来生三姉妹
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 16:25 UTC 版)
喫茶店「キャッツアイ」を営む美人三姉妹。実は、もうひとつの顔を持っている。「キャッツカード」と呼ばれる予告状や犯行声明書(左目でウインクしている黒ネコの顔をマークにしたカード)を出し、絵画や美術品を主に狙う、怪盗「キャッツアイ」、通称「キャッツ」(「ミケール・ハインツ」に関わる物だけを狙う設定になったのは中期以降)。 主人公を三姉妹とした理由は北条が女の子をたくさん描きたかったことと、「お姉さん」「美人」「可愛い」と、少年誌の読者ターゲット年齢層が一般的に憧れを抱きやすいとされるタイプパターンを狙ったことによる。 瞳は少年誌のヒロインに多く見られる、明るく快活で芯の強い、少し勝気な性格。ルックスを「王道の美人顔・均整の取れたプロポーション・ストレートの長い髪」にすることはラフデッサンの段階ですぐに決まったという。 泪は活発な瞳と対比させるために「匂い立つような大人の色香を纏うお姉様」をイメージし、美人ジャズシンガーとして誉れ高かった阿川泰子や、テレビドラマ『水中花』で妖艶なバニーガール姿を披露していた松坂慶子などをモチーフにイメージを膨らませたという。 愛は2人の姉と少し歳が離れているのを演出する意図も踏まえ、少し小柄で華奢な成熟しきっていない少女の体つきのデザイン。普段は明るく素直だが、時に甘えん坊で淋しがりな妹という面を強調させた。 しかし、性格面を「色っぽい」「勝気」「かわいい」と三姉妹にきっちり分けてしまったことに窮屈さを感じたことから、次作『シティーハンター』の槇村香はすべてを合わせ持った女性として描かれることとなった。 三姉妹の名前はすべて「目」に関連する言葉から付けられている(愛は英語の"EYE"から)。 なお、三姉妹の喫茶店「キャッツアイ」は外見名称をそのまま引き継ぎ、『シティーハンター』、『エンジェル・ハート』ではファルコン(海坊主)が営業する喫茶店として再登場している。また、読切版『シティーハンター -XYZ-』では若夫婦が喫茶店を営業しているシーンがある。その後、2019年のアニメ映画『劇場版シティーハンター 〈新宿プライベート・アイズ〉』では「三姉妹が喫茶キャッツアイのオーナーだった」という北条の提案による設定が採用されており、レオタード姿の彼女たち3人も登場し、私服姿の瞳が同作主人公の冴羽獠にナンパされるシーンがある。 来生 瞳(きすぎ ひとみ) 声 - 戸田恵子 来生三姉妹の次女で初登場時は21歳(アニメ版の初登場時は23歳)。本作の主人公とされる三姉妹では最も中心人物となる代表格(後述の実写映画版を除く)。ストレートの長い髪 がよく似合う、爽やかなセクシーさと抜群のプロポーションが魅力の美人。姉妹の中で最も運動神経・行動力に優れ、盗みの際も主に彼女が実行している。性格は、明るく快活。勝気でしっかり者。ややドジで涙もろい。しかし恋愛や色事にはやや奥手の一面がある。 キャッツの事件を担当している俊夫とは、高校時代から交際している恋人関係である。故に、彼に正体が明らかになることは2人の関係の終わりを意味するため、盗みに対しては命を賭しても構わないほどの覚悟を持ち、全力で当たっている。しかし、時にそんな状況をもどかしく感じることもある。妹の愛と同じように朝早く起きるのが苦手な朝寝坊の常習犯なようで、高校時代は登校する時はいつも時間ギリギリだった。 作中のある時期から、髪の一部に金髪が混じるようになる。同じ頃、父・ハインツの作品『母の肖像』(三姉妹にとっては祖母の肖像画)を見た俊夫に「金髪にした瞳みたいだ」と言われたことから、キャッツを外国人と思わせて三姉妹とハインツの係わりを詮索されるのを避けるため、髪全体を金髪にし、カラーコンタクトを装着、「外国人に変装した姿=金髪キャッツ」として俊夫の前に姿を現すようになる。俊夫を誘惑し、キャッツの仲間に引き入れようとするが「瞳」と「キャッツ」との間で、俊夫も瞳自身も揺れ動くことになる。結局、父ハインツの作品を全て収集し終え、自らキャッツ・アイであることを俊夫に明かし、ロサンゼルスへ旅立っていった。その直後、ウイルス性の脳炎にかかり、生死の境を彷徨うも意識を取り戻したが、記憶を失ってしまう。俊夫と再会するも、彼が誰かも分からなかったが、思い出のオルゴールを聞くと、あどけない笑顔を見せ、回復の希望を見せた。 キャッツとしての行動時のコスチュームは、デコルテラインを美しく強調する襟ぐりが大きく開いたトップス、脚全体を包むスパッツが一体化している、長袖のレオタードを着用する。瞳はスカイブルーに近い青色のレオタードに黄色のリボン状の腰紐でウエストマークした格好が定番である。後期になると長袖タイプを着ることはほとんどなくなり、袖なしのデザインを愛用(三姉妹とも)。胸元を大胆にV字カットしたキャミソールのような肩紐に、背中を大きく露出したベアトップデザインのものを着用。「金髪キャッツ」としてあからさまに姿を見せるようになってからは後期のデザインで、ピンク色のレオタードを着用することが多くなった。アニメ版においても第1期は前期、第2期と『劇場版シティーハンター 〈新宿プライベート・アイズ〉』は後期のデザインとなっている。 愛用の香水はゲランの「夜間飛行(Vol de Nuit)」。 来生 泪(きすぎ るい) 声 - 藤田淑子、戸田恵子(『劇場版シティーハンター 〈新宿プライベート・アイズ〉』) 来生三姉妹の長女。成熟した大人の女が醸し出す魅惑的な雰囲気と、悪戯心もある無邪気さを併せ持つ妖艶な美女。長身でグラマラス、ウェーブのかかった長い髪、母親譲りの左顎の黒子が特徴。母親亡き後は、妹たちの保護者的な役目を担う。歳を重ねるごとに亡き母・真璃絵に似てきているという。しかし、ゴキブリが大の苦手。朝が苦手な遺伝のある来生家の人間にしては珍しく、妹の瞳や愛と違って彼女だけは学生時代は寝坊した事がない。 俊夫の後輩である平野刑事をはじめ、多くの男性からアプローチや好意を持たれており、瞳をはじめ周囲も気にかけているが、泪本人は特定の恋人をつくることに表立つ形では関心を示していない。その一方で、本意なのか意図的なのかは不明だが、妹達と同様に若干ファザコンの気があるようで若い頃の父にそっくりな俊夫に度々ちょっかいを出しており、こっそり好意を寄せている描写がある。 キャッツとしての仕事においては、冷静沈着、慎重な性格を発揮し、失敗の許されない現場で状況判断を下すなど司令塔としての役割を担う。また、ターゲットを決定し、詳細や情報の収集、綿密な計画を立てたり、事前調査などに動くことも多い。時には仕事のためなら、見知った自分たちの関係者さえも切り捨てるような、冷徹な判断を下す事もある冷酷な一面も持ち合わせている。頭脳明晰であり、語学も堪能、数多くの特殊免許や特技を有している。三姉妹とも変装は得意とするところだが、その長身を生かした泪の男装は非常に様になる。幸か不幸か、その姿を本当の男性と思い込んだ浅谷に懸想されてしまったことも。幾たびかキャッツ特捜班の面々の前に「男キャッツ」として変装姿を晒している。 キャッツとしての行動時のコスチュームは、茄子紺色に近い紫のレオタードに黄色(アニメでは青緑色が多い)のウエストマーク。前期のレオタードは瞳のものと同じデザインだった。後期はチューブトップのデザインのものを愛用していた(アニメではフレンチスリーブ)。アニメ版においても第1期と『劇場版シティーハンター 〈新宿プライベート・アイズ〉』は前期、第2期は後期のデザインとなっている。 『劇場版シティーハンター 〈新宿プライベート・アイズ〉』では病気療養中の為収録に参加出来なかった藤田(その後死去)の思いを汲み、瞳役の戸田が代役を申し出て演じている。 来生 愛(きすぎ あい) 声 - 坂本千夏 来生三姉妹の三女。アニメでは高校1年生(第5話『夜間飛行は危険な香り』より)。ショートカットと大きな瞳がチャームポイントの、キュートでボーイッシュな美少女。いつも笑顔を絶やさない明るい性格だが、姉妹の中で唯一父親の顔を知らないため、ややファザコン気味。父性を感じる男性に淡い憧れを抱いている。泪や瞳と違い、盗みの際も遊びの延長として捉えている節があり、特に瞳からそんな部分を危なっかしく思われている。ただし、一度怒り出したり機嫌を損ねたりすると、なかなか機嫌が直らず瞳でさえお手上げするほどの頑固な一面がある。蛇が大の苦手。 コンピューターや機械に強く、操作や製作を得意としているが、失敗作を作ることもしばしばでキャッツとしての仕事中にそれがアクシデントとなることも。盗みの際に使う特殊な道具のほとんどは愛が作った物を使用している。また、美術品を見極める審美眼も大したもので、姉たちも信頼している。 初登場時は高校生で、後に国立大濠芸術大学に合格し大学生となっている。寝惚けると俊夫のベッドに潜り込む癖があり、瞳に叱られることも。来生家の人間らしく朝が苦手で、学校へ登校する時はいつも時間ギリギリなのがほとんど。 一人称は「ボク」。普段は可愛らしさの要素が目立つ末っ子キャラだが、大人っぽいメイクを施し、セクシーな衣装を身に纏い、アンニュイな表情をすると、姉たちに負けないほどの艶っぽい色気を醸し出す(しかし、本人に寄ればこの表情を維持するのはかなり疲れるとのこと)。いつもは子ども扱いする平野も「色っぽい女キャッツ」にメロメロになったほどである。 キャッツとしての行動時のコスチュームは、生成り色の襟のついたオレンジ色のレオタードにスカーレット色(黄色の時もあった)のウエストマーク。後期は胸元をU字形に開いたタンクトップのようなデザインのものを着用していた。アニメ版においても第1期は前期、第2期と『劇場版シティーハンター 〈新宿プライベート・アイズ〉』では後期のデザインとなっている。 喫茶店でカウンターに入り接客をすれば、その親しみやすい笑顔とキャラクターでいつも周囲に賑わいを見せる“看板娘”である。
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