木登りとは? わかりやすく解説

き‐のぼり【木登り】

読み方:きのぼり

[名](スル)

木によじ登ること。「—して遊ぶ」

《高い木の上に首をのせられるところから獄門かけられること。さらし首になること。

孫兵衛親子三人をば—と定め」〈浮・沖津白波


木登り

1.の上一生を送る。

『木のぼり男爵カルヴィーノ「わたし」の兄コジモは、12歳の時、父男爵から叱責されことがきっかけで、庭の木に登りそれ以来地面降りることなく、ずっと木々の上暮らした周辺森林地帯であり、渓流の上の2叉(ふたまた)の座れば排泄快適だったコジモから伝わって方々へ出かけ、有名人となり、ナポレオン彼に会いに来たこともあった。月日流れ65歳になったコジモは、重病死に瀕していたが、飛んで来た気球の綱につかまって、海の方へ去って行った

★2.木登り名人

徒然草109段 「高名の木のぼり」と言われた男が、人を指図して、高い木の切らせた。危険な作業をしている間は何も言わず、家の軒ほどまで降りて来た時に、「気をつけて降りよ」と声をかけた。高い木の上にいる間は、誰でも気をつける。もう安全だという所まで来た時にあやまちはおかすものなのだ。

★3a.木に登って見下ろすと、男女性交の幻が見える。

鸚鵡七十話』第37話 夫が妻の不貞疑いに登って監視する。その下へ、妻が情夫来て交わるので、夫は怒ってから降りて来る。妻は気づいて情夫去らせる。夫「お前と一緒にいた男は誰だ?」。妻「それがこの特徴です。このに登って下を見ると、1人でいても2人見えるのです」。妻は、夫1人地上残して登り、夫を見下ろして言う。「貴方だって、よその女色事をしているじゃありませんか」。

デカメロン7日第9話貴族奥方梨の木の下に坐っていた時、召使青年木に登り、「旦那様奥様、なぜそんなみだらなことをなさるのですか?」と咎める。木から見下ろすと、2人性交見えるのだという。老貴族は、梨の木不思議な作用自分の目で確かめようと、召使交代して木に登る召使奥方は、さっそく横になって性交始める。老貴族は木の上からそれを見て驚くが、「なるほど。こういう幻が見えるのか」と納得する

★3b.見上げると、木の上性交見える。

カンタベリー物語貿易商人の話」 老騎士失明したので、彼の若妻は、「少し離れた場所なら、夫にはわかるまい」と考え、庭の梨の木に登って情夫と交わる。その時、神の加護によって老騎士の眼が開き、彼は若妻情夫性交見て怒る。若妻は「誰でも、眼をさましてすぐの時は日の光に慣れず、はっきり見えないものです。それと同様に、貴方は長い間盲目だったので、眼が開いても、はじめのうち見間違いをするのです」と言いくるめ、老騎士怒ったことを詫びる。

木登りする女の陰部を、下から見る→〔死の起源〕4の『南島神話』(後藤明第3章死の起源死後の世界」。

★3c.木に登って、偶然、隣家性交を見る。

武道伝来記4-3無分別見越の木登」 肥後の国武士・安森戸左衛門非番の日に、奥の間開け放して昼間から夫婦交わりをする。隣の大壁源五左衛門家の中間(ちゅうげん)が、庭木に登って作業をしていてこれに目をとめ、「心地よくあそばさるるよ」と、眺めていた。安森戸左衛門見られていることに気づき鉄砲取り出して中間射殺した〔*これがもとで両家争いとなり、安大壁斬り殺し行方をくらます大壁の子・小八郎成長後仇討ちの旅に出てを討つ〕。

屋根の上で働く職人が、ホテル情事を見る→〔屋根2aの『屋根歩む』(三島由紀夫)。

★4.木につかまる人との問答

『しまつの極意落語ケチ有名な男に、ある人が倹約極意伝授請うケチな男はその人を庭の松の木に登らせ、まず「左手離せ」と命ずる。ついで、右手小指薬指中指順々に離させる懸命にぶらさがる人がたまりかねて、「これ以上離せない」と言うとケチな男は親指人差し指で丸を作り、「離すなよ。これを離さぬのが、しまつの極意だ」と教える。

無門関(慧開)5「香厳上」 人が木に登り、口でをくわえ両手両脚離すその時木の下に人が来て祖師西来意(禅の根本義)」を問う。答えねば禅者として失格であるし、答えれば木から落ちて死んでしまう。

★5.登った木から手を離せば、仙人になれる。

仙人芥川龍之介田舎者権助仙人になろうとして医者の家で20年ただ働きをする。医者女房が「仙術伝授しよう」と言って権助を高いに登らせ、「両手離せ」と命ずる。離せ落ちて死ぬし、離さなければもう20年働かせようと、女房たくらんでいた。権助両手離す身体が宙に浮き権助は「仙人なれました」と礼を述べの中へ昇って行った

★6.木に登る人と

『古事記』中巻 香坂王(かごさかのみこ)・忍熊王(おしくまのみこ)兄弟が、神功皇后討とうとして、事の成否を占ううけひ狩りをする。香坂王(くぬぎ)の木に登っていると、現れ掘って倒し香坂王喰い殺した。これは凶兆だったが、忍熊王畏れず軍を進めた〔*『日本書紀』巻9神功皇后摂政元年2月類話では、木ではなく桟敷の上で、喰い殺される〕。

『古事記』下巻 ある時、雄略天皇葛城山に登った。大きな出て来たので、天皇鳴鏑なりかぶら)の矢で射る怒りうなり声上げて襲いかかった天皇恐れ逃げてはりのき)に登った。天皇は、「・・・病やみしし手負い猪)の うたき(=うなり声畏み わが逃げ登りし ありを(=丘)の」と歌った


木登り

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/02 12:00 UTC 版)

木に登る
ヤシの実をとる様子
木の治療を行う樹医

木登り(きのぼり)は、樹木を昇降する位置移動である。

概要

通常、地表にて生活する動物の場合、木に登る行為は一時的なロコモーションであり、必ず木から降りる行動を伴う[1]。このため、普通名詞としては木に登る行為そのものを指す場合もあるが、学術的な意味としては樹木への昇降両方を意味する場合がほとんどである。動物の行動としては外敵から逃れるためであったり[2]、食糧の取得(果実樹液等)を目的として行われる。人間が行う場合は生態学調査などの学術的な目的のほか、林業における特殊伐採やアーボリカルチャー、遊戯としての木登りなどがある。

手法

人類を含めた動物の木登りにおいて、尻尾など、身体的道具のみを用いて行う動作に関しては素登りともいう。これに対し、林冠部調査や林業などで用いられるような道具を用いる手法もある。道具を用いる場合、梯子ロープ等、直接的な道具使用のほかにも、ジャングルジムウォークウェイ英語版など、間接的な道具使用がある。長期継続的な木登りを要する生態学調査の場合は後者が選択されることがほとんどで、フィールドワークなどにおいて複数の人間が広大な範囲の調査を要する場所などでは恒常的に木登りを行うための設備が常設されている。

遊戯

遊戯としての木登りの始原は明らかではないものの、往古より行われていたものとみられている[3]。日本では『日本書紀』や『枕草子』に木登りについての記述がある[3]

軍事

環境によっては樹上は物見監視塔)の代わりとなるため、木登りは軍事面で重要なスキルの一つである[4]。また気づかれずにに侵入する際は、城壁近くの木を登る必要性も生じ、梯子代わりとされた。城側も侵入されないために、城内外の枝を切り落とし、木登りしがたい手入れ(剪定)をしていたことからも、防衛上関連する。

樹上から弓矢を放つ例としては、『日本書紀』の物部守屋6世紀末)がある他、近代では狙撃銃を用いる兵が利用する。

林業

林業では、枝打ちや種子の採取、架空索(索道)を張る作業で木登りをする必要が生じる。人工林の立ち木には下枝がなく足掛かりがないため、木登り用の器具を使うことが多く、林内で持ち運びが容易な繰り出し梯子のほか、カギ付き竹ざお、ぶりなわなどを利用して行われる。ぶりなわは各地で改良されて山福式、福井式、大寺式といった木登り器に発展した[5]

空師と呼ばれる樵は、昇柱器と胴綱でツリークライミングを行い枝打ちやワイヤーをかける作業を行う[6]

徒然草』(14世紀成立)百九段には、「木登りの名人」の話が記載されているが、その内容は、弟子に剪定をさせていたが、登らせている時は注意せず、地へ降りる直前になって注意し、その理由を、危険な場所であれば自分で注意するが、安全だと感じれば気のゆるみで返って危うくなるためというものであり、鎌倉時代末期には名人の心得として吉田兼好が記録している。

脚注

  1. ^ ただし、木登りののちに別の木に飛行する(遠くへの移動を目的とした木登りをする)モモンガ等、必ずしも同じ木から降りるとは限らない。
  2. ^ 人間でも獣から逃げるため、高い木に登る話は古代から見られ、一例として、『古事記』には、雄略天皇が弓で射たイノシシが唸りながら迫って来たため、おびえて木に登った話が記述されている。
  3. ^ a b 酒井欣 著 『日本遊戯史』 第一書房 1983年10月 p.446
  4. ^ 例えば、木登りできる生物とできない生物では戦術的有利に差があることを表現した物語として、『さるかに合戦』があげられる。蟹は信用していた猿に種を落とされ、圧死するが、人であれば、投石で有利な状況に例えられる。
  5. ^ 宮川信一「きのぼりようきぐ」『新版 林業百科事典』第2版第5刷 p145-146 日本林業技術協会 1984年(昭和59年)発行
  6. ^ Corporation, 株式会社テレビ東京-TV TOKYO. “命懸けのギャンブル!空師の日常に迫る:運命の日~ニッポンの挑戦者たち~|テレ東プラス”. 2022年11月12日閲覧。

関連項目

  • 樹上性英語版 - サルを含む動物たちは樹上で生活する能力を持つ。
  • アスレチックパーク英語版
  • 棒のぼり
  • ジャックと豆の木 - 木登りが物語の展開につながる
  • ツリーシッティング英語版 - 環境保護団体の抗議活動で木に登って座り込みを行う。

外部リンク


木登り

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/28 04:02 UTC 版)

スカンソリオプテリクス」の記事における「木登り」の解説

スカンソリオプテリクス記載において、CzerkasおよびYuan樹上性であったという証拠挙げている。現在の全ての鳥類の雛とことなりスカンソリオプテリクス前肢後肢よりも長いことに注目している。そして、筆者らはこの一般的でない特徴成長最初期においても移動に関して重要な役割持っていたことを示していると主張した化石には足の構造がよく保存されており、筆者第一趾が対向している、つまり現在の樹上性鳥類多く見られるように後を向いた状態であった解釈した。さらに筆者らは標本短く硬直した尾は木登りに適応したものだと指摘した。尾は現在のキツツキのものに良く似た支柱として使われ可能性もある。またイグアナ科トカゲのような細長い第三指を持つ現在の木登りをする種の比較からもスカンソリオプテリクスが木登りをしたとする仮説支持される実際スカンソリオプテリクスの手は雛が木登りをする現在の鳥類であるツメバケイのものよりはるかに木登りに適応している。 エピデンドロサウルスもまた細長い手と特異な足に基づいて樹上性であると解釈されている。記載者長い手と曲がった鉤爪木によじ登りの中を移動する適応していると言及している。筆者らの意見では鳥類の翼の進化初期段階において、前肢が木登りのためによく発達した状態になり、この発達がのちに飛行を可能とする翼の進化へとつながったとしている。飛ぶことの出来の手比較的短いため、長く、ものをつかめる手は飛ぶことより木に登ることに適していると言及している。 Zhang et al.はまたエピデンドロサウルスの足は非恐竜の中では特異であることに注目したエピデンドロサウルス標本には現在の木にとまる鳥類の持つ後を向いたのような第一趾は保存されていなかったものの、エピデンドロサウルスの足はカタイオルニス(英語版)やロンギプテリクス(英語版のような原始的な木にとまる鳥類のものと非常に似た構造をしていた。四肢すべてにものをつかむ能力がある適応からエピデンドロサウルス顕著に樹上性であった可能性が高い。

※この「木登り」の解説は、「スカンソリオプテリクス」の解説の一部です。
「木登り」を含む「スカンソリオプテリクス」の記事については、「スカンソリオプテリクス」の概要を参照ください。

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