自動改札機
ICカード専用改札機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 08:13 UTC 版)
2000年代以降のICカード乗車券の普及に伴い、通路をICカードでの入出場に特化した改札機が登場しており、交通系ICカード全国相互利用サービスに加入した事業者を中心に導入されている。 これらはICカードを所持しない旅客が誤って専用改札に向かい、改札の流れを乱してしまうことを防ぐため、周りをステッカーで覆ったり、本体照明でライトアップしたり、またICカード専用である旨を天井や床の矢印で案内している。ICカードの普及が進んだ近年では、ICカードではなく磁気券を使用することのできる改札機に対して色で強調した案内などをする事業者や、一部の駅改札口の改札機をすべてICカード専用に取り替えた事業者も現れている。 ICカード専用改札機の導入の背景には、以下の点が挙げられる。 ICカード乗車券のさらなる普及を目指す。 ICカード乗車券が改札通過時に起こすエラーはたいていの場合、乗客自身で解決できるため磁気券対応改札よりもスムーズな流れを期待できる。 費用の削減何回にもおよぶ乗車券投入で故障が発生しやすい従来の自動改札機に比べて、ICカード専用機であれば磁気乗車券投入口・取出口・搬送機構などを省略できるため、メンテナンス費用を大幅に削減することができる。 磁気券読み書き部がなく、内部構造が簡易であるため、導入コスト削減も期待できる。 一方視覚障害者にとっては、ICカード乗車券の残高が確認できなかったり、障害者割引の対象にならない場合があるため、磁気切符を利用することが多いが、利用しようとする改札機に視覚障害者誘導用ブロックがなく、IC専用改札機である旨の表示が墨字を除き存在しないため、ICカード専用改札機であることに「切符を投入するまでまったく気付かない」というアクセシビリティ問題も発生している。 また、一日乗車券などの企画乗車券は現在も磁気券が主流であるため、それらを使う際、限られた通路や改札口を通らなければならないという欠点も生じている。現在、鉄道業界としてICカード専用改札機の設置位置についてのルール化は行っていない。 高松琴平電気鉄道と伊予鉄道では、ICカード専用の自動改札機を設置しているが、普通券などは磁気化されておらず、有人改札を通ることになる。 自動改札機ではないが、ICカード利用エリア内にある無人駅・一部の有人駅や複数の鉄道事業者との共用駅などではICカード専用のカードリーダ・ライタとして簡易型自動改札機あるいは簡易式自動改札機を設置している。この場合、乗降車に際して対応した単機能式のカードリーダ・ライタを設置し、乗降時にそれぞれICカードをカードリーダにかざすことによって乗降(入出場)する。かざし忘れた場合、ICカードが使用できなくなったり、正規の運賃と異なる金額が差し引かれることがある。 またJR東日本の山形新幹線と秋田新幹線の有人改札の駅では、ICカード専用の簡易型ではなく一般的な自動改札機を設置している。(2017年前まではモバイルSuica特急券用の簡易改札機が設置されていた。) 日本以外では、乗車券が全面IC化されているシンガポールMRT・台北捷運・韓国の首都圏電鉄や2000年代に入ってから開業した地下鉄などでは、全駅の自動改札機がICカード専用である。また、ICカードと磁気券を併用している鉄道でも、上記理由からICカード専用改札機が設置されている。KLIAエクスプレスでは、ビザカードの非接触決済サービス「Visa Wave」を使用した、ICカード専用改札機が設置されている(交通機関用のIC乗車カードではない、一般クレジットカードの非接触決済サービスで乗車できる珍しい例)。なお、乗車券が全面IC化されている鉄道においては、出口側にIC乗車券を回収するための投入口が設けられている場合がある。
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