コロンブス説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 06:24 UTC 版)
この説では、梅毒は新世界の病気であり、コロンブス、マルティン・アロンソ・ピンソン、他の乗組員たちによって、コロンブス交換の意図せざる結果として持ち込まれたとされる。コロンブスのアメリカ大陸への最初の航海は、1495年ナポリでの梅毒のアウトブレイクの3年前である。ドミニカ共和国での538の発掘人骨の調査では 6–14% がトレポネーマ症の特徴を示しており、Rothschildらは梅毒であったと推定している。近年の新世界での人骨証拠によりよく一致するよう修正されたコロンブス説では、新世界が梅毒の誕生の地というわけではなく、非性病性のトレポネーマ症がコロンブスによってヨーロッパに持ち帰られた、とされている。現代のフランベジア (イチゴ腫) のものに似たその細菌は、旧世界への到着したことで新たな選択圧にさらされ、性感染症となった亜種として梅毒が誕生した。この説は、と、南米ガイアナでみられる、フランベジアと梅毒の中間的特徴を示す疾患の原因となる細菌と、性病性の梅毒の原因菌との系統解析によって支持されている。しかしこの研究には、配列のわずかな差異だけに基づいて結論が出されているという批判もある。2011年には Yearbook of Physical Anthropology において 、Harper らによる、54件の査読済み先行研究のシステマティック・レビューが公開され、そこでは人骨データは梅毒がコロンブスが出航する以前のヨーロッパに存在しなかったことを支持しており、それ以前の旧世界における梅毒の存在を示す人骨のエビデンスは標準的な年代測定法では支持されない、とされた。
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