アウグルとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > アウグルの意味・解説 

アウグル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/10 14:57 UTC 版)

古代ローマ

ローマ時代の政治


統治期間
王政時代
紀元前753年 - 紀元前509年

共和政時代
紀元前508年 - 紀元前27年
帝政時代
紀元前27年 - 西暦476年

古代ローマの政体
政体の歴史
身分
政務官
執政官
臨時職
独裁官
ローマ軍団
インペラトル
名誉称号・特別職
ローマ皇帝
聖職者
最高神祇官
政治制度

各国の政治 · 地図
政治ポータル

アウグル(ラテン語:Augur)は、古代エトルリア古代ローマで設置された公職の一つである。日本語では鳥卜(ちょうぼくかん)、卜鳥官(ぼくちょうかん)や鳥占官(ちょうせんかん)などと訳される。時には神官とも書かれることもある。執政官プラエトル(法務官)といった政務官とは異なって、終身制であった。アウグルの主な役割は鳥の鳴き声や飛翔状況を観察して、その状況を基に神の意思を示すことである。アウグルの意思は宗教に留まらず、戦争や商業といったローマの公的な意思決定にも関与したとされる。

概要

アウグル。先の丸まったリトゥウス(杖)を持っている。

ローマ市内を見渡せるカピトリヌスのアルクスに観測所があり、アウグストゥスの時代までは、粗末な小屋があるだけだった[1]。リトゥウス(杖)を手にしてトガを頭に被せ、アルバヌス山を正面に南東を向き、恐らくウィア・サクラを中心線として市内を左右に分け、木を利用して観測範囲を決めて占っていた[2]

共和政ローマ初期の頃は前任者の指名によって後任が決定され、事実上パトリキに独占されていたが、紀元前300年に成立したオグルニウス法によって、定員が4人から9人に拡充され、そのうち5人はプレプス出身者と決められた[3]

紀元前104年護民官グナエウス・ドミティウス・アヘノバルブス (紀元前96年の執政官)が、17トリブスの選挙によって後継者を選出する法を成立させた[4](Lex Domitia de sacerdotiis 聖職者に関するドミティウス法。コッレギウム(組合)の作成したリストから選挙で選ぶ形式になった[5])。紀元前81年ルキウス・コルネリウス・スッラコルネリウス法で15人に増員され、ドミティウス法は取り消されたが[6]紀元前63年の護民官ティトゥス・ラビエヌス[7]によって、再度ドミティウス法の選出方式が復活した[8]。ラビエヌスの裏には最高神祇官職を狙うガイウス・ユリウス・カエサルがいたという[9]

歴史的経緯

  • ローマ建国の王ロームルスレムス兄弟が、元アルバ王ヌミトルを助け、新たな街を築こうとした時、どちらが名前をつけるか鳥占いで決めた[10]
  • 2代目ヌマ・ポンピリウス王は、神祇官が神々の知らせとして注意を払うべき自然現象を、鳥占いによって決定した[11]
  • 5代目タルクィニウス・プリスクス王は、ロームルスが鳥占いで定めたラムネンセス、ティティエンセス、ルケレスの3つのケントゥリアの他に、自分の名を冠した新たな部隊を創設しようとしたが、これにアウグルのアットゥス・ナウィウスが反対。奇跡を起こしてみせたためアウグルの地位が向上し、重要な決定は全て鳥占いで決められるようになった[12]

脚注

  1. ^ Richardson, Jr., p. 240.
  2. ^ Richardson, Jr., pp. 240–241.
  3. ^ リウィウス, 10.6.
  4. ^ MRR1, p. 559.
  5. ^ Rotondi, p. 329.
  6. ^ Rotondi, p. 352.
  7. ^ MRR2, pp. 167–168.
  8. ^ Rotondi, p. 380.
  9. ^ カッシウス・ディオ『ローマ史』37.37
  10. ^ リウィウス, 1.6-7.
  11. ^ リウィウス, 1.20.
  12. ^ リウィウス, 1.36.

参考文献

  • ティトゥス・リウィウスローマ建国史』。 
  • Giovanni Rotondi (1912). Leges publicae populi romani. Società Editrice Libraria 
  • T. R. S. Broughton (1951). The Magistrates of the Roman Republic Vol.1. American Philological Association 
  • T. R. S. Broughton (1952). The Magistrates of the Roman Republic Vol.2. American Philological Association 
  • L. Richardson, Jr. (1978). “Honos et Virtvs and the Sacra Via”. American Journal of Archaeology ly (The University of Chicago Press) 82 (2): 240-246. JSTOR 504499. 

関連項目


アウグル

出典:『Wiktionary』 (2021/08/21 02:38 UTC 版)

語源

ラテン語 augur

名詞

アウグル

  1. 古代ローマ等に設置された、鳴き声飛翔観察して神の意志示す占い師


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アウグル」の関連用語

アウグルのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アウグルのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアウグル (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryのアウグル (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS