江の川とは? わかりやすく解説

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江の川

陰陽をむすぶ中国太郎(ちゅうごくたろう)」
江の川は、広島県山県郡芸北町阿佐山にその源を発し幾つもの小支川合わせながら盆地の上北東流れ途中三次市において同規模の馬洗川西城川三方向より合わせて西流し河口までは先行峡谷通り島根県江津市において日本海に注ぐ流域面積3,900km2幹川流路延長194kmの中国地方最大の川です。

三次市で巴状に合流する江の川、馬洗川、西城川
三次市で巴状に合流する江の川、馬洗川西城川

河川概要
水系江の川水系
河川名江の川
幹川流路延長194km
流域面積3,900km2
流域内人202,000
流域関係都県島根県広島県

江の川流域図
○拡大図
1.江の川の歴史
"江の川は、中国山地山間狭隘部を貫流し近年まで瀬戸内側日本海を繋ぐ交易要路として利用されきました。また鵜飼いを代表とするアユ漁の文化優れていました治水工事早くら行われ、水害防止用の植林(竹藪)も800年程前から実施されいました。"


高瀬舟運航の様子(三次市)
高瀬舟運航様子三次市
江の川は中国地方中央部(山陽側)に水源発し中国山地山間狭隘部を貫流し日本海(山陰側)に注ぐ川です。山陽山陰を結ぶという点で古くから交易要路とされ、「高瀬舟(帆船)」による舟運発達していました。しかし藩政時代は藩外交易が禁止(津留(つどめ))されていたので、あくまでも局地的なものでした。
明治維新後、津留(つどめ)の解除とともに水運急激に発達し内陸交通幹線となりました輸送され物資全国生産量の約95%を占めていたや米が中心となっていました。しかし、この舟運1930年代には堰建設鉄道・道路交通の発達により終わりを告げることとなります
江の川水系では古くから食糧として漁が行われており、明治時代後半には西日本最大とまで言われる江の川固有の優れた漁業文化を生みだしてきました
江の川の鵜飼(三次市)
江の川の鵜飼三次市
流域におけるアユ漁として注目されるものに『鵜飼漁』があります一説によれば戦国時代末期(1560年頃)から始まったとされており、明治時代には鵜飼漁に対す保護解かれ川漁師が増加しました。しかし、第二次世界大戦漁業法等の制定により鵜飼漁は禁止なりました
現在、観光事業として夏季の3ヶ月のみ鵜飼公開されています(昭和34年12月三次市無形文化財指定)。
洪水対策の歴史としては、1200年程前より弘法大師竹林植えることを教えた伝えられており、竹林出水時の水の勢い緩和し堤防侵食崩壊を防ぐのに役立つことが経験的に知られ広まったものと考えられています。江の川下流河岸には、堤防沿って20~30mの竹林(川本町桜江町)が部分的に残っているのを現在でも確認することが出来ます
馬洗西城・江の川の三川囲まれ三次町は、寛永9年(1632年)、三次藩となった浅野長治により堤防工事初め取り組まれたと考えられており、当時石積みにて500m程度堤防設置されました。文久元年(1861年)の『三次御家中絵図』の中には
昭和47年豪雨災害直後の栗屋橋
昭和47年豪雨災害直後栗屋
町を取り囲む堤防加え、川側は丁寧に石垣保護されており、さらに流れ緩和して堤防保護するために、川に向かって三角状に突き出した石(はね)や水害防除用の植林(竹藪)が描かれています。今でも当時石垣モニュメントとして現地紹介されています。
現在の堤防事業などは、過去最大中流域盆地大半湖水化するほどの洪水引き起こした昭和47年(1972年)7月豪雨を基に水量設定し工事実施してます。
2.地域の中の江の川
"祭や観光遊覧船カヌーなど水面部分含んだ河川空間利用積極的に行われてます。
環境整備事業実施時には該当個所利活用する地域住民との協働作業により整備計画策定してます。
また、市街地洪水被害から守るため、防災ステーション等の水防施設整備してます。"

江の川の河川空間活用したイベント親水施設等はたくさんありますが、高水敷利用したレクリエーションスペースだけではなく豊かな水量利用したカヌー鮎釣り水面活かした自然的利用中心に行われてます。
桜並木が美しい桜堤(三次市)
桜並木美し桜堤三次市
カヌーによる水面利用
カヌーによる水面利用
主なイベントは江の川河口より、御輿(みこし)を舟に乗せて運ぶ『祇園祭』、おろちボートレース花火大会が行われる『江の川祭り』、御輿(みこし)を乗せた舟を中心に水神祠まで漕ぎ競うえんこう(かっぱ)祭』、手作り筏で約7kmを下る『川本夏祭り』、高水敷から15,000発の花火打ち上げる三次市花火大会』、土師ダム記念公園出発しダム湖湖畔を走る『土師ダムマラソン』等が開催されています。また、一定期間遊覧船により観光できる勇壮な漁として、舟に付け灯りと音によりアユを網に追い込む火振り漁』や、数匹の操ってアユを捕る『鵜飼漁』があります
レクリエーション施設としてキャンプカヌー楽しめる拠点も2箇所(邑智町作木町)整備されており、作木カヌー公園水辺プラザとして平成10年(1998年)から都市との交流の場となる「交流の里」として、地域活性化目指し整備が行われました

子供ワークショップ状況
子供ワークショップ状況
地域外との交流人口増やす目的だけではなく地域住民散策水遊びレクリエーション活動が可能となる憩いの場として親しまれるとともに小中学生自然環境体感できるスペースとして水辺整備され箇所いくつかあります。江の川上流地区では、安全に水辺近づける場所が限られていたことから、実際に利用する沿川小学生主体となって実施したワークショップによる意見ベース住民方等意見アンケートよりとりまとめ、計画作成後に整備行いました
江の川では、河川空間利用為に環境整備を行うだけではなく市街地洪水被害から守ることを目的とした防災ステーション整備実施してます。整備箇所である三次市街地はほぼ全域山地囲まれ同規模の江の川、馬洗川西城川合流する地形となっていたため、過去幾度となく大災害発生しました
三次市街地に建設中の河川防災ステーション
三次市街地に建設中河川防災ステーション
安心して暮らせ地域創造するために、水防活動必要な資材備蓄基地市民待避場所、災害対策車両基地等を整備してます。
平常時には地域住民学校課外授業を行うコミュニティースペースとして活用できる計画になってます。
3.江の川の自然環境
" 多種多様な動植物生息し水質環境良好ですが、人工構造物影響などにより、回遊魚遡上特定種の減少見受けられるため、過去環境取り戻すことを目的とした自然再生事業取り組み始めてます。"

江の川上流は、他には類を見ない中国山地を跨いで流れる珍しい河川であり、中上流域我が国でも浸食平坦面の最もよく発達する地域になってます。古くから人跡到達し田畑放牧地として利用されきました中流域となる三次盆地から河口までは先行峡谷続き平野作らず江津市において日本海注いでます。
江の川流域の地質気候等には特徴があり、表層地域は、中生代白亜紀から新生代初期にかけて生成した酸性火山岩類が広い範囲分布しており、気候について河口部となる日本海側平野部年平均気温に対して中流域となる盆地地帯内陸性気候となり1度程度気温低くなる傾向がでています。
水生生物調査
水生生物調査
環境基準対す水質については、工場生活排水等の影響少なく昭和40年以降から現在に至るまで生活環境項目については全て基準値満足しています(大腸菌群数の項目を除く)。BOD値においても河川A類型基準値満足する比較良好な水質維持してます。
毎年流域小中学校の総合的学習において、水生生物調査による水質判定盛んに行われてます。
豊かな自然環境をもつ江の川流域には数多く動植物確認されており、文献調査及び現地調査による確認数は次のとおりです。

魚介類・・ 105小動物(両生類14種、爬虫類15種、哺乳類28種)
植物・・・1,269 ○底性動物(カゲロウ等)・・・ 2種
鳥類・・・ 169 陸上昆虫類・・・・・・2,275

しかし、江の川にも人工構造物設置されており、下流部位置する浜原ダム発電用ダムとして昭和28年(1953年)に建設され中流域まで遡上していた回遊魚(サケサクラマスアユ)がダム上流には上がらなくなってしまいました中上流域普通に食卓上がっていた江の川の天然アユの殆どは、下流位置する川本町あたりで留まることより上流において捕獲されるアユ放流アユ占めていることになります
繁殖場所が減少しているオオサンショウウオ
繁殖場所が減少しているオオサンショウウオ
河川敷で姿を消しているオキナグサ
河川敷姿を消しているオキナグサ
また、特別天然記念物指定されているオオサンショウウオも江の川流域の広い範囲確認されていますが、かつて産卵場所(巣穴)になっていた河川沿いの竹藪河川改修により減少したことにより再生産が行われず、大きな個体のみが確認される要因になっている考えられています。
植物鳥類などについては、高度経済成長期活発に行われた砂利採取河道工事等の影響大きく受け、流況安定に伴い洪水減少し、かつてレキ河原であった所に細粒土砂堆積し樹林化が進行することで河原生息域としていたオキナグサイカルチドリ等の繁殖場所が激減してます。江の川沿いの谷底平野水田地帯として発達し昭和40年代まで家畜の餌や田畑肥料とするために川の中の植物持ち出されており、また、昭和50年代初頭まで川土手植物山羊採食させていたため、現在と違い河道内には僅かな植物だけが残り植物の発達抑えていたとも考えられています。江の川においては平成14年2002年)から過去環境取り戻す事を目的とした自然再生事業取り組んでます。
4.江の川の主な災害

発生発生原因被災市町村被害状況
昭和47年7月梅雨前線流域死者22
全半壊3,625
浸水家屋14,063棟
昭和58年7月梅雨前線流域死者7名
全半壊143
浸水家屋3,198

(注:この情報2008年2月現在のものです)


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