プラエトルとは? わかりやすく解説

プラエトル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/05 08:38 UTC 版)

古代ローマ

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プラエトルラテン語: praetor)は、古代ローマ政務官職の一つ。日本語では法務官と訳される。共和政ローマではコンスルに次ぐ公職で、インペリウム(命令権)を保有し、主に司法を担当した。

概要

その成立については諸説あるが、ローマ社会を統率する者が「コンスル」と呼ばれる以前の呼称として「プラエトル」が使われていたといわれる[1]ティトゥス・リウィウスは、プラエトルが最初から裁判を担当するために作られたとしている。学者の間で共和政初期には軍を指揮する最高政務官は3人のプラエトルで、2人がコンスルとなり、1人がプラエトルとして残ったという説があり、もしそうであれば元々軍事的意味合いが強かったことになる[2]

紀元前367年プレプス(平民)もコンスルに就任出来るようにする代わりに、パトリキ(伝統的貴族)の就任する政務官として、ローマ市で裁判を担当するプラエトル・ウルバヌス(首都法務官)が作られた。更に第一次ポエニ戦争の末期、プラエトル・ペレグリヌス(外国人係法務官)が増やされた。これは古代の史料では外国人による訴訟に対応するためとされるが、通説ではインペリウムを保有できる政務官を増やすためと理解されており、実際に外国人の訴訟を裁いたのは紀元前2世紀以降とされる[3]

紀元前336年クィントゥス・プブリリウス・ピロが初めてプレプス出身プラエトルとなっている[4]

紀元前228年には4名に増員され(シチリア・サルディーニャ担当増員)、紀元前197年には6名[5](遠近ヒスパニア担当増員)と、ローマが属州を獲得するたびに増員され、首都の2名以外はインペリウム保有者として属州総督の任にあたった。

ルキウス・コルネリウス・スッラがローマを掌握して改革を実施した際、プラエトルを8人に増員。全員が首都に置かれて司法を担当した。

出典

  1. ^ p4, Nicholas, Barry著、「An Introduction to Roman Law」(1975年、Oxford University Press) ISBN 0-19-876063-9
  2. ^ Drogula, p. 428.
  3. ^ 原田, pp. 4–6.
  4. ^ MRR1, p. 139.
  5. ^ MRR1, p. 334.

参考文献


プラエトル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/22 05:40 UTC 版)

ルキウス・アウレリウス・コッタ (紀元前65年の執政官)」の記事における「プラエトル」の解説

コッタ経歴に関して資料正確に確認できるのは、紀元前70年にプラエトル(法務官)を務めたときのものである。この年執政官ポンペイウスクラッススは、スッラ終身ディクタトル独裁官時代制定したコルネリウス法によって大幅に削減されていた護民官権限回復させるなど、法改定着手しコッタもその一員として法律改定行ったlex Aurelia iudiciaria)。彼は権力乱用裁判改革のための法律制定した(その前に別の、より急進的な改革プロジェクト検討されていた可能性がある)。 これにより、スッラ定めていた元老院議員判事独占することはなくなったが、グラックス兄弟時代エクィテス騎士階級)のみに戻されることもなかった。判事構成3分の1元老院議員3分の1騎士階級であり、残り3分の1正規騎士階級ではない有力市民(tribuni aerarii)とされた。この決定門閥派とポプラレス民衆派)の妥協、あるいは民衆派譲歩とされる何れにせよ、この改革社会不和主な原因一つ排除することに成功した

※この「プラエトル」の解説は、「ルキウス・アウレリウス・コッタ (紀元前65年の執政官)」の解説の一部です。
「プラエトル」を含む「ルキウス・アウレリウス・コッタ (紀元前65年の執政官)」の記事については、「ルキウス・アウレリウス・コッタ (紀元前65年の執政官)」の概要を参照ください。

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