近代医学とは? わかりやすく解説

生物医学

(近代医学 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/01 06:26 UTC 版)

生物医学英語: biomedicine)または西洋医学: Western medicine)、主流医学: mainstream medicine)、通常医学: conventional medicine)とは[1]医療科学(medical science)の一分野であり、生物学的および生理学的な原理臨床に応用しているもの[注 1]。生物医学は、生物学的研究によって検証され標準化された根拠に基づく治療エビデンスベーストトリートメント evidence-based treatment)を強調している。その治療は、正規の訓練を受けた医師看護師、その他の免許を持つ施術者が行う[3]

また生物医学は、健康や生物学に関連する分野の他の多くの範囲と関連し得る。西洋世界では1世紀を越えて、優勢な医学の体系であり続けてきた[4][5][6][7]

生物医学は多くの生物医学的(biomedical)な学科専門領域を含んでおり、それらは典型的には「生物(bio)―」という接頭語が入っている。例えば分子生物学生化学生物工学(バイオテクノロジー 生物技術)、細胞生物学発生学ナノ生物工学、生物工学(バイオエンジニアリング)、実験生物医学、細胞遺伝学遺伝学遺伝子治療生物情報科学(バイオインフォマティクス)、生物統計学システム生物学神経科学微生物学ウイルス学免疫学寄生虫学生理学病理学解剖学毒性学があり、他にも多数の分野が一般的に生命科学を扱っていて医学に応用されている。

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ 日本臨床薬理学会の論文:
    西洋医学現代の主流の医学であり mainstream medicine とも呼ばれている。この西洋医学を通常医学(conventional medicine)として代替医療を非通常医学(unconventional medicine)と呼称したり、漢方、鍼灸を中心とした東洋医学や世界中の伝統的、民族的な医療を伝統医学(traditional medicine)、その他に主流の医学の変わりになる医学あるいはこれにとって代わる医学として代替医学(alternative medicine)、あるいは補うものとして補完医学(complementary medicine)とも呼ばれる。[2]

出典

  1. ^ "Biomedicine." NCI Dictionary of Cancer Medicine. National Cancer Institute.
  2. ^ 兵頭 2006, p. 27S.
  3. ^ Quirke, Viviane; Gaudillière, Jean-Paul (October 2008). “The Era of Biomedicine: Science, Medicine, and Public Health in Britain and France after the Second World War”. Medical History 52 (4): 441–452. doi:10.1017/s002572730000017x. PMC 2570449. PMID 18958248. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2570449/. 
  4. ^ Johnson, Suzanne Bennett. "Medicine's Paradigm Shift: An Opportunity for Psychology." APA Monitor on Psychology 43.8 (September 2012)
  5. ^ Wade DT, Halligan PW (2004). “Do biomedical models of illness make for good healthcare systems?”. BMJ 329 (9 December 2004): 1398–401. doi:10.1136/bmj.329.7479.1398. PMC 535463. PMID 15591570. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC535463/. 
  6. ^ George L. Engel (1977). “The Need for a New Medical Model: A Challenge for Biomedicine”. Science 196 (4286 (Apr. 8, 1977)): 129–136. Bibcode1977Sci...196..129E. doi:10.1126/science.847460. PMID 847460. http://www.drannejensen.com/PDF/publications/The%20need%20for%20a%20new%20medical%20model%20-%20A%20challenge%20for%20biomedicine.pdf. 
  7. ^ Lloyd, Hilary, Helen Hancock, and Steven Campbell. Vital Notes for Nurses: Principles of Care. Oxford: Blackwell Publishing (2007). 6. is

参照文献

  • 兵頭, 一之介「1.我が国のがん代替医療の現状と問題点」『臨床薬理』第37巻第2号、日本臨床薬理学会、2006年3月31日、27S-28S、doi:10.3999/jscpt.37.2_27S 

近代医学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 05:59 UTC 版)

医学史」の記事における「近代医学」の解説

化学研究技術施設発展により、医学19世紀以降に大変革起こした伝染病についての旧来の考えは、微生物学ウイルス学に取って代わられた。 細菌微生物最初に観察されたのは、1676年アントニ・ファン・レーウェンフックによる、顕微鏡使った観察であった。これにより微生物学という科学領域始まったイグナーツ・ゼンメルワイス(1818年-1865年)は、1847年分娩立ち会う前の医師に手の洗浄義務づけるだけで、産褥熱による死亡率劇的に下げたゼンメルワイス発見は、微生物病因説に先立つものだった。しかし、ゼンメルワイス発見同時代医師らは受け入れず、彼を迫害したゼンメルワイス発見一般的に活用されるようになったのはイギリス外科医ジョゼフ・リスター以後であったリスター1865年、傷の手当てに対して殺菌剤原則示した。しかし19世紀の間、医学的な保守主義のために、ゼンメルワイスリスター研究一般に受け入れられはしなかった。ルイ・パスツール発見ゼンメルワイス研究支持した微生物病気とを結びつけて考えたパスツールは、医学に大変革もたらしたパスツールクロード・ベルナールとともにパスチャライゼーション(低温殺菌法)を考案した。これは現在でも使われている。パスツールの実験によって病原菌説立証された。またベルナール医学における科学的方法作り上げるために、1865年、『実験医学研究序説』を発表したパスツールは、ロベルト・コッホ(1905年ノーベル生理学・医学賞受賞)とともに微生物学作り上げたコッホはまた結核菌(1882)・コレラ菌(1883)の発見およびコッホの原則作り上げたことでも有名である。 医学上治療における女性の参加(助産婦家政婦除いて)はフローレンス・ナイチンゲールなどによりもたらされた。ナイチンゲールらは、それ以前男性支配的だった医療分野に、看護基本的な役割示した。すなわち、衛生栄養状態不備による患者死亡率下げたのであるナイチンゲール1852年クリミア戦争後聖トマス病院勤務したエリザベス・ブラックウェル(1821年-1910年)は、アメリカで正式教育受けて医学実践した最初女性となった第一次世界大戦などの大規模な戦争状況により、体内機能監視のためX線(ヴィルヘルム・レントゲン)や心電図(ウィレム・アイントホーフェン)を使用することが増えた大戦間にはこれらに続いてサルファ薬などの選択的殺菌薬初め開発された。第二次世界大戦では、広い範囲効果的な殺菌療法がみられた。これはペニシリン開発および大量生産よるもので、戦争上の圧力およびイギリス科学者アメリカ製薬産業協力によって可能になった。 産業革命期には、癲狂院目立ったエミール・クレペリン(1856年-1926年)は精神疾患に関する新し医学分野導入した。この医学分野は、病理学病因論ではなく行動がその基礎となっていたにもかかわらず最終的に精神医学呼ばれるようになった1920年代シュルレアリストは、出版物の中で精神医学への反対表明した1930年代には、導入されいくつかの医学的療法物議かもしたこの中には発作誘発するもの(電気けいれん療法インスリン等の薬物療法)や、脳の一部切除(ロボトミー・ロベクトミー)などが含まれるどちらも精神医学広く用いられたが、基本的な倫理有害な効果誤用などに対す懸念反対の声もあった。1950年代にはクロルプロマジンなどの新しい精神医学上研究所製作され、こちらの使用徐々に好まれるようになった。これは通常進歩考えられているが、遅発性ジスキネジアなどの深刻な副作用理由反対する声もある。患者精神医学上の監督従わない場合治療法抵抗示して飲まないことはしばしばあった。また精神病院対す抵抗強くなり、精神医学上の監督外で、ユーザー主導協力グループ(治療共同体)によって社会復帰させる試み現れた。ロボトミーは、1960年代以降反精神医学運動の中で批判されていたにもかかわらず統合失調症療法として1970年代まで使用された。

※この「近代医学」の解説は、「医学史」の解説の一部です。
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