垂直打ち上げ方式の採用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 16:17 UTC 版)
「イプシロンロケット」の記事における「垂直打ち上げ方式の採用」の解説
M-VまでのISAS衛星打ち上げロケットは、次にあげる必要性と利点によりランチャーから海に向かって斜めに打ち上げられていた。 最小限の誘導機能で重力ターン方式による衛星軌道投入を行うため(主にM-3SIIまで) 第一段ロケットが異常燃焼をおこしてもロケットを確実に海に投げ出すため しかし、M-V以降の大型固体ロケットをランチャーから斜めに打ち上げるには、次にあげる欠点があった。 煙道を設置できず、打ち上げの瞬間、噴射の反射波が及ぼす衝撃が衛星にとって大きな障害となる。 ランチャー離脱時に、それまでのランチャーの垂れ下がり(数十cmに及ぶ)から開放される振動がロケットにとって大きな障害になる。 ランチャー滑走時の摩擦による抵抗が無視できない。 イプシロンロケットは垂直打ち上げに対応できる誘導制御機能が充分にあり(M-Vも同様)、第1段には信頼性の確立に必要な使用実績が充分にあるSRB-Aを使用する為、異常燃焼についての懸念が無くなり、斜め打ち上げでは欠点しか存在しなくなった。このため、従来のミューランチャーを改修してロケットは垂直に打ち上げられ、発射台下部には効果的な煙道が設置される。なお、M整備塔なども改修し、既存設備を最大限活用する形で発射装置が整備される。 主要諸元一覧全長24.4 m 代表径2.6 m 全備質量91.0 t ペイロード1,200 kg / LEO (250km x 500km)基本形態 700kg / LEO (500km 円軌道)オプション形態 450kg / SSO (500km 円軌道)オプション形態 段数(Stage)第1段第2段第3段オプションフェアリング (投棄分)使用モータSRB-A3 M-34c KM-V2b 小型液体ステージ (PBS) - 各段質量75.0 t(フェアリング非投棄分含む) 12.3 t 2.9 t (基本)3.3 t (オプション) (0.3 t) (3段に含む) 0.8 t (投棄分) 推進薬質量66.3 t 10.8 t 2.5 t 0.1 t - 真空中推力2,271 kN 371.5 kN 99.8 kN - - 比推力284 s (真空中) 300 s (真空中) 301 s (真空中) 215.0 s (連続) - 全燃焼秒時116 s 105 s 90 s - - マスレシオ0.911 0.927 0.92 - - 基本型は3段式の固体ロケットで、高い軌道投入精度が必要な場合は液体燃料エンジンを利用したPBSを追加する。誘導制御は1、2段とPBSで行う。
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