組織の欠陥
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 02:45 UTC 版)
組織の硬直化 職務分掌がまともに機能していない。合理的かつ合法的に仕事を行う組織やルールを作らない、作ることができない。存在していても、むしろ守らないことがルールになっている。社訓があっても守られていないか、逆に違法あるいは違法すれすれのルールが社訓になっている。 「『はい』以外の返答の禁止」「サービス残業、鉄拳制裁(暴力)はわが社の誇りである」「スパルタ式指導や鉄拳制裁で体や頭を鍛える」「パワハラ(暴力)ではない、愛の鞭」といった異常なポジティブ思考の強制など、上意下達と絶対服従のみが徹底化された組織。下層の従業員は会議にも参加できず、業務上の問題点の指摘もできない。 問題行為の横行、上層部の自己保身が容易 自分の成績や自己保身のために部下や周囲を次々と食い潰すクラッシャー上司や、同様の行為を部下や同僚に行う正社員・従業員を放置し、また職場の問題として認識・対処するシステムがない。 従業員の人格や人権を軽視した洗脳的な教育や研修。具体的には、「能力開発」「社員研修」「自己啓発」「コミュニケーション向上」と称して人里離れた交通アクセスの不便な場所への泊り込みのセミナー参加を強制(交通費や宿泊費は従業員の給与から天引きする。研修内容も仕事とは関係ない寺での修行やロードワーク、大声での自己紹介・社訓を暗唱させる、研修中は携帯電話等のモバイル機器の使用禁止、スケジュール以外での飲食禁止等)や、社内研修でもスパルタ教育などと称して日常的なパワーハラスメントで会社や経営者に対する絶対服従など従業員への洗脳を施し、本来的な研修であるはずの事務的技術ないし専門技術の習得という目的を外れ、「マナー研修」「社会人としての心得」「社会の厳しさを教える」と称して人格改造・人格破壊を行い(外部の「プロの」研修会社に委託する場合もある)「会社のみが自分の居場所」「暴力、暴言は自分を想ってのこと」だと信じ込ませ(人生を全て仕事や会社に捧げるという「全人格労働」を洗脳によって植え付けさせる)会社のために命を投げ打ち、違法な営業勧誘やサービス残業や、後から入社する従業員にも同じことをすることをいとわなくさせる。 自分たちが責任を負うべき指示を口頭のみで済ませる。レコーダーなどで録音しない限り証拠が残らないので、指示者がミスをしても証拠がない。一方「従業員が責任を負う」とする念書や誓約書を強要するうえ、従業員にコピーの控えを持たせない。 恣意的かつ報復的な業務命令や人事(パワーハラスメント)の横行。客観的な業績の評価が行われないため、適材適所の人材配置ができない。 前述の「パワーハラスメント、職場いじめ、洗脳研修」、後述の「社内カースト」により従業員を屈服させ、経営者や幹部、先輩従業員に逆らえないようにさせる。軽微なミス(例:物を落とす等)や営業成績が低い場合、多数(従業員、顧客、公衆)の面前や外からでも声が聞こえる部屋に監禁し声高に罵倒したり暴力を振るったりして始末書や退職届を書かせて、自主退職強要(俗に言う追い出し部屋、退職勧奨、リストラ教育)を強い、解雇に近い自主退職に追い込む(労働基準法では、単に「仕事が遅い」「営業成績が悪い」「ミスをした」などという主観的な理由では容易に解雇できないため。ハローワーク経由で採用したにもかかわらず解雇したら補助金が打ち切られるためでもある)。逆を言えば、ハローワーク経由を強調している場合は補助金目当てであることも言える。求人だけなら民間求人誌やハローワークでも掲示するだけでハローワーク紹介状を使わなくても良いため、ハローワーク紹介状が必要ということは補助金目当てでもある。 仕事のできる部下、できない部下で態度を変える。できる部下には優しいが、できない部下には厳しい態度をとる。できる部下がミスをした際には、できない部下に「お前のせいでこうなった」と責任を取らせる。できない部下が得た成果もできる部下が横取りしたり、上層部ができる部下とつるんで、できない部下にいじめを行う。 監査役が形だけで機能せず、取締役と共に企業犯罪に加担しているケースもある。名義だけ監査役の人間がいる場合もある。会社の不正や法律違反・問題が起きた場合に取締役会に問題提起をしたり警察、法律機関に通告をしない。もしくは上層部の指示や不祥事が上層部に明るみに出ると制裁が待っているので社員ぐるみで隠蔽する。また、それを内部告発や犯罪行為への加担を断った従業員に対しては社内いじめ、懲戒解雇、反社会勢力を使った脅しを行う。 相手が知るはずもないことも知っている前提で、主語や要点を省略した指示をする、本人にしか理解できない独自の表現を用いるなどして不明瞭な指示で部下や顧客などを混乱させる。指示が曖昧だったがために取り返しのつかない事態に発展しても責任は指示を受けた側が取らされ、改善を求めても「ピンと来ない方が悪い」「俺の心情を読めないのか」と譲らない。 社内カースト、正社員と非正規雇用者、営業の成績優秀者と低位置者とを意図的に階層化することを目的とした労働規約。上司より先に退社してはいけない、トイレは上司の許可が必要、末端の従業員や有期雇用の従業員はエレベーターを使用してはいけない、営業成績最下位の者は屈辱的な罰ゲームをさせる、愛の鞭と称した体罰や暴力を社従業員の面前で振るわれる、など。 勤務時間外の朝礼で、毎回社訓・訓話の唱和や、終礼・反省会、業務の準備などを強制的に行わせる。 役員の価値観に基づいてた社会奉仕活動を、従業員に勤務時間外で強制する。 従業員への過重な負担 強烈なプレッシャーとストレスが掛かり続ける結果、会社組織末端の従業員や下級管理職がうつ病やPTSDなどを発症して次々と倒れていく。会社側はそのような者に対しては「用済み」として解雇したり、さらには懲戒解雇にすることさえある。最悪の場合、自殺者が発生する。自殺者が発生しても会社側は一切責任を取らず、遺族から裁判を起こされても自らの責任を全く認めようとしない。それどころか、逆に遺族に対して損害賠償請求を求めてくるケースさえある。 肉体労働において作業環境、必要人数や従業員個人の力量を無視した過重労働。従事する従業員に極度の疲弊や過労を誘発。やはり心身への悪影響、ひいては重大な災害や上記のようなケースに至る。 仕事とプライベートの区別がない。業務に私情を持ち込み、私情に業務を紐付ける。親睦を深めることを口実にしたプライバシーへの干渉、業務の効率化を目的とした生活指導など。 上層部が仕事に一切関与しない。単に現場を視察するだけで何もしなかったり(トラブルがあっても「自分で何とかしろ」と責任を押し付ける)、事務整理や外回りと称して仕事とは無関係な遊びや自分の趣味などに没頭している。それにもかかわらず過重労働している部下に比べて高給をもらっている。 勤務時間外や休日での会社の行事(飲み会、懇親会、運動会、ボランティアなど)や政治活動(保守系団体か革新系団体かは問わない)にも参加を強制(建前上は自由参加の場合も多い)。欠席者を無断欠勤扱い、職場で告げるべき重要な連絡を酒の席に持ち込むなどして、参加せざるを得ない状況を作り上げる者もいる。 従業員の家族までも対象にした社外活動や、それを契機にした「家族会」の活動、社内結婚・見合いの半強制的な“推奨”、冠婚葬祭への介入などで家族ごと会社に縛り付ける。 SNSを通じた24時間体制での干渉。SNSやブログでの実名アカウントの作成を強制、もしくは私的アカウントの情報提示と企業や仕事関係者のフォロー(Facebook、Twitterでの「いいね」やコメント)を強制し、勤務時間であるかどうかに関係なく四六時中の公私混同ネットワークを形成する(深夜でもメール、電話、ツイートを行い、すぐに返信しなければ翌日の出社時に叱責を受けるなど)。 従業員の対抗への封じ込め 労働組合や労働問題の相談室は存在しないか、形骸化している。御用組合に強制的に加入させる(黄犬契約で違法)。御用組合が「'第二人事部'のような存在となり、加入している組合員を監視させている場合もある。労働争議が起こった際も御用組合が会社の主張を労働者側に無理やり認めさせて「和解」させるケースも。 経営陣が従業員の言動を徹底的に監視する。社内の盗撮や電話の盗聴、監視カメラ(社用車や運送用車両のドライブレコーダーも含む)、社内で営業など外回りの社員に持たせる携帯電話のGPS情報の悪用、密告の奨励、交友関係の監視やサーバー上に保存されているメール・インターネットのアクセス履歴やキャッシュの盗み見、SNSやブログでの発言の監視やプライベート活動の監視など。目的は従業員同士の団結をさせないこと。およびプライベート(勤務時間外)での活動や人間関係を盾にした制裁や脅迫。このような会社は労働組合、御用組合すらない会社もある。 行政機関(労働基準監督署・社会保険事務所など)の職員が訪問した際、または呼び出された際、経営者に不都合な話を聞かせないよう社員を隔離し、会話に立ち会わせない。また、指導内容に基づく改善より、通報者の特定を優先し見せしめ的処罰をする。
※この「組織の欠陥」の解説は、「ブラック企業」の解説の一部です。
「組織の欠陥」を含む「ブラック企業」の記事については、「ブラック企業」の概要を参照ください。
- 組織の欠陥のページへのリンク