黒のマスター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 04:38 UTC 版)
「Fate/Apocrypha」の記事における「黒のマスター」の解説
ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア(Darnic Prestone Yggdmillennia) 声 - 檜山修之 黒のランサーのマスター。97歳。魔術協会のはぐれ魔術師を束ね、吸収してきたユグドミレニア一族の長。かつて時計塔では元素転換の講師をしていたが講師としての手腕は不評。しかし政治的な手腕にはこの時点で長けており、最高位の「王冠(グランド)」の階位に就き「八枚舌のダーニック」という異名で呼ばれていた。 黒のキャスターのゴーレムに必要とされる、高価かつ貴重な八百年級の宝石と羊皮紙を魔術協会に察知されずに大量に仕入れる程の独自ネットワークを構築しており、組織運営に非常に高い才能を見せる。そのうえ魔術協会はおろか聖堂教会にも血族を忍ばせ諜報を行わせていることもあり、ユグドミレニアの脅威が魔術協会に露呈することは自ら宣言するまでなかった。 また大魔術として魂を自らの糧にするという呪法を編み出している。しかし、サーヴァントでも器のホムンクルスでもないために魂の融合によってダーニック自身の人格は徐々に失われるリスクを抱えている。それ故に過去三回しか魂の融合は行っていない上に現在では適合が六割を切っており、次に行えば成功してもダーニックは自分がダーニックという誰かの記憶を持った何者かになると確信している。 かつては冬木の第三次聖杯戦争にマスターの一人として参戦。その際に大聖杯をナチスと共に強奪し、ルーマニアに隠匿してきた。今回の聖杯大戦を勃発させた黒幕と言える人物。年齢は97歳だが、魂を融合させる禁術で肉体は20代から30代の瑞々しさを保っている。 サーヴァントであるランサーには「領王(ロード)」(アニメ版では「王」)として傅いているが、内心では魔術師らしく使い魔と見下している。 大聖杯が空中庭園に奪われ、奪還のために空中庭園に乗り込んだことで知名度とスキルの恩恵を失ったランサーが追い詰められると、隠していた本性を露わにし温存していた全ての令呪を使用してランサーが自他共に発動を禁じていた「鮮血の伝承」を強制的に発動、2画目で「大聖杯を手に入れるまで生き続けろ」と命じて自決を封じ、3画目で「我が存在をその魂に刻みつけろ」と命ずると同時に魂を自らに融合させる禁術の応用で吸血鬼化したランサーに寄生した。令呪と禁術の反動でダーニックとヴラド三世の人格が混在しながらもそれらの人格が消えそうになる苦しみに喘ぎ、2画目の令呪でそれを防いでいる。宝具と令呪、禁術の作用によってダーニックの聖杯への妄執と一族の悲願に吸血鬼の本能が入り交じった化け物と化してしまったことで、聖杯に願望をかければルーマニアが一晩で地獄と化す危険な状態を招いたために、ルーラーの令呪を受けた全てのサーヴァント達の総攻撃を受けるが、それらを振り切って大聖杯に肉薄する。しかし、待ち伏せていたシロウに驚愕、吸血鬼の弱点がそのままであったために黒鍵と洗礼詠唱を受けて浄化され、灰になり消滅する。 フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア(Fiore Forvedge Yggdmillennia) 声 - 赤﨑千夏 黒のアーチャーのマスター。19歳。ダーニックの後継者とされる可憐な印象の少女。降霊術と人体工学において類い希な才能を見せる一族中でも随一の傑物。独自のアレンジを加えて作り出した数々の「接続強化型魔術礼装(ブロンズリンク・マニピュレーター)」は三流の魔術師でも一流を仕留めると言われる程の逸品。自身も携帯を使うために弟がパソコンを使う点については特に咎めておらず、良好な関係を築いている。両足にある魔術回路の変質により歩行ができず、車椅子生活を強いられている。魔術回路に影響を与えることなく歩行能力を取り戻すという願いを聖杯に抱く。古びた一本の矢から黒のアーチャーを召喚する。 幼い頃、父が連れてきた犬が降霊術の実験台という目的が分からずにペットとして可愛がっていたが、一週間後に父が降霊術の失敗例として死なせてしまう。幼い彼女はその場で最適な解答をした後にカウレスと共に犬を埋葬した後に泣き出してしまった。その後、犬に関わる品を全て処分して降霊術を失敗することはなかった。しかし、犬の死後しばらくは肉を食べることが出来ず、カウレスが手を握ってあげないと眠ることすら出来ないほどに犬の死がトラウマとなっており、降霊術の成功も犬のようになるのが怖いのではなく、犬を思い出すのが怖いからであった。 ダーニックの死後、後継者としてユグドミレニア家を率いていかねばならない立場となるが、上述のトラウマを含め、魔術師として非情になり切れない人格と精神的な脆さから当主には不向きなのではないかとカウレスと黒のアーチャーから心配されている。その心配は黒のアサシン襲撃の際に不覚を取るという形で表面化し、アサシン戦後はカウレスの説得に応じて魔術師としての生を捨て、刻印とフォルヴェッジ当主の資格を独断でカウレスに譲り渡す。 大戦終結後はこれまで魔術師としての人生を送ってきた関係から一般人としての生活に不慣れなため、生活を補助するホムンクルスと共にルーマニアを去った。アニメ版では両足のリハビリに励んでいる様子が描写された。 カウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニア(Caules Forvedge Yggdmillennia) 声 - 小林裕介 黒のバーサーカーのマスター。フィオレの弟で、18歳。扱う魔術は召喚術。魔術の才能に恵まれる優秀な姉と違い凡庸で、マスターに選ばれてしまった事を渋々受け入れている。魔術自体は好きだが、魔術のために平然と他人を犠牲にするような非人道的な魔術師の在り方を嫌う、良くも悪くも魔術師らしからぬ青年。しかし、心構えという意味ではフィオレより完成しており、彼女のトラウマになっている犬の末路を彼は理解していたが、犬の死後のフィオレの姿を知っているので彼も複雑な感情を抱いている。自室には魔術の研究器具以外にパソコンが置かれており、「魔術師も現代の情報技術に対応しなければならない」という考えから現代技術に精通し、セレニケはそれに一定の理解を示している。「理想の人間」の人体図を触媒に黒のバーサーカーを召喚する。 黒のバーサーカーとの絆は確かなもので、戦いの中でやむなく自爆宝具の使用を指示したことを幾度となく悔いていた。バーサーカー脱落後は後方支援に徹していたが、ダーニック没後は姉の補佐として活躍。フィオレが自身より圧倒的に優れた魔術師である事は理解していたが、その性格が魔術師として不向きである事を見抜き、彼女と話し合ってフォルヴェッジ家当主の座と魔術刻印を譲り受ける。 聖杯大戦終結後は、人質兼監視対象として時計塔に入学させられ、さらにその後はエルメロイⅡ世の教室に転属して、彼の教導を得ることとなる。 ゴルド・ムジーク・ユグドミレニア(Gordes Musik Yggdmillennia) 声 - 大川透 黒のセイバーのマスター。36歳。かつてはアインツベルン家にも並ぶと評されたが現在は没落しつつある錬金術の名家・ムジーク家の継承者。血に染まった菩提樹を触媒にして黒のセイバーを召喚した。未だに過去の栄光と血筋に固執した傲慢な男だが、魔術師としては優秀で、魔力のパスの分割というシステム干渉を実現した。また外交手腕に長けているという一面もある。 初期に自分のサーヴァントとのコミュニケーションを放棄したことが祟り、愚かな失態を繰り返すこととなる。自己犠牲のための自害という形でサーヴァントを失い、黒陣営の中での立場も失ってからは自己嫌悪から自暴自棄の日々を過ごす。しかしジークやホムンクルスたちとの対話でいくらか吹っ切れたのか、ひねくれた態度を取りながらも彼らのサポートをすることを決意した。「空中庭園」襲撃の際にはただ一人ミレニア城塞の守備として残留し、魔術協会への降伏や周辺勢力への調停を担当する。 聖杯大戦終結後はホムンクルスの面倒を見ながら、自分と同じになった息子の再教育を決意している。 魔術の系統としては錬金術を習得しており、「変成鉄腕」による組成変換で強化されたパンチを放つ。 セレニケ・アイスコル・ユグドミレニア(Celenike Icecolle Yggdmillennia) 声 - 石上静香 黒のライダーのマスター。26歳。黒魔術による他者の呪殺を生業とする女魔術師。怜悧な美貌を持つ妙齢の美女。他者を傷付け、虐げることに悦びを覚える残忍な人物で、全身から血腥さを漂わせている。液状の染みが残されたガラス瓶を触媒に黒のライダーを召喚する。そのライダーの清廉さと美しさに心奪われており、彼に歪んだ執着を見せる。 ユグドミレニアの一員でありながら、一族の悲願に興味を持たず、唯一我欲を優先させ、ライダーを男娼として愛でるだけで聖杯大戦の勝利になど関心はない。黒のライダーが入れ込んでいるジークを逆恨みし、ライダーを苦しめるだけのために令呪を使ってまでジークを殺害させようと目論むが、乱入してきた赤のセイバーに首を落とされ死亡する。 ロシェ・フレイン・ユグドミレニア(Roche Frain Yggdmillennia) 声 - 加藤英美里 黒のキャスターのマスター。中性的な印象の13歳の少年。一族の中では最年少に当たるが、やや大人びた口調でダーニックとも対等に話す。若くして人形工学(ドール・エンジニアリング)の分野で名を馳せる魔術師。彼の一族は生まれた子供の養育をゴーレムに任せ、刻印の移植が可能になるまで一度も顔を合わせることをしない、という魔術師の中でも特に異色な教育を受けて育てられたため、父母の顔は覚えていないのに、自分を世話したゴーレムは形状の一つも残さず記憶しているという人間に興味を持たない人格を形成してしまった。それは如何なる魔術師であろうと例外ではなく、彼にとっては一般人と大差は無い。だが唯一の例外として、ゴーレムの大家である黒のキャスターだけは尊敬を込めて「先生」と呼んでいる。 しかしロシェの黒のキャスターへの敬意と関心はゴーレム作成の手腕に対してのみ向けられていたもので、彼の人間性や願いの本質を理解していたわけではなかった。その結果、信頼していた黒のキャスターの裏切りに遭い、宝具の炉心として利用されて死亡する。 六導玲霞(りくどう れいか) 声 - 中原麻衣 黒のアサシンのマスター。 のんびりとした性格だが、極端に"冷静"な思考をしている。魔術師ではないが、本来アサシンを召喚した相良豹馬によって生贄にされかかっていたところを、アサシンの意思によってマスターとして選ばれた。その際に相良豹馬を尋問した後に殺している。聖杯大戦の趨勢にもユグドミレニアにも知識も関心もなかった彼女が聖杯大戦に身を投じたのは、アサシンの願いを叶えるためである。魔術師ではないことから、魔力の供給は一切できない代わりに、一般市民に溶け込むことを可能としている。 並外れた行動力を持っており、相良豹馬を殺した後に彼の残した資料から魔術と聖杯戦争の知識を得て、短期間で整えた準備のみでルーマニアへ移動。その後、自分が行えないアサシンへの魔力供給を自身が囮になることでおびき寄せた悪人の魂を喰らわせることで補い、そのうち現地の警察の動きが活発になり始めるとすぐさま移動する。それを繰り返すうちにアサシンとのコンビは、新聞でジャック・ザ・リッパーの再来と報道されるまでに至っているが、尻尾を掴ませることなくトゥリファスへと徐々に移動していく。 大戦中盤にアサシンとともにトゥリファスに紛れ込んで黒の陣営に混乱を与えるものの、ルーラーの介入によりアサシンが劣勢になると共に撤退し、その最中に赤のアーチャーによって射殺される。今際の際に残った令呪でアサシンの生存を願った。 パイロット版では主人公として登場。新宿で娼婦をしていた23歳の女性と設定されている。 相良豹馬(さがら ひょうま) ユグドミレニアの魔術師の一人。生贄を用いる防護魔術を得意としている。その基盤は西洋魔術の他、日本の呪術も用いられている。新宿で黒のアサシンを召喚したが、生贄として用意していた六導玲霞にマスター権が発生する結果を招いてしまい、アサシンによって殺害された。その際、玲霞に聖杯大戦や魔術師としての情報を与えており、その後玲霞は豹馬の工房内でおおまかな魔術世界の知識を習得している。物語本編には登場せず、番外編「ツークツワンク」にて登場。 また、時間軸設定の不整合などから本編とは扱われないが「似たようなことがあった」とされているパイロット版の設定によると、新宿で「ヒカル」の源氏名で職業ホストとして働いていた青年で、得意とする魔術は暗示や潜伏などとされている。
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