連邦軍太平洋艦隊の所属機として登場。既にカラバ側に流出していたザク・マリナーと比較し、彼らの機体が旧型であることが指摘されている。
ゲームブック『機動戦士Ζガンダム ジェリド出撃命令』[1]で、マリン・ハイザックは主人公ジェリド・メサの愛機の1つとして選択可能の他、敵機としても登場する。武装の水中用ロケットガン(サブロックガン)は装弾数30発に設定され、水中では威力の上がる強力な火器としてデータ化されている。
漫画『機動戦士ガンダム サンダーボルト』では、地上のジオン残党軍、および反連邦勢力「南洋同盟」のMSとして登場。試作機であった原典とは異なり相当数が量産されており、ビームサーベルを装備している。
備考 
画稿の初出は1981年5月15日発行の『劇場版 機動戦士ガンダム アニメグラフブック』で、「深海作業用ザク」の名称で掲載。その後プラモデル企画『モビルスーツバリエーション』(MSV)の一環に組み入れられ、用途は作業用ではなく戦闘用、可潜深度は深海ではなく100m以内、と、潜水能力を有するという点と外観のデザイン以外の設定は一変させられた。
MSV展開以前の資料では、「出力低下により、戦闘には適さない作業用[11]」とされていた。

MIP社水陸両用MS実験機

漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』に登場するジオン公国軍の水陸両用MS。

ザクを原型とした水陸両用の特殊戦機。流線型の頭部が特徴。水中での低観測性を重視した機体で、音波吸収拡散能力と静粛性に極めて優れており、無音潜行が可能。その反面、運動性および機動性は通常の水陸両用MSを下回るものになっている。武装は対MS魚雷など。

一年戦争終結後もジオン軍残党として行動を続けていた特殊戦部隊であるユーコン級潜水艦「U-47」に数機が艦載されており、宇宙世紀0090年に発生したジョニー・ライデンを巡る紛争の中、大西洋で民間軍事会社「テミス」所属のラムズゴック部隊と交戦。1機が撃沈され、残存機も地球連邦軍に機密である本機が渡ることを防ぐために処分された。

元は雑誌「電撃ホビーマガジン」「ガンダムエース」およびウェブサイト「GUNDAM.INFO」共催の「『機動戦士ガンダムMSV-R』モデリングコンテスト」で最優秀賞に選出された模型作例であり、制作者はチアキ・バチスタ!!。なお、同コンテストの際に制作者によって与えられていた設定は『ジョニー・ライデンの帰還』でのものとは異なる[12]。また、「MIP社水陸両用MS実験機」という名称も同コンテストでのもので、『ジョニー・ライデンの帰還』作中では単に「特殊戦機」と呼ばれている。




  1. ^ a b 『機動戦士Ζガンダム ジェリド出撃命令』(山口宏/スタジオ・ハード、勁文社、1987年)
  2. ^ 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション 1 ザク編』77、110頁。
  3. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』128頁。
  4. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』40頁。
  5. ^ a b 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション 1 ザク編』112頁。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p プラモデル『1/144 RMS-192M ザク・マリナー』説明書、バンダイ、1986年8月。
  7. ^ 『プロジェクトファイル Ζガンダム』(SBクリエイティブ、2016年)39頁。
  8. ^ 『A.O.Z Re-Boot』Vol.42
  9. ^ 機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』329頁。
  10. ^ プラモデル『HGUC 1/144 ザク・マリナー』取扱説明書より。
  11. ^ 『講談社のポケットカード(8) 機動戦士ガンダム モビルスーツカード』より。
  12. ^ 電撃ホビーマガジン×ガンダムエース×ガンダムインフォ Presents「機動戦士ガンダムMSV-R」モデリングコンテスト、各賞結果発表! - GUNDAM.INFO。2012年3月27日、2017年1月13日閲覧。
  13. ^ 『総解説 ガンダム事典 Ver.1.5』264頁。
  14. ^ 『モビルスーツ全集(2) 水陸両用モビルスーツBOOK』双葉社、56-57頁。
  15. ^ a b 『モビルスーツ全集(2) 水陸両用モビルスーツBOOK』双葉社、110頁。
  16. ^ プラモデル『マスターグレード MS-05B ザクI』説明書、バンダイ、1999年5月。
  17. ^ 『機動戦士ガンダムUC 星月の欠片』163-165ページより。
  18. ^ a b c d e 『GUNDAM WARS II MISSION ΖΖ』大日本絵画、1987年2月、83-84頁。
  19. ^ a b モデルグラフィックス』1986年12月号、大日本絵画、32頁。
  20. ^ 型番の法則は『総解説 ガンダム事典 Ver.1.5』355頁ほか。


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