UNIX ブランディング

UNIX

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 01:55 UTC 版)

ブランディング

1993年10月、Unix System Vのソースについての権利を保有していたノベルは、登録商標の権利をX/Open(現在のThe Open Group)に移管し[17]、1995年にはUNIX関連事業をSCOに売却した[18]。ノベルが実際のソフトウェアの著作権もSCOに売却したのかについては2006年に裁判となり、最終的にノベルが勝利した。SCO側は控訴したが、2011年8月30日に裁判所が棄却したため、裁判は終結した[19]

アメリカなどで、登録商標としてのUNIXはThe Open Group が保有している。現在、日本における「UNIX」という商標は複数の区分で登録されており、電子計算機関連においてアメリカン テレフォン アンド テレグラム カムパニーやエックス/オープン・カンパニー・リミテッドの登録もある。

日本では、日本マランツ(現在は合併してディーアンドエムホールディングス)が、電気機器分野でUNIXという名前で先行して商標登録を行なっていたため、UNIXという商標の権利関係がはっきりしていなかったことがあった。このことから、書籍などでの商品名などの登録商標についての断り書き一覧などで「UNIXオペレーティングシステムは,AT&Tのベル研究所が開発し,AT&Tがライセンスしています.」(『Life with UNIX』邦訳版での例)などのように書かれたことがあった。現在も日本マランツは音響機器用に「unix」を使用している。他の国でも同様に分野を限定して同じ商標を別の意味で登録することができ、本棚、インクペン、瓶詰めの膠(にかわ)、おむつ、ヘアドライヤー、食品コンテナなどで登録された例がある[20]

Single UNIX Specificationに完全に準拠しているとThe Open Groupに認められたシステムだけがUNIXを名乗ることができる。そのため認証を受けていないシステムは「Unix系」と呼ばれる。

The Open Groupは "UNIX" を特定のOS実装ではなく、OSのクラスを指すものと定義している。すなわち、Single UNIX Specificationに準拠しているとThe Open Groupに認められたシステムのみがUNIX 98UNIX 03といった登録商標を付けることを許されており、そのためにベンダーは認証料と毎年のロイヤルティを支払わなければならない[21]。認証を受けたOSとしては、AIXHP-UXIRIXSolarisTru64(かつての "Digital UNIX")、A/UXmacOS[22][23]z/OSの一部などがある。

認証を受けていないシステムを表すため、(また、ジャーゴンファイルのUN*Xの項目によれば、商標であることを標示するための「TM」を避けるために)、「UN*X」のようにグロブ記法を使って表記されることがある。ジャーゴンファイルの記述によれば、法的にはUNIXと書いてもTMを付けることは強制されないのだが、この記法は広く使われてしまっている(ジャーゴンファイル訳本の『ハッカーズ大辞典』初版にある「逆にアスタリスクを使うと権利侵害になるらしい」という記述は誤訳なので注意)。

The Open Groupは商標の普通名称化を防ぐため、UNIX という語には常に「システム」などの語をつけて使って欲しいとしている。

本来の形は "Unix" なのだが、Unix という形もよく使われている。これについてデニス・リッチーは、Association for Computing Machinery (ACM) の開催した第3回OSシンポジウムにUnixの論文を送る際「troffと新たな組版システムを開発したばかりでスモールキャピタルを印字できることに興奮して、それを使ってしまったため」だとしている[24]。当時の多くのOSは大文字のみで名称を記述するのが一般的だったため、多くの人は習慣的に大文字のみで "UNIX" と記述した。

UnixやUnix系の複数のブランドを総称するため、Unixの複数形が時折使われることがある。最も一般的な複数形は Unixes だが、Unixをラテン語の名詞の第3格変化として扱い複数形を Unices とする例もよく見られる。古英語的に Unixen とする例はまれだが、ときおり見かける。


  1. ^ 英語の発音は「U」にアクセントを置くので、「ユーニクス」に近い発音となる。『ジャーゴンファイル』でも「U」にアクセントを置いて発音するとしている(→Eric S. Raymond (ed.) (2004年10月4日). “Unix”. The Jargon File, version 4.4.7. 2010年12月15日閲覧)。しかし日本人のアクセントは異なることがある(「ニ」にアクセント)。
  2. ^ 村井 純、井上 尚司、砂原 秀樹『プロフェッショナルUNIX』アスキー出版局、1986年1月15日、14-15頁。ISBN 4-87148-184-0
  3. ^ 実際にはMulticsを書くのにPL/I(のサブセット)が使われた、といったような先行例はある。
  4. ^ What is a "Unix-like" operating system? Unix.org FAQ
  5. ^ Operating system market share”. Marketshare.hitslink.com. 2012年8月22日閲覧。
  6. ^ 8:30 AM (2010年9月29日). “Unix's Revenge”. asymco. 2010年11月9日閲覧。
  7. ^ Powers, Shelley; Peek, Jerry; O'Reilly, Tim; Loukides, Mike (2002). Unix Power Tools. ISBN 0-596-00330-7 
  8. ^ a b c d e Ritchie, Dennis M. (1984). “The Evolution of the Unix Time-sharing System”. AT&T Bell Laboratories Technical Journal 63 (6 Part 2): 1577–93. http://www.bell-labs.com/usr/dmr/www/hist.html 2018年9月2日閲覧。. 
  9. ^ Stuart, Brian L. (2009). Principles of operating systems: design & applications. Boston, Massachusetts: Thompson Learning. p. 23. ISBN 1-4188-3769-5 
  10. ^ Dolya, Aleksey (2003年7月29日). “Interview with Brian Kernighan”. Linux Journal. 2017年10月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月2日閲覧。
  11. ^ McIlroy, M. D. (1987). A Research Unix reader: annotated excerpts from the Programmer's Manual, 1971–1986 (PDF) (Technical report). CSTR. Bell Labs. 139. 2017年11月11日時点のオリジナルよりアーカイブ (PDF)
  12. ^ a b Rik Farrow. “An Interview with Peter G. Neumann”. ;login: 42 (4): 38. https://www.usenix.org/system/files/login/issues/login_winter17_issue.pdf. "That then led to Unics (the castrated one-user Multics, so- called due to Brian Kernighan) later becoming UNIX (probably as a result of AT&T lawyers)." 
  13. ^ Portability of C Programs and the UNIX System”. Bell-labs.com. 2018年8月24日閲覧。
  14. ^ Loading”. Developer.apple.com. 2012年6月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年8月22日閲覧。
  15. ^ Unix’s Revenge”. asymco (2010年9月29日). 2010年11月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年11月9日閲覧。
  16. ^ 自由なGNU/Linuxディストリビューション”. 2020年7月22日閲覧。
  17. ^ Chuck Karish   View profile    More options. “The name UNIX is now the property of X/Open – comp.std.unix | Google Groups”. Groups.google.com. 2010年11月9日閲覧。
  18. ^ HP, Novell and SCO To Deliver High-Volume UNIX OS With Advanced Network And Enterprise Services”. Novell.com (1995年9月20日). 2010年11月9日閲覧。
  19. ^ Jones, Pamela. “SCO Files Docketing Statement and We Find Out What Its Appeal Will Be About”. Groklaw. Groklaw.net. 2011年4月12日閲覧。
  20. ^ Autres Unix, autres moeurs (OtherUnix)”. Cm.bell-labs.com (2000年4月1日). 2010年11月9日閲覧。
  21. ^ The Open Group. “The Open Brand Fee Schedule”. 2011年12月26日閲覧。 “The right to use the UNIX Trademark requires the Licensee to pay to The Open Group an additional annual fee, calculated in accordance with the fee table set out below.”
  22. ^ The Open Group. “Mac OS X v10.5 Leopard on Intel-based Macintosh computers certification”. 2007年6月12日閲覧。
  23. ^ The Open Group. “Mac OS X v10.6 Snow Leopard certification”. 2012年10月16日閲覧。
  24. ^ Unix”. Catb.org. 2010年11月9日閲覧。
  25. ^ MOODY 2002, p. 56.
  26. ^ The Open GroupのOS XへのUNIX 03製品認証
  27. ^ ズバッと解決! Windows 10探偵団 ― 第97回 ネイティブで動作するWindows上でLinuxが使えるようになった!(ASCII.jp)”. KADOKAWA (2016年4月13日). 2016年4月25日閲覧。






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