主要諸元一覧
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H-IIAロケット主要諸元一覧段数(Stage)第1段固体ロケットブースタ(1本あたり)固体補助ロケット(1本あたり)第2段衛星フェアリング(4S型)全長37.2 m 15.2 m 14.9 m 9.2 m 12.0 m 外径4.0 m 2.5 m 1.0 m 4.0 m 4.07 m 質量114 t 76.6 t(長秒時)75.5 t(高圧) 15.5 t 20.0 t 1.4 t(衛星アダプタ、分離部含む) 使用エンジンLE-7A SRB-A3 キャスターIVA-XL LE-5B - 推進薬重量101.1 t 66.0 t(長秒時)64.9 t(高圧) 13.1 t 16.9 t - 推進薬液体酸素液体水素(LOX/LH2) ポリブタジエン系コンポジット固体推進薬 ポリブタジエン系コンポジット固体推進薬 液体酸素液体水素(LOX/LH2) - 推力1,098 kN(112 tf)(長ノズル)1,074 kN(109.5 tf)(短ノズル)(真空中) 2,262.5 kN(231 tf)(最大推力) 745 kN(76 tf)(最大推力) 137 kN(14 tf)(真空中) - 比推力440 sec(長ノズル)429 sec(短ノズル)(真空中) 283.6 sec 282 sec 448 sec(真空中) - 有効燃焼時間390 sec 116 sec(長秒時)98 sec(高圧) 60 sec 530 sec - 姿勢制御方式エンジンジンバル補助エンジン ノズルジンバル 無し エンジンジンバルガスジェット装置 - 主要搭載電子装置誘導制御計算機 横加速度計測装置 レートジャイロ パッケージ 制御電子パッケージ データ収集装置 テレメータ送信機 電動アクチュエータコントローラ 駆動用電源分配器 - 誘導制御計算機 慣性センサユニット 電動アクチュエータコントローラ データ収集装置 テレメータ送信機 レーダトランスポンダ2台 指令破壊受信機2台 - 第1段機体 LE-7Aエンジン LE-7AエンジンはH-IIAロケットの第1段エンジンで、推進薬に液体水素と液体酸素を用いた、国産の大型液体燃料エンジンである。H-IIロケットの第1段エンジンとして開発されたLE-7エンジンを元に、性能を維持しつつ費用縮減が図られている。 リフトオフの約5秒前に点火され、第2段との切り離しまでの約390秒間燃焼する。 開発当初、下部ノズルスカートを装着した長ノズル構成では、エンジン起動時に過大な横方向推力が発生する問題があり、短ノズルのみを使用して回避していた。そのため、静止トランスファ軌道(GTO)投入能力に換算して約400 kgの性能低下が起きていた。8号機、9号機および11号機以降では、新たに開発された完全再生冷却型の長ノズルが使用され、本来の性能が発揮できるようになっている。また、液体水素ターボポンプ、液体酸素用ターボポンプには、使用開始後にも改良が加えられている。(LE-7Aエンジンも参照) 9号機以降では、SRB-Aを4基使用した打ち上げ時の推力に耐えられるように、機体構造の強化が行われている。また、15号機(202型)にも使用したSRB-A・4本装着用(202/204共用)の1段コア機体構造は、2本装着専用に比べ質量が約600 kg大きくなっている。23号機(202型)からはエンジン周りのSSB取り付け部を省略して構造を簡素化したことによって120kgの軽量化を果たしている。 第2段機体 LE-5Bエンジン・LE-5B-2エンジン LE-5BエンジンはH-IIAロケットの第2段エンジンで、第1段と同様に液体水素と液体酸素を推進薬とした国産の液体燃料エンジンである。H-Iロケットの第2段エンジンとして開発されたLE-5エンジンを元に、H-IIロケット第2段用のLE-5Aエンジン、そしてこのLE-5Bエンジンと、徐々に性能向上が図られてきている。先代のLE-5Aエンジンと比べると、大幅な費用縮減も図られている。 燃焼圧の変動を抑えた改良型LE-5BエンジンであるLE-5B-2の開発が進められ、14号機から使用されている(LE-5Bエンジンも参照)。 LE-5B・LE-5B-2エンジンは再々着火(第3回燃焼)が可能である。衛星をより遠い軌道まで運搬する再々着火の実用化は「基幹ロケット高度化」の一要素である「静止衛星打ち上げ対応能力の向上(長秒時慣性航行機能の獲得)」のための第2段機体とエンジンの改良開発が適用された29号機の打ち上げが初となった。実用化のための先行的実験として、2号機打ち上げ1時間40分後の主衛星分離後に再々着火試験が行われたほか、21号機では燃料の蒸発を防ぐための第2段液体水素タンク表面の機体塗装の白色化のみが、24号機では第2段エンジンの新開発予冷のみが適用され、26号機で白色塗装と新開発予冷が合わせて適用された。第2段エンジンの再々着火が実用化されたことにより、静止トランスファ軌道(GTO)の遠地点近傍のロングコースト静止トランファ軌道への静止衛星の投入が可能となり、衛星側の軌道変更用燃料の使用を少なくでき、従来より静止衛星を3年から5年延命させることができるようになった。これによりH-IIAロケットの商業受注における競争力が向上している。(下記の基幹ロケット高度化も参照) H-IIAロケットはHOPE-Xの打上げ形態案(H2A1024)のように、第2段を使用せずに第1段ロケットだけを使用することも可能であるが、実際に第1段のみで打ち上げられたことはない。 固体ロケットブースタ SRB-A・SRB-A改良型・SRB-A3 SRB-AはIHIエアロスペースが製造する固体ロケットブースタ。H-IIロケット用のSRBでは高張力鋼4分割構造をボルト接合していたが、これを炭素繊維強化プラスチック (CFRP) 製の一体成型に変更し、大幅な費用縮減が図られている。 H-IIAロケットにおいては、第1段の両脇にSRB-Aを2基装着する構成を基本とし、衛星質量に応じて4基構成をとることも出来る。カウントダウンX-0と同時に点火され、H-IIAロケットを離床させるためのもっとも大きな推力を発生する。約100 - 120秒間燃焼した後に2基ずつ分離される。11号機では、初めてSRB-A改良型の4基構成での打ち上げが行われた。 6号機ではSRB-Aのノズル部分の破損が打ち上げ失敗の原因となったため、7号機からは信頼性向上のために最大推力を落として燃焼時間を延長した長秒時型のSRB-A改良型を使用していた。そのため静止トランスファ軌道(GTO)投入能力に換算して約300 kgの性能低下が起きていた。15号機からは本来の能力を回復したSRB-A3が使用されている(下記の#SRB-Aのノズル形状変更と能力回復も参照)。 SRB-A3は高圧燃焼型と長秒時燃焼型のモータ2種類を運用しており、2本1組で使用する場合には必要な打上げ能力に応じて2種のモータのどちらかを選択し、4本1組で使用する場合にはロケット機体の加速度制限等により長秒時燃焼モータを適用する。 固体補助ロケット(SSB) キャスターIVA-XL アメリカにある世界最大の固体燃料ロケットメーカー、ATKランチ・システムズ・グループのキャスターIVA-XLを元に、H-IIAロケットに取り付けるためのモータケースの改造や、信頼性向上のためにノズルスロート部の材料変更などを行ったものである。H-IIAロケットでは、搭載する衛星の質量にあわせて、SSB無し、2基、あるいは4基構成を取ることができる。特にLE-7Aの長ノズルの開発が遅れていた初期の打ち上げやSRB-A改良型を使用していた時には、その推力不足を補う目的でも活用されていた。その後、2007年度にH-IIAロケットの打ち上げ業務の移管を受けた三菱重工は、H-IIAのラインアップ整理のため、移管後に新規に受注した機体からはSSBを廃止した。23号機からは1段目エンジン周りのSSB取り付け部を省略している。 SSBは、リフトオフと同時ではなく、約10秒後に空中で点火される。これは、射点を燃焼ガスから守るための措置である。SSB4基構成の場合は、リフトオフ後の約10秒で最初の2基が点火され、最初の2基の燃焼終了後に、残りの2基が点火される。最初の2基は、燃焼終了後すぐには分離せずに、空気が十分に薄くなる高度に達した後に、SRB-Aとともに分離される。損失が大きいこの手順を取る理由は、機体に掛かる動圧の低減と、空気抵抗による分離シーケンスでのリスクを最小限に抑えるためである。なお、それまでに打ち上げた衛星の中で最も重い質量約4.65 tのひまわり7号を打ち上げた9号機、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}およびその後の12号機[要出典]では、長秒型SRB-Aとの組み合わせでの打ち上げ能力を最大限確保するために、4基のSSBを同時に燃焼させる手順に変更され、リフトオフ約10秒後に最初の2基が、20秒後に次の2基が点火された。 液体ロケットブースタ(LRB) 初期の構想では、さらに打ち上げ能力を増強するため、上記のSRB-Aを2基を使用した標準型に、LRBを1基、あるいは2基を装着する増強型の構想があった。この構想はH-IIBロケットの開発に置き換えられた(詳細は下記のラインナップの変遷を参照のこと)。 LRBは第1段機体をベースに、LE-7Aエンジンを2基クラスタ化して搭載したブースタとして使用するもので、燃料タンクや搭載機器、エンジンなど多くを第1段と共通化する予定であった。技術試験衛星VIII型(きく8号)や宇宙ステーション補給機(HTV、こうのとり)、HOPE(ホープ)はLRBを使用して打ち上げる予定であった。 衛星フェアリング 川崎重工が開発・製造するフェアリングで、打ち上げ時の振動や大気圏を抜けるまでの空気抵抗、空力加熱から衛星を保護するためのカバーである。ロケットの先端部分に取り付けられている。大気圏を通過した後の高度約150 km付近で、ロケットの重量を出来るだけ軽くするために(2段式は上部のみ)分離される。海面に落下し浮かんでいるフェアリングは回収船で海上回収される。回収されたものの一部は、フェアリングを活用した商品開発をする企業等に無償で提供された事もある。 ロケット本体と同じ直径4mの4S型のほか、大型衛星用で直径5mの5S型や、2個の衛星を同時に軌道投入できる4/4D-LS型、4/4D-LC型、5/4D型の計5種類のフェアリングが用意されている。増強型の構想ではHTV用に5S-H型フェアリングの使用も考慮されていたが、H-IIBロケットの開発が決定したためH-IIAロケットでは用いられない。 フェアリングの種類によって打上能力も違い、H2A204型では4S型と4/4D-LC型でGTOへの投入能力に850 kgの差がある。 衛星分離部(PAF) 衛星とロケットの間に配置されて両者を結合するために使用される部品で、衛星とは締結ボルトで固定される。937M-スピン型、937M-スピンA型、937M型、937MH型、1194M型、1666M型、1666MA型、1666S型、2360SA型、3470S型などがあり、衛星の大きさや放出機構に合わせて十数種類の中から選択される。衛星分離時には衛星と分離部を接合している締結ボルトを爆薬(火工品)で爆破して一気に切断して衛星を分離する方法を採用しているが、この方法は確実に分離を行える利点があるものの衛星に伝わる衝撃が大きいという欠点があった。そこで基幹ロケット高度化に合わせて、クランプバンドで締結しておいた接合部を電気的にラッチ機構で解放することで衛星を分離する方法に改めて、衛星に伝わる衝撃を低減することになった。30号機で低衝撃衛星分離機構の先行的実験として、従来の衛星分離部をかさ上げして余剰スペースにダミー機構を搭載して宇宙空間で実際に作動させる実験を行った。 サブペイロード 打ち上げ能力に余裕がある場合は、サブペイロードとして1辺50 - 70 cmの小型衛星を最大4個まで搭載可能である。さらに、1辺10 - 30 cmの超小型衛星に関しては50 - 70 cmの衛星1機分の空間に3 - 4機搭載可能である。これを利用して、15号機では主衛星のいぶきの他に1辺50 - 70 cmの衛星3機と15 - 30 cmの衛星4機の合計8基を同時に打ち上げている。 JPOD 20 cm以下の公募衛星に対して標準化した分離機構を提供するため、17号機では初めてJ-POD (JAXA Picosatellite Orbital Deployer)と呼ばれる箱型の装置が小型衛星の空間に搭載された。10 cm級の衛星であれば田の字型に並んだ4つの発射孔を持つJ-PODが使われ、20 cm級の衛星であれば1機のみ搭載できるJ-PODが使われる。17号機では前者のタイプが使われ、公募衛星のうち3機が1つのJ-PODから放出された。なおJ-POD自体は20 kg程度の重量を占め、役目を終えると切り離される。 アビオニクス 21号機までは、RX616リアルタイムOSと32ビットMPUのV70を採用したNECが開発した誘導制御計算機を搭載していたが、部品の枯渇に対応するため新たにほぼ全てのアビオニクスが新規に開発された。新たなアビオニクスのうち、JAXA情報・計算工学センターが開発した新型のTOPPERS/HRPリアルタイムOSと、NECが開発したV70より10倍高性能の64ビットMPUのHR5000を採用した新型誘導制御計算機、新型慣性センサユニットなどは、H-IIBの3号機で初めて適用されH-IIAでは他のアビオニクスも加えて22号機から適用される。新型誘導制御計算機は高速・小型・軽量・モジュール化が図られており、新型MPUボードはイプシロンロケットも含んだ今後のJAXAロケットの共通基盤となる。
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GSLV-MkI(c) F06 主要諸元一覧段数ブースター L40H第1段 S139第2段 L37.5H第3段 C15使用エンジンヴィカース2 S139 ヴィカース4 KVD-1 推進薬N2O4/UH25 ポリブタジエン系コンポジット固体推進薬(HTPB) N2O4/UH25 液体酸素液体水素(LOX/LH2) 推力763 kN(4基、計3,052 kN) 4,768 kN 799 kN 73.5 kN 比推力262 秒 237 秒 295 秒 460 秒 有効燃焼時間148 秒 107 秒 137 秒 838 秒 各段全長19.7 m 20.1 m 11.6 m 9.8 m 外径2.1 m 2.8 m 2.8 m 2.8 m 質量47.8 t 161.1 t 44.3 t 17.9 t 推進薬質量42.7 t 138.1 t 39.5 t 15.2 t 全長51.3 m 全体質量418.5 t 静止トランスファ軌道 (GTO)2,310 kg GSLV-MkIIA F11 主要諸元一覧段数ブースター L40H第1段 S139第2段 GL40第3段 CUS15使用エンジンヴィカース2 S139 ヴィカース4 CE-7.5 推進薬N2O4/UH25 ポリブタジエン系コンポジット固体推進薬(HTPB) N2O4/UH25 液体酸素液体水素(LOX/LH2) 推力763 kN(4基、計3,052 kN) 4,768 kN 799 kN 75 kN 比推力262 秒 237 秒 295 秒 454 秒 有効燃焼時間149 秒 107 秒 149 秒 846 秒 各段全長19.7 m 20.2 m 11.9 m 9.9 m 外径2.1 m 2.8 m 2.8 m 2.8 m 質量47.7 t 160.9 t 47.3 t 17.6 t 推進薬質量42.7 t 132.2 t 42.2 t 15.0 t 全長50.9 m 全体質量421 t 静止トランスファ軌道 (GTO)2,250 kg ブースター 直径2.1 mの液体燃料ロケットであり、最初の打上であるGSLV-MkI D1ではL40ブースターを、以降の打上ではより高圧のエンジンを搭載したL40Hブースターを4基使用している。このブースターは第2段L37.5の改良型であり、42.7 tの自己着火性推進剤(N2O4/UH25)がターボポンプでエンジンへ供給され、1基あたり760 kNの推力で150秒間燃焼する。推進剤は独立した直径2.1mのタンクに貯蔵される。ジンバルによって制御される。 第1段 直径2.8 mのM250高張力鋼製、固体燃料ロケットである。最初の打上であるGSLV-MkI D1ではS125モーターを、以降の打上ではより大型のS139モーターを使用している。S125は推進剤125 t/燃焼時間100 秒、S139 は推進剤139 t/燃焼時間109 秒で、最大4,700 kNの推力を生み出す。ブースターに飛行制御を依存しているが、オプションで二次噴射装置を利用可能である。投棄時は2段目エンジンの点火後、FLSC接手の爆破により分離される。 第2段 直径2.8 mの液体燃料ロケットでヴィカースエンジンを動力として、約800 kNの推力を出す。自己着火性推進剤を、L37.5Hで39.5 t、GL40で42.2 t使用する。2つのアルミニウム合金製の貯蔵タンクは共通の仕切りで区切られる。ブースターのシャットダウン前に点火することでアレッジモーターを省いている。ピッチ、ヨー制御はジンバル、ロール制御はコールドスラスタにより行われる。第3段とは作動時の衝撃が比較的小さいマルマンクランプ方式の分離接手により接続されている。 第3段 直径2.8 mの液体燃料ロケットである。GSLV-MkIではロシア製のKVD-1、Mk IIではインド国産のCE-7.5エンジンを搭載している。いずれも液体酸素および液体水素(LOX/LH2)を用いる二段燃焼エンジンである。しかし、2010年4月のMk IIの初打ち上げは、CE-7.5の燃料ターボポンプ故障により失敗に終わった。後の2014年1月の打ち上げで初の成功を収めた。 このステージは再点火可能であり、フライトコンピュータと慣性誘導装置、テレメータ用Sバンドアンテナ、追跡用Cバンドトランスポンダを搭載している。制御は旋回可能な2基のバーニアによる。GSLV-Mk IIのCUS12で12.8 t、CUS15で15 tの推進剤を使用する。 第4段(オプション) PSLV第4段に類似したPAM-G上段ステージをオプションとして利用できる。
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