ハーケンクロイツ
「ハーケンクロイツ」とは、ナチス・ドイツのシンボルとして用いられた鉤十字(逆卍)の図案の名称である。ナチスの党章およびナチス政権下のドイツ(ナチス・ドイツ)の国旗として用いられた。
現代では「ハーケンクロイツ」は、全体主義や独裁主義のシンボルのように扱われることも多い。「ナチス式敬礼」と共に、世界的にタブー視されている。ドイツにおいては公共の場でのハーケンクロイツの掲示やナチス式敬礼は法律に抵触する。いわば忌まわしい形である。
「ハーケンクロイツ」はドイツ語に由来する言葉である。英語では「卍(左卍)」も「ハーケンクロイツ(右卍)」も特に区別せず、どちらも「swastika(鉤十字)」という。
「ハーケンクロイツ」の形
「ハーケンクロイツ」という言葉は本来「鉤十字(逆卍)」の図形を指す語であるが、ナチスの党章である「赤地に白い円、その中に黒い斜め鉤十字」というデザインを特に「ハーケンクロイツ」と呼んでいる場合も多い。「ハーケンクロイツ」は、「十」字の先端から右方向に直角に線が伸びたような図形である。つまり「卍」を左右ひっくり返した形(逆卍 / 右卍)である。ナチスが党章に用いたハーケンクロイツは、この「逆卍」を45度傾かせた形で描かれる。
日本における「卍」と「逆卍(ハーケンクロイツ)」
日本では「卍(まんじ)」が宗教的意匠として伝統的に用いられてきた。寺院の地図記号も「卍」である。ハーケンクロイツを「逆卍」と呼ぶのも、既存のデザインとしての「卍」があったからこそである。(ちなみに「卍」は漢字として扱われる)日本の「卍」は、インドのヒンドゥー教を起源にもつ図形である。ヒンドゥー教の神を象徴する図形が、仏教に取り入れられ、仏教と共に日本にも伝来したわけである。
ナチスのハーケンクロイツは、トロイ遺跡(トロイア)で発見された古代の宗教的図形を踏まえているとも言われるが、もともとは党内で公募して採用されたデザインである。
要するに、東洋の「卍」とナチスのハーケンクロイツの間に直接の関連は特にない。東洋の卍のほうが歴史は古い。
東洋の「卍」とナチスのハーケンクロイツは根本的に別物であるが、それを理解していない者は多い。そうした人々は「卍」と「ハーケンクロイツ」を混同・同一視して否定的に見がちである。
「卍とハーケンクロイツは全くの別物であり、たまたま似ているだけ」という大義名分はあるとはいえ、世界の人々に理解を求めることも容易ではない。そのため、海外の人の目に触れやすい媒体では「卍」の使用が避けられることが多い。
和久井健のマンガ作品「東京卍リベンジャーズ」は海外でも人気を博しているが、洋題は「Tokyo Revengers」であり、「卍」は省かれている。ちなみに、物語に不可欠な存在である「東京卍會」は「Tokyo Manji Gang」と訳されている。
「ハーケンクロイツ」の語源・由来
「ハーケンクロイツ」は、「鉤十字」という意味のドイツ語「hakenkreuz」を、カタカナで表記したものである。「haken」が「鉤」「kreuz」が「十字」を意味する。「ハーケンクロイツ」の類語「ハーケンクロイツ」の類語としては、「右まんじ(右卍)」が挙げられる。「卍」を左右対称にした記号を指す言葉だ。「卍」を「左まんじ」、ハーケンクロイツを「右まんじ」と区別することも多い。ハーケンクロイツと右まんじは、同義のものとして扱われることが多いが、右まんじはヒンドゥー教やスリランカ仏教のシンボルとしても使用される。ハーケンクロイツ【(ドイツ)Hakenkreuz】
ハーケンクロイツ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/06 15:00 UTC 版)
ハーケンクロイツ(ドイツ語: Hakenkreuz)は、鉤十字のドイツ語。ナチ党のシンボルを指す。
- ^ この文字はまんじ「卍」の異体字として作字されたもので、ハーケンクロイツとして作字されたものではないが、便宜的に使用している。『大漢和辞典』(諸橋轍次, 大修館書店)を参照。
- ^ Schliemann, Heinrich (1875), Troy and its remains, London: Murray, pp. 102, 119-120
- ^ Boxer, Sarah (2000), “One of the world's great symbols strives for a comeback”, The New York Times, 2000-07-29
- ^ “History - From Swastika to Thunderbird”. www.45thdivisionmuseum.com. 2018年8月15日閲覧。
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- ^ Allen, Claudia (2020年7月1日). “Finland's air force quietly drops swastika symbol” (英語). BBC News 2020年7月2日閲覧。
- ^ Flag Archived 20 July 2011 at Archive.is The President of the Republic Of Finland
- ^ スーパーサイヤ人はナチス? フランス人が日本を好きなわけ - Excite Bit コネタ(1/2)
- ^ “「かぎ十字」柄の布で顔覆った男女、ウォルマートが入店禁止に”. CNN (2020年7月28日). 2020年7月20日閲覧。
- ^ TIMES編集部, ABEMA. ““卍”がナチス想起? 『東リベ』コスプレがドイツで物議も…「日本側が訂正する必要はない」「誰が何のために使っているかが重要」 | 国際”. ABEMA TIMES. 2022年8月18日閲覧。
- ^ “知的財産権、商標について”. 一般社団法人 SHORINJI KEMPO UNITY|少林寺拳法公式サイト|SHORINJI KEMPO OFFICIAL SITE. 2022年8月18日閲覧。
- 1 ハーケンクロイツとは
- 2 ハーケンクロイツの概要
- 3 鉤十字
- 4 ナチス・ドイツ以外での使用
- 5 その他
- 6 関連項目
ハーケンクロイツ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 19:32 UTC 版)
第二次世界大戦時のドイツ機の垂直尾翼に描かれていた鉤十字(スワスティカ)は、ナチス・ドイツのシンボルマークであり、現在ドイツでは公の場での使用や掲示が法律により禁止されている。その影響で、1990年代以降多くのメーカーでは箱絵とデカールからスワスティカや本来ナチスとは無関係のフィンランドのハカリスティを削除している。日本国内ではスワスティカの使用に全く制限はないが、輸出を考慮して日本メーカーの多くもこれに倣っている。一部の日本メーカーでは日本国内出荷分にのみスワスティカのデカールを付けているが、多くの場合箱絵は勿論組立て説明書にも明示は無く、オマケ扱いとなっている。また、スワスティカを十字や田の字形に変えたり、二分割してそのままではスワスティカに見えない形でデカールにしているメーカーもある。
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ハーケンクロイツ
出典:『Wiktionary』 (2021/07/15 14:17 UTC 版)
語源
名詞
ハーケンクロイツ
関連語
脚注
ハーケン・クロイツ
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ハーケンクロイツ
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