ザクム油田
【英】: zakum oilfield
アラブ首長国連邦の首都アブダビの北西方約 80km のアラビア湾(ペルシャ湾)陸棚(水深 12 ~ 18m )に位置する、同国最大の油田。 ADMA 社によって 1963 年に発見され、1967 年に下部油層からの生産が、また 1982 年末に上部油層からの本格生産が開始された。下部油層と上部油層とはあたかも別々の油田であるかのように別個に開発されたことから、それぞれ下部ザクム(ロワーザクム)油田、上部ザクム(アッパーザクム)油田と呼ばれることがある。操業会社は、前者が ADMA-OPCO 社、後者が ZADCO 社である。生産された原油は、下部油層からのものはダス島へ、下部油層からのものはジルク島へ、それぞれ海底パイプラインで送られ、処理・出荷される。日本のジャパン石油開発(株)が上下両油田に 12 %の権益を持つ。 地質区としてはアラビア卓状地に属し、集油形態はドーム構造、集油面積は約 480km2 。油層は白亜紀の石灰岩(タママ層)で、深さは下部油層(IV~VI層)が 2,400 ~ 2,650m 、上部油層(I~III層)が 2,100 ~ 2,400m 。究極可採埋蔵量は約 184 億バレルと見積もられている。原油性状は、下部が比重 40°API 、イオウ分 1.0 %、上部が比重 34 ~ 37°API 、イオウ分 1.5 ~ 2.0 %である。油層の圧力維持のため、大規模な水圧入(水攻法)が行われている。 産油量は、1987 年の数値として「下部ザクム油田約 167 万バレル/日、上部ザクム油田約 104 万バレル/日」と雑誌に掲載されたことがあるが、その後はまったく公表されていない。同時に掲載されていた 1987 年末での累計生産量は「下部ザクム油田約 12 億バレル、上部ザクム油田 3.6 億バレル」であった。 主文献『世界の大油田』(1984)、『石油地質・探鉱用語集』(1989)、“Classic Petroleum Provinces”(1990)、ZADCO “Oil & People”(1993) (齊藤 隆、2006年8月) |

ザクム油田
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/09 10:02 UTC 版)
Upper Zakum Oil Field | |
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国 | アラブ首長国連邦 |
地域 | Persian Gulf |
陸上/海上 | offshore |
運営者 | アブダビ国営石油 |
開発史 | |
発見 | 1963 |
生産開始 | 1977 |
生産 | |
原油生産量 | 500,000 バレル / 日 (~2.5×107 t/a) |
推定原油埋蔵量 | 50,000 百万バレル (~6.8×109 t) |
推定原油埋蔵量 (百万トン) |
6711 |
Lower Zakum Oil Field | |
---|---|
国 | UAE |
地域 | Persian Gulf |
陸上/海上 | offshore |
運営者 | ADNOC |
開発史 | |
発見 | 1963 |
生産開始 | 1963 |
生産 | |
原油生産量 | 425,000 バレル / 日 (~2.12×107 t/a) |
推定原油埋蔵量 | 17,200 百万バレル (~2.35×109 t) |
推定原油埋蔵量 (百万トン) |
2420 |
推定ガス埋蔵量 | 12,400 billion立方フィート (350×10 9 m3) |
ザクム油田(ザクムゆでん、Zakum Field)は、アラブ首長国連邦(略称UAE)にある油田。
概要
アブダビ沖のペルシア湾内に位置する[1]。水深は12から18mと浅く、石油プラットフォームによる採掘が行われている。発見は1963年であり、下部油層(下部ザクム油田)の採掘開始は1967年、上部油層(上部ザクム油田)は1982年からである[2]。2004年時点の生産量は、下部ザクム油田が226千バーレル/日、上部ザクム油田が500バーレル/日[3]。
日本もこの油田には開発時より関わっており、一部権益を有しているが、2010年代以降契約切れとなるため[4]、油田権益の延長が議題にあがっていた[5]。国際石油開発帝石が2018年(平成30年)3月9日付で下部ザクム油田(Lower Zakum oil field)の権益を2058年まで40年間延長する契約を結ぶことになった。アブダビ側に6億ドルを支払い、産出する原油の10パーセントを優先的に調達できる[6][7][8]。
このほか、気候変動対応及び資源採掘の観点から、油田への二酸化炭素注入[9]による原油回収率向上技術の研究・開発が行われている[10][11]。
脚注
- ^ 国際石油開発帝石株式会社 事業案内 > 中東・アフリカ
- ^ 石油天然ガス用語辞典
- ^ 石田聖 (2006年). “中東/北アフリカの石油・天然ガス・トレンド (PDF)”. 独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構. 2018年2月27日閲覧。
- ^ UAE油田開発利権めぐり争奪戦 欧米と日本 共同通信 2009年2月11日
- ^ 枝野経済産業大臣のUAE及びサウジアラビア出張結果概要について 経済産業省 平成23年10月11日
- ^ “我が国企業がアブダビ海上油田の権益を獲得しました”. 経済産業省 (2018年2月26日). 2018年2月28日閲覧。
- ^ “UAEの油田 日本企業の権益40年間延長へ”. NHK NEWS WEB. (2018年2月26日) 2018年2月28日閲覧。
- ^ “国際石油開発帝石、アラブ・アブダビ下部ザクム油田の権益取得及びサター油田・ウムアダルク油田の権益期限を延長”. 日本経済新聞. (2018年2月26日) 2018年2月28日閲覧。
- ^ 原油回収率向上のため、水が注入されることが多い
- ^ 国際石油開発帝石株式会社 環境への取り組み > 気候変動への対応
- ^ 原油増産、CO2技術がカギ 油田権益獲得の条件に 日本経済新聞 2012年9月17日
関連項目
- 上部ザクム油田
- 下部ザクム油田
- 油田の一覧
- ザクム油田のページへのリンク