力士褒賞金とは? わかりやすく解説

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力士褒賞金

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/05 05:07 UTC 版)

力士褒賞金(りきしほうしょうきん)とは、大相撲関取(十両以上の力士)に対し、「本場所毎」に支払われる褒賞金であり、関取の成績給的性格を帯びた金銭支給である。持ち給金とも呼ばれる。

概要

関取は、月給とは別に本場所の成績および実績に基づき賞金を受け取ることができる。力士褒賞金はその一つで、年6回本場所ごとに十両以上の関取に支給される。幕下以下の力士養成員は、支給標準額の加算は行われるが、支給はされない。

最も一般的な給金上昇の方法が勝ち越しであるため、勝ち越しのかかった一番を給金相撲、勝ち越すことを給金直し、負け越すことを向こう給金ということがよくある。2022年5月場所13日目の正代と御嶽海の7敗同士の大関の対決は場所後の新聞記事で「向こう給金相撲」と表現された[1]

やくみつるは漫画で「力士最大の喜び=給金相撲が不戦勝」というネタを使ったことがある。その例として、2018年5月場所の11日目、錦木が不戦勝により8勝目を挙げ、この(給金相撲が不戦勝)恩恵に与った。また、2019年1月場所の14日目でも豪栄道が不戦勝により8勝目を挙げて、同様にこの恩恵に与った。他にも、2022年5月場所の若隆景などが挙げられる。

歴代横綱で最も力士褒賞金が少なかったのは一度も優勝できなかった第60代・双羽黒光司である。彼は幕内在位も20場所と少なかったため、廃業時点で169円しかなかった。

計算方法

支給標準額は、前相撲を取って出世し序ノ口に上がり力士になると、3円を得る(幕下付出、三段目付出を含む)。本場所の取組の結果勝ち越すと勝ち越し1点につき50銭を加算する。地位ごとに最低支給標準額が定められていて、それぞれの地位に昇進した際に最低額に達していなかった場合、その差額が加算される。ただし降下した場合は、昇進時の差額増加額(嵩上げ分)に相当する金額が減額される[2]。また、給与銀行振込であるが、褒賞金は未だに現金で支給されている。

力士褒賞金の最低支給標準額
番付 持ち給金
(最低額)
最低支給額
(1場所ごと)
横綱 150円 60万円
大関 100円 40万円
幕内 60円 24万円
十両 40円 16万円

なお、負け越し休場不祥事による出場停止などの処分でも持ち給金が下がることはない。

特別加算

また顕著な活躍をした力士へは以下の特別加算がなされる[3]

  • 金星:10円
  • 幕内最高優勝(全勝以外):30円
  • 幕内最高優勝(全勝):50円

割合の変遷

こうして求めた金額に、以下の支給割合を乗じて実際の支給金額が決められる。その割合は時代により変遷している。

  • 1969年まで:1,000倍
  • 1970年-1984年:1,500倍
  • 1985年-1997年:2,500倍
  • 1998年-現在(2020年):4,000倍

褒賞金の例

白鵬の場合(最終場所の2021年9月場所終了現在)
加算 累積
序ノ口 出世時 3.0円 3.0円
幕下以下での勝ち越し点数 18.0円 21.0円
十両昇進時加算 (21.0→40.0円) 19.0円 40.0円
十両での勝ち越し点数 6.0円 46.0円
幕内昇進時加算 (46.0→60.0円) 14.0円 60.0円
前頭での金星 10.0円 102.5円
前頭~関脇での勝ち越し点数 32.5円
大関昇進時加算 (102.5円→102.5円) (昇進時に既に100円超) 0.0円 102.5円
大関での勝ち越し点数 28.0円 240.5円
大関での幕内最高優勝(全勝除く) 2×30 = 60.0円
大関での幕内最高優勝(全勝) 1×50 = 50.0円
横綱昇進時加算 (240.5円→240.5円) (昇進時に既に150円超) 0.0円 240.5円
横綱での勝ち越し点数 386.5円 2187.0円
横綱での幕内最高優勝(全勝除く) 27×30= 810.0円
横綱での幕内最高優勝(全勝) 15×50= 750.0円
    合計 2,187.0円

白鵬が記録を更新する以前の最高金額は大鵬の1,489円50銭であった。

遠藤の場合(2025年5月場所終了時)
加算 累積
幕下10枚目格付出 出世時 3.0円 3.0円
幕下以下での勝ち越し点数 3.0円 6.0円
十両昇進時加算 (6.0→40.0円) 34.0円 40.0円
十両での勝ち越し点数① 6.5円 46.5円
幕内昇進時加算① (46.5→60.0円) 13.5円 60.0円
前頭での金星① 10.0円 81.0円
前頭~関脇での勝ち越し点数① 11.0円
幕内陥落時減算 (81.0→67.5円) (幕内昇進時加算①を減算) -13.5円 67.5円
十両での勝ち越し点数② 3.5円 71.0円
幕内昇進時加算② (71.0→71.0円) (幕内昇進②時に既に60円超) 0.0円 71.0円
前頭での金星② 60.0円 172.5円
前頭~関脇での勝ち越し点数② 41.5円
十両での勝ち越し点数③ 4.5円 177.0円
前頭~関脇での勝ち越し点数③ 4.5円 181.5円
    合計 181.5円

その他、主な現役力士では、玉鷲261.0円、大の里213.5円、豊昇龍174.0円である(2025年5月場所終了時点)[4]

脚注

  1. ^ 毎日新聞 2022年6月4日東京夕刊
  2. ^ 日本相撲協会寄附行為施行細則第91条
  3. ^ 日本相撲協会寄附行為施行細則第92条
  4. ^ 「寸評付き 幕内写真入り特製番付」『相撲』2025年7月号、ベースボール・マガジン社、54-57頁。 

関連項目


力士褒賞金

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 22:26 UTC 版)

大相撲」の記事における「力士褒賞金」の解説

場所ごとに過去残した成績に応じて支給される計算基礎となる持ち給金支給標準額)の累積序ノ口から始まり持ち給金4000倍した金額十両上の力士(関取)に支給される持ち給金勝ち越し1点につき50銭ずつ累積され負け越し休場などでの減額はない。金星幕内最高優勝では大きな加算があるほか、十両幕内(関脇小結を含む)・大関横綱持ち給金の最低額決まっており、昇進時に累積額がその金額に満たなければ番付応じた低額まで引き上げられる。 力士褒賞金の最低支給標準番付持ち給金(最低額)最低支給額(1場所ごと)横綱15060万円 大関100円 40万円 幕内6024万円 十両4016万円 詳細は「力士褒賞金」を参照

※この「力士褒賞金」の解説は、「大相撲」の解説の一部です。
「力士褒賞金」を含む「大相撲」の記事については、「大相撲」の概要を参照ください。

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