黒い三連星 黒い三連星の概要

黒い三連星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 16:56 UTC 版)

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作中の敵側勢力であるジオン公国軍に所属。ドムに搭乗し、地球連邦軍ガンダムを操る主人公アムロ・レイジェットストリームアタックという三位一体の戦法で翻弄する。

劇中でも、過去のルウム戦役で連邦軍のレビル将軍を捕虜にしたことが語られるが、その後のメカニックデザイン企画『モビルスーツバリエーション(MSV)』などでも過去の乗機や経歴が設定された。また、漫画、映画およびテレビアニメ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では作者の安彦良和独自の解釈も加えられながら、過去からガンダムとの対戦までの姿が描かれた。

解説

制式名称はジオン公国軍のキシリア・ザビ率いる突撃機動軍第7師団第1MS大隊司令部付特務小隊[1]。ガイアを中心に、一年戦争以前に教導機動大隊第2中隊D小隊に在籍していたマッシュとオルテガで構成されている[1]。ガイアたちは、その能力の高さから軍内での立場を優遇されていたという[2]。教導機動大隊では ザクIを乗機としており、一年戦争に至るまで数回に渡りメンバーチェンジが行われるが、宇宙世紀0079年に勃発した一年戦争初期のルウム戦役直前よりガイア、マッシュ、オルテガの3人に固定される(この当時の乗機はザクII C型[1]

ガイアたちは、「ジェットストリームアタック」と呼ばれる三位一体の攻撃フォーメーションで地球連邦軍艦隊を攻撃し、その総司令であったレビル中将(当時)の座乗する旗艦アナンケを撃沈したうえ、脱出を図ろうとした彼を捕虜にする。この功績によって名が広く知られるとともに、ザクII S型を与えられる[1]。「黒い三連星」の異名は、ザクII S型以降のガイアたちの乗機が黒を基調としたパーソナルカラーに塗装されていたことによる[注 1]とも、彼らが着用していた揃いのノーマルスーツが黒であったことによる[3]とも言われる。

宇宙世紀0079年3月、乗機のザクII S型のオーバーホールに伴い、1週間の後方勤務を命令されて古巣の教導機動大隊の特別演習に参加する。この際には、動態保存されていたかつての愛機のザクIが当時のパーソナルカラーに再塗装され、教官機として用意されている[注 2]。その後は高機動型ザクIIを受領して宇宙で戦績を上げるが、0079年11月には地球のオデッサへ援軍として差し向けられ、ドムを与えられる[注 3]。しかし、同月のオデッサ防衛線において、オデッサの後方撹乱を命じられていたホワイトベース隊と交戦した結果、ガンダムにジェットストリームアタックを破られてマッシュが戦死したうえ、撤退後の再アタックにおいてガイアとオルテガもガンダムに敗れ、全滅している。なお、映画『哀・戦士編』では一度の戦闘で全滅している。

撃墜スコアは艦船14隻であるが、個人単位では1/3とされて4.6隻となり(個々人の戦績は無視されている)、ぎりぎり「エース・パイロット」には届かない計算となる[2][注 4]。だが、ガイアたちはあくまでチームとしての戦果をすべてとしており、その点に関する不満はなかったという。また、フラナガン機関による調査では、ガイアたちはニュータイプの素養ありとの結果が出ているとも言われる[4]

機動戦士ガンダム THE ORIGIN

漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、兵卒からのたたき上げ士官准士官として登場。ドズル・ザビが指揮するMS開発計画においてランバ・ラルとともにテストパイロットとして携わり、宇宙世紀初のMS同士の戦闘「雨の海会戦」もガイアたちとシャア・アズナブルによって行われる。ラルは昇進したガイアたちに会った際に「あの兵隊やくざどもが士官?」と驚いており、過去の素行の悪さがうかがえる。ただ、士官学校を出ていないことがコンプレックスでもあるようで、一時一兵卒に降格されながらも功績により早々に再任官されたシャア(士官学校卒)に対し、(オルテガは特に)ライバル意識を抱いている。

同作アニメ版でも同様の展開だが、ラルがガイアと面会する場面では驚きつつも和やかな雰囲気が見られる。ガイアに対しては真っ当な軍人として接するが、マッシュとオルテガに対してはやはり兵隊やくざと切り捨てる。同作では、ルウムにおける乗機は高機動型ザクIIになっている(ただしジョブ・ジョンがルウム戦役の話をするシーンのイメージカットではザクI)。また「ジャブロー編」において、中立地帯でアムロたちホワイトベースのクルーと生身で対峙する場面もあった。

後にマッシュを失い、「オデッサ編」で再登場した際には8機のドムで編制された部隊となっている(MSは3機で1個小隊であり、これは定数外の変則的な編制である)。木馬の艦載機(スレッガーのコア・ブースターとセイラのコアファイター)出現の報に勇んで出撃し、撃墜されたセイラの救援に出動したアムロのガンダムと遭遇。復仇の念に燃えて「Wジェットストリームアタック」(ガイアとオルテガを小隊長にした2方向からのジェットストリームアタック)を敢行するが、ニュータイプとして覚醒し始めたアムロの敵ではなく、瞬く間に全機撃破される。

その他の作品

漫画『機動戦士ガンダム0079』では極めて高い戦闘能力を発揮し、マッシュ戦死後のオデッサ戦でガンタンクガンキャノンを修理不可能なまでに破壊。ガンキャノンの片足を破壊し撃破寸前まで持ち込むものの、ギリギリのところでのアムロの反撃とGファイターの後方からの反撃を受け、一歩及ばずに撃破される。

漫画『機動戦士ガンダム MSV-R 宇宙世紀英雄伝説 虹霓のシン・マツナガ』では、レビル将軍の脱出後にその責を負ってグラナダに赴任してきたシン・マツナガ、ランバ・ラルと反目し、3対3の模擬戦を行う。しかし、月を攻撃してきた連邦軍に対しては協力して迎撃戦を行う。

ジェットストリームアタック

ジェットストリームアタックとは、黒い三連星が使用した攻撃フォーメーションの名前であり、もともとは宇宙での対艦船戦闘用に考案されたものである。三者三様に異なるガイアたちのパイロット特性を、最大限に活かすかたちでフォーメーションが構成されている。

この技の攻撃手順は、まずメンバーそれぞれが搭乗したMSが縦一列に重なって並び、真正面から対峙した敵に1機のみが向かっているように見せかける。そのまま攻撃対象に向かって接近し、1機目が対象に攻撃を加えてすぐに列から離れ、直後に2機目が同様の箇所に攻撃を加える。これを3機目まで実行し、攻撃対象に深手を負わせるというものである。もっとも、これは進入角度を選んで対宙砲火による被弾率を最小限に抑えられる場合(ガンダムはこのとき、ビーム・ライフルを携行していなかった)のパターンであり、漫画『THE ORIGIN』では他に複数のフォーメーションが存在する描写がなされている。

こうした時間差攻撃は、ガイアたちの死後もMS戦における古典的な戦術手段として使用されている[5]。また、ゲームブック『機動戦士ガンダム0080 消えたガンダムNT』では、サイクロプス隊がゲルググやザクといった混成の機体群でジェットストリームアタックを行っており、『機動戦士ガンダムUC』においてもトリントン基地攻撃作戦において同様の光景が見られた。

アニメ版での攻撃例

アニメ版第24話でガンダムに対してかけたジェットストリームアタックは2回で、その内容は以下のとおりである。

  • 1回目
  1. 先鋒のガイア機がサーベルで斬りつける(ガンダムには届かず、ガンダムもサーベルを空振りする)→ガイア機は上へ逃げる
  2. 次鋒のマッシュが空振りして隙を見せたガンダムをバズーカで砲撃(ガンダムは頭を下げて避ける)→マッシュ機は左へすれ違う
  3. 中堅のオルテガ機がさらにバズーカで砲撃(ガンダムは頭を下げて避け、バズーカを斬る)→オルテガ機は上へ逃げる
  4. 大将(2撃目)マッシュ機が背後からバズーカで砲撃(ガンダムはジャンプして避ける)
  • 2回目
  1. ガイア機が胸部拡散ビームで目くらましをかける(ガンダムは上に逃げる)
  2. マッシュ機が身をかがめたガイア越しにバズーカでガンダムを砲撃(ガンダムはガイア機を踏み台にしてバズーカを避け、サーベルでマッシュ機を突き刺し、さらに縦斬り。これでマッシュ機は沈む)
  3. オルテガ機が上に跳んで斬りつけようとしたところを、上空でミデアに体当たりされる[注 5]

オルテガはミデアの操縦席をマチルダ・アジャンごと叩き潰して返り討ちにするが、マッシュを失ったガイアは撤退を命令している。


注釈

  1. ^ 資料によっては、ルウム戦役の乗機から黒のパーソナルカラーであったとされる。後述の「ルウム戦役での搭乗機」を参照。
  2. ^ 『マスターグレードモデル MS-05B ザクI黒い三連星専用機』で設定された。
  3. ^ キシリア少将が「ドムを回しましたか? 三連星に」の問いに「すべて臨機応変にな」と答えており、三連星の急な人事異動に伴う融通無碍的なMS供与であったことが明言されている。『MS戦記 機動戦士ガンダム0079外伝』では、月でドムを受領後にザンジバルで一緒に降下している。
  4. ^ 通常、エースの算定は「敵機」の撃墜数で計測するが、この時点の連邦軍には航宙機としてセイバーフィッシュなどが存在しているだけであったため、「敵艦」の撃沈数で判定するシップス・エースという独自の概念が生まれている。
  5. ^ ゲーム『ガンダム無双』では、ミデアおよびマチルダが未登場のため、攻撃順がやや異なる。なお、通常の戦闘でもジェットストリームアタックをかけてくる。
  6. ^ GGENERATION』(F/PORTABLE)、「スーパーロボット大戦シリーズ」でも担当。
  7. ^ 政宗一成が声を担当していないゲーム作品のうち、2012年までの全ゲーム作品で声を担当。
  8. ^ ガンダムジオラマフロント』『ガンダムバーサス』でも声を担当。
  9. ^ 機動戦士ガンダム vs.シリーズ」でも声を担当。
  10. ^ 「スーパーロボット大戦シリーズ」以降のゲーム作品のうち、2012年までのほぼすべてで声を担当。
  11. ^ 松本大が声を担当していないほぼすべてのゲーム作品で声を担当。
  12. ^ 一年戦争』『ガンダム無双』「GGENERATIONシリーズ」(WORLD以降)でも声を担当。
  13. ^ 『ガンダム』の制作当時には、作画枚数を節約するためにセル画を後の回で再使用するバンクシステムがあり、機体のカラーリングを変更できなかったという制作側の事情もある。
  14. ^ a b 担当声優は異なる。

出典

  1. ^ a b c d e f g h 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション2 ジオン軍MS・MA編』講談社、1984年4月、190-192頁。
  2. ^ a b 『ENTERTAINMENT BIBLE .39 機動戦士ガンダム 戦略戦術大図鑑』バンダイ、1991年12月、142頁。
  3. ^ 『アニメック16号 機動戦士ガンダム大事典』ラポート、1981年3月、106頁。
  4. ^ 『機動戦士ガンダムII 哀 戦士編大百科』勁文社、1981年9月、247頁。
  5. ^ 漫画『機動戦士ガンダム カタナ』、ゲームブック『機動戦士ガンダム シャアの帰還 ―逆襲のシャア外伝―』、漫画『THE DOG OF WAR U.C.0092』より。
  6. ^ 『模型情報・別冊 MSバリエーション・ハンドブックI』バンダイ、1983年3月、9頁。
  7. ^ 『HOW TO BUILD GUNDAM 2』ホビージャパン、1982年5月、8頁。
  8. ^ “NHKもテレビ欄に「ドイツの黒い三連星」…五輪複合団体、話題ガンダムネタ投入”. デイリースポーツ. 神戸新聞社: pp. 1-2. (2018年2月22日). https://www.daily.co.jp/gossip/2018/02/22/0011008003.shtml 2018年2月23日閲覧。 


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