Antiquarianとは? わかりやすく解説

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好古家

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/05 04:19 UTC 版)

好古家(こうこか[1]英語: antiquarian または antiquary)とは、古事物の愛好家の古称。例えば骨董品・古美術品古書古銭遺物などを蒐集したり、史跡郷土史碑文系譜古語古俗・古地図などを調査したりする人のこと。つまり「好古趣味[2]」(antiquarianism、「アンティクアリアニズム[3]」「好古[4]」「好古学[5]」「好古癖[6]」「古事物学[7]」とも)を嗜む人のこと。


注釈

  1. ^ または「アンティクァリー」、「アンティクエリアン」「アンティクエリー」、「アンティカリアン」「アンティカリー」、「アンティクワリアン[11]」「アンティクワリー」。
  2. ^ 両者の違いについては en:Antiquarian#Antiquaries and antiquarians を参照。antiquaryには骨董商・古美術商の意味もある。
  3. ^ ルーン文字黄金の角メガリスが研究されたり、オーレ・ヴォーム驚異の部屋を作ったり、 ウプサラ大学に古物研究の教授職が設けられたりした[26]
  4. ^ ボイルはスコットランドの妖精話を好み、ニュートンは聖書の年代決定に数学を応用していた[31]。また、有名な「ニュートンのリンゴ」の逸話は、ニュートンと好古家ステュークリの交流に端を発する[31]
  5. ^ 特に1980年代からは、それらの所蔵品を利用し、アナール学派ロジェ・シャルチエらの影響も受けて、アメリカにおける書物の歴史英語版研究の拠点の一つになっている[34]
  6. ^ モースはその分断の過渡期にいる人物だった[84]。モースの教え子の飯島魁佐々木忠次郎は、好古家の同義語である「古物家」を、非学術的で世の役に立たない存在として糾弾した[85]
  7. ^ 厳密には、"gentlemen interested in archeology"というフレーズに対する意訳[101]。その意訳の際に、矢田部良吉は"antiquarian"という語を念頭に置いていたとされる[102]

出典

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