ワイドショー化への批評
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毎日放送にて平日夕方に放送されている、ワイドショー、ニュース番組の『ちちんぷいぷい』と『VOICE』のダブルネームである選挙特番、『激突!与野党大決戦 選挙スタジアム2017』では、選挙の候補者を紹介する演出として、政党を”学園”に見立てたカードバトル風の開票速報「めざせ当選! 国会学園」として、同局の強みであるアニメ番組の演出を取り入れた「政治家カードバトル」を放送し、SNS上でネットユーザーから様々な反応を受け中には中国でも話題になってしまった。 ワイプの演出に対してはニュースポータルサイト「瞬間!リサーチニュース」が「Yahoo!ニュース 意識調査」2013年6月5日午前2時現在 24,725回答の調べとして調査した結果、必要なしが全体の81%という結果を出している。 テレビ局内においては、読売テレビの番組審議会にてワイドショー的な作りのキー局の全国ニュース番組に対しての批判が審議委員から少なからず存在する。 人物・団体見解安倍宏行 元フジテレビの記者、解説委員の安倍宏行は、2014年時点でニュース番組のワイドショー化に対し、「テレビ局の制作体制の変化で、報道局の記者がワイドショー的な特報など企画モノを作る機会が増え、専門記者として成長する大切な時期にキャリアパスが中断し、組織全体の取材力が落ちた。それに伴い、組織としてここ20年の戦略で取材力や番組制作力を落としてきた」と述べている。また、「これから先、民放の地上波放送では本格的な報道番組はもう生まれない」と見立ていた。その後、2018年4月時点でソフトニュースを扱う時間が増えた結果、2016年以前は、毎年30時間に満たなかった芸能人の不倫報道が、同年以降から6倍以上に急増し、この傾向が徐々に下がるどころか同水準を保たれ、「ワイドショー」と「報道番組」の区分を分けても、結果は同様でだった。この事象に対し、コピーライターの境治は「ニュースキャスターが「一夜を共にした男女が”やったかやらなかったか”」を、何の根拠もなく憶測で「やってないはずない」と主張するのはどんな社会的意義があるのだろうか。」と批判し、「どんな枠でどんなことを扱うか、もう一度線引きをすべき」とテレビ制作業界に対して再考を促している。 安藤優子 ニュース番組のワイドショー化への批判に対し、ワイドショー化を加速させた番組のニュースキャスターであった安藤優子は2008年のインタビューで、「報道は気取りがある」「見ている方に通じないのであれば完全な送り手のマスターベーションでしかない」、 2013年12月2日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ)の番組内で「ニュースに優劣はないので何やっても良いと思う。硬派なことだけやればいいという考えは上から目線すぎないか」と発言する等、ワイドショー化を肯定する見解を示した。 有本香 小泉政権以降の大手放送局の劇場型テレビ政治報道に対し、ジャーナリストの有本香は「法治国家の政治は手続きで前提としてあるので、その手続きを踏んでいるのに関わらず、特に2001年以降、日本のテレビ政治報道がリードするは韓国の政治状況の様な人治的な情緒的国家型の紋切り報道を終始しリードして来てそれに近付いており、それが恰も全てがゴシップの様に扱っている」「日本人は手続きを重視しているのに、テレビの画面中で異常な熱狂な空間となっており、(ニュース、ワイドショー番組含め)其れを毎日洪水の様に見させられている」と指摘している。 池上彰 ジャーナリストの池上彰が自身の週刊誌連載の読者質問回答にて、ニュースに関心の無かった芸能人へニュースリーダー、ニュース解説、ニュースコメント、カンペの読み上げをする事をさせている様に対し、日本国内のテレビ業界において『「プロの仕事はプロに任せる」というルールが確立して無い事」へ違和感を持っており、「ニュースはニュースのプロが伝えるべきだ』と主張している。 乙武洋匡 フィフィや東海のアイドルキャスターへの批判については、乙武洋匡がTwitterのツイートでフォロワーから意見を求められ、「櫻井さんの存在によって、普段は興味のないニュース番組を見ようと思う若者もいる。大きな存在意義かと」と、タレント起用に賛成の立場を示した上で、「もちろん、専門家による詳細な解説が聞きたいと思う視聴者もいるでしょう。ならば、他の局を選択することもできる。各局は、そうした様々なニーズがあることを踏まえて、自分たちがどのような層にニュースを届けたいのかを考えていけばいい」と立場を示した。 ケント・ギルバート カリフォルニア州弁護士でタレントのケント・ギルバートはアメリカの主要なニュース番組を例に取り、「今日でも、コメンテーターが意見を述べるのは、特定の問題に限ったコーナーの中だけで、基本的にはキャスターだけが粛々とニュースを伝える形態を崩してないが、日本では、アイドルやタレント、得体のしれない学者が、したり顔でいちいちコメントします。詐欺事件のニュースで「怖い世の中になりましたねえ」と困った顔で嘆き、その直後の殺人事件では「犯人は早く捕まってほしいですね」と祈るように言い、次の火事の事件では「お気の毒ですね」と同情する素振りを見せ、最後に犬猫などのペットのニュースが流れると、「カワイイ!」などと、キャピキャピはしゃぐだけで、そんなコメンテーターが本当に必要ですか?」そんなものを流す時間があるなら、「もっと世界で起きている災害やテロ、金融や政治の情報を一本でも多く流してくれよ!」と思い、日本のニュース番組は質、量ともに、どんどんレベルが低くなっていると述べている。 小谷真生子 『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京)にて長年ニュースキャスターを務めた小谷真生子は、2014年5月15日に行われた日本外国特派員協会での会見にてニュース番組のワイドショー化の現象に対し「ニュース番組は必ずしも視聴者を喜ばせる必要がありません。事実を伝えるものですから。でも、どのテレビ局でも、ニュース番組が娯楽番組化するというトレンドが見受けられ、私にはそれが気に入りませんでした」「16年間ビジネスニュース番組に関わった後、その中間番組か娯楽番組を担当するよう言われましたが、気が進みませんでした。一旦どちらかに行ってしまったら、ニュースに戻ることができないと思った。」「視聴者の側は「娯楽畑にいた人が、ニュースに戻ることができるわけがないじゃないか」と思うでしょう。私はそのことを長い間疑問に思っておりました。テレビ局側もいつかそのことに気が付いて、正しい方向に向かって欲しい。」とテレビ制作業界に疑問を投げかけた。 サンドラ・ヘフェリン ドイツ人タレントのサンドラ・ヘフェリンは、日本のニュース番組にタレント起用が目立つ事に対して、「日本のテレビ制作現場の感じているニュース価値は、世界の常識とはかなりズレている」「ヨーロッパではまず国際ニュースがトップに来て、その後に国内ニュースが来るのが普通。ニュース番組で芸能人の結婚の話題をやるなんてありえません」と批判的な意見を主張している。 鈴木おさむ 放送作家の鈴木おさむは、民教協が2017年9月9日に催した、「平成29年度 北海道・東北・関東・甲信越地区研究協議会 東京大会」のパネルディスカッションの中で「私は、ニュースを扱う番組(ワイドナショー(フジテレビ))を制作(※構成担当)しているが、作り手側から見たニュースの扱いについて、ここ2年でバラエティ番組的ニュースとニュース的バラエティ番組がモザイクになり過ぎて、作ってる側は判別出来るが視聴者は判別出来ない」と主張し、「ニュース番組がワイドショー化し、逆にバラエティ番組が情報を取り扱うようになっており、特にこの2年で両者の境が無くなって来たために、バラエティで情報を取り上げたところ人気が出たことで、この変化が止まらずに来た結果、「何をもってニュースか、という考え方が変わって来た。作り手としては、数字が延びる情報が“良いニュース”になってしまっている」とニュース番組のワイドショー化及びバラエティ化の原因を指摘した。その、現状認知に対し、シンポジウムの登壇者であった奥律哉と吉川昌孝共はそれを認知している事を追認したが、それを是正するアドバイスへの言及は無かった。 たかじんのそこまで言って委員会 2008年6月1日放送分の『たかじんのそこまで言って委員会』(読売テレビ)にて、東京キー局のニュース番組のワイドショー化に対し、「ニュースは30分で事足りるのに2時間も無駄に長くしている」「ニュース番組になぜ芸能ネタを入れるのか、ニュースと何の関係もない!」「グルメ情報やトレンド情報といった軽薄な内容が増加し、これが本当にニュース番組なのか?」「各局独自カラーのあるニュースがなく、どのチャンネルを変えてもまったく同じ内容・タイムスケジュールだ(ただし、これは朝や昼の情報番組も含めての発言)」「崖に取り残された野犬を救助する模様をトップニュースで生中継し、他のニュースを伝えている間でもどこかしらの端にワイプ映像で随時中継している民放キー各局は優先事項がわかっていないアホだ」と指摘し、厳しく批判している。 滝沢忠孝 元山陽放送アナウンサーの滝沢忠孝が自身のブログにおいてキー局のニュース番組の局アナウンサー及びナレーションの演出方法について苦言を呈していた。 竹田恒泰 法学者で作家の竹田恒泰は「報道番組は視聴率を気にするべきではない」と述べている。 Tatsunori Tokushige 出馬候補者について情報ではあるが選挙にも政治にも無関係な情報をテロップに表示することが各放送局で流行ったが、Tatsunori Tokushige は BuzzFeed で、この点について、バラエティ番組と見紛う様な演出だと指摘した。 東海由紀子 元NHKスポーツキャスターの東海由紀子はアイドルの選挙特番への起用に対し「民放の選挙特番はダメだ。選挙特番にお笑い芸人とかワイドショーの司会とかアイドルとか、ほんとおかしいですからね。」と批判した。これにより、Twitterのタイムラインが炎上状態になった。 デーブ・スペクター アメリカABCのプロデューサー、タレントのデーブ・スペクターは第48回衆議院議員総選挙に伴う、選挙特番にうけて、「公職選挙法(第148条の報道規制条項)によって、選挙終わってから候補や政党や支援団体のことを特番で見せられてもどうしろと言うんですか? 遅いだろう! 全く役に立たない」と大手放送局の報道姿勢を批判し、「メディアの法律改正&横並び編成を大優先出来ないのなら、開票特番を止めてアニメの再放送で十分である」と述べた。ちなみに、2017年衆議院議員総選挙の選挙特番の評価では、横並び演出の中、『BSフジLIVE プライムニュース』(BSフジ)のキャスターである、反町理フジテレビ 報道局解説委員長兼プライムニュース編集長の捌き振りを評価した。 日経エンタテインメント! 「日経エンタテインメント!」の2006年11月号に掲載されたニュース番組の格付けでは、「今や夜のニュース番組で正当な報道番組の姿勢を貫いているのは『ニュースJAPAN』(フジテレビ)と『NHKニュース7』(NHK)のみ」と論評されていた。 花田紀凱 「月刊 WiLL」元編集長で、「月刊 Hanada」の編集長である花田紀凱は「ニュース・報道番組については視聴率計測をやめるべき」という意見も出ている。 東野幸治 情報番組の司会もしている芸能人の東野幸治は「18時30分に帰宅しニュース見ようと思ったら、全部グルメしかやっておらず見るニュースがない」とニュース番組の視聴率偏重主義に疑問を呈した。 フィフィ アイドル、俳優、女優のニュースキャスターに対してタレントのフィフィが自身のTwitterで『NEWS ZERO』キャスターである嵐の櫻井翔が番組内でのISILに対しての解説が薄っぺらいと批判するツイートをした。これにより自身のタイムラインが炎上状態になった。これに伴い、Twitterでのツイートを一旦休止し、自身の公式ブログ内で批判の理由とその問題提起の内容を示した。 マーティン・ファクラー ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラーは、ニュース番組に出演するコメンテーターに対し、「日本のニュース番組を見ながら、“どうしてこの人のコメントを聞かなきゃならないの?”と思うことがしょっちゅうあります。例えば政治のニュースなら、当然政治に詳しい人に解説して欲しい。芸能人は一般の視聴者と同レベルの感想を述べているだけ。もしアメリカでそういう番組を作ったら、誰も見なくなります」と批判した。 松本人志 情報番組の司会もしている芸能人の松本人志は「ニュースでもCMまたぎしますよね? インパクトあるニュースの最初だけ見せて「その結末は?」みたいな感じでCM行くのはどうかなと思う」とニュース番組の視聴率偏重主義に疑問を呈した。 モーリー・ロバートソン ジャーナリストでディスクジョッキーのモーリー・ロバートソンは2017年7月30日放送分の『ワイドナショー』(フジテレビ)にて、「政治、メディア、国民の3者共、双方に巡回するワイドショー化状態である」と指摘し、「内向的な議論、政治とメディア、国民の3者の衆愚状態からさっと抜けて、「(2017年時点の)目の前の脅威である北朝鮮という存在の現実に対してどうするのか?」「憲法9条がどう足かせになるのか?」の議論を報道番組や国会ですべき」と指摘している。
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