ファスケス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/17 00:03 UTC 版)

ファスケス(fasces、ファスケース)は、「束」を意味するラテン語の名詞ファスキス (fascis) の複数形で、通常は斧の周りに木の束を結びつけたものを指す。
古代ローマで高位公職者の周囲に付き従ったリクトルが捧げ持った権威の標章として使用され、20世紀にファシズムの語源ともなった。日本語では儀鉞(ぎえつ)や権標、木の棒を束ねていることから束桿(そっかん)などと訳される。
概要
ファスケスは斧の周囲に十数本から数十本の棒を配し、皮の紐で束ねたものである。王政後期にエトルリアからもたらされたものとされ、王の権威の象徴であった。共和政に移ると王の権限に由来するインペリウムの象徴とされ、インペリウムを保持する高位公職者である独裁官、執政官、法務官などの周囲にファスケスを持つリクトルが配された。
ファスケスの意味するところは、権力と求心力の象徴としての斧、その周囲に団結する人々であるといわれる。刑罰のための斧と鞭が「懲罰権」を象徴するとの説もあるが、実際に戦闘や処刑に使うことを目的とするものではなく、専ら権威をあらわすために用いられた。共和政期に入ってからは原則として、ローマの市内 (市内と外部を隔てるポメリウムの内側) では斧は取り外され、棒の束として使用された。またコンスルの葬儀の際にはファスケスは逆さまで捧げ持たれた。
意匠としての使用例
ローマ以降には、ファスケスのデザインが力や正義、結束や団結、共和制などの象徴として、各国の政府や団体に用いられた。特に20世紀にファシズムの語源ともなり、そのシンボルとしても使用された。
現在でも見られるものにはアメリカ合衆国下院本会議場、リンカーン記念館の装飾やリンカーン像、フランス領事団が用いる紋章、エクアドルの国章などがある。
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国上院の紋章(下部にクロスしたファスケス)
アメリカ合衆国連邦裁判所事務局の紋章
リンカーン記念館のリンカーン像(椅子のアーム部分がファスケスの形状)
10セント硬貨 (アメリカ合衆国)(1916–1945年)の裏側
その他の使用例
フランスの非公式な国章(1953年-)
ノルウェー警察の紋章
サンクトペテルブルクの公園のフェンス
スペイン グアルディア・シビルの紋章
ルーマニア 国家警察の紋章
ファシズムによる使用
政治シリーズ記事からの派生 |
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ファスケスのイタリア語読みである「ファッショ」(fascio)の複数形である「ファッシ」(fasci)は、団結を意味する言葉としてイタリアの政治的団体に用いられるようになった。1919年にベニート・ムッソリーニは、国粋主義団体「イタリア戦闘者ファッシ」(Fasci Italiani di Combattimento) を結成する際、この語を用いた。その後、1921年には「イタリア戦闘者ファッシ」は「ファシスト党」(Partito Nazionale Fascista) へと改組された。ムッソリーニは党の行動原則としてファッシを語源とするファシズム(Fascism)を提唱し、ファスケスを党の象徴として、党旗のデザインやパレードの装飾として用いた。
しかし同様に全体主義国家のシンボルとして用いられたハーケンクロイツと異なり、象徴としてのファスケス使用の禁止・表現の自粛などの強い動きは起こっていない。従来から伝統的にファスケスを用いてきた団体などは継続して意匠として用いている。
ファシスト党党章
ファシスト党党旗
イタリア社会共和国国籍標識 イタリア社会共和国の国章
イタリア統治時代のアルバニア王国旗
イタリア統治時代のアルバニアの国章 (1939 - 1943)
サンマリノファシスト党の党章
ミラノ中央駅に残るファシスト党結成9周年を記念したレリーフ
関連項目
外部リンク
ファスケス
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「マクロス・ザ・ライド」の記事における「ファスケス」の解説
ナレスワン (Naresuan) ファスケスのカリスマ的指導者。ゼントラーディとしての旧名はオゴル7312。乗機はネオ・グラージbis、YF-27-5シャヘル♀。 第一次星間大戦時、地球を襲撃したゼントラーディ軍ボドル基幹艦隊分岐艦隊の司令官だったが、リン・ミンメイの歌とブリタイ・クリダニクの演説に心を動かされマクロスに味方した。戦後、地球に実在したタイ王国の国王にちなんで「ナレスワン」と改名し、統合軍の再建に貢献するが、プロトカルチャー由来の地球文化に心酔するあまり、極端な中央集権主義を信じるようになる。 かつては新統合軍の特務部隊エトワール・フィランの司令官で、(時期はずれるが)アンジェやハクナを部下として鍛え上げた。バロータ戦役時に氷の惑星でプロトデビルンの遺産の情報を入手し、部隊を壊滅させたまま消息不明となる。その後、ファスケスの頭領としてふたたび姿を現し、新統合政府に反旗を翻す。 アンジェ672 (Angers672) ファスケス親衛隊隊長をつとめる緑色の髪をしたゼントラーディ女性。26歳。乗機はクァドラン・ロー、VF-22HGシュヴァルヴェ・ツヴァイ、クァドラン・アルマ。 正体を明かす以前は統合軍やS.M.Sのパイロット、人権問題のフリージャーナリストに姿を変えながら、情報収集活動や裏工作を行っていた。S.M.S所属時には新人のチェルシーに戦闘機乗りの心得を授け、面倒見のよい先輩と慕われた。 外面ではナレスワンの地球至上主義に恭順しながら、本心では地球文化に馴染んでしまったゼントラーディを否定し、戦闘種族として闘争本能を取り戻すべきだと考えていた。ナレスワンを撃ち殺してファスケスの実権を握ると、プロトデビルンの遺産の力で全人類を洗脳し、果てなき銀河戦争に導こうとする。しかし、チェルシーとの対決に敗れて行方不明となる。
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