DOMMUNE開局後〜現在までの活動(2010- )
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「宇川直宏」の記事における「DOMMUNE開局後〜現在までの活動(2010- )」の解説
2010年3月1日。日本初のUSTREAMライブストリーミングスタジオ兼チャンネル「DOMMUNE」を個人で開局。開局と同時に記録的なビューアー数をたたき出し、国内外で話題を呼び続ける。宇川は、2009年10月から実験配信を繰り返し、辿り着いた方法論から、トーク番組とDJ番組の2つのプログラムを1日に合計5時間配信するというスタイルを編み出す。番組は月曜-木曜日にかけて平日毎日配信(開局半年間は日曜も配信していた)され、国内外の様々なゲストを呼び開催される19時から21時のトーク・プログラムと、世界各国のDJやミュージシャンが演奏する21時から24時のミュージック・プログラム(BROADJ)の2部で構成されている。宇川はDOMMUNEスタジオで日々産み出される番組の、撮影行為、配信行為、記録行為を、自らの現在美術作品と位置づける。以降、開局以来、世界各国から様々なゲストが来日のたびに出演する文化プラットフォームとして、存在し続けている。前半は、ヤン・シュヴァンクマイエル、アレハンドロ・ホドロフスキーからエルメット・パスコアール、杉本博司、横尾忠則からChim↑Pom、ライゾマティクス(真鍋大度)などのアーティストが登壇し、また養老孟司から宮台真司、脳科学者から社会学者、特殊漫画家から前衛画家まで、これまで、5千組以上の世界各国の文化人が登壇しトークを繰り広げている。また、後半は、デリック・メイ、ジェフ・ミルズ、ニーナ・クラビッツ、カールステン・ニコライから、DJ NOBU、メルツバウ、灰野敬二、ピエール・バルー、少女時代からパティ・スミス、冨田勲から坂本龍一まで、世界各国で活躍する3千組以上の、様々なジャンルのミュージシャンたちによる音楽配信を行い、ライブストリーミングを通じてソーシャルメディア上の同時体験として全世界に解放している。 2011年「Final Media DOMMUNE」として文化庁メディア芸術祭推薦作品に選出。2011年、東日本大震災を受け、DOMMUNEは震災3日後から被災地への募金を呼び掛けながら復興支援配信を重ね、世界中のビューワーから義援金を集める。その後、大友良英x和合亮一x遠藤ミチロウらが立ち上げた「PROJECT FUKUSHIMA!」に賛同し、福島支局「DOMMUNE FUKUSHIMA!」を郡山のコミュニティFMラジオ KOCOラジスタジオ内に開局。福島の現状を、福島から世界に発信する独自のメディアを目指す。7月からは、紙メディアに進出し、「DOMMUNEBOOKS」を出版社を跨いで設立。書籍を立て続けに出版し始める。 8月19日には東日本大震災復興支援イベント「FREEDOMMUNE 0〈ZERO〉」を川崎市東扇島東公園で主催するが、会場であ東扇島東公園を襲った集中豪雨によって大雨洪水警報及び雷注意報が発表され、嵐の会場で宇川は中止を決断。 冨田勲、ジェフ・ミルズ、WHITE HOUSE、非常階段、メルツバウ、フィッシュマンズ、小室哲哉、salyu x salyu with 小山田圭吾他92組が全5ステージ、連続12時間演奏する予定であった。 同年、9月10日〜10月2日。文化庁メディア芸術祭の招聘でドイツ/ドルトムントのギャラリーU内に期間限定のドイツ支局「DOMMUNE DORTMUND」を開局。また12月20日〜24日の5日、『HARAJUKU PERFORMANCE+DOMMUNE』のタイトルで、音響・映像システムをそのままラフォーレミュージアム原宿に移設し、5日間限定のサテライトスタジオを日本パフォーマンス/アート研究所と共に開設。ラフォーレで繰り広げられるトーク/ライブ番組(菊地成孔、大谷能生、東浩紀、岡村靖幸、吉田豪、冨田勲、小室哲哉、salyu × salyu with 小山田圭吾 他)をプロデュースしDOMMUNEから配信させた。 2012年7月から8月まで、渋谷-六本木間を往復する、世界初のDJブースとサテライトスタジオを設置したインタラクティブバス『ZIMA PARTY SHUTTLE』を運行。 8月11日、昨年の大雨洪水警報による中止を踏まえ、屋根のある幕張メッセ6〜8ホールに会場を移し、タイトルを「FREEDOMMUNE 0〈ZERO〉 A NEW ZERO」と改題し東日本大震災復興支援イベントの再起を果たす。ライブステージ、DJフロア x3ステージ、トークブース、ギャラリー、映画館の合計7ステージ、出演アーティストはマニュエル・ゲッチングの「E2-E4」30周年記念を兼ねた、3.11後の日本に捧ぐ「E3-E11」LIVEを筆頭に、昨年の出演アーティストのリベンジを中心に全105組。来場者数1万6千382人のフリーフェスを成功させる。なお、YouTubeとGoogle+を使って、ギャラリー、映画館を除く、全ステージを5次元ライブストリーミング中継。フェス当日の合計視聴者数は72万412ビューワー。なお、このフェスのヘッドライナーは日本文化の礎である文豪、夏目漱石の「脳」(ホルマリン漬の実物)であった。 2012年11月。 タワーレコード とDOMMUNEの共同運営で、オリジナル番組の配信を行うカルチャー・プラットフォーム〈TOWER RECORDSOMMUNE SHIBUYA〉を開設。2013年5月、方向性の違いにより共同での番組運営を解消。 2013年7月6日〜12月11日。山口市立情報芸術センターYCAMの10周年に伴い、半年間限定のYCAMとDOMMUNEのコラボレートとして、DOMMUNEの開局から現在まで蓄積してきた未公開の約2000番組(総計5000時間)を越えるアーカイブから厳選したプログラムを、山口市中心商店街の5階建て空きビル一棟を使ったインスタレーション「宇川直宏/YCAMDOMMUNE」として展開。通称DOMMUNEビル。こけら落としには山口市長とYCAM館長と宇川直宏がテープカットを担当した。DOMMUNEビル1階では、これまで放送された番組の中から、DJプレイ動画のアーカイブを公開。18時以降はカフェ機能を併設。2階では、宇川直宏本人がデザインを手がけた、これまでの番組のテロップやIDとなどのグラフィックと、数々の著名な出演者のサインや記録写真を展示。3階では、トーク番組のアーカイブを公開。また3階フロアは、山口YCAMDOMMUNEサテライトスタジオとしても機能。エキソニモ、都築響一、ヤン富田、坂本龍一、樋口泰人、イルリメ、伊藤ガビン、菊地成孔、大谷能生、坂口恭平、空族(富田克也、相澤虎之助)、山川冬樹x五所純子、灰野敬二、大友良英xSachiko Mx江藤直子=「あまちゃんアンコール/全て語ります、あまちゃん音楽制作の背景」を招聘し、山口県からの番組制作/配信を行った。1年間限定のため、2013年12月に終了した。 2013年7月11日。3回目の「FREEDOMMUNE 0〈ZERO〉 ONE THOUSAND」を2012年と同じく幕張メッセで開催。故手塚治虫をヘッドライナーとし、生前愛用した仕事机や筆記具、ベレー帽、そして『火の鳥』&『ブッダ』の生原稿を展示した。また2011年に中止となったFREEDOMMUNE 0〈ZERO〉のリベンジとして、太陽の黒点の影響から受け引き起こされる電磁波/ノイズをリアルタイムで電子音楽に取り入れる「ドーンコーラス / Dawn Chorus」を、冨田勲と、元GONGのスティーヴ・ヒレッジの共演で演出。91台のドラム隊によるパフォーマンスBOREDOMS Presents「7x13BOADRUM」を日本、そして屋内で初オーガナイズ、また、瀬戸内寂聴の90分にも及ぶ法話、そしてDIY & アナーコパンクの雄、クラス のペニー・リンボーに、"co-founders of CRASS"名義での初来日を実現させ、開催前から伝説と語られる。3台のソーシャルロボットが演奏するバンドZ-MACHINES、大友良英&あまちゃんスペシャル・ビッグバンド、トークブースには、東浩紀や津田大介、都築響一、玉袋筋太郎から柳下毅一郎、根本敬まで全6ステージ、合計93組が登場した。来場者数1万4千531人。5次元ライブストリーミング中継の総視聴数は、138万4037ビューワー。募金合計金額、¥12,016,027。 2013年9月30日、サウンドシステム構築からオーガナイズまで全てをDOMMUNE主催で執り行う、配信無しのNEWライヴシリーズ「DOMMUNELIVE PREMIUM」を東京国際フォーラムホールで始動させる。第一回目は、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのワールドプレミアムライヴ。オープニングアクトは相対性理論。 2013年12月21日〜22日『HARAJUKU PERFORMANCE+DOMMUNE』3年連続の開催。音響・映像システムをそのままラフォーレミュージアム原宿に移設し、2日間限定のサテライトスタジオを日本パフォーマンス/アート研究所と共に開設。ラフォーレで繰り広げられるトーク/ライブ番組(蓮沼執太フィル feat.坂本美雨、Open Reel Ensemble をプロデュースしDOMMUNEから配信させた。またこの日、大野松雄 とOpen Reel Ensembleとのセッションを実現させた。 2014年、マタギの集落と都市を結ぶ、575mの北秋田市阿仁根子の根子トンネルより『NEKKO FES 2014+DOMMUNE』を配信。宇川がキュレーション・番組構成・ディレクション・ストリーミングを担当する。テーマは、畏敬なる大自然とトンネルの人工的ミニマリズムの中でのアートプロジェクトの融合。出演は、七尾旅人、ハチスノイト、柊アリス、真鍋大度、安野太郎。 またこの年、『DOMMUNE University of the Arts -Tokyo Arts Circulation-』を3331 で開講。1ケ月間限定でDOMMUNEは千代田区3331に新たなるサテライトスタジオを展開。現代アーティスト100人のインタビューシリーズ 「THE 100 JAPANESE CONTEMPORARY ARTISTS」を2020年に完結させるべく、始動する。同年新フェス『DOMMUNE LIVE PREMIUM / KANDA INDUSTRIAL』3331を舞台に開催。出演アーティストは、NINA KRAVIZ、DANIEL MILLER、Oval feat.Ametsub、DJ NOBU、MOODMAN、galcid+HISASHI SAITO。同時にヘッドフォンのみで試聴するサイレントディスコスタイルのモジュラーシンセ・フェス『DOMMUNE/SILENT MODULAR WARS』を開催。 出演は、冨田勲、DANIEL MILLER、松武秀樹/Logic System、メルツバウ、Phew、DAVE SKIPPER、galcid+DORAVIDEO+齋藤久師、KYOKA、Unyo303、AXONOX、NAOKI NOMOTO、DREAMPUSHER。モジュラー黎明期からの歴史を総括する、7時間に渡るモジュラー・シンセサイザー・オンリーな実験プロジェクトとなり、またこのフェス自体を、ワイアレス・ヘッドフォン同時再生記録のワールドレコーズとして、ギネス世界記録に挑戦した。 2015年、東京都現代美術館、金沢21世紀美術館他、様々な美術館で、DOMMUNEが現代美術作品として展示され、またサテライトスタジオを美術館内に開局し、番組を配信するそのパフォーマンス自体が、パフォーミングアーツ/インスタレーションとして定着する。同年6月、宇川がオーストリア/リンツで開催されたアルスエレクトロニカのサウンドアート部門の審査委員を務める。 2015年12月、玉藻公園/披雲閣という国の重要文化財である御殿にメディアアート作品を展示するという試み『高松メディアアート・フェスティバル』が高松市の主催により開催。宇川がゼネラルディレクター、キュレーター、審査委員長に就任し「The Medium of the Spirit〜メディアアート紀元前」というコンセプトを立ち上げ、メディアアートの定義自体を問い直しつつ、世界各国のアーティストを招聘する。出演アーティスト/作品は、フランク・ザッパのクレイメーションでも有名な、ブルース・ビックフォードの生ジオラマや生クレイ、そして本人の初来日を筆頭に、死後、発見された天才写真家で15万枚以上の作品を撮り続けながらも、生前1枚も公表しなかった謎の写真家=ヴィヴィアン・マイヤー作品の日本初展示と、ヴィヴィアン作品のメディアアートとしての考察。また、オーストリア・リンツで行われている世界有数のメディアアートの祭典=アルスエレクトロニカの全面協力のもと厳選されたPRIX selectionからは、自身の腕に第三の耳を移植した、身体拡張アーティストのステラークが来日。そして、90年代、エスパー清田として、TVメディアを中心に大きなムーブメントを作った超能力者/祈人=清田益章の初展示、和田永の廃品家電蘇生最新インスタレーション、そして二度の国家による弾圧を受けながらも、大正時代からメディアに注目し続けた「大本」の開祖、出口王仁三郎の映像作品や掛け軸。更には「憑依 x こっくりさん x 人工知能」をテーマに、宇川直宏の遂に1000枚を越えた憑依サインシリーズや、岡﨑乾二郎のこっくりさんを題材にした神秘メディアアート、真鍋大度によるディープラーニング絵画作品他38組。ステレオタイプな未来像などを軽く打ち破った、血の通ったフェスを目指し、数々の逸脱した作品と、作家本人が登壇し、歴史的な奇祭として国内外で話題になる。また、DOMMUNEも披雲閣の蘇鉄の間に引っ越し、御殿の中に高松サテライトスタジオを設立。その空間から全世界に向けて、ホーメイの伝統や骨伝導マイクの発声を探求する山川冬樹や、灰野敬二、Rhizomatiks Research、BRDGらのパフォーマンスを、110日間連続ストリーミングした。 2019年3月26日、ピエール瀧の逮捕を受けて電気グルーヴ楽曲を5時間配信し、Twitterトレンドで世界4位の反響を得た。しかしフジテレビ系『バイキング』においてMC坂上忍らにより売名行為と批判され、これに対するアンサーとして4月15日、「坂上忍」楽曲のみで120分を送るプログラムを組んだ。BuzzFeed Japanの神庭亮介は番組の感想を「作品に罪がないということを2度実証してみせた」と述べた。 『DOMMUNE』により2020年度芸術選奨文部科学大臣賞。
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