コロンボのキャラクター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 15:53 UTC 版)
「刑事コロンボ」の記事における「コロンボのキャラクター」の解説
よれよれのレインコート、安葉巻、櫛の通っていないボサボサの髪の毛と斜視による藪睨み、やや前屈した姿勢(猫背)が特徴で、一見すると冴えない風貌で庶民臭い凡庸な人物となっている。 口癖は"Just one more thing."(邦訳「あと1つだけ」)。その他、"My wife..."(邦訳「うちのカミさんがね……」など)と頻繁に妻の話を口にする。 イタリア系でイタリア語が話せる(第34話「仮面の男」、第42話「美食の報酬」、第59話「大当たりの死」)。ただし、話せないという設定の回もある(第65話「奇妙な助っ人」)。 射撃は不得手で、拳銃は携帯しない(第4話「指輪の爪あと」)。半年ごとに行う射撃訓練に10年も行っておらず、本部から警告されたことがある(第32話「忘れられたスター」)。発砲音を苦手としているらしく、やむを得ず発砲する必要がある時は耳を塞いで撃つ(第30話「ビデオテープの証言」)。また、ホールドアップの必要がある場面でも、実際には撃たずに突き付けるだけで済ませている(第64話「死を呼ぶジグソー」)。しかし、ビー玉などを目標物に当てるのは幼い頃から得意(第13話「ロンドンの傘」)。 幼い頃からわんぱくな育ちらしく、車のマフラーにジャガイモを詰め込んだり(第4話「指輪の爪あと」)、クラスの気になる女の子に消しゴムのカスを当てたりするなどいたずらっ子だった。刑事になる前は軍隊におり(第40話「殺しの序曲」)、朝鮮戦争に従軍した経験があるが、前線には出ず炊事当番をしていた(第24話「白鳥の歌」)。 怖がりで解剖や手術、残酷な殺人の写真を見ることすら好まない(第13話「ロンドンの傘」、第15話「溶ける糸」)。ただし、嘔吐したり気を失うなどといったことは全く無いほか、被害者の生死が係っている状況では普段のような怖がる様子は見せない。ギロチンで首を落とされた死体がある現場でも、死体を見ないようにしながらも現場検証をこなしている(第46話「汚れた超能力」)。 運動は苦手で泳げない。高い所が苦手らしく、ケーブルカーに乗った際には一言も言葉を発しなかったり(第8話「死の方程式」)、捜査のため致し方なく何度か航空機に搭乗した後、降りられるくらいまで精神的に落ち着くのに相当な時間を要している(第2話「死者の身代金」)。乗船時、船酔いをしているシーンもあった(第5話「ホリスター将軍のコレクション」)。しかしゴルフではプロ級のスウィングでホールインワンを決め(第4話「指輪の爪あと」)、ダーツでは3投目に中央のブルに命中させている(第45話「策謀の結末」)。 義眼であると主張している(第66話「殺意の斬れ味」)。 いつもよれよれの背広服とレインコートを着ているため、慈善団体の関係者からホームレスと間違われたことがある(第27話「逆転の構図」)。レインコートには裏地がなく、防寒着としては役立たない(コロンボ本人も寒がっている描写が何度かある)。 火のついていない安葉巻を携帯しているが、ライターやマッチは大抵誰かに借りている。葉巻はシガーカッターで切ったものより噛みちぎったものの方が好み(第66話「殺意の斬れ味」)。 メモ魔で何でもメモしておくが、ボールペンや鉛筆は自分では出さずに常に誰かから借りている。相手から借りることができなかった場合のみ、自分が携帯しているものを取り出す。周辺の人や犯人からペン類を借りて、そのまま忘れて持ち帰りそうになってしまうことも多い。ボイスレコーダーを使う回もある(第23話「愛情の計算」)。 好物はチリコンカン(チリ)とコーヒー。メニューにチリがない場合でも注文するほどである(第22話「第三の終章」)。コーヒーは熱いのが好みで、ぬるくなると文句を言う。一時ブラックコーヒーを飲んでいたのはダイエットのためで、第41話「死者のメッセージ」では砂糖を3杯入れてもらっている(第69話「虚飾のオープニングナイト」では2杯)。 ファミリーを大切にするイタリア系だけに、妻のほかにも甥や姪や従兄弟など親族の話をよくする。船旅中のコロンボが船員に妻の所在をたずね「あちらに行かれました」と返答する場面があるが、画面に登場したことはない(第29話「歌声の消えた海」)。 料理を手際よく作り、被害者の妻を元気づけるために「料理はまったくダメ」といいながらオムレツを調理したり(第3話「構想の死角」)、仔牛料理を犯人である料理研究家に振舞った際にはその腕前と才能を高く評価されている(第42話「美食の報酬」)。料理に関する知識も豊富。家ではもっぱら妻に代わって台所で料理を担当しているらしい。 その他の趣味はリメリック(五行戯詩)、西部劇、クラシック音楽(イタリアオペラ、シュトラウスのワルツなど)、ゴルフ、ボウリング、フットボールのテレビ観戦。絵画にも精通しているようで(演ずるフォークも絵画には精通している)、飾ってある絵画の価値を一目見ただけで把握したこともある(本人はあくまで「不学」「無学」「勉強不足」と謙遜している)。またビリヤードを得意とする。 逮捕した犯人に対してワインをふるまったり(第19話「別れのワイン」、銘柄は不明。犯人は「モンテフィアスコーネ。最高のデザートワイン」と言っている。実在の「エスト! エスト!! エスト!!! ディ・モンテフィアスコーネ」は辛口であり、デザートワインとは言い難いが、犯人は普通とは変わったワイン感を持っている)、音楽をかけてやりながら慰めの言葉をかけたりする(第24話「白鳥の歌」)など、時に犯人に対して温かい心遣いを見せることがある。逆に卑劣な犯人に対しては、普段の控えめな態度を急変させて怒りを露わにすることもある(第15話「溶ける糸」、第26話「自縛の紐」など)。 犯行現場に寝ぼけたり、食事を抜かした状態でやってきては勝手に現場にあった高級品のキャビア(被害者の食べかけ)を食したり(第21話「意識の下の映像」)、周囲の人間にコーヒーやオレンジジュース、ちょっとした食べ物を要求することも多い。また、つい犯行現場を荒らしてしまうくせがあり、目覚ましに勝手に現場の水道を使って顔を洗ったり、凶器の鉄棒やパトカーでゆで卵の殻を割ったり、ぼーっとして葉巻の灰をじゅうたんの上に落としてしまう等、軽率な行動も多いがそれが結果的に犯罪を暴くきっかけになる場合がほとんどである。 酒と高級なつまみが好きであちこちでご馳走になったり、現場や容疑者宅に置いてあるものを(無断で)失敬するものの自分ではめったに買わない。またあまり金を持ち歩かないので、飲食店などでお金が足らず支払いができない時には警察宛ての請求書を切ってもらうことがしばしばある。 キャラクターのモデルはフョードル・ドストエフスキーの『罪と罰』に出てくる、見た目が冴えないが推論や心理テクニックを駆使して犯人を追い詰めていく有能なポルフィーリ・ペトローヴィチ予審判事。 私生活におけるコロンボはドラマにおける犯人達の豪奢な生活と違い、うだつが上がらず小額の支払いにも渋る小物として描かれている。また、コロンボ個人の人間関係も安穏と暮らす市井の市民が数多く見られ、一例としてカフェーの主人に他愛の無い日常の愚痴や世間話などをするなどしている。少々記憶力に乏しいものの映画やテレビを相当数見ており、知っている役者などに出会うと年甲斐も無く喜び、感激を隠さない。現場に現れるまでのコロンボは煩雑で不本意な雑務に追われていることが多く、そのために一食抜いてしまっている場合が多々ある。 事件が起こっても急いで現場に駆けつけることは少なく、たいていは実況検分があらかた終わってから顔を出す。しかも、自身が注目する以外の物事には大して興味を示さず、現場保存にも執着せず、火の着いた葉巻をくわえながらコロンボなりの検分ですませる。また、たびたび食事を抜いて現れ、ゆで卵持参であったり現場となった豪邸でつまみ食いをしたりすることもある。 署内でのコロンボは相当な信頼と名声があるのか、同じ課に勤務する新米刑事から尊敬されているほか、事故として処理されかけている事件を上司に掛け合って殺人に切り替えて再捜査したり、警察と繋がりのある社会的地位が高い人物の恫喝にも困惑はするものの飄々としている。 ただし、市警察本部長主催のパーティで酔っぱらってプールに落ちてしまい、その姿を警察本部次長夫人(第25話「権力の墓穴」の被害者)に見られてしまうなどの失敗もしている。 捜査方法は、整合性のない事柄に関して容疑者や関係者に事細かにしらみ潰しに当たり、時間や場所に関係なく職務質問するという極めて古典的なもので、その場でアリバイが立証されて一応納得するようなことがあっても、事実が判明するまでは幾度も同じ捜査を繰り返す。また、聞き込みでは、相手の地位に関係なくへりくだった態度で妻の話などの雑談を振っておき、夫婦間(又は親族間)の意見の相違などを打ち明けて相手に意見を求めてから「形式的な捜査なので…」「報告書に書くためだけです」などと職務質問に入るパターンが恒例となっている。 状況証拠と証言だけでの真相解明を目指さず、守秘義務に関係無く捜査状況を容疑者本人に逐一報告することで感情の機微や証言の小さな差異をあぶり出し、それらを手がかりに矛盾点を突きつけ焦らせて心理的誤誘導するなどし、最終的には理詰めで追い込んで犯行を認めさせるという捜査方法を多々用いる。知能指数の高く、世界で2%しか入れない「シグマ協会」(モデルはメンサ)のメンバーである犯人を誘導尋問で自白させ、その手法と目の付け所を評価した犯人はコロンボの知能指数をテストしたが、正答したので「あなたは警察に置いておくには惜しい」と賛辞を贈られている(第40話「殺しの序曲」)。一方で犯罪捜査においては、運が必要だと学生たちに講義している(第56話「殺人講義」の「新人刑事へのアドバイス」への回答として)。 また、事件に関連した分野の知識を勉強し、それを応用することで専門家を驚かせたり、犯人逮捕に利用したりすることがある。 お金が好きだといい、少ない情報で税や収入などの複雑な計算が瞬時にできる(第10話「黒のエチュード」)。 非常に粘り強い捜査が持ち味となっており、最長の捜査期間は9年4か月だったと語っている(第62話「恋におちたコロンボ」)。 本人曰く、新シリーズの時点で22年警察官をやっているとの事(第54話「華麗なる罠」)。おそらく第1話『殺人処方箋』の初回放送日が該当話の22年前である事から来たネタだと思われる。
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