数寄者とは? わかりやすく解説

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すき‐しゃ【好き者/数寄者/数奇者】

読み方:すきしゃ

物好きな人。好事家(こうずか)。すきもの

「—の間に平七細工求めたき旨申さるる仁(じん)出来(いでき)」〈露伴風流魔〉

数寄の道に専念する人。特に、茶道についていう。風流人

色好みの人。好色家すきもの


すき‐もの【好き者/数寄者/数奇者】

読み方:すきもの

物好きな人。好事家(こうずか)。また、風流を好む人。すきしゃ

好色な人。色好み


数寄者


数寄者

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/11 08:15 UTC 版)

数寄者(すきしゃ)は、芸道に執心な人物の俗称。「数奇者」(すきもの)と書く場合もある。

現代では、本業とは別に茶の湯に熱心な人物、特に名物級の茶道具を所有する人物として用いられる。

歴史

数寄」とは本来「好き」の意味である[1]。広く風流韻事に心を寄せることを意味したが、平安時代には歌道が諸文化の中で重要な地位を占めており、松永貞徳が『歌林雑話』で「好きと云ふも歌人の事なり」と述べるなど歌人のことを指した[2]。その後、茶の湯が流行し、清巌正徹が『正徹物語』で「歌の数奇」に対して「茶の数奇」について述べるなど相対して新たに用いられるようになった[2]。その後、歌道の衰えとともに「数寄」はもっぱら茶の湯での意味になった[2]

茶事に関連して数寄屋造りと呼ばれる建築様式があるが、『匠明』によると「茶之湯座敷」に「数寄屋」と名付けたのはの宗易(千利休)であるとする[3]。ただし、江戸時代中期になると数寄(数奇)が俗語化したため、奇品を偏愛する趣味を意味すると捉えられることを嫌い、茶書でもこれを避けようとする傾向がみられた[3]

近代以降は新たに「数寄者」と呼ばれる財閥出身者や個人資産家が出現し、日本国外に流出した美術品や廃仏毀釈で破壊された建築部材を買い取り、それらを利用して大規模な茶会を開催したり能舞台など芸能の場を設置した[4]。こういった物好き達は「近代数寄者」と呼ばれ、特に益田鈍翁のほか、原三渓松永耳庵根津青山(嘉一郎)小林逸翁(一三)高橋箒庵畠山即翁(一清)五島慶太細川護立大原孫三郎川喜田半泥子松下幸之助らが有名である。

脚注

  1. ^ 『世界のなかの日本 十六世紀まで遡って見る』 司馬遼太郎 ドナルド・キーン 中公文庫 ISBN 4-12-202510-9 pp.120 - 122。1996年初版(単行本は1992年刊)の第6刷(2007年)によれば、林屋辰三郎の説という。室町時代、「好き(数寄)」は身を滅ぼす怖いものと恐れられつつ、「好き(数寄)」をする者を周囲はうらやんだ。江戸時代になると、その「好き(数寄)」という心は「道楽」という言い方になり、戒められたという。
  2. ^ a b c 青山 俊董「初期茶道史に見られる「数寄」の変遷」『駒沢国文』第2巻、駒沢大学、1963年6月、42-49頁。 
  3. ^ a b 高田 克巳「近世における規矩の展開(第二報) : 数奇屋について」『大阪市立大学家政学部紀要』第4巻第2号、大阪市立大学家政学部、1957年3月、15-21頁。 
  4. ^ 澤田 和華子「近・現代数寄屋建築に関する考察」『Keio SFC journal』第3巻第1号、慶應義塾大学湘南藤沢学会、2004年3月、10-33頁。 

参考文献

関連項目

外部リンク


数寄者

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 06:58 UTC 版)

へうげもの」の記事における「数寄者」の解説

丿貫 声 - 石田太郎 利休兄弟子色黒ひょうきんな顔立ち世捨て人で、今は田舎隠遁しているが、利休をして「一番のわび数奇者」と評される好々爺かつては成功した商人として贅を尽くした茶の湯を嗜んでいたが、多量に凝らされ相手創意読み解かなければならない茶の湯疲れ究極的に無駄を排した「侘び」の極地に至る。普段暮らし向きも、身の丈にあったつましい暮らし良しとする。その在り方織部のみならず利休にも大きな影響与える。 京屋敷建てるにあたって意匠悩んでいた織部が、利休からその参考になると紹介され作中登場する落とし穴仕掛けるなど、型破りなもてなし行い織部怒らせるが、すべては相手リラックスさせるための所作であり、一切の金をかけることなく食事絶妙なタイミング味付けなど、織部を感心させる一方で唯一の欠点であった木壁に織部が窓を作り丿貫としても織部才能評価するその後、その名声聞いた秀吉から北野大茶湯への参加命じられ当初固辞するが、織部への義理返すため参加決める。嫌々ながら参加ながら、朱塗り大傘使った野点秀吉身体慮る配慮行い利休から「野点趣向では自分以上」と言わしめる。続く筆頭茶頭から利休下ろした秀吉目論見始まった茶席でも、秀長と組んで床の間大政所を飾るなど、天下人恐れない自由奔放な奇策講じる間もなく死期悟って家の片付け行っているところを利休訪問され利休の業の問題鋭く指摘し諌める最期は自らの茶道具記録自邸に至るまで焼き払って生涯終え利休見事な死に様感嘆せしめる好きな色:カーキ長谷川等伯 声 - 篠原大作 利休紹介織部知己となる絵師狩野派押され、生活に苦労していたが、大名となった織部から聚楽第屋敷襖絵依頼される織部好みを独自の解釈表現して織部激怒させるが、利休には絶賛されたため事なきを得た利休死後一門構えるまでに至り己の侘びを見つける。 古渓宗陳 声 - 糸博 大徳寺住持禁中での茶席参じるため、「宗易」に代わる利休」の居士号を選ぶ。一時期利休と共に豊臣政権転覆狙った。 おくに 声 - かないみかややこ踊り女歌舞伎)」を踊る女。伊達政宗追いかけ蒲生氏郷屋敷忍び込んだところ名古屋山三郎出会いその愛人となり、その後山三郎を捨て政宗情婦となる。上杉攻め従軍時に鎧を纏って兵の鼓舞をしたのがきっかけで、男装による独自のかぶき踊り創案し一世を風靡する。ところが、遊女による偽物横行自身容色衰えから次第人気低迷し織部企画による淀殿面前での大坂城公演起死回生を図るも失敗幕府から風紀を乱し喧嘩騒乱の元を理由駿府での興行禁じられ政宗からも手切れ金渡されて、伊達屋敷から追い出された。その後、のちの歌舞伎通ず作風確立するが、生死定かでない描かれ方で本作から退場した好きな色:ディープピンク。

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