パスツールの実験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 07:05 UTC 版)
フランスのルイ・パスツールは、1860年代に微生物の発生について調べるために、白鳥の首フラスコを用いた実験系を考案した。実験の概要は以下の通りである。 無処理の肉汁を入れたフラスコを二つ用意する。 長くのばしたフラスコの首を白鳥の首状に曲げ、この部分に水が溜まるように加工する。 肉汁を入れたフラスコの一方を煮沸する。蒸気は白鳥の首を伝って外部に出る。 蒸気の一部が凝集して水になり、首の曲がった部分に溜まりトラップとなる。フラスコ内部はこの段階で無菌となる。 煮沸しなかったフラスコでは腐敗が起こるが、煮沸したものでは長期間放置しても腐敗が起きない。 ただし白鳥の首を折ると腐敗が起こるようになる。 この実験で、空気中には眼には見えない微生物(カビや細菌の胞子)が多数浮遊していることを証明した。パスツールの成果は見事で、微生物学の基礎が開かれることになった。この実験で論争は落ち着き、生物は(おおむね)自然発生はしないと見なされるようになった。 ちなみに、パスツールは生命の起源に関する実験は行なっていない。これは、その問題は実験的に証明できるものではないと考えたからだと言われている。
※この「パスツールの実験」の解説は、「生命の起源」の解説の一部です。
「パスツールの実験」を含む「生命の起源」の記事については、「生命の起源」の概要を参照ください。
- パスツールの実験のページへのリンク