キャッツ特捜班
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 16:25 UTC 版)
キャッツの事件を専門に扱う犬鳴警察署(新宿区の設定)内の特別捜査班。メンバーは元々犬鳴署捜査一課に所属し、他の事件も取り扱っていたが、キャッツの罠にはまり痴漢として原宿署員に捕まえられたことを機に専従特捜班が組まれた。このため、キャッツを逮捕するまでは他の事件に携わることができず、課長は事実上の左遷だと嘆いた。 当初は喫茶店「キャッツ・アイ」の裏側にある公園を挟んで犬鳴署があり、署内に本部があった(ただし、建物の奥まった場所、トイレの横の日当りの悪い部屋であり、署内では日陰者扱い)。後に喫茶店「キャッツアイ」の向かいに後から建設された文化サークルビルの6階に移転する(アニメ版においては、この場所に犬鳴署が建っている。また「キャッツ」逮捕のための捜査を単独の特捜班で行うのではなく、盗犯捜査担当(捜査三課)の係に課せられた一事件として扱われている)。 内海 俊夫(うつみ としお) 声 - 安原義人 高校時代から付き合っている瞳の恋人(ただし、キスのみであり、裸さえ見たことはない)。初登場時は23歳。性格はポジティブ思考で明るく前向き。少しお調子者で、気を許した相手にはお喋りになってしまう傾向がある。基本的に真面目で優しく面倒見も良いので周囲からの信頼も厚く、慕われているが、誤解で周りからの評判が落ちることも少なくなかった。 高校卒業後、警察官を志願し拝命。階級は巡査部長(第13話で、警部補昇任の話もあったが考えあぐねた末、白紙答案を提出し、昇進の件は先送りにする選択をした)。当初は捜査一課主任で、当時からキャッツの事件を担当、後にキャッツ特捜班が結成された際には同班の主任に抜擢されている。キャッツの逮捕に掛ける執念は相当なもので、彼女達が犯行を行う際は常に立ちふさがる存在。しかし、いつも詰めが甘く、逮捕には至らず取り逃がし続けている。 自宅アパートが放火されて焼失、着の身着のままで来生家に転がり込み、そのまま三姉妹と同居。当初は瞳の隣室だったが、進展しない2人の関係にもどかしさを感じた瞳が「心の壁を取り払うためには、まずお互いをよく知らなければ」と奮起し、2部屋を隔てていた壁を取り払ったため瞳と同室に。しかし、相変わらずキスをするのも躊躇するほどの奥手であるため、それ以上の進展はない。25歳時点で、武内と平野に「自分たち3人は結婚までは清い体を守り、抜け駆け(結婚前に性交渉)はしない童貞の誓い」を不本意ながら立てさせられ、律儀に守っている。 興奮すると爪を噛み、嘘をつくときは鼻の頭をやたらとこする癖がある。 福岡出身で実家はオーダーメイドの女性下着専門店(母親が開業)。家族は(判明している限りでは)祖母と数人の姉で、幼いころに両親を亡くし、祖母の手で育てられた。幼年期は姉達と同じ女性用の下着を身に着けており、何の不自由も違和感もなかったが、ある時体育の時間に体操服に着替えようとしていた時に友人に着用している下着を見られ、初めて「違う」ことを指摘される。その後、男子からは「オカマ」「女男」とからかわれ、女子には気持ち悪がられるというトラウマを植え付けられ、挙句には「フリルちゃん」のあだ名を友人に付けられた。以降、家業に対する強い反発心と姉達への恨みを抱くようになり、跡継ぎを拒否して、より男らしい趣味や職業を目指すようになったため祖母に嘆かれ、そんな祖母の姿を見た姉達の怒りを買った。高校生の時にはボクシングをかじっておりハードパンチャーであった(アニメでは写真部の後、演劇部に属していたようである)。銃の名手で狙撃班に配属と言う話もあったが、射撃訓練中に調子に乗って曲撃ちをし、自分の足を撃ち抜いて以降、普段から銃を携帯しない程の銃嫌いになった(アニメでは、この設定はなく銃撃戦も行っている)。 若いころのハインツに良く似ているという。長身の泪がハイヒールを履いて並んでもまだ俊夫のほうが背が高い描写がある。 原作ではそれなりに優秀な刑事であり、キャッツ関係以外の他事件では手柄を立てているが、キャッツの方が一枚上手という描写になっている。また、自分がかつて逮捕した男に夢中になっていた女性の逆恨みから自宅のアパートを焼かれた際も、「男が結婚詐欺師だった」という逮捕の真相を女性に話さずあえて憎まれ役に徹するなど、事件関係者の情を考える男気も持つ。アニメではおっちょこちょいでドジな面が目立ち、優秀な刑事という原作の設定は破棄されている。ただし完全に無能扱いされているわけでもなく、キャッツが狙っているものについては警備が不完全だったり、裏があることを指摘するなどの側面も見られる。 浅谷からの助言を幾度か受けるも、自分の恋人である瞳がキャッツとは考えていなかった。しかし、下宿した直後、警備情報を記したメモが行方不明になった一件もあり、三姉妹に疑いを持ち始める。一度キャッツの身柄確保に成功した際、その時偶然に瞳の胸を触り、「エッチ!」の悲鳴と共に平手打ちされ、怯んだ隙に逃げられた経験(読みきり作品で現在の第1話「セクシー・ダイナマイト・ギャルズの巻」でのワンシーン)や、井戸に落ちて一時的に視力を失った時に会話したことなどから、キャッツが女であることは認識していた。しかし瞳を愛するが故に、その疑惑もすぐに打ち消すことに注力していた。 キャッツと瞳の間で揺れ動いたこともあるが、一貫して瞳を愛し続けた。後にキャッツの正体が瞳と分かっても「キャッツ」の取引きに応じることはしなかった。 ハインツがアメリカで生存しているという情報を得た来生姉妹は渡米を決める。俊夫もまた「キャッツ一味」の海外渡航の情報を得て後を追うが、それは刑事としてではなく、「自分の前から姿を消そうとしている傷心の恋人を追う一人の男性として」の感情が突き動かしたものであった。離陸直前の飛行機に搭乗していた瞳に再会しプロポーズをする。瞳もそれを受け入れ旅立っていった。その後俊夫は全ての責任を負い、そしてキャッツの正体も口外しないと決意して警察官を辞職する。瞳を追いかけて渡米するも、瞳が病気にかかり記憶を失っていると知り愕然とするが「また、瞳と恋が出来る」と前向きに考える。そして過去も現在の瞳も全て受け入れ、一緒に未来を紡ぐこと、愛し続けることを誓う。 作中に於ける名の呼ばれ方に関して、瞳からは「俊夫」もしくは「トシ」、泪からは「俊夫さん」、愛からは「トシちゃん」と主に呼ばれ、上司や同僚には「内海」、「内海君」、部下には「内海さん」、「内海警部殿」と呼ばれる。 浅谷 光子(あさたに みつこ) 声 - 榊原良子 俊夫の同僚。眼鏡とショートボブの髪型がトレードマークの知的でクールな美人刑事。俊夫同様に捜査一課から特捜班に移動。犬鳴署配属当初から、刑事としての経験と女性ならではの視点と勘で、来生三姉妹をキャッツではないかと疑っている。逮捕には至らないものの、幾度かキャッツを追い詰めており、キャッツをして「やりにくい相手」と言わしめている。周囲からは「浅谷」「浅谷さん」と名字で呼ばれることが多い(アニメでは俊夫が「あさったに君」と呼んでいる)。 概ねドジだが面倒見もよく、仕事にも一生懸命な俊夫に好意を寄せるようになる。しかし、俊夫は瞳一筋であり、その一途な愛を一身に受けている瞳に対する嫉妬から、苛立って周囲に八つ当たりをしたり、注意力が散漫になって失敗をすることが度々あった。俊夫と瞳が婚約したことで事実上の失恋。その傷心も癒えない時に神谷真人から求愛され(神谷本人はいつも通りのからかい半分、軽い口説き文句のつもり)、意識するようになる。気を回した俊夫と瞳が神谷とのデートをセッティングしたが、浅谷の誤解を招き、怒りをかってしまう。感情的にまくし立てる浅谷に辟易した神谷は黙らせるために、唇で唇を塞いだ。それが恋愛経験のない浅谷のファーストキスであり、「ファーストキスをした人と結婚すると決めていた」浅谷の気持ちに火をつけるきっかけとなってしまう。 自称「料理上手」であり、得意料理は「子羊のエストラゴン風味」。だが、実際は一般人が食すると確実に健康被害を及ぼすほどの殺人的な代物しか作れない重度の味覚音痴(というよりは料理下手、あるいは近年で言うところの「メシマズ」)で、何かしらの料理を作っては周囲を混乱に陥れてしまう。家庭的な一面を見せようと神谷に弁当を作って届け、食べ終わるまで見ているために神谷は決死の覚悟で食するが、必ず腹痛を起こしてトイレに篭る始末で、見かねた武内と平野が浅谷に進言と立証をするため、俊夫が持参していた瞳の手作り弁当とすり替えたことがある。しかし、俊夫はその衝撃的な不味さにショックを受けるも、瞳が作ったものだと信じて疑わず見事に完食した。その姿を見た浅谷はますます自分の料理の腕に自信を持ってしまう。 色恋沙汰に鈍く、思い込みが激しかったり惚れっぽい一面もある。原作では男装をした泪に一目惚れし、「男キャッツ」と分かってからも長く懸想していた。アニメ(第2期#69)では男装した瞳に一目惚れをする(すぐにキャッツの変装であると明らかになる)。 愛用している香水は亡き母も愛用していたゲランの「MITSOUKO(ミツコ)」。焼き芋が好物(アニメ版)。 父親は小さな製薬会社の社長。作者の後の作品『こもれ陽の下で…』には張り出されたクラス替えの名簿の中に彼女の名前が登場する。 課長 声 - 内海賢二 俊夫達の上司で本名不明。元々は捜査一課の課長であったが、特捜班結成と同時に同班の課長となる。俊夫と同じく福岡出身のため、互いに興奮すると福岡弁でのやり取りとなる。逮捕に至らないキャッツや、取り逃がしてばかりいる部下の失態などの心労から、かなりストレスを溜め込み、精神的に参っている。キャッツの予告状が届き、決行日が近づくと目の前にハエが飛び回る幻覚が見えるという。浅谷からの助言があっても、捜査会議を喫茶店「キャッツ・アイ」で開いてしまうなど、俊夫同様、三姉妹のことを疑いの目から外していた。 子供がおらず、地方勤務時代からの縁もあり、両親をなくしている俊夫を息子の様に可愛がっている。俊夫が最終盤で警察官を辞職して海外へ渡航しようとした際には全ての事情を悟った上で彼のこれからを案じ、「行け……。この件は私とお前の間だけの話にしておこう」と黙認し、退職を承認する漢気を見せた。 平野 猛(ひらの たけし) 俊夫の後輩の刑事。通称「ヒラメ」。俊夫のことを「アニキ」と呼び、慕っている。サングラスにリーゼント、ロックンロールを意識した格好をしている。大型バイクに乗るが、警察官にも関わらず「髪型が崩れるから」とヘルメットを被らずに乗ることが多い。銃の腕が悪い上、何か事が起こるとすぐに発砲する厄介な悪癖の持ち主。俊夫にとっては手のかかる弟分といった役回りである。女性の好みは、年上の色っぽいお姉さんタイプが好みで、泪に一目惚れ以降、喫茶店「キャッツ・アイ」に通い、言い寄っているが上手くあしらわれ続け、自他共に認める「ロリコン」の武内と対比で「オバコン」と呼ばれている。犬鳴警察署の男子独身寮に住んでいる。大雑把な仕事ぶりと前述の悪癖故に始末書多数。左利きで字が汚い。 アニメ版には登場しない。作者の後の連載作品『RASH!!』に武内と共にモブキャラクターとして登場している。 武内(たけうち) 俊夫と同期の刑事。俊夫のことを「俊さん」と呼ぶ。海援隊時代の武田鉄矢のような肩下までのワンレン長髪。背が低く胴長短足でガニ股な体型。いわく、純日本人体型。その体系のせいで最近の自転車では足が地面に届かないため、無骨な自転車を長年愛用している。空手の有段者であり、対人の実戦において強く、喧嘩でも負けたことがないのが自慢だった。 自他共に認める「ロリコン」で、守ってあげたくなるような“可憐な”少女が好みのタイプ。一目惚れした愛に言い寄っているが、てんで相手にされない。犬鳴警察署の男子独身寮に住んでいる。独身寮で働き始めた俊夫を慕う17歳の慶子にも気を奪われ、愛には更に呆れられている。 アニメ版には登場しない。作者の後の作品『RASH!!』に平野と共にモブキャラクターとして登場している。 海野 重造(うんの じゅうぞう) 通称「重さん(しげさん)」。初登場時57歳。勤続30年の掏摸係。仕事柄、自身もスリの技を身に付けており、相当な腕前。キャッツ特捜班結成と同時に本庁から配属される。お見合いの場を設けて縁談をまとめるのが趣味で、浅谷を100組目の成婚者にしたいと願っている。息子は警視正。名前の元ネタはSF作家の海野十三から。 木崎 信彦(きざき のぶひこ) 通称「(木崎の)だんな」。キャッツ特捜班が組まれ俊夫達が抜けた後の捜査一課の主任。階級は警部補で若きエリート。容姿端麗でキザな振る舞いを難なくこなすナルシスト。彼の登場によって、それなりに優秀な刑事であったはずの俊夫の仕事の粗さなどが目立つようになってしまった。しかし、結局はキャッツの方が一枚上手であり、また俊夫らの警備のほうがキャッツの犯行を阻止したり窮地に陥れ、木崎が恥をかく事もあった。暫く後、重要な捜査に失敗した責任を取らされる形で巡査部長に降格された上、キャッツ特捜班に配属されるという事実上の左遷に遭う。あまつさえ降格人事でもショックであったのに、キャッツ特捜班の面々と並ぶことはプライドの高い木崎にとって屈辱的な処遇であった。重造に泪との見合いを設定されて以降、(断られても)執拗に迫っており、平野に恋のライバルと目の敵にされている。キャッツが木崎に変装し特捜本部に潜入した際、妙に女性的な色気のある仕草だったことから、話に尾ひれが付いて歪曲し「木崎のオカマっぽい部分も真似された」という噂が流布した。それ以降、木崎のキャラ設定にもオカマっぽさが加わり、興奮するとオネエ言葉が飛び出すようになった。犬鳴警察署の男子独身寮に住んでいる。アニメ版には登場しない。
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