宇宙飛行士 精神衛生

宇宙飛行士

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/11 21:42 UTC 版)

精神衛生

精神医学を専門とするカリフォルニア大学サンフランシスコ校のニック・カナス教授は、ニューヨーク・タイムズ紙(2007年2月7日付)で、以下のようなことを指摘した[注釈 2]

「宇宙から帰還した飛行士の中には、長年の目標を失い、一種の“燃え尽き症候群”に陥る人がいる」
「彼らは(訓練のおかげで)宇宙でのストレスにはうまく対処はするが、飛行の後の(地上での)現実にはうまく適応できなくなる事例がある。また、感情人間関係の問題については、いつも上手に対処できるというわけではない」

燃え尽き症候群の例としては、アポロ11号で人類として初めて月に到達したバズ・オルドリン[注釈 3]は地球帰還後に鬱病を患ったことが挙げられる[3]

また、感情や人間関係の問題に必ずしも上手に対処できるわけではない例としては、リサ・ノワックの事例がある。

無重力の影響

宇宙飛行士は重力の影響を受けない環境に長期間さらされるため、任務を続ける間、身体にさまざまな変化が現われてくる。多くの場合、それは地上へ帰還した際に不都合を招くものとなる。

宇宙線の影響

トラスと船外活動中の宇宙飛行士

宇宙空間では、宇宙線により健康上極めて重大な障害を受ける可能性がある。また、その観点から各種防護対策が必要である。

スカウト・身分

元航空自衛官の油井亀美也

アメリカやロシアの場合宇宙飛行士の初期において多くは空軍海軍テスト・パイロットから選抜された[3]。彼らはに籍を置いたまま出向の形でNASAに所属する。NASA職員も国家公務員であるため軍を退職する必要はなく、任務が終了したり適性を失ったりすると軍に復帰するか、操縦士であれば操縦訓練の教官やNASAが運用する航空機の操縦士として働くのが一般である。彼らは宇宙飛行士としては元の軍の階級で呼称される。

現代では自然科学系の大学を卒業し、一定期間の実務経験を有する技術者・科学者・医師から、チームワークやリーダーシップの実績、コミュニケーション能力など「ライトスタッフ」と呼ばれる資質を有する者を選抜している[4][5]。NASAでは応募者が増えすぎたことや結果的に選ばれているためとして、2020年から修士号が必須となった[5]。また応募する者の傾向としては、南極観測隊や自然環境での救助活動の経験者、自家用操縦士を有する者が多いという[5]。なお現在のNASAではT-38での訓練を実施している都合上、操縦士を欲している[5]

JAXAが2021年に募集した要項は、日本国籍、身長149.5~190.5cm、矯正視力1.0以上、3年以上の社会人に相当する実務経験、学歴不問としている[6]。資質としては協調性やリーダーシップの他、社会への発信力など広報能力も重視される[6]。学歴不問であり修士号や博士号は実務経験としてカウントされるが、筆記試験は大学教養レベルや国家公務員の採用試験レベルとされる[7]。2008年までは、自然科学系の学士号、実務経験は自然科学系に限定されていた。

日本では自衛官がJAXAの宇宙飛行士選抜試験を受けることは可能ではあるが[8]、合格した場合にはJAXAの職員となるため、自衛隊を退職しなければならない。JAXA職員は公務員でないため、自衛隊との兼業はできない。2015年までに油井亀美也金井宣茂が宇宙飛行士に選ばれ退職している[9]。両名ともJAXAに在籍したままであるが、自衛隊に復帰できるのかは不明。

JAXAの職員や海上保安官も要件を満たせば受験は可能で、2008年の試験ではJAXAの地上管制官と海上保安庁のパイロットが最終選考まで残った(ドキュメント宇宙飛行士選抜試験)。

NASAでは定年や異動による自然減に対応するため常時12名前後の現役として待機させており、これに合わせアメリカ政府職員の求人サイト(USAjob.gov)を通じて、求人を行っている[10]。また軍のパイロットからの選抜も別途行われている。2020年の募集では1万2040人の応募があった[5]

年収

宇宙飛行士の平均年収は、各国の宇宙開発機構によって大きく異なるが、概ね下記のような金額である。[要出典]

  • JAXA(日本) - 800万円~1000万円
  • NASA(アメリカ) - 1000万円前後
  • CNSA(中国) - 3000万円
  • ロスコスモス(ロシア) - 1500万円

注釈

  1. ^ 旧ソ連によるユーリ・ガガーリンの世界初の有人宇宙飛行は周回飛行だったためこの点は問題ないが、帰還時にパラシュートで脱出して着地する方式が当時の国際航空連盟の規定「宇宙飛行士は打ち上げから着陸に至るまで宇宙船の中に居なければならない」に反しており、旧ソ連はこの事実を隠ぺいしていた。
  2. ^ リサ・ノワックによる事件直後、その事件を視野に入れつつ、宇宙飛行士の精神衛生全般に関して解説。
  3. ^ ニール・アームストロングとともに到達。

出典



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