エストラゴンとは? わかりやすく解説

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エストラゴン【(フランス)estragon】

読み方:えすとらごん

キク科多年草。全乾燥して香辛料として用いる。甘い香りがあり、サラダ・ソース・野鳥料理臭み消しなどに使う。酢に浸したタラゴンビネガーは有名。タラゴン

エストラゴンの画像

タラゴン

タラゴン
科名 キク科
別名: エストラゴン
生薬名: -
漢字表記 -
原産 中央アジア
用途 耐寒性のある多年草エスカルゴ料理風味づけに欠かせない食材です。また、食欲増進利尿駆虫通経などにも用いられています。
学名: Artemisia dracunculus L.
   

タラゴン

(エストラゴン から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/22 23:06 UTC 版)

タラゴン
タラゴン
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : キク亜綱 Asteridae
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : キク亜科 Asteroideae
: ヨモギ属 Artemisia
: タラゴン A. dracunculus
学名
Artemisia dracunculus
L.1753[1]
和名
タラゴン
英名
Tarragon 

タラゴン英語: Tarragon学名: Artemisia dracunculus)は、キク科ヨモギ属に分類される多年生植物である。自然にはロシア南部や中央アジアにかけて分布する。エストラゴン (フランス語: estragon) の名でも知られ、フランス料理に使われるハーブの1つでもある[2]。このため、原産地に限らず、栽培が行われている地域もある。和名では、ホソバアオヨモギと呼ばれる。

特徴

本種はカール・フォン・リンネの『植物の種』(1753年) で記載された植物の1つとして知られる[3]。タラゴンの原産地は、ロシア南部か西アジアか東ヨーロッパの付近であろうと考えられている[4]。しかしながら、タラゴンは料理に使われる場合もある[2]。このため、フランス、ドイツ、オランダ、北アメリカ大陸、ロシア、さらには、比較的温暖なスペインなどでも栽培されている[4]。草丈は60センチメートル程度まで育ち、茎は直立してよく分枝している。葉は対生で、細長く、先が尖っており、濃い黄緑色で光沢を有す。花は滅多に咲かず、また、不稔性なので、栽培する場合は、挿し木や株分けで増やす。

香気

タラゴンはアニスのような香気を持ち、その香りの主成分はエストラゴール(estragole)であり、タラゴンの香気成分の6割程度を占めている[4]。タラゴンのフランス語のエストラゴンが、慣用名のエストラゴールの語源である。このような香りを有するため、タラゴンは料理に使われる場合もある[2]。さらに、料理以外においても、食品用の香料、香粧品用の香料としても用いられる[5]。なお、葉が乾燥する間に少しだが酸化するため、葉に含まれていた別の化学成分がクマリンに変化し、乾燥したタラゴンからは、刈ったばかりの干し草のような芳ばしい、ただしこれまでとは違った香りが生じる[6]

栽培

タラゴンは野性的な性質の植物であり、気候が合えば容易に育つ[4]

適度に日の当たる場所で、水はけの良い軽い土質を好む。収穫は年に2回から3回可能であり、開花直前が最も香りが高い。同じ株で何度も収穫していると段々と香りが弱くなるので、3年から4年ごとに植え替える[7]

歴史

タラゴンの原産地は、ロシア南部か西アジアか東ヨーロッパの付近であろうと考えられている[4]。BC500年頃からギリシャでは、薬草として栽培されていた。ヒポクラテスは、ヘビや狂犬に噛まれた時の毒消しに用いていたという[8]。13世紀の植物学者、薬剤師であるイブン・バイタールは、タラゴンの効能を口臭予防や睡眠導入に効果があるとしていた。

用途

料理の着香を含めて、食品用香料として利用される[9]。しかし、そればかりではなく、香粧品用香料として、他の香りの変調剤としても利用される[5][注釈 1]

料理

料理の香味付けに用いられるが、香りが飛んでしまうので、乾燥させた物ではなく生で用いるのが望ましい。

ピリッとした辛味を有し、ドレッシングなどサラダの味付けに使用する[2]フランス料理で広く利用され、タルタルソースなど多くのソースに加えられる[2]。また、鶏肉、魚介、卵料理まで、淡白な味を引き立て[8]、料理の味を劇的に変化させるため「魔法の竜」と呼ばれている。香りが強いため、オイルビネガーに入れておくだけで風味付けに使える[2]。フランス料理の調味料であるタラゴンビネガーは、タラゴンを白ワインビネガーに漬けて作る[10]。乳製品にも良く合い、チーズサワークリームに混ぜたディップなどにも使える[2]

薬用

食欲増進、健胃・整腸作用、鎮痛作用があり、痛風リウマチにも良いといわれている[2]

抗癌作用を主張する研究について

かつて、タラゴンはデザイナーフーズ計画のピラミッドで3群に属しており、3群の中でも、バジル、タラゴン、カラスムギアサツキは共に3群の上位に属する、癌予防効果を有した食材であると位置付けられていた[11]

脚注

注釈

  1. ^ 香りの変調剤は、英語では「modifier」と言う。他の香料に、変調剤を混ぜる事により、香りを豊かにできる。変調剤は、比較的少量でも効果が出てくる。

出典

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Artemisia dracunculus L. タラゴン(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月16日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 成美堂出版 2012, p. 179.
  3. ^ Linnaeus, Carolus (1753) (ラテン語). Species Plantarum. Holmia (Stockholm): Laurentius Salvius. p. 849. https://www.biodiversitylibrary.org/page/358870 
  4. ^ a b c d e 日本香料協会 編 『香りの百科(初版)』 p.261 朝倉書店 1989年6月25日発行 ISBN 4-254-25229-3
  5. ^ a b 日本香料協会 編 『香りの百科(初版)』 p.262 朝倉書店 1989年6月25日発行 ISBN 4-254-25229-3
  6. ^ ゲイリー・アレン『ハーブの歴史』竹田円 訳、原書房、2015年1月21日、17頁。ISBN 978-4-562-05122-9 
  7. ^ 武政三男『スパイス&ハーブ辞典』文園社、1997年1月、41頁。 ISBN 4-89336-101-5 
  8. ^ a b 北野 2005, pp. 91–93
  9. ^ 日本香料協会 編 『香りの百科(初版)』 p.261、p.262 朝倉書店 1989年6月25日発行 ISBN 4-254-25229-3
  10. ^ 主婦の友社 編『キッチンハーブ26種の育て方&レシピ』主婦の友社〈セレクトBOOKS〉、2011年10月、35頁。 ISBN 978-4-07-279232-2https://books.google.co.jp/books?id=gu1-UlICuu0C&pg=PA35&lpg=PA35&dq=%E3%82%BF%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%83%93%E3%83%8D%E3%82%AC%E3%83%BC&source=bl&ots=hj3Q97ps6F&sig=nQFJDs1oBagIztGirQ0i39BAVgM&hl=ja&sa=X&ei=BNM4VarTLcLCmQWoqoCwBA&ved=0CJ4BEOgBMBE 
  11. ^ 大澤俊彦「がん予防と食品」『日本食生活学会誌』第20巻第1号、2009年、11-16頁、doi:10.2740/jisdh.20.11 

参考文献

外部リンク


エストラゴン

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グラナダ -究極科学探検隊-」の記事における「エストラゴン」の解説

『ハンタークラッシュ』の異名を持つ賞金首

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