ファシズムの時代周辺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/22 10:43 UTC 版)
「イタリア文学」の記事における「ファシズムの時代周辺」の解説
第二次大戦前後の暗い時代は、悲惨な現実を直視したネオ・レアリズモ文学が主流になる。特にスペイン内戦の影響からエリオ・ヴィットリーニによる『シチリアでの会話』が書かれ、チェーザレ・パヴェーゼはファシストたちに拘束された話を『故郷』という作品に著し、この二作はネオ・レアリズモ文学の源流とされる。1947年にはイタリア文学における権威ストレーガ賞が制定されて、パヴェーゼは第二回に『美しい夏』で受賞しているものの、1950年トリノで自殺した。またアウシュビッツ収容所での体験を基にしたユダヤ系作家プリモ・レーヴィや、『ある家族の会話』で脚光を浴びたナタリア・ギンズブルグ、1920年ローマの上流階級を批判する『無関心な人々』によって名を挙げたアルベルト・モラヴィアは『軽蔑』を書き、健在ぶりを発揮した。モラヴィアの妻のエルサ・モランテも著名な作家である。 一方で幻想的な筆致で不条理な現実を表現し、イタリアのカフカと称されるディーノ・ブッツァーティは『タタール人の砂漠』で有名になり、イタリアの民話を編纂し自らも幻想的で多彩な小説を発表したイタロ・カルヴィーノが現れた。『木登り男爵』や『冬の夜ひとりの旅人が』などの作品があり、イタリアの国民的な作家と言われる。そして作家のみならず映画監督としても活躍したピエル・パオロ・パゾリーニが『生命ある若者』などでこの時代の寵児になった。またシチリア島では大貴族の末裔ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサが、シチリア貴族の没落に取材した『山猫』を著す。彼はこの作品と数編の短編しか残していないが、非常に評価が高い。同じくシチリアのレオナルド・シャーシャは文学においてはじめてマフィアを悪として告発する『真昼の梟』でセンセーションを巻き起こした。 詩人としては、故郷トリエステを舞台にした詩で有名なウンベルト・サバはじめ、1959年にノーベル文学賞を受賞したサルヴァトーレ・クァジモドや哲学的な詩を残したジュゼッペ・ウンガレッティ、1975年にノーベル文学賞を受賞し、古典の編集者としても活躍したエウジェーニオ・モンターレがいる。
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