トリブス民会と法廷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/31 15:06 UTC 版)
紀元前145年ごろまで、コミティウムではトリブス民会が開催され、そこで重要な決定をしたり、行政官を選出したり、犯罪者が告発され投票によって判決が下された。集会前に召集された行政官がアウグルとなり、ロストラ上を聖域 (templum) として清め、その後議事を進行した。行政官らがアウグルとして占った結果が悪くない場合のみ、他の行政官や元老院議員を招集し、さらに市民を呼び出すよう伝令官に命じた。伝令官はロストラ上や城壁上で集会が始まることを叫んで知らせた。集会においては、行政官、元老院議員、一般市民らが懸案事項や官職の候補者について賛成か反対かを話し合った。訴状について投票を行う前に、伝令官がロストラ上からそれを群衆に読んで聞かせた。最終的に、各トリブスがロストラ上の templum に呼ばれ、投票を行った。紀元前145年ごろ以降人口が増えすぎ、ローマの全市民をコミティウムに集めることが難しくなってきたため、トリブス民会の場所はフォルム内の反対側にあるカストルとポルックス神殿の前で行われるようになり、神殿前の階段が非公式のロストラとして使われた。 ロストラは裁判の集会にも使われた。共和政ローマでの刑事裁判は、トリブス民会の前に行政官が告発する形式でフォルムで行うか(その手続きは十二表法に規定されており、共和政中期には通常の手順だった)、制定法に基づいて50名から75名の陪審員を集めて陪審法廷 (quaestio de repetundis) を開くか(紀元前70年以降)のどちらかだった。コミティウムでの裁判の場合、ロストラが法廷 (tribunal) の役目を果たし、その上で行政官が大官椅子に座り、少人数の随行人が付き添う。他に裁判官 (subsellia)、陪審員、事件の当事者、その支持者らが参加する。周囲には見物人の輪 (corona) ができた。
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