卍の里
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/21 01:41 UTC 版)
大名の専属の忍び集団が増えている中で昔ながらのフリーの立場を貫く忍び集団。敵に正体を悟られる前に顔を潰して自殺する事を推奨されるなど、その掟は非常に厳しい。 ムジナ 主人公。16歳。161cm51kg。血液型A型。父親のゴキブリの遺言と死から、何があっても生き抜く事を誓う。当初は落ちこぼれの忍者に過ぎなかったが、父親から伝授された忍法・跳頭で度々窮地を乗り切り、必死の修行と数多の戦いの経験から新たな忍法を編み出したり、敵の忍法を模倣して着実に強くなって行く。徹底した自分が生き延びる事が最優先と言う思想だったが殺されそうになった満千代を助けたりと非情には徹しきれなかった。そして下女のスズメとの出会いと恋で、その思想は大きく揺れる。最終的には完全に自由になれるチャンスを捨てスズメの救出のために、単身伊賀に制圧された卍の里に乗り込む事になる。 それは「愛する者を作るな」とムジナに忠告した父親が犯した過ちと同じものであった。卍の里の潜入には成功し真の首領である服部半蔵をサジの助力もあって打ち倒しスズメの救出にも成功するが、スズメを逃がすために百名の伊賀忍者に追い詰められてしまい、ムジナは生き抜く事を諦めかける。しかし殺される間際に再び生きる決心をし、百名の伊賀忍者とかつて無いほどの死闘を演じていく(父親のゴキブリが死んだ時と同じような状況だった)。死闘の末、ムジナは片眼・片腕・片脚を失いながら辛くも伊賀忍者を全滅させ生き抜く事に成功し、同じく生き延びたスズメと喜びを分かち合った。 スズメ 何らかの障害で一切喋る事が出来ない少女。卍砦の下女として働いていた。奥目衆によるムジナ暗殺現場に偶然出くわし、ムジナと知り合い親しくなった。その後、ムジナとどんどん親密な関係になっていくが、首領によりくノ一の選別の仕込みの儀のメンバーに選ばれてしまい、そこから受難の道が続く事になった。愛らしい顔立ちに美しく強靭な肉体を持ち、厳しい拷問に耐え抜く精神力も相当な物で何度もムジナの窮地を救った事がある。服部半蔵にもその素質を見抜かれ伊賀のくノ一になるように迫られるが、本人はムジナを一途に想っており全く耳を貸さなかった。スズメが幼い頃から何度も深く傷ついた言葉(恐らく言語障害への差別用語)をムジナだけは唯一口にしなかったのもムジナを愛した大きな要因らしい。 ゴキブリ ムジナの父親。下っ端のヒラ忍者だが、いつも一人だけしぶとく生き残っている事から「ゴキブリ」と言うあだ名を付けられ、自らもそう名乗っているためにほとんど本名と化している(本名は別にある模様)。無能を装っているが忍者としての実力は非常に高く、強力な忍法・跳頭も習得している。優秀な忍者だった兄が使い捨て同然で殺され、兄の妻である義姉はそれが原因で自殺、その娘もくの一として働かされ任務で命を落としたのを目の当たりにし、とにかく何があっても生き抜く事を誓い、以後任務の成功より自分が生き延びる事を優先していた。しかしそれは「卍の里」の掟に反するものであり、首領に利用価値が無いと見限られ、任務中に敵を引きつける囮として利用され窮地に陥る。その際に致命傷を負ってしまい逃走中に死亡する。半ば自分の死を悟っていたらしく、死ぬ前日の夜にムジナに自分の信念と忍法・跳頭を伝授した。 才蔵(さいぞう) ゴキブリの歳の離れた兄。忍びの世界でその名を知らぬ者はいないと言われるほど優秀な忍者だった。だが、長く続いた激務の疲労の末に敵に捕らわれた際に、口封じのために先代首領の命令で仲間によって抹殺された。 茜(あかね) 才蔵の娘。母親が自殺した後に、先代首領によってくノ一に仕立て上げられ、スパイ活動の任務につかされる。仲間と連絡を取っているのを目撃されたため、口封じのために殺された。ちなみに殺したのは若き日の彦一。 アヤメ ムジナの母親。生前のゴキブリのことを能無し扱いしていた。シロベから首領によってゴキブリが囮に使われ殺されたと言う真相を聞かされ、その恨みから首領を暗殺しようとするが失敗。首領に強姦されながら絞殺と言う無惨な処刑法で殺される。 陣内(じんない) ムジナの友人で同じ雲組に所属する。首領の一人息子。女装しても違和感がない位の美少年。サジと並ぶ実力者と言われていた。正義感が強く、人が好すぎる面もある。父である首領の犠牲を厭わない強引な采配に疑問を持っており、満千代救出の任務の際に多くの仲間を犠牲になった事で、同じ志の里の仲間を集めて労働条件の改善のストライキを画策する。が、首領にはストライキは事前に露呈しており、暗殺により更に多くの仲間を失う事になった。その事がきっかけで武力蜂起によるクーデターを起こすために革命戦線「赤い牙」を結成し、首領を打ち倒そうとした。彦一の赤い牙への加入もあってクーデターの計画は順調に進み、いよいよ首領と対決する事になり、多大な犠牲を払いつつ陣内は自爆して相討ちする覚悟で首領を倒す事に成功する。が、死ぬ間際の首領から真の首領は別にいる事を聞かされ、その直後に現れた彦一によって殺された。 オサヨ 陣内の母親。抜け忍の家族の小さな子供を庇ったため、首領によって殺されたかに思われたが、実は真の首領によって殺された。 サジ ムジナの悪友で同じ雲組に所属する。16歳。180cm87kg。血液型B型。巨根で左右の金玉の大きさが極端に違うらしい。陣内と並ぶ実力者。成績の悪いムジナをいつも見下していた。粗暴で狡賢い所が目立つが鉄馬の死に少なからず動揺したり、家族を思いやる優しさも持っている。また、卍の里の運命を真の首領の半蔵から聞かされた時には、卍の里のために涙を流した。上昇志向が非常に強く、いつか首領になる事を夢見て陣内のクーデター計画にも参加した。クーデター後は真の首領である服部半蔵の手により、新たなお飾りの首領に仕立て上げられた。しかし、その秘密を知っていた母のオタカが殺されたのがきっかけで、全てを暴露する事を決意。就任式の際に秘密を打ち明け、服部半蔵を里の忍者総がかりで倒し、真の独立を勝ち取ったかに見えた。しかし生きていた半蔵と伊賀忍者勢による卍の里の殲滅が開始される。 単身で半蔵の打倒を目指す際に途中で現れたムジナ達と共闘。最後はムジナとスズメを助けるために半蔵と伊賀忍者勢を道連れに自爆して死亡した。 オタカ サジの母親。何者かに夫を殺され、強姦されたショックで淫乱になり手当たり次第に男に手を出すようになった。実はそれは演技で、強姦した相手の陰茎に噛みついた時の傷を頼りに犯人を捜し当てようとしていた。そして遂に犯人が彦一であると判明し、復讐しようとしたが、返り討ちに遭い殺される。死ぬ間際にサジに発見され、サジに夫と自分の死が彦一と真の首領の仕業であると伝えて死亡。 カゾ サジの父親。何らかのきっかけで真の首領の正体を知ってしまい、オタカにその秘密を話そうとした矢先に現れた彦一によって殺される。 疾風(ハヤシナ)の小太郎(こたろう) 里一番の手錬と言われていた。黒姫城の城主暗殺の任務中に鷹目の半兵衛と戦い、半兵衛の陰剣・鎌鼬に敗れる。素性を隠すために死ぬ前に自らの顔面を切り裂いて死亡。 シロベ 察気術の天才。隻眼。ゴキブリの実力を見抜いていたのか、一定の敬意を払っていたようである。優秀な忍びだったが、以前から下忍が首領に使い捨て同然でこき使われる理不尽さに不満を持っており、疾風の小太郎とゴキブリの死でそれが一気に噴出し卍の里の抜け忍となる。抜ける前に残虐に処刑される事を恐れ、妻のキクと娘のカヨの首を刎ねた。首領の命令で討伐のために追って来た雲組に、発破死装隠れの術で殺されたと見せかけて逃げ延びようとしたが(鉄馬には見破られ掛かっていたが)、生きている姿を偶然にも他のメンバーよりその場から去るのに遅れたムジナに見られてしまい、口封じのため殺そうとする。が、ムジナの忍法・跳頭の前に敗れる。ムジナが実戦で初めて跳頭を使い、殺した相手でもある。死に際に殺した妻子に詫びの言葉を残した。 鉄馬(てつま) ムジナ達が所属する雲組の教官兼指揮官。スキンヘッド。鞭を得意とし武器として使っていた。シロベの討伐を指揮した後に狐嶽城の満千代救出の任務中に観世音と戦い致命傷を負う。観世音の強さに全滅を危惧して死ぬ間際に、全ての責任は自分が持つとして、サジや陣内など残った雲組のメンバーに任務を放棄して撤退する事を命じる。同時に自分の死に様をありのまま妻子に伝えて欲しいと言い残し死亡。教え子への厳しさと思いやりを持った良き指導者だった。 百目鬼幻也斎(どめきげんやさい) 忍者として高い実力を誇る卍の里の首領。しかしそれは表向きの話で実権は真の首領である服部半蔵が握っていた。幻也斎は伊賀の支配から逃れようと必死に暗躍していたが全て見抜かれており、半蔵が仕組んだクーデター計画で里の忍者達と戦う事になる。強力な忍法で陣内ら赤い牙のメンバーを苦しめたが、自分の予想以上に腕を上げていた陣内に敗れた。死ぬ間際に真の首領の秘密を話そうとしたが、彦一の手によって殺される。息子の陣内も平気で殺そうとしたり、アヤメを絞殺しながら強姦するのを楽しんだりするなど、冷酷で猟奇的な人間だったが、自分を倒した陣内の成長ぶりを喜ぶなど一人の父親らしい面も持っていた。物事の効率を重視する面があり、「一石○鳥」という言葉を好んで使用する。 百目鬼白雲斎(どめきはくうんさい) 卍の里の先代首領で幻也斎の父親。伊賀と服部半蔵の支配を拒んだため殺された。 奥目衆(おうめしゅう) 首領の護衛と卍砦の警護を務める謎の部隊。その正体は仕込みの儀に選ばれたくノ一の中でも特別に優秀な女のみで構成された集団で奥目衆の「奥」は大奥の意味もある。1人1人が彦一も恐れる手馴で、首領への深い愛と忠誠心で鉄壁の守りを誇っていた。クーデターの際にムジナとの戦闘、赤い牙との死闘、真の首領の手によって全滅する。 サキ サジの姉で奥目衆の一員。表向きはくノ一としてスパイ活動をしている事になっていた。クーデターの際に赤い牙との交戦中に、弟のサジの呼びかけに一瞬、攻撃を躊躇ってしまい、その隙を突かれガンによって殺される。左の乳首の周囲に特徴的な三つのほくろがある。 彦一(ひこいち) 首領の側近。その正体は真の首領の配下で元々は卍の里の人間だったが真の首領に見出され幻也斎の監視や秘密を知る者の暗殺などをやっていた。真の首領、服部半蔵の命令で陣内ら赤い牙のクーデターに協力し、幻也斎と陣内の両者を殺した。真の首領の秘密を知って里から抜けようとしたムジナの始末も命じられ、ムジナの両手を使用不能にし殺す寸前まで追い詰めたが、サジ達に正体を暴露された半蔵の卍の里殲滅の合図である花火を見た大きなショックで動揺してしまう。その隙にムジナの蛍火の術を受け、崖から川に転落して死亡。 数々の人間を殺めた冷酷な殺人マシーンだった反面、お化けや幽霊を異様に怖がり、自分が殺めた人間は毎日欠かさず供養していた。それは卍の里を裏切った意識の根底にある巨大な罪悪感からの行動であり、お化けや幽霊への怯えは裏切り者の自分に対する怯えだった。作中ではサジの母、オタカに密かな愛情を抱いていた事も示唆されている。 『サルまん』の劇中マンガ『とんち番長』に登場する彦一と同一のキャラクターデザインとなっている。 外吉(そときち) 卍の里の住人。知的障害者のようで、気がふれたかのように踊りながら里の各所を徘徊している。シロベが抜けた際にはシロベの娘、カヨの首を持って踊るという残忍な行為をしている。その正体は、後述にある服部半蔵であり、真の首領として卍の里を影で支配していた。 セナ 陣内の友人で首領に対してストライキを画策していた。サジが首領にストライキを密告するのを恐れ、殺そうとしたが、直後に現れた彦一によって殺される。 三ノ目(さんのめ) ストライキの密告者で、ムジナを暗殺のスケープゴートにして殺そうとしたが、彦一によって密告した事を暴かれ、怒った陣内に殺される。 ガン 赤い牙のメンバー。サジを新首領に据えた新体制の裏で実権を握ろうとしていたが、真の首領と伊賀忍軍の来襲によって殺された。 ヒコネ 赤い牙のメンバー。16歳になるまで性交を禁じると言う掟を破り、首領によって去勢され、恋人の顔を焼かれる。クーデターの際にその怨みから首領に一太刀浴びせたが返り討ちに合う。 孫野善兵衛(そんのぜんべえ) 卍砦の賄頭。マゾヒスト。SMプレイ中に伊賀忍者達に捕まったが、賄頭のプライドから、首領の居場所を頑なに吐かなかったため、殺された。 竹庵(ちくあん) 卍砦の医者。シロベ討伐の任務で負傷したゲンや、彦一から拷問を受けたスズメを介抱した。 ガンモ ムジナのかつての友人。愚鈍で怖がりの落ちこぼれの忍者だった。同じく落ちこぼれだったムジナに親近感を抱くが、それを疎んだムジナが、ガンモを遠ざけようと怖がらせた際に、パニックを起し、ムジナに斬りつけ怪我を負せてしまう。その罪悪感から自らの左手首を切り落とす。その後は卍砦の下男として働いていた。伊賀忍軍襲撃の際に、秘密裏に潜入したムジナと再会するが、伊賀忍者に変装していたムジナはやむなく殺してしまう。 ハチ 雲組のメンバー。シロベ討伐の際に死亡。 ウツキ 雲組のメンバー。シロベ討伐の際に死亡。 ゲン 雲組のメンバー。シロベ討伐の際に片足を失うも、陣内の手引きで竹庵先生の治療を受け、一命を取り留める。以降登場せず。 スダレ 雲組のメンバー。満千代救出の任務で、カイナの手により致命傷を負う。その後しばらく生きていたが、声を出す事も身動ぎする事も出来ず、雲組の任務の傍らで死亡し、白骨化していくまでが描かれた。 セタ 雲組のメンバー。満千代救出の任務で、法一によって殺される。 モッケ 雲組のメンバー。満千代救出の任務で、カシムによって殺される。 ヒカゲ 雲組のメンバー。16歳。172cm70kg。血液型AB型。剣術を得意とし、俊足で100Mを10秒台で走る。満千代救出の任務で、カシムを倒したが、エチによって殺された。実は潜在的なホモだったらしい。
※この「卍の里」の解説は、「ムジナ (漫画)」の解説の一部です。
「卍の里」を含む「ムジナ (漫画)」の記事については、「ムジナ (漫画)」の概要を参照ください。
- 卍の里のページへのリンク