ファシズムの定義
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ファシズムの定義は、ファシズムやファシストの政府や統治に関する、定義や認識や簡潔な説明である。しかし、その見解は多くの学者の間で非常に異なっており統一的な合意は存在しない。ここでは主要な歴史学者や政治学者、政治家などによる、ファシズムやその中核となる信条の説明を記載する。
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ファシズムの定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:18 UTC 版)
詳細は「ファシズムの定義」を参照 歴史学者や政治学者や他の学者は、ファシズムの正確な本質や特徴を長年議論してきた。学者達によってファシズムの定義はそれぞれ異なり、あまりに広い定義や狭い定義など多数の定義が存在している。アンジェロ・タスカ(イタリア語版)は『ファシズムの誕生』で「ファシズムは独裁の一種である。これまでの定義の試みはすべてそこから出発している。しかし、この点を除くとおよそ意見の一致は保証されていない」と評している。一般的なファシズムの定義の1つには、3つの概念のグループに焦点を当てた以下がある。 a) ファシストによる否定 反自由主義 反共産主義 反保守主義 b) イデオロギーと目標 伝統的な国家を基礎としない、新しいナショナリストの権威主義的な国家の作成 サンディカリストやコーポラリストや国家社会主義者すらも含めて社会的関係を変革できる、統制され、複数の階級を持つ、国家的な経済基盤の新しい1種類 帝国を目指す 理想主義者、ボランティアの信念、典型的には新近代的で自己決定の、宗教には関係ない文化の実現 c)スタイルと組織 ロマンチックで神秘的な側面を詰め込んだ、集会やシンボルなどの美学の構造 政治的な関連性の軍隊化や、党の民兵のスタイルや目標となった、巨大な動員 暴力の肯定的な視点と使用 男性原理の極端な強調 若者への賞賛 権威主義的でカリスマ的な個人による命令のスタイル ファシズムに対する見方は立場によって大きく異なっている。例えば多くのファシストはナショナリズムの立場から、コーポラティズムなどの集団主義を主張しているが、多くの自由主義者や民主主義者は、ファシズムは自由主義と民主主義を破壊する全体主義と批判している。 多くのマルクス主義者はその唯物史観や階級闘争論の立場から、ファシズムは社会主義を暴力的に破壊し、労働者階級を支配するための資本主義や帝国主義の一形態と批判している。多くのリバタリアニズムはレッセフェールを重視する立場から、ファシズムや共産主義を「集産主義の一種」と批判している。 ガービン・ブライアンやヘンリー・ターナーの定義では、ファシズムは、急進主義的で権威主義的なナショナリストの政治運動である。 第一次世界大戦中に、ソレル主義のサンディカリストの政治的視点とナショナリズムを結合した、イタリアの国家サンディカリストにより最初に構築された。通常は極右と記述されるが、ファシズムは右翼と左翼の両方の影響を受けていることが学術的な合意となっている。 ムッソリーニは「ザ・ドクトリン・オブ・ファシズム」で、ファシズムを右翼かつ集産主義と見なしたが、ファシズムは階級闘争や社会主義や社会民主主義などの左翼政治運動の高まりから発生した状況の改善に共感し、他方では同時に左派が関連する平等主義に反対すると宣言した。 ファシズムの主要なテーマはノエル・オサリバンによると、コーポラティズム、革命、指導者原理、集団主義、国家的自給自足の5つである。ハワードもファシストは国家の価値や、政治や経済などの体制を、コーポラティズムの観点に従って組織しようと努めると指摘している。A.A.カリスは、コーポラティズムがファシズムの最重要な主張であり、それのみが資本主義と社会主義の間の「第三の道」の展望を創造的に実現すると主張する。ムッソリーニは「コーポラティブ・システムは20世紀の文明となる事が運命づけられている」と宣言し、アドルフ・ヒトラーは「わが闘争」で「国家社会主義のコーポラティブな概念」が最終的には「破滅的な階級闘争に取って代わる」と主張した。 ファシズムにおいては、国家が、国家の強さを保つために暴力の実行や戦争を行う意思と能力を持つ、強力なリーダーシップと単一の集団的なアイデンティティを必要とする有機体的な共同体であると信じる。彼らは、文化は全国民的な社会とその国家によって創造され、文化的観念が個人にアイデンティティを与えると主張し、したがって個人主義を拒絶する。彼らは国家を1つの統合された集合的な共同体とみて、多元主義を社会の機能不全の様子とみなし、国家が全てを表すという意味での全体主義国家を正当化する。 また、一党制の国家の創設を主張する。つまり、議会制民主主義制度、及び、議会制民主主義思想に対して拒否反応を示す。それゆえに、議会制民主主義によって制定された法制度等に対して全面的に価値を認めない基本的な立場をとる。ファシストは、ファシストの国家の一部とはみなされず、かつ同化を拒否するか同化できない、文化的または民族的な集団による自治を拒絶し抵抗する。彼らはそのような自治を創設する試みは、国家への侮辱や脅威とみなす。ファシストの政府は、ファシストの国家やファシスト運動への反対を禁止し抑圧する。彼らは暴力と戦争を、国家の再生や精神や活力を創造する行動であるとみる。 ファシズムは平等主義や物質主義や合理主義の概念を拒絶し、行動や規律や階層的組織や精神や意志を支持する。 彼らは、排他的で経済的な階級をベースとした運動であるという理由や「自由主義は共産主義の温床である」「共産主義は国際主義である」という理由で自由主義や共産主義に反対する。ファシストは彼らのイデオロギーを、経済的な階級闘争を終了させて民族の団結を確実にする、経済的に超階級的な運動として提示する。彼らは、経済的な階級には国家を適切に統治する能力は無く、経験豊かな軍人たちからなる優秀さを基礎としたエリート集団が、国家の生産力の組織化や国家独立の確実化などを通して支配するべきであると主張する。 ロランド・サルティは、ファシズムは保守主義を、社会秩序への支持という部分的な価値と把握するが、しかしその変革や近代化に対する典型的な反対には賛成しないと述べている。また、強制的な変革を推進する国家管理された近代化を主張する一方で、多元主義や独立した主導権という社会秩序への脅威に反抗することによって、保守主義の利点と欠点を把握した解決方法であるともする。
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